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日本の東北地方に位置する、青森県の「黄金崎不老ふ死温泉」。日本海の波打ち際に佇む露天風呂が有名で、絶景と開放感が体験できると話題です。今回は一泊二日で、露天風呂、オーシャンビューの部屋、新鮮な海鮮料理を余すところなく体験し、その様子をお届け。黄金崎不老ふ死温泉の露天風呂への入り方や、アクセスも詳細に紹介します。
「黄金崎不老ふ死温泉」とは?
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黄金崎不老ふ死温泉は、迫力のある日本海と世界遺産・白神山地に挟まれた、青森県の深浦町にある一軒宿の温泉です。最大の魅力は、日本海の波打ち際に造られた、開放感のある露天風呂。遮るものが何もなく、見渡す限りに広がる青い空と海を独占できます。
保温・保湿効果の高い炭酸水素イオンが含まれる湯のおかげで“美肌の湯”といわれ、老いたり弱ったりしないことに由来し「不老ふ死」の名がつけられています。1970年に温泉が発掘されて宿が出来て以来、地元の方を中心に愛されてきていましたが、最近では国内外の観光客も多く訪れています。
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夕暮れ時は特に人気があり、燃えるような夕日が水平線に沈む様は、息を吞むほどの美しさです。また、海の幸をたっぷりいただける夕飯と朝食、全室オーシャンビューの客室と、日本海を五感で体験できるのも特徴です。
黄金崎不老ふ死へのアクセス
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黄金崎不老ふ死温泉の最寄り駅はJR五能線のウェスパ椿山駅。秋田と青森の両方からJRでアクセス可能です。最も早く到着する方法は、特急列車のリゾートしらかみを利用すること。リゾートしらかみは秋田駅または新青森駅・弘前駅からそれぞれ1日2~3本運行しており、ウェスパ椿山駅まで乗り換えなしで到着できます。ただし、季節や曜日によっては運行していない時もあるので、JR東日本のサイトから事前にスケジュールを確認しましょう。
リゾートしらかみで秋田駅から約2時間20分、新青森駅から約3時間。鈍行のJR五能線なら秋田駅から約2時間40分、新青森駅から約4時間ですが、両駅ともに乗り継ぎがあり、時間によっては長時間待つことになるため、事前に乗り継ぎの時間がどれくらいかかるか調べておきましょう。
なお、東北エリアの旅行に新幹線や特急列車を利用するなら、訪日外国人旅行者向け「JR EAST PASS (Tohoku area)」がお得。JR東日本の東北エリアを運行する路線が連続5日間乗り降りし放題になります。料金は、12歳以上の大人20,000円、6~11歳の子ども10,000円です。
鈍行列車で行くことも可能で、秋田駅からは東能代駅で五能線に乗り換え(所要時間約2時間40分)、新青森駅からは川部駅で乗り換え(所要時間約4時間)です。各駅の乗り換え時間は短いですが、五能線は向かいのホームに停車しているので慌てずに。
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ウェスパ椿山駅はJR EAST PASS (Tohoku area)の範囲内のため、鈍行列車を利用する場合は追加料金不要。リゾートしらかみを利用する場合は、券売機で指定席券の購入が必要です。またリゾートしらかみのボックスシートは、JR EAST Travel Service Centerかみどりの窓口でしか予約ができません。利用したいなら出発前に予約しておくことがおすすめです。
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ウェスパ椿山駅からは無料送迎バスが運行しており、こちらの利用がおすすめです。無料送迎バスを希望する場合、booking.comで予約時に「特別リクエスト」で「無料送迎バスを希望します」と書けばOK。無料送迎バスの所要時間は約5分ほど。弘南バス十二湖線でウェスパ椿山駅から不老ふ死温泉行きのバスも運行しており、料金は210円、所要時間は約10分。ただし、電車の到着時間によっては30分~1時間ほど待つ場合があります。最新の運行情報は公式サイトから確認しましょう。
日本海を望む絶景露天風呂、黄金崎不老ふ死温泉を体験
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それでは、黄金崎不老ふ死温泉への旅に出発です。ウェスパ椿山駅に到着したら、無料送迎バスに乗りましょう。バスの運転手さんが待っているので、不老ふ死温泉へ行くか確認するだけで、チケット等を見せる必要はありません。利用人数によっては観光バスではなくマイクロバスが来ることもあります。
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バスで5分ほどの乗車で到着。周りには他の宿泊施設はなく高い建物もないため、入口からも波の音が聞こえるくらい静かです。
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フロントは天井が高く、ソファスペースも広々。季節によって展示物が変わります。この時期はひな祭りの行事が近かったため、女の子の成長を祈って飾るお雛様がありました。スタッフは基本日本語のみ対応ですが、簡単な英語での対応も可能です。
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露天風呂は混浴と女風呂に分かれていますが、気になる方のために湯あみ(入浴しながら着られる服)をフロントで無料で貸し出しています。ワンピースとハーフパンツのどちらかを選べ、厚手のバスタオルのような素材なので、肌が透けることなく安心です。内湯では湯あみは着用できません。刺青・タトゥーがある方の入浴は遠慮されていますが、事前に相談してみるのがよいでしょう。
また、バスタオルとオリジナルプリントがされた手ぬぐいは宿泊の部屋に置いてあります。両方必ず露天風呂に持っていきましょう。
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不老ふ死温泉は本館と新館の2つの建物があり、露天風呂は本館にあります。新館の部屋に宿泊する場合は少々複雑ですが、フロントで英語の地図をもらえます。
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新館と本館の連絡通路は3階にあり、連絡通路を通ってエレベーターに乗ったら1階へ行きます。
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1階は日帰り入浴の人の玄関もあり、日帰りの方はここで靴を脱いでスリッパに履き替えます。宿泊者専用のスリッパを履いている人は履き替える必要はありません。
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1階は英語の表記はありませんが、「→」の矢印がある方に進めば露天風呂に向かえます。
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露天風呂の入り口でバスタオルや湯あみ、着替えを入れる脱衣カゴを持ち、外へ向かいましょう。日本語の注意事項は「露天風呂内は撮影禁止」「外気温や風の影響により温めになっているので無理せずに」「体を洗う場所がないので内風呂でかけ湯をしてから利用してください」等と書かれています。特に注意すべきは撮影について。携帯カメラの撮影も禁止していますが持ち込みによるトラブルが多発しているため、撮影は厳禁です。今回は特別に許可をもらって撮影ができました。
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ガラス戸を開けると、砂利の海岸の奥に露天風呂が見えました。少し雪が残る坂道を2~3分歩けば辿り着き、歩きながら期待感は一歩ずつ高まります!着替えを入れる脱衣スペースはありますがその場で着替えると宿泊所から丸見えなので、湯浴みを着てその上に浴衣や上着を羽織るのがベストです。上がった後は体が冷えないようにバスタオルを持って行きましょう。
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海に近づくほどに風が強くなり、潮の香りも感じられます。露天風呂は海岸の出っ張り部分に建てられていることから分かるように、ほとんど海の中にあるも同然。
左側が混浴、右側が女性専用風呂で、記載はありますが日本語なので、間違えないように要注意です。岩で囲まれた入口で分かれているので、間違えないように。どんな景色が見られるか、お待ちかねの瞬間です。
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青々とした日本海と澄みきった空、そして潮風が爽やかで解放感たっぷり!波を被りそうなほどの距離まで海が近く、ここまで波打ち際にある露天風呂はとても珍しいはず。お湯はほどほどの熱さですが、温泉内で腰を掛けられるよう段差があるので、肩まで入ったり腰まで浸かったりと温度調整可能。
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波と風の音を聞きながら遠くに浮かぶ海鳥や貨物船を眺めていると、まるで海と自分が一体化しているような心地よさに包まれます。夕暮れ時が特に人気ですが、太陽の光が射して海がキラキラと輝く日の出から午前中の時間帯もおすすめです。
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冬の日本海は天候が悪いと荒れることもありますが、それも黄金崎不老ふ死温泉の醍醐味。高波が荒々しく打ち付ける海岸を眺めて入る温泉は唯一無二の体験です。
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黄金崎不老ふ死温泉はお風呂しかないため、髪と体を洗うには新館の内湯を利用する必要があります。内湯にも露天風呂があり、ここからも絶景の日本海を望めます。
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黄金崎不老ふ死温泉の泉質は「含鉄-ナトリウム-塩化物強塩泉」。鉄が多く含まれているため、空気に触れて赤褐色に変化します。肌のトラブル、切り傷、皮膚病などの効能が期待でき、「美肌の湯」とも呼ばれています。
黄金崎不老ふ死温泉の宿泊部屋をチェック
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部屋はツインの和洋室、大人数で泊まれる和室、シングルルームの3種類。和洋室は広々とした和室にベッドが設えられ、のんびりと利用できます。
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各部屋に洗面台とお手洗いがあるのも嬉しいポイントです。
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部屋の奥にはテレビ、テーブル、イス2脚があり、お部屋でのリラックスタイムも充実しそう。
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全室オーシャンビューの部屋の最大の魅力は、まるで絵画のような窓からの眺め。少し早起きすれば、朝焼けのグラデーションで刻一刻と変化する海辺の風景を楽しめます。
マグロやサーモンなど新鮮な海鮮料理が揃う夕食&朝食ビュッフェ
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夕食は海鮮が中心のビュッフェ。サーモンやイカのお刺身、帆立の浜焼き、鮑の天ぷらなど、漁師町だからこそ提供できる新鮮でバリエーション豊富な海鮮料理がずらり!
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実は深浦町はマグロの漁獲量が青森県内一で、ビュッフェでもマグロのお刺身をいただけます。
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ご飯に好きな具材を乗せてオリジナルの海鮮丼を作る「のっけ丼」も提供。この日のラインナップは、いくらの醬油漬け、とびっこ、いかの山椒漬け。一面に輝く具材がまるで宝石のよう。
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小鉢のメニューは、鮑と烏賊の水物、鰤の揚げ浸しなど、漁師町の深浦町に伝わる地元の家庭料理が中心。レストランではお目にかかれない料理も多いので、気になったら迷わず取ってみて。
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海鮮以外にも、黒毛和牛のバラ焼き、桜姫鶏の香草焼きなど、お肉好きにはたまらないメニューもあり、栄養とボリューム満点。おいしそうなラインアップに目移りし、少しずつ取ってもあっという間にお皿に料理が埋め尽くされてしまいました。
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お腹いっぱいメインディッシュを食べた後は、ケーキやアイスクリームなどのデザートで締めくくり。青森県ならではのりんご果汁100%ジュースはしっかり濃くて甘みを感じられます。
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朝食も同じくビュッフェ形式。焼き魚、明太子、お豆腐、タラのじゃっぱ汁など、素朴ながら味と栄養のバランスが良い日本の朝ごはんを提供しています。朝ごはんでもお刺身が出るので、夕食で食べ足りなかった人はここがラストチャンス!
黄金崎不老ふ死温泉で買えるお土産
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新館1階フロントの隣には、青森県内のお土産を中心に販売する売店があります。営業時間は7時~20時半。お風呂や夕食の後、チェックアウト後の無料送迎バス出発までの時間に立ち寄れます。
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中でもおすすめは、深浦町産のブランドにんじん「ふかうら雪人参」のお土産。雪の下でじっくり育まれたからこその濃厚な甘みを活かしたジャム(430円)やドレッシング(590円)などがラインナップ。
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不老ふ死温泉オリジナルのTシャツやポストカード、石鹼やタオルも人気です。「不老不(ふ)死」とは、永遠に若さを保ち生き続けるという意味なので、オリジナルグッズからエネルギーがもらえるかも!?
黄金崎不老ふ死温泉周辺の観光スポット
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黄金崎不老ふ死温泉のある深浦町は、世界自然遺産・白神山地のふもと。4~11月は白神山地のトレッキングがおすすめで、訪れるなら最寄り駅のJR五能線十二湖駅へ。コバルトブルーに澄んだ青池、世界最大級のブナの自然林など有名なスポットを拝めます。
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1700年代の地震で隆起した岩床が特徴的な「千畳敷海岸」も、深浦町の観光スポット。リゾートしらかみで弘前・新青森方面へ向かう時、15分ほど停車時間があるので、電車の外に出て自然が創り出した奇岩群を眺めてみましょう(停車はリゾートしらかみ2・3・4・5号のみ)。
東北で唯一無二の温泉を体験するなら黄金崎不老ふ死温泉へ!
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波打ち際の露天風呂、全室オーシャンビューの部屋から見える絶景、新鮮でおいしい海鮮ビュッフェと、見て食べて楽しめる黄金崎不老ふ死温泉。JR沿線で秋田と青森の両方からアクセスできる立地も魅力です。唯一無二の温泉宿へ行きたいなら、黄金崎不老ふ死温泉を選んでみてくださいね。
※本記事の情報は2023年3月時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
旅行会社に勤める現役会社員の日本人ライター。大手ウェブサイトで編集者として従事した後、旅行会社に転職。そのため、旅行系・グルメ系のジャンルを得意とし、日本全国47都道府県で取材実績あり。旅行会社勤務だからこそ知れる秘境や絶景、旅の裏ワザを伝えながら日々取材に奔走している。
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