「京都」は、日本に旅行に来る外国人に人気の街です。由緒ある寺社仏閣に参拝し、京料理をはじめとする多様な飲食店でおいしいものを食べ、風情あるホテルに泊まるなど、京都ならではの旅行のコツを紹介しましょう。
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1.京都の特徴
日本の中で京都の位置はどこ?
京都府は本州の中央付近、関西地方にある都市です。北は日本海に面し、東に琵琶湖のある滋賀県、南に古都・奈良と関西国際空港がある大阪、西は神戸港がある兵庫県です。
行政の中心であり観光地でもある京都市は、京都府の南エリアに位置しています。京都の玄関口となる京都駅は、東海道新幹線、JR線、地下鉄、近鉄といった鉄道の他に、路線バスやタクシーなども多く発着しており、市内の観光名所へスムーズに行くことができます。
京都の歴史的背景
京都は794年から1000年以上日本の都でした。幾度も戦乱が起こり、その都度、京都の町はみごとな復興をとげ、1868年に首都が東京に移った後も近代都市として発展しました。文化面では、天皇を中心として栄えた宮廷文化が、建築、工芸、着物、料理など、様々な分野に受け継がれています。
旅行地としての京都の魅力
京都には、国宝、重要文化財、市指定登録文化財など、有形無形の貴重な文化遺産が約3,000あります。三方を山に囲まれて豊かな自然が残るうえ、お寺や神社が多く、古い町並みも残り、古都らしい風情が感じられます。京都市内全体に見どころがあり、国際的な観光都市ならではの洗練されたサービスを各所で受けることができます。
なぜ京都が世界で有名なの?
歴史あるお寺や神社が多いことや、葵祭、祇園祭、時代祭という有名な祭りがあること。華道、茶道、能、舞、狂言などの伝統文化が受け継がれており、海外にも弟子をもつ家元らが京都を本拠地にしていること。また、舞妓や芸奴という京都独自の花街文化があるのも海外でよく知られています。
京都旅行が好まれる理由
日本人は四季の移り変わりを行事や料理で楽しみます。伝統を大切にする京都には、日本らしい文化が根付いています。着物を着たり、茶道や香道にふれたり、和食や和菓子を食べたり、京都に住む人の日常を体験できるのも魅力。
古都でありながら都会的で、交通の便もよく、食事処や土産物店、宿泊施設なども充実しています。また、京都は大学が多いので、留学生も多く住み、住民も外国人と接することに比較的慣れているといえるでしょう。
2.京都に行くベストタイミング
京都は年間を通して観光客が多い町ですが、夏の暑さは厳しく、冬は底冷えといわれる厳しい寒さです。快適な旅を望むなら、気候がよい春か秋がおすすめ。春は桜、秋は紅葉が美しく観光のベストシーズンといえます。
しかし国内の旅行者も多く、有名な観光地は混雑が予想されます。朝早くスタートする、平日に行くなど、ゆっくり観光できる時間帯を選びましょう。真夏や真冬は厳しい気候ですが、夏ならでは、冬ならではの楽しみ方があるので、四季それぞれの京都の見どころを紹介しましょう。
春の京都の見どころ
春は花の季節。なかでも日本人が大好きな桜が見どころです。桜の見頃は3月末から4月初旬の1週間ほどで、公園などで花が咲き始めると、提灯やぼんぼりが灯されて夜桜見物の人で賑わいます。京都市内では、交通の便利な円山公園や清水寺、嵐山、平安神宮、京都府立植物園、哲学の道などが、桜の名所として知られています。
夏の京都の見どころ
暑い夏でも森の中や水辺は、涼しさを感じられます。京都の避暑地として知られるのは高台にある貴船や鞍馬、樹齢200年以上の木々が茂る下鴨神社・糺の森、まっすぐに伸びる青竹に囲まれた竹林の小径。水辺なら鴨川や貴船の川床、渓谷を小舟で下る保津川下りなどが人気です。
秋の京都の見どころ
秋が深まる10月末から11月にかけて、京都では紅葉の見頃を迎え、京都市の三方を囲む山々や神社の木々が美しく染まります。二条城、清水寺、永観堂、哲学の道、貴船神社、嵐山、嵯峨野など、見どころはたくさんあります。
冬の京都の見どころ
京都の市街地は、それほど雪は積もりませんが、京都市内の北東部にある貴船山と鞍馬山の谷あいにある貴船神社は、積雪時には雪景色が美しいことでも知られています。京都府北部では、美山かやぶきの里、天橋立、伊根の舟屋、福知山城などが美しい雪景色のスポットです。
3.京都の交通手段
東京など主要都市から京都までのアクセス
<新幹線>
東京駅から京都駅までは、新幹線のぞみで約2時間15分、14,170円(指定席 ※通常期)です。所要時間が短く、時間に正確で乗り心地も良いのですが、乗車料金はほかの交通手段と比較して高めで指定席は予約が必要です。
<夜行バス>
東京から京都までは高速バスも出ています。なかでもJRバスは主要駅前にバスターミナルがあり、東京から京都まで約8時間で到着します。所要時間が長いですが乗り換えがないので大きな荷物があってもラクで、夜行なら眠っている間に京都に着きます。4列シートの「青春エコドリーム号」は約4,000円前後~で、鉄道に比べて格安です。
<飛行機>
もっとも早く移動したいなら飛行機がおすすめ。東京・羽田空港から、大阪・関西国際空港か大阪国際空港(伊丹空港)までは、約90分です。航空会社や便によって、到着する空港が違うので間違えないようにしましょう。料金は、片道約10,000円前後で、時期や航空会社によって大きな差があるので早めの予約がおすすめですが、格安航空券は予約後の変更やキャンセルはできません。
関西国際空港から京都まではJR、リムジンバス等で京都に行くことができます。関空快速で大阪駅まで約71分、京都線新快速に乗換えて約29分です。(乗車券1,910円)JR特急はるかを利用すれば約80分で京都まで直行です。(乗車券1,910円+自由席特急券990円or指定席特急券(通常期)1,520円、(閑散期)1,320円)
リムジンバスは、関西空港第1ターミナル( 8番のりば)から京都駅八条口まで、約85分~90分。第2ターミナル(2番のりば)からは約100分~105分です。料金は2,600円。大きい荷物がある旅行者にとって、値段も安く使い勝手がよい乗り物です。
京都を周遊する場合の交通方法
京都市内を周遊するには、交通網が発達している私鉄、JR、地下鉄、バスを使うのが便利です。その際に役立つのが、各交通機関が乗り放題になるフリーパスです。お得なフリーパスを紹介しましょう。
<地下鉄・バス1日券>
市内の観光地にはバスが便利です。京都市営地下鉄、京都市バス、京都バス(一部路線をのぞく)、京阪バス(一部路線をのぞく)が1日乗り放題になるチケットが「地下鉄・バス1日券」。高台寺、東映太秦映画村などの優待もあります。地下鉄とバスを利用すれば名所を効率よく回れます。
一日券 大人1,100円(小児550円)※二日券は廃止
<関西1デイパス>
「関西1デイパス」は、JR西日本の普通列車(新快速・快速含む)の普通車自由席と、大阪水上バス「アクアライナー」、江若交通バスの堅田駅以南エリアおよび琵琶湖大橋線の「堅田駅~勾当内侍前」区間(冬限定)が1日乗り放題となる乗車券。エリアは大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県と広範囲です。1回限りでレンタサイクルも利用できます。
通常季節ごとに販売され、たとえば2021年「秋の関西1デイパス」は、「比叡山チケット(京阪)」「高野山チケット(南海)」「室生寺・長谷寺参拝チケット(近鉄)」「有馬温泉チケット(神戸市営地下鉄・神戸電鉄)」の「チケット引換券」が付いており、いずれか1枚と引き換えることができます。
大人3,600円、子ども1,800円。利用する前日までに購入してください。京都市内から京都の北部や、関西の他の地域に足を伸ばす際にお得です。
<JR-WEST Rail Pass>
「JR-WEST Rail Pass」は、観光目的で日本を訪れている外国人を対象にした特別チケットです。7日(33,610円~)・14日(52,960円~)・21日(66,200円~)間に分かれており京都市内だけが目的の場合、このチケットは割高になりますが、京都府北部や奈良・大阪・神戸、広島なども続けて観光する場合にはおすすめです。(新幹線のぞみ利用不可)
※JR-WEST RAIL PASS は日本国以外の政府等が発行した旅券を有し「短期滞在(Temporary Visitor)」に該当する在留資格を有する人のみが購入、利用できます。
4.京都でどこに宿泊する?
京都には小さなゲストハウス、一棟貸の町家、旅館、高級ホテルなど、様々な宿泊施設があります。設備や価格も大きく違うので、行きたい場所や楽しみたい宿の雰囲気によって、選びましょう。1人あたりの値段は、ゲストハウスなら約3,000円~、一棟貸の町家なら約6,000円~、シティホテルなら約7,000円~、旅館なら食事付きで約9,000円~(季節や施設によって異なる)が目安。事前に調べて予約しておきましょう。
京都駅近く
ターミナル駅なので、市内観光はもちろん、他の地域に移動しやすいメリットがあります。京都タワーがある中央口(北側)の駅前、新幹線の改札に近い八条口(南側)、どちらからも徒歩圏内にシティホテルや旅館がいくつもあり、予算に合わせて選ぶことができます。3泊すれば、京都市内をゆっくり見て回れ、1日は滋賀県のびわ湖方面や大阪へ日帰り旅ができます。
嵐山界隈
風光明媚な観光地で知られる嵐山には、比較的小規模なホテルや旅館が多く、食事付きの旅館は少し価格が高くなりますが、ゆったりと京都のもてなしを楽しむことができます。人気の竹林の道や、由緒あるお寺が点在しているので、2泊くらいで嵐山・嵯峨野・太秦界隈をレンタサイクルで見てまわるのがおすすめです。
市街地
古い町並みが残る京都市内の中心部には、ゲストハウスが多くあります。商家や住宅の中にあるので、一般の京都の人々の暮らしぶりを間近に感じることができます。京都で最もにぎやかな繁華街、四条河原町から四条烏丸あたりに泊まると、飲食店が多く、いろんな京都の味を楽しめます。ゲストハウスは価格も安く、キッチンが利用できる滞在型もあります。
最近人気があるのが一棟貸の町家で、プライベートな時間を、京都で暮らすようにすごすことができます。京都の町は広いので、3泊以上でゆっくりいろんな京都を楽しみましょう。
5.京都でグルメを楽しむ
京都らしい雰囲気を味わうなら、まずは和食です。野菜や肉、魚など、季節の素材の味を生かした味付けは、とても上品な味わいです。和食に限らず飲食店はとても多く、グルメな人にはおすすめの街です。
四条河原町界隈
鴨川の西側には先斗町(ぽんとちょう)や木屋町(きやまち)という細い道があり、道の両側にぎっしりと飲食店があります。多くは表にメニューボードを出しているので、価格帯がわかります。高級懐石料理は予約優先の店が多いですが、当日でも入れる店もあります。中華料理、フランス料理、イタリア料理などジャンルは幅広く、日本流にアレンジしたおいしい料理を楽しめます。
鴨川の東側は、八坂神社にほど近い花見小路通が。古い町並みを生かした風情ある通りです。比較的高級な店が多いので事前に調べていくほうがいいかもしれません。
錦市場
古くから地元の人が利用している錦市場も近年は観光客向けに様々な工夫をしています。食料品が主で、焼き鳥、漬物、お菓子などが買えるので、テイクアウトをして部屋で食べるのもいいですね。
嵐山界隈
嵐山・嵯峨野のあたりは、夜空いている店が少ないので、ランチタイムを利用しましょう。京料理が比較的リーズナブルにいただけます。
6.京都でカルチャーを楽しむ
京都の歴史や伝統、そして世界に誇るカルチャーを知るのも旅行の楽しみです。まずは京都の街がどんな大きさなのか、京都駅前の京都タワーの5Fにある展望台から見てみましょう。無料の望遠鏡が設置してあるので、有名な清水寺や東本願寺も間近に見えます。
文化にふれる
京都の伝統的な工芸品を知るには、西陣にある西陣織会館で、西陣織の歴史背景を知ることができ、職人さんの実演を見ることができます。
また、日本のマンガファンなら烏丸にある京都国際マンガミュージアムがおすすめ。廃校になった小学校の校舎を利用して、たくさんのマンガを展示。所蔵品30万点のうち、5万点のマンガを自由に手にとることができるます。翻訳版もあるので、外国の人も楽しめます。
寺社仏閣を訪れる
京都にはたくさんのお寺や神社があります。それぞれに由緒があり、ご利益も違います。建築物や庭園なども美しく、その近辺には飲食店や土産物店も多いので、散策も含めて時間を多めにみておきましょう。
鮮やかな色の鳥居が連なる千本鳥居で知られる「伏見稲荷大社」、ユネスコ世界文化遺産「古都京都の文化財」のひとつとして登録されている「 清水寺」、祇園祭で有名な「八坂神社」、「糺(ただす)の森」を含む境内全域が世界文化遺産に登録されている「下鴨神社」、現存する日本最古の歴史書「古事記(こじき)」にも記載がある松尾神社などが、外国人も多く訪れるスポットです。
7.京都でアクティビティを楽しむ
京都には古くから受け継がれてきた様々な文化があります。その中でもぜひ体験したいのが、和の伝統文化にふれること。たとえば着物の着付け体験は、多くの観光地で実施されています。着物を着て街を散策したり、名所を見学したり、異文化を体験するのは旅のよい思い出になります。また、和菓子づくりの体験ができる店もたくさんあるので、職人技にチャレンジしてみましょう。
嵐山の人気スポット、竹林の中を通る約400mの小径はとても風情があり、人力車に乗ると、別ルートの細い道を走ってくれるので、竹林をより間近に感じることができます。
嵯峨野から亀岡まで、保津川沿いに走る「嵯峨野トロッコ列車」は観光列車なので、ゆっくりと四季折々に色を変える美しい渓谷を見ることができます。
8.京都でショッピングを楽しむ
京都の観光地には必ず土産物店があって買い物を楽しむことができます。他にはJR京都駅や阪急河原町駅の近くがショッピング街として賑わっています。
京都駅の地下街には流行のファッションや雑貨の店がたくさんあります。中央改札口からすぐの「おみやげ小路 京小町」は、老舗の和菓子の人気商品やかわいい限定品が並んでいます。
河原町駅の近くは、アーケードのある商店街に、ファッションビルがいくつもあります。河原町通りには、若者に人気のブランドが入っている「KYOTO BAL」「河原町オーパ」。新京極商店街には、帽子や雑貨、洋服などの店が並んでいます。
外国人に人気なのは、烏丸駅から近い新風館。人気のセレクトショップや飲食店があり、各ショップには京都だけの限定品も数多く、お土産選びにぴったりです。
9.京都周辺の観光地&スポット
JR京都駅からは、京都市近郊の街へもスムーズに移動できます。
世界遺産、平等院鳳凰堂のある宇治市は、京都市内からJRで20分ほどです。宇治はお茶の産地なので、お茶を使ったお菓子や蕎麦などが味わえる店がたくさんあります。
JRと南丹市営バスで約2時間。山に囲まれた小さな町、美山は、かやぶき屋根の民家が点在するまち。日本の原風景が広がります。
京都の東隣にある滋賀県には日本一大きな湖、琵琶湖があります。琵琶湖の西側の名所に行くにはJR湖西線。東側の名所に行くには、湖の東側を走るJR琵琶湖線を利用します。
※本記事の情報は2021年9月時点のものです。
松田きこ、木村桂子、都志リサほか、関西に精通した女性ライターチーム。食べること、飲むこと、旅することが大好き! 自ら体験した楽しい情報を発信しています
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