日本各地にある桜の名所。多くはソメイヨシノという品種が中心ですが、その中にあってひときわ目を引くのが、垂れ下がった枝に多くの花が咲く姿が見事な「しだれ桜」と呼ばれる種類です。しだれ桜の種類は多く、それぞれが特徴ある美しさを誇るため、各地に有名なしだれ桜があります。しだれ桜とはどんなものなのか、人気のしだれ桜の名所はどこなのかをご紹介します!満開の時期を調べて、ぜひ見に出かけましょう。
1.しだれ桜はどんな特徴があるの?
しだれ桜は、細い枝が垂れ下がるという特徴があり、枝が糸のように垂れていることから、別名をイトザクラ、オオイトザクラと呼びます。その歴史は古く、今から1200年前の平安時代から親しまれていました。
枝が垂れ下がるのは突然変異だとされており、しだれ桜の子であっても、しだれるとは限らないのです。樹齢は長く、福島県にある「三春滝桜(みはるたきざくら)」は、樹齢1000年を超える老木として有名です。花の色は品種によって違い、ピンク、白、赤とバリエーションが豊富です。
2.しだれ桜の開花時期と見頃
地域によって差はありますが、おおむね例年3月下旬~4月にかけて開花し、見頃を迎えます。ソメイヨシノを基準にすると、1週間ほど早く咲くものや、ソメイヨシノ開花より後に咲くものもあります。
3.しだれ桜の種類を知っておこう
しだれ桜というのは枝が垂れている桜の総称です。種類としては、どんなものがあるのか紹介しましょう。
①八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)
エドヒガンと呼ばれる桜の1種で、濃い紅色の八重(やえ)咲きのためボリュームがあり、遠目にも見事な桜になります。
かつて仙台市の市長だった遠藤庸治(えんどうようじ)さんが普及に尽力したことから遠藤桜、仙台八重枝垂、仙台小桜という別名があったり、京都の平安神宮の八重紅枝垂にちなんで平安紅枝垂という名があったりします。
②清澄枝垂(キヨスミシダレ)
4月中旬に一重(ひとえ)の真っ白な花を咲かせる冬桜の品種です。千葉県鴨川市の清澄寺に原木があったことから名付けられたものです。別名、枝垂れ小葉桜(しだれこばざくら)とも呼ばれています。
③紅枝垂(ベニシダレ)
八重紅枝垂と同じエドヒガンの仲間で、八重紅枝垂と同じ濃い紅色の花ですが、こちらは一重咲きの可憐な花が特徴で、別名一重紅枝垂とも呼ばれます。
④枝垂山桜(シダレヤマザクラ)
ヤマザクラ系のサトザクラで、淡いピンク色の一重咲きで、花弁の先に切れ込みが入っています。
⑤吉野枝垂(ヨシノシダレ)
ソメイヨシノの枝が垂れた品種で、ソメイヨシノと同様に一重咲きで淡い紅色の花がたくさん咲くのが特徴です。
⑥糸枝垂(イトシダレ)
薄いピンク色の八重咲きで大木になるしだれ桜です。奈良県宇陀市の大野寺に樹齢300年といわれる大木が有名です。
4.しだれ桜についてのよくある質問
知れば知るほど多様なしだれ桜について、よくある質問にお答えしましょう。
Q1 しだれ桜は日本全国で見られますか?
北海道から九州まで、様々なところで見られます。ソメイヨシノのように並木道や公園一面に植えてあるところは少ないですが、たくさんの桜の木がある場所に1本とか、離れた場所に1本、というところもよく見かけます。開花した姿は余りに美しく圧倒的でさえあるので、“魔性が潛む“などと言われ、小説や芝居の題材にされてきました。
Q2 何年くらい生きますか?
ソメイヨシノの寿命は70~80年だといわれていますが、しだれ桜は300年以上になる長命なものも多く、大きく成長することから、天然記念物に指定されているものも数多くあります。
Q3 しだれ桜はどのくらいの大きさに成長しますか?
しだれ桜は日当たりと水はけ、風通しが良い環境で育ちます。品種にもよりますが、5~10メートルほどになるのが一般的で、樹齢を重ねてさらに大きくなる木もあります。
Q4 しだれ桜の盆栽はあるのですか?
しだれ桜は種から育てることができるので、盆栽でも楽しめます。ただし、発芽しないことも多く、芽が出ても花が咲くまでに何年もかかることや、咲かないこともあります。そのため苗が市販されており、好きな形や大きさに育てるのを楽しんでいる人もいます。
Q5 日本庭園でよく見られますか?
美しくて存在感のあるしだれ桜は日本庭園にも植えられています。枝が幹を包み込むように垂れ下がり、たくさんの花をつけたしだれ桜は、ライトアップされるとさらに幻想的になります。昔は、桜や梅などしだれる樹木は家を衰退させるとの迷信があり、自宅の庭に植えるのを忌み嫌いました。しかし近年は、その景観的価値が改めて見直されています
5.全国のしだれ桜の名所5選
日本各地の有名なしだれ桜の中から、代表的なものを選んでご紹介しましょう。桜と一緒に観光できるおすすめスポットも記載していますので、合わせてお出かけください。
①三春滝桜(みはるたきざくら/福島県)
根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら/岐阜県本巣市)、山高神代桜(やまたかじんだいざくら/山梨県北杜市)と並ぶ日本三大桜の一つで、推定樹齢は1000年以上、天然記念物に指定されています。高さ13.5メートルの幹から四方に伸びた枝に、薄紅色の小さな花が無数に咲きます。
例年の見頃:4月中旬
■周辺の観光スポット
【BRITOMART】 (福島県田村郡三春町斎藤仁井道 348-4)
レストラン、ベーカリー、スイーツ、コーヒー、インテリア、フラワー&エクステリア、フラワー&グリーン、ローカルフードセレクトショップがある複合施設。
②角館武家屋敷通り(かくのだてぶけやしきどおり)のシダレザクラ(秋田県)
1656年頃に、秋田県・角館町の武家屋敷の各戸ごとに植えられたのが、角館のシダレザクラの始まりとされます。幹まわり1メートルを超える木や、樹高20メートルを超す木もあり、武家屋敷通りの黒板塀にしだれ桜のピンク色の花が映えて、美しい景観を作り出します。
この桜並木の90%以上が、エドヒガンザクラの変種で、現在450本ほどあるシダレザクラの中で、162本が国の天然記念物に指定されています。
例年の見頃:4月中旬~5月上旬
■周辺の観光スポット
【武家屋敷石黒家】
現存する武家住宅の中でも最も古いもので、かやぶきの母屋、庭には築山、巨石、樅の大木、東屋があります。のぞき窓を付けた黒板塀に囲まれた屋敷は、簡素なたたずまいながら武士の格式があります。
③日中線(にっちゅうせん)しだれ桜並木(福島県)
1984年に廃線になった旧国鉄日中線跡地の一部が遊歩道となり、約3キロメートルの間に約1,000本のしだれ桜が咲きます。中間地点には、かつて走っていたSLが展示され、桜と一緒に撮影できる絶好のビューポイントです。また、しだれ桜のトンネルは壮大な美しさで、訪れる人を驚かせます。
例年の見頃:4月中旬~4月下旬
-
日中線しだれ桜並木
- 住所 〒966-0095 福島県喜多方市諏訪22
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最寄駅
JR磐越西線喜多方駅から徒歩約20分
電話:0241-24-5200(喜多方観光物産協会受付 平日8:30~17:00)
■周辺の観光スポット
【喜多方蔵の里】(福島県喜多方市字押切二丁目109)
喜多方市は江戸時代に物資の集散地として栄えたため、現在も4,200棟以上の蔵が残っています。「喜多方蔵の里」の敷地内に店蔵、味噌蔵、穀物蔵、蔵座敷など9棟を移築し、なつかしい街の風景を再現しています。
④六義園(りくぎえん/東京都)
「六義園」は「小石川後楽園」と共に江戸の二大庭園と言われています。園内には、シダレザクラ、ソメイヨシノ、ヤマザクラ、サトザクラ等が75本植えられています。最も大きなしだれ桜は樹齢70年。樹高は約15メートル、枝の幅は約20メートルと巨大な桜で、たくさんの花が垂れ下がる姿はまるで桜の滝のようです。
例年の見頃:3月下旬
■周辺の観光スポット
【旧古河庭園】
小高い丘には洋館、斜面には洋風庭園、低地には日本庭園を配した、大正初期の庭園の原型を留める貴重なものです。計算された和洋の調和が美しく、国の名勝指定を受けています。古河財閥が残したバラの名所、都立庭園です。
⑤関場(せきば)の枝垂桜(栃木県)
高さ20メートル、枝張り東西20メートル、南北28メートルの一本桜は樹齢350年を超えます。1962年に天然記念物に指定された美しいしだれ桜です。
例年の見頃:4月上旬~同下旬
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関場の枝垂桜
- 住所 〒327-0517 栃木県佐野市秋山町771
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最寄駅
北関東自動車道佐野田沼ICより車で約25分
電話:028-21-5111(佐野市観光協会 9:00~18:00/無休)
■周辺の観光スポット
【道の駅 どまんなか たぬま】(栃木県佐野市吉永366-2)
関場の枝垂桜がある佐野市では、果物がたくさん生産されています。新鮮な果物や野菜、特産品が買える他に、和洋食、中華料理のレストランもある便利なスポットです。
たくさん花を付けたしだれ桜のダイナミックな美しさは、ソメイヨシノとはまた違う魅力があります。植えられている数が少ない分、大切に育てられて多くの人に愛されています。風にそよぐ姿も可憐でライトアップにも映えるしだれ桜、ぜひ実際に見て、その美しさを堪能してください。
しだれ桜監修:株式会社渡辺農園 代表取締役 渡辺拓也氏
※桜の開花時期等はその年によって変動します。
※状況により、イベント開催日時や内容等が変更される場合があります。お出かけの際は、混雑を避け、感染症対策をしっかりとってお出かけください。
松田きこ、木村桂子、都志リサほか、関西に精通した女性ライターチーム。食べること、飲むこと、旅することが大好き! 自ら体験した楽しい情報を発信しています
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