年間を通し、数多くの祭りが繰り広げられる東北地方。なかでも、東北三大祭りのひとつとして高い人気を誇るのが、毎年8月3日から6日に秋田県秋田市で開催される「秋田竿燈まつり」です。高さ12メートルもの竿燈を手のひらや腰などに乗せて操る圧巻の技は見応え抜群!約280本もの竿燈による黄金色の光が、夜空を彩ります。今回は、秋田竿燈まつりの歴史や見どころ、周辺の観光スポットなどをご紹介。事前にチェックすれば、祭りをより楽しめますよ。
メイン写真:写真提供:秋田市竿燈まつり実行委員会事務局
約1万個の提灯が街を照らす!「秋田竿燈まつり」とは?
秋田県の夏を代表するイベント「秋田竿燈まつり(あきたかんとうまつり)」。国の重要無形民俗文化財に指定される伝統行事で、青森県の「青森ねぶた祭」、宮城県の「仙台七夕まつり」とともに、東北三大祭りのひとつに数えられています。
秋田竿燈まつりが開催されるのは、秋田県観光の玄関口である秋田市。街の中心部を会場に、毎年8月3日から6日までの4日間行なわれ、期間中は国内外から大勢の観光客が訪れます。
そもそも「竿燈」ってなに?
祭りの主役は、太い竹竿に最大46個の提灯をさげた「竿燈」です。竿燈は稲穂、提灯は米俵に見立てており、五穀豊穣を願う祭りとして長年受け継がれてきました。
起源は、江戸時代中期の宝暦年間(1751~64)とされ、もともとは真夏の病魔や睡魔払いの行事だったそう。寛政元年(1789)の文献には、十文字に構えた長い竿に数多くの灯火をつけて街を練り歩く、現在の竿燈まつりの原型ともいえる姿が記されています。
メインイベントである「夜本番」では、JR秋田駅から徒歩15分ほどの場所にある竿燈大通りに、約280本の竿燈が集結。「差し手」と呼ばれる男たちが一人一本の竿燈を担ぎ、妙技を披露します。
最も大きい竿燈の高さはなんと12メートル。巨大な竿燈を手のひらや肩、腰などに移し替える差し手たちの姿は圧巻です。
2023年の開催スケジュール
2023年の開催スケジュールは以下の通りです。
変更となる可能性もあるため、事前に公式ホームページを確認してから訪れましょう。
開催日:2023年8月3日(木)~6日(日)
会場:
【夜本番】竿燈大通り
【昼竿燈】妙技会・エリアなかいちにぎわい広場
時間:
【夜本番】18:50竿燈入場、9:15~20:35竿燈演技、20:50終了※18:15~21:30の間、交通規制あり
【昼竿燈】2023年8月4日(金)・5日(土)9:00~15:40、2023年8月6日(日)9:20~15:00
観覧席:有料観覧席は、団体(15名以上)は4月17日10:00から、個人(14名以下)は5月10日10:00より予約受付開始(日本語による申し込みのみ)。詳細は公式サイト を確認してください。
秋田竿燈まつりの迫力を間近で楽しみたいなら、有料観覧席がおすすめ。座って観覧できるのもうれしいポイントです。観覧席に空きがあれば、夜本部や秋田観光コンベンション協会、プレイガイドなどで、当日券を販売します。
東京からのアクセスは?
JR東京駅からは、秋田新幹線「こまち」の利用がおすすめです。最寄り駅であるJR秋田駅までは、3時間35~55分ほどで到着します。
JR秋田駅から秋田竿燈まつりの各会場までは徒歩でも移動可能。昼竿燈・夜本番ともに、会場が徒歩15分圏内にあります。
ここが見どころ!伝統的な技を紹介
竿燈まつりは、差し手たちが技の美しさを競い合う妙技大会「昼竿燈」と、太鼓や笛のお囃子、「ドッコイショー、ドッコイショー」という掛け声とともに技を披露する「夜本番」の二部構成になっています。
いずれも、見どころは差し手による妙技。重さ50kgもある竿燈を匠に扱う名人芸は、誰もが手に汗を握る光景です。
妙技は「流し」、「平手」、「額」、「肩」、「腰」の5種類。どんな技か事前に知っていると、差し手のすごさをより体感できますよ。
1.流し
次の差し手が竹を継ぎやすいように支える技。竿燈を高く差し上げたのち、一度手のひらで静止。その後、親指と人差し指の間から15cmほどずらして支えます。
2.平手
竿燈を高々とかざし上げる基本技です。竿燈を手のひらでかざして静止させます。片方の手を開いて、利き腕とのバランスを取り、持ちこたえるのがポイント。
3.額
竿燈を額で支える大技。一度手のひらで竿燈を受けたあと、指の間からずらしながら額に乗せます。両手を大きく開き、足腰をグッと踏ん張りバランスをとります。
4.肩
手のひらで静止させてから、利き腕を曲げずにまっすぐ肩に降ろす技。軸足と竿燈を一直線にするのが美しいとされています。差しやすく、差し手が最も早く覚える技です。
5.腰
最も修練が必要とされる技。手のひらで竿燈を静止させ、指の間からずらして腰に乗せます。扇子であおぎながら差す熟練の差し手もいます。
まだある!秋田竿燈まつりの見どころ
夜本番の終了後には、竿燈に直接さわれる「ふれあい竿燈」が開催されます。間近で眺めて大きさを体感したり、記念撮影をしたりと、祭りをより楽しむことができますよ。
時間に余裕のある方は、「戻り竿燈」を観覧するのもおすすめです。「戻り竿燈」とは、秋田竿燈まつりの終了後に各竿燈が町内に戻り、地元の人々にお披露目する行事。大興奮の渦に包まれる夜本番とは異なり、住民の拍手やあたたかな歓声といった、アットホームな雰囲気が魅力です。
ちなみに、提灯には、秋田市内にある町の“町紋”が描かれています。それぞれの町を象徴する絵柄のほか、長寿や子宝、豊作といった町民の幸せを願う紋様や文字など、バラエティ豊か。観覧の際はぜひ模様にも注目してみてください。
また、祭りに欠かせないものといえばグルメ! 期間中、竿燈大通りの東西両側には「竿燈屋台村」を設置。通りの裏に位置する大町イベント広場では「ご当地グルメフェスティバル」が開催され、秋田県各地のご当地グルメを味わえます。横手市の名物「横手やきそば」や、仙北市の地ビール「田沢湖ビール」など、秋田県ならではのグルメを思う存分堪能しましょう。
秋田竿燈まつりの外国語対応は?
秋田竿燈まつりの外国語対応は以下の通りです。
ホームページ:英語
パンフレット:英語/中国語(簡体・繁体)/韓国語
スタッフによる案内:英語
祭りの前後に楽しみたい!周辺観光スポット
秋田竿燈まつりが開催される秋田市には、観光スポットが充実。以下におすすめのスポットをまとめているので、観光プランを練る際にお役立て下さい。
1.秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)
秋田竿燈まつりをはじめとする、秋田市内の民族行事を紹介する施設です。4~10月の土・日曜、祝日には竿燈の実演や竿燈演技の体験を楽しめます。
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秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)
- 住所 〒010-0921 秋田市大町1-3-30
- 電話 018-866-7091
営業時間:9:30~16:30
料金:入館100円
定休日:12月29日~1月3日
2.千秋公園
秋田藩主・佐竹氏の居城である久保田城跡。公園として整備され、桜の名所としても知られています。かつて見張り台として使われていた「御隅櫓(おすみやぐら)」は、市街地を一望するビュースポットとして人気です。
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千秋公園
- 住所 〒010-0876 秋田県秋田市千秋公園1-1
- 電話 018-888-5753
営業時間:
料金:入園無料(久保田城御隅櫓は観覧料100円)
定休日:入園自由
3.秋田県立美術館
藤田嗣治氏の作品やヨーロッパの絵画を常設展示しています。目玉は365×2,025㎝の大壁画「秋田の行事」。世界的建築家・安藤忠雄氏による建築美にも注目。
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秋田県立美術館
- 住所 〒010-0001 秋田市中通1-4-2
- 電話 018-853-8686
営業時間:10:00~18:00(秋田竿燈祭り期間中は開館時間延長の場合あり)
料金:展覧会ごとに異なる
定休日:不定休
周辺の宿泊施設
秋田駅周辺にはシティホテルやビジネスホテルなどたくさんのホテルがあります。おすすめの6つをご紹介します。
差し手によるスゴ技が繰り広げられる秋田竿燈まつりは、ドキドキ・ハラハラの連続!圧巻の光景を一目見に、今年の夏は秋田へ訪れてはいかがでしょうか?
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秋田竿燈まつり
- 住所 〒010ー0921 秋田県秋田市 竿燈大通り
電話番号:018-888-5602(秋田市竿燈まつり実行委員会事務局)
営業時間:2023年8月3日(木)~6日(日)
料金:有料観覧席あり
Text by:菅原聡子(すがわら そうこ)
※本記事の情報は2023年4月時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
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