日本を旅するにあたって、大きな目的の一つが土地ごとに食べられるローカルグルメではないでしょうか。おいしい食は旅の思い出をより豊かにしてくれるものですよね。
兵庫県豊岡市にある有名温泉地・城崎温泉。特に海外人気で名高いスポットですが、歴史や温泉だけでなく、おいしいグルメがたくさんあります。
そこで今回は、現役添乗員・旅ライター、特に長年グルメライターとしても活動している島田みゆが城崎温泉で食べるべきグルメ&おすすめ店舗を紹介します。
どんなものが食べられる?城崎温泉の食文化
城崎温泉は、さまざまなグルメの宝庫。地元食材や特産品がもりだくさんです。日本海に近いことから、魚介類が絶品で、最も有名なものはカニです。それだけでなく、のどぐろ、ホタルイカなど、季節ごとに多彩な海の幸が食べられます。
また、和牛の最高峰といわれる兵庫県のブランド牛「但馬牛(たじまぎゅう)」(※生きているときは「たじまうし」、肉になると「たじまぎゅう」と呼ばれる)。日本のブランド和牛のほとんどは、実は但馬牛がもとになっているのです。
お米も「コウノトリ育むお米」としてブランド米になっています。兵庫県の県鳥であり、国の特別天然記念物でもあるコウノトリが生息できる環境を目指して、栽培期間中に農薬や化学肥料を使わずに作られているお米です。
またお米があるところには日本酒もあり。城崎温泉周辺には酒蔵がいくつもあり、あまり広く出回らないここでしか手に入らないめずらしいお酒もあります。
城崎に行ったら味わいたい、季節ごとの名産グルメ
城崎には季節ごとに、旬のおすすめのグルメがたくさんあります。
●春の訪れを告げる海の幸
香住港で水揚げされた紅ズワイガニは、春と秋が旬。また、のどぐろやホタルイカなどの魚介がおいしい季節です。宿ごと、レストランごとに、但馬産の春野菜、山菜などとあわせたさまざまなメニューで春の訪れを感じられます。
●夏の暑さを吹き飛ばす、涼やかな魚介やスイーツ
夏が旬の魚介類は、イカ、サザエ、ウニ。また城崎産天然うなぎもおすすめです。温泉街らしく、カフェや喫茶店、甘味屋さんなどのアイスクリームやかき氷などのスイーツがたまらない時季です。
●実りの秋らしく、充実したお肉メニュー
但馬牛は比較的一年中食べられるメニューですが、カニが出回る11月前までは旅館の食事で“秋の味覚”として但馬牛を使ったメニューが充実してきます。秋の味覚、マツタケや牡蠣、甘エビなどをつかった料理が食べられるのもこの時期です。
●冬のごちそう、城崎といえば「カニ」
城崎に来たら絶対に味わいたいグルメNo.1といえばやはりカニ。毎年11月上旬にカニ漁が解禁され、以降3月末までは「津居山ガニ」のシーズンに突入します。城崎の至るところで期間限定のおいしいカニ料理が食べられます。
城崎温泉で食べたいおすすめグルメ3選
①カニ箱寿司セット<大黒屋>
城崎に来たら、カニを食べずには帰れません。「でも、冬じゃないと食べられないのでは?」そんなことはありません。香住がに(紅ずわいがに)の漁期は9月~5月末ですが、その期間は北陸で水揚げされている紅ずわいがにを使用し1年中食べることができます。中でもイチオシのカニグルメが大黒屋の「かに箱寿司セット」。
創業100年以上、代々家族で営んでいる昔ながらの日本の食事処の雰囲気が懐かしい、アットホームなお店です。カニの寿司は、今や城崎の名物グルメのひとつとして知られ、いろいろなお店で売られるようになっていますが、ここ大黒屋から始まったといっても過言ではありません。
カニのほぐし身を使っているお店が多い中、こちらではそのままのカニを仕入れ、どのカニメニューも一本一本身が残った状態で調理してくれます。
「どうしても原価はかかってしまうのですが、おいしさが違うと思って…うちでは身をそのまま使っているんですよ」と店主の岸田さん。
味わってほしいのが、「かに箱寿司セット」(1,600円)。カニの箱寿司とカニ入りうどんのセット。セットメニューは、うどんor蕎麦のいずれかを選ぶことができます。
「かにそば」や「かにうどん」といったカニ+麺の組み合わせはあまり聞いたことがなかった料理ですが、食べてびっくり!まるでカニ鍋を食べているかのような味わいと満足度。体に染みわたるようなやさしい出汁をふくんだカニの身はふっくらとし、風味が引き立ちます。
そして、甘酢を使ったさっぱりとした押し寿司。大黒屋では、年間を通して優しい甘みが特徴の香住カニを使っています。
カニ独特の臭みは一切なく、身は甘く香りも抜群。麺とご飯のボリュームたっぷりのセットですが、おいしくてあっという間にたいらげてしまいました。
カニそのものの味がダイレクトに伝わる握り寿司(写真左)、カニみその入った軍艦(写真右)、どれもあふれんばかりのたっぷりのカニ!できれば全制覇してほしいものです。
今回の「かに箱寿司」をはじめ、「ちらし寿司」、「かに巻き」、「かににぎり」は、テイクアウトができるので、お店で食べている時間がない…という方は、出発時間に合わせて事前に予約しておくのがおすすめです。
大黒屋さんは駅から近いので、帰り際にサッと買うことができます。電車に揺られながら最後の最後まで城崎の味を楽しむのも、電車旅ならではの経験となり思い出に残るのではないでしょうか。
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かに寿司 大黒屋
- 住所 〒669-6101 兵庫県豊岡市城崎町湯島87
- 電話 0796-32-2728
<営業時間>11:00~16:00
<定休日>不定休
②但馬牛ステーキサンド<BURGER&Cafe城崎ロコ>
通年食べられるご当地グルメの代表格が但馬牛。日本のブランド和牛の大元になっているのがこの但馬牛。あの有名な松坂牛や神戸ビーフも、元祖は但馬牛なのです。
そんな但馬牛を手軽に、かつリーズナブルに食べられるグルメが、BURGER&Cafe城崎ロコの「但馬牛ステーキサンド」です。
もとは城崎珈琲倶楽部という名称で長年営んでいたお店を、2年ほど前に名称変更してリニューアルオープン。以前のお店と同じく、名物・但馬牛を使ったバーガーやサンドと、豊富なドリンクメニューとジェラートなどを提供しています。
但馬牛をつかったバーガーやサンドをはじめ、ジェラートやオリジナルドリンクなど、カフェタイムにもしっかりランチにも使いやすいお店です。
ハンバーガーもありますが、但馬牛のお肉の味をダイレクトに、かつ和風テイストで味わうならステーキサンド(1,450円)がおすすめです。
パンから零れ落ちるほどにたっぷり盛られた但馬牛のグリル。食べやすく細切れにされた但馬牛を鉄板でグリルし、塩、ブラックペッパー、チェダーとプレーンの2種のチーズで味付けしたオリジナルサンド。そのままでももちろんですが、玉ねぎをアメ色になるまで炒めた別添えのグレイビーソースをお好みで加えて少し味変するのもOK。醤油の風味が加わってまたひと味違います。
玉ねぎとの相性ばっちり、チーズの濃厚さと香ばしさも相まって、食べ応えもたっぷりです。
ちなみに、デラックスバーガーは数量限定。15時以降などでは用意できないことがあるので、早めの来店がおすすめです。
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BURGER&Cafe城崎ロコ
- 住所 〒669-6101 兵庫県豊岡市城崎町湯島114
- 電話 0796-32-2349
<営業時間>10:30~17:00
<定休日>木
③幸せを運ぶコウノトリソフト&温泉たまごソフト<ソフトクリーム専門店 そふと工房>
日本の温泉文化のひとつ、温泉街になくてはならないものといったら、温泉入浴の湯上がりに食べるソフトクリーム!
温泉に入ったあとはもちろん、街歩きの休憩、食後のデザートにぴったりなのが「ソフトクリーム専門店そふと工房」です。
驚くのはそのラインナップの多さ!ソフトクリームは40種類以上、他にもオリジナルドリンク、かき氷、わらびもち、ぜんざいといったスイーツなど、とにかくバリエーション豊富なのです。
中には、カニソフトなるめずらしいものまであり、城崎でいくつかあるソフトクリーム店の中では一番多かったのが「そふと工房」でした。
ここで食べておきたいのが「幸せを運ぶコウノトリソフトクリーム」(450円)。抹茶×バニラのミックスソフトクリームに、農薬を使わずに栽培された城崎温泉のある豊岡市のブランド米“コウノトリ育むお米”から作ったポン菓子(お米に圧力をかけてから一気に開放して、ふんわり膨らませたお菓子)を練り込んだ、城崎らしい一品です。
なめらかなソフトクリームに、ポン菓子のサクっと感がいいアクセントになっています。上品な甘みとお茶の風味の抹茶アイスと、ほんのり香ばしさも感じてとっても食べやすい!甘党の方でなくてもペロッと食べられるはずです。
こちらはソフトクリームに温泉卵をあしらっためずらしい「城崎温泉 温泉たまごソフト」(620円)。ソフトクリームの上にぷるぷる半熟の温泉卵がのっていて、卵を崩しながら食べていきます。
クリームと卵を混ぜれば、まるでできたてのカスタードクリームに!材料を考えたら納得ですよね。濃厚なとろーり卵は、間違いないおいしさ。もちもちの白玉団子に和を感じる、温泉地だからこその日本らしいスイーツです。
茶椅子が並べられた店内は、街歩きのちょっとした休憩にぴったり。店内奥にはお座敷もあるので、カフェメニューをゆっくり食べながらお茶もできます。
ソフトクリームのほか、和小物やお菓子など、城崎の名産品も販売しているので、お土産を見ながらゆっくり休憩するのもいいでしょう。城崎ならではの食材を使っているもの、温泉地ならではのユニークなソフトクリームをぜひ召し上がれ。
※ 季節によりメニュー内容の変更、販売していない商品があります。
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ソフトクリーム専門店 そふと工房
- 住所 〒669-6101 兵庫県豊岡市城崎町湯島397
- 電話 0796-32-2260
<営業時間>9:00 ~ 22:30
<定休日>不定休
海、山、スイーツ、ご当地オリジナルグルメと城崎に来たらグルメを全制覇!
海のものから山のもの、ご当地食材を使ったオリジナルメニューなど、おいしい食にあふれている城崎温泉。温泉めぐりをしながら飲食店もはしごして、メインからスイーツまでいろいろなジャンルを味わってみてくださいね。
※本記事の情報は2024年4月取材時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。
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