「和牛」は黒毛和種・褐毛和種・無角和種・日本短角種の4品種とそれらの交雑種のみを指し、牛肉の中でも高品質で豊かな旨味とジューシーな脂が特徴です。日本では松坂牛・近江牛・神戸ビーフなど近畿地方のブランドをイメージする人も多いかもしれませんが、実は東北地方・山形県でもおいしい牛肉が生産されています。それが米沢牛です。
山形県は銀山温泉や山寺などの観光名所も多く、和牛だけでなく地酒やお米もおいしい土地です。本記事を参考に、米沢牛を堪能する山形旅行を計画してみてはいかがでしょうか。
米沢牛とは?
米沢牛(よねざわぎゅう)とは、米沢市がある山形県置賜(おきたま)エリアで生産されるブランド牛です。置賜エリアは山に囲まれた盆地で、猛暑の夏と極寒の冬が特徴の土地です。そんな豊かな自然のなかで麦やトウモロコシなどを独自に配合した肥料で育てられたのが米沢牛です。そのため赤身と脂身のバランスが丁度よく、上質な牛肉が産出されます。
米沢牛は、松坂牛・神戸ビーフを並ぶ「日本三大和牛」としても知られています。米沢牛に代わって近江牛が三大和牛に数えられることもありますが、日本において3番以内に米沢牛が数えられるということは、米沢牛の社会的評価は明らかです。米沢牛は最高級の肉質だからこそ、日本三大和牛の称号が得られたに違いありません。
以下の4つの条件を満たした牛肉が米沢牛として定義されています。
1.飼育者は、置賜三市五町に居住し米沢牛銘柄推進協議会が認定した者で、登録された牛舎での飼育期間が最も長いものとする。
2.肉牛の種類は、黒毛和種の未経産雌牛とする。
3.米沢牛枝肉市場若しくは東京食肉中央卸売市場に上場されたもの又は米沢市食肉センターでと畜され、公益社団法人日本食肉格付協会の格付けを受けた枝肉とする。但し、米沢牛銘柄推進協議会長が認めた共進会、共励会又は研究会に地区を代表して出品したものも同等の扱いとする。また、輸出用は米沢牛銘柄推進協議会が認めたと畜場とする。
4.生後月齢32ヶ月以上のもので公益社団法人日本食肉格付協会が定める3等級以上の外観並びに肉質及び脂質が優れ ている枝肉とする。
(出典:米沢牛銘柄推進協議会「米沢牛の定義」http://www.yonezawagyu.jp/03.html )
これらの厳しい基準をクリアした牛肉にのみ米沢牛の名称が与えられるので、高い品質の裏付けとなっています。
また、米沢牛は農林水産省が定める地理的表示(GI)保護制度に登録されている産品です。GI保護制度とは、特定の地域の土地の特徴と、その地で長年培われた生産方法により確立されている産品の名称を、知的財産として保護する制度です。つまりGI保護制度に登録されている米沢牛は、置賜エリアの環境と独自の生産方法でなければ生産されない、貴重な牛肉だということがわかります。
米沢牛が三大和牛になった経緯に明確な根拠は残されていませんが、米沢牛の伝統ある歴史が由来していると考えられています。米沢牛のルーツは明治維新期にさかのぼります。明治維新期に英語教師として訪れたイギリス人のダラス氏が米沢の牛肉のおいしさに感動し、任期を終え横浜に戻る際に牛一頭を持ち帰ったことで米沢牛が広まったとされています。それから牛肉生産は山形県全域に広がり、品質の画一化を目指して山形牛と総称されるようになりました。
米沢牛と山形牛の違い
米沢牛のほかに山形で生産されているブランド牛に「山形牛」がありますが、その違いの一つとして生産されている場所があげられます。米沢牛は山形県置賜三市五町の牛舎に限定されている一方、山形牛は山形県内と範囲を広く設けています。
また、米沢牛は「黒毛和種の未経産雌牛」に限定されますが、山形牛は「未経産および去勢」とされているため雄雌の区別はありません。ほかにも、米沢牛は、3等級以上の品質が条件となるなど、山形牛よりも厳しい基準が設けられています。米沢牛は山形牛の一種といわれていますが、山形牛のなかでも米沢牛は希少性が高く肉質のグレードも高いのです。
米沢牛おすすめ料理や主流の食べ方
四季の移ろいが激しい土地で育ったため、上質な旨味と適度な脂身が特徴の米沢牛。そんな米沢牛は、どんな料理でもおいしく食べることができます。
おすすめの料理は、とろりとした柔らかい食感を堪能できる焼肉やステーキです。割り下が染み込んで口に入れると旨味が広がるすき焼き、まるで口の中で溶けてしまうかのようなしゃぶしゃぶも、米沢牛のおいしさを味わえる食べ方です。変わり種では、米沢牛を100%使用したハンバーグもおすすめ。米沢牛の旨味がぎゅっと凝縮された肉汁あふれるハンバーグは、ハンバーグの概念が変わってしまうかもしれないほどの衝撃です。
また米沢牛を食べるならぜひ試してほしいのが、地酒とのマリアージュです。山形県はおいしい水がとれる土地なので「十四代」「出羽桜」をはじめとする日本酒の製造が盛んです。さらに「朝日町ワイナリー」「高畠ワイナリー」など有名なワイナリーもあり、ワイン作りでも有名な土地なのです。そんな山形県の地酒と米沢牛のコラボレーションは、山形のおいしさを満喫できる贅沢な食べ方といえるでしょう。
おすすめの組み合わせは、日本料理×日本酒、洋食×ワインです。たとえばすき焼きやしゃぶしゃぶには日本酒を合わせ、ステーキやハンバーグにはワインを合わせると、それぞれの特徴を引き立てた相性ばつぐんのカップリングになります。山形県で作られた日本酒やワインのお供には、ぜひ米沢牛を選びたいですね。
自分で買って食べる場合
米沢牛を自分で購入して食べる際には、山形県米沢市現地の精肉店で買うのがおすすめです。米沢牛は品質を守るために指定店制度となっており、米沢牛指定販売店には「指定店証」と「米沢牛販売指定店」と記載された米沢牛の飾り駒が置かれています。
なお、指定販売店は首都圏にもあるので、山形に行かなくてもスーパーやデパートなどの精肉売場で米沢牛が販売されていることもあります。またネットストアや通販でも販売しています。生産者直送のストアもあり、こだわりの米沢牛を手に入れることができますが、海外配送をしていない場合がほとんどのため、注意が必要です。
店舗で売られている場合、ステーキ用(主にサーロイン・肩ロース)、焼肉用(主にカルビ・ロース)、すき焼き・しゃぶしゃぶ用(主にバラ・ロース)など、すでにカットされている場合が多く見受けられます。
通販やネットストアではさまざまな部位が展開され、カットされているだけでなくかたまり肉で販売されていることもあります。またハンバーグや味噌漬けなどに加工されている商品もあり、さまざまな楽しみ方ができます。
飲食店で食べる場合
プロが目利きした肉を食べたいときは、米沢牛を提供している飲食店に足を運びましょう。山形県米沢市をはじめとした置賜エリアには現地で生産された米沢牛を提供するお店がたくさんあります。販売するお店と同様に、米沢牛を食べられる飲食店に対しても指定店制度を取り入れているので、高品質のお肉を安心して食べられますよ。もちろん山形県全域にも米沢牛を扱う飲食店は多いですし、東京都など山形県以外でも山形県の牛肉を食べられるお店があります。
飲食店ではさまざまなメニューで米沢牛を堪能できますが、鉄板焼きや焼肉などメニューに特化したお店もあります。米沢牛100%のパテを使用したハンバーガーを提供しているお店や、米沢牛の肉寿司を食べられるお店もあり、バラエティに富んでいます。現地のお店のなかには精肉店が運営している飲食店もあり、鮮度の高い米沢牛を求めている人におすすめです。
米沢牛の価格はお店や部位、メニューなどによってばらつきがありますが、ステーキやすき焼きの一人前は大体1万円前後、コース料理であれば2万円以上が目安となります。お祝いや記念日など、特別な日に食べたいですね。このように、米沢牛はブランド牛なので高価なイメージがありますが、ランチタイムだと比較的リーズナブルに食べることができます。1,000円台で焼肉のセットを食べられるお店もあり、気軽に米沢牛が楽しめますよ。
米沢牛を食べたいときには、質にこだわった肉を提供するお店を選びましょう。山形県や隣の宮城県には、下記のようなおすすめのお店があります。
米沢市内にある「米沢牛の味処 ミートピア」は、1階で米沢牛が販売され、2階でこだわりの米沢牛を食べられるお店。また宮城県仙台市にある「米沢牛焼肉 仔虎 仙台駅前店」は、数量限定の厚切り塩タンが名物です。ぜひ現地にて本場のおいしさを味わってください。
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住所
992-0045 山形県米沢市中央1丁目11-9
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最寄駅
米沢 駅 (奥羽本線 / 山形線 / 米坂線 / 山形新幹線)
バス5分
- 電話 0238-21-0377
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住所
992-0045 山形県米沢市中央1丁目11-9
また米沢牛は駅弁でも人気です。JR米沢駅では米沢牛の焼肉弁当や牛めし弁当などが展開されており、米沢牛のおいしさを堪能できる駅弁が販売されています。現地を訪れた際には、駅弁は必食ですね。
米沢牛に代表される山形牛は、夏と冬の厳しい気候を耐えたことによる肉質の良さが特徴です。ステーキやしゃぶしゃぶなどさまざまなメニューに合うので、お気に入りの食べ方を見つけましょう。
新鮮な本場の米沢牛を食べるなら、米沢市を訪れるのが断然おすすめです。行きの新幹線で米沢牛の駅弁を味わい、米沢市現地のお店で米沢牛に舌鼓を打ち、帰宅してからお土産で買ってきた米沢牛を食べる。こんな、米沢牛に始まり米沢牛に終わる旅も良いですね。
せっかく現地で米沢牛を食べるなら、山形県のすてきな観光名所も見学したり地酒を楽しんだり、山形県を堪能しましょう。
<参考>
Text by:株式会社ダリコーポレーション
※本記事の情報は2021年4月時点のものです。
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