京都「三十三間堂」は、ほの暗い本堂内に整然と並んだ1,000体の千手観音像が黄金色に輝き、その幻想的な雰囲気が大人気のお寺。京都駅からバスで約10分、歩いても15分ほどで、アクセスの良さも抜群です。
本堂や千手観音坐像、千体千手観音立像など、国宝を多く有するお寺でもあり、見どころが満載です。周辺のスポットとともに、三十三間堂の魅力をたっぷり紹介します。
日本一の長さ、120メートルの本堂
三十三間堂は、正式名称を蓮華王院といいます。三十三間堂という通称が生まれた謎のカギを持つのは、平清盛が1164年に建立した本堂。日本一ともいわれる120メートルもの長い本堂の柱の間が33あることから、三十三間堂とよばれるようになったそうです。33という数字は、観音菩薩が持つ33の変化身にちなむそう。この仏教の教えが本堂の建物に表現されています。本堂は後に焼失し、現在の建物は1266年に再建されたものです。
また、この長い本堂は通し矢でも有名で、本堂西縁の南端から120メートルの距離を弓で射通し、その矢数を競う通し矢は、桃山時代(16世紀後半)に既に行われていました。現在は1月15日に近い日曜日に、江戸時代の通し矢にちなむ大的大会が行われています。特に新成人が晴れ着姿で矢を射る姿は華々しく、京都の新年の風物詩になっています。
中尊を取り巻く圧巻の千手観音立像
堂内には、中尊の千手観音坐像(国宝)を中心に、左右に500体ずつ、計1,000体の千手観音立像が祀られています(全て国宝)。向かって左端の最上段に安置されている第一尊に始まり、右端最下段の紀極尊まで、1,000体の千手観音にはそれぞれ名前があります。1体1体表情が違い、自分に似た像や、会いたい人に似た像が必ずあるといわれているので探してみましょう。
千手観音立像の前には、千手観音に従い仏教を守るとされる二十八部衆の立像と、風神・雷神像が並んでいます。これらも全て国宝指定を受けた鎌倉期の彫刻の傑作で、迫真的な造形が見どころ。今にも動き出しそうな仏像群は必見です。
800年の歴史を持つ楊枝のお加持
大的大会が行われるのと同じ日に行われる「楊枝(やなぎ)のお加持」は、インドに起源をもつ、三十三間堂で最も重要な法要です。加持祈願をした浄水を、霊木である柳の枝で頭にそそぐことで、諸病を除き、特に頭痛封じに効果があるとされています。
そもそも三十三間堂は後白河上皇が持病の頭痛平癒を祈って建立されたと伝える寺院。「頭痛山 平癒寺」という呼び名でも親しまれ、後白河上皇の頭痛平癒にちなむ、頭痛封じのお守りが授与されています。楊枝のお加持の当日は境内が無料開放され、本堂の仏像群も無料で拝観可能。お加持を受ける参拝者と、大的大会の出場者や見物人で、境内は大変な賑わいを見せます。
慶祝行事が目白押しの春桃会
三十三間堂の名前にちなんで、「3」の重なる3月3日に行われる法会である春桃会(しゅんとうえ)。「もものほうえ」ともよばれ、華道・池坊流による献花式と華展が行われるほか、法話や落語など、様々な慶祝行事が行われます。本堂の拝観通路上に、この日だけの特別な高壇が設けられ、千手観音像を遥拝することができます。通常の拝観では見ることのできないアングルで、堂内の端まで見渡すことができるため、これを楽しみに訪れる人も多いです。
桃の節句にちなみ、女性限定の「桃のお守り」の授与(500円)もあります。楊枝のお加持と同様に、この日は境内が無料開放されるので、多くの人で賑わいます。
東山七条エリアは見どころがたくさん
三十三間堂のある東山七条エリアは、観光スポットが盛りだくさん。このエリアは後白河法皇の法住寺殿(院御所)があった土地で、法住寺、新日吉神宮、妙法院など、法住寺殿にまつわる寺社が点在しています。
また、豊臣秀吉を祀る豊国神社、秀吉が大仏殿を建立した方広寺など、秀吉にまつわるスポットも有名。三十三間堂の向かいにある京都国立博物館も外せません。明治時代の建築である正門や明治古都館、広大な庭園など、展覧会以外にも見学したいスポットがたくさんあります。鴨川にかかる七条大橋は、1913年に完成した橋で、2018年に国の有形文化財に登録されました。見どころ満載の東山七条エリアをぐるりと巡ってみてはいかがですか?
三十三間堂を見るときのマナー
三十三間堂の本堂内は撮影禁止になっていて、仏像など全て撮影できません。また、本堂内は土足禁止です。本堂内の拝観通路は狭いので、立ち止まって仏像を見る際は、通路をふさいでしまわないように注意する必要があります。
※メイン画像提供:妙法院
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蓮華王院 三十三間堂
- 住所 〒605-0941 京都府京都市東山区三十三間堂廻り町657
- 電話 075-561-0467
拝観時間:8:00~17:00 (11月16日~3月まで9:00~16:00)
定休日:無休
料金:大人600円、中高生400円、小学生300円
※ただし、楊柳のお加持(1月15日に近い日曜日)・春桃会(3月3日)は無料
Text by:株式会社ワード
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