HOME 東京・東京周辺 東京 浅草 絶妙な適サシ肉に感動!世界に伝えたいすき焼きの老舗「ちんや」が浅草で再オープン
絶妙な適サシ肉に感動!世界に伝えたいすき焼きの老舗「ちんや」が浅草で再オープン

絶妙な適サシ肉に感動!世界に伝えたいすき焼きの老舗「ちんや」が浅草で再オープン

更新日: 2022/03/23

日本を代表する数あるグルメのひとつ、すき焼き。日本の近代化を象徴する料理といわれ、今なお日本人にとって特別なご馳走でもあります。そんなすき焼きの老舗であり、東京の人気観光地のひとつ浅草で、代々暖簾を受け継いできたのが創業142年の「ちんや」。昨年閉店するも、この3月に再オープンが決定したと話題に。そこで、再オープン前の「ちんや」で開催された内覧会に、ひと足先に潜入。世界に誇る日本の食文化である歴史ある味と、生まれ変わった店内を紹介します。

■そもそも、日本のグルメ「すき焼き」とは?

画像はイメージです(画像素材:PIXTA)
画像はイメージです(画像素材:PIXTA)

日本ですき焼きが広く定着し始めたのは、明治時代(1868〜1912年)のはじめ頃。当時は「牛(ぎゅうなべ)」と呼ばれ、牛肉とネギをグツグツとで煮込む料理でした。

この牛が、明治維新によって近代化が進んだこと、さらに明治天皇が肉食禁止令を解禁したこともあって、大流行のグルメに。中でも、多くの人が集まる浅草の地を中心に多くの牛店が増え、1877年頃には東京だけで500店舗以上あったといわれています。

すき焼きそのものは関西で生まれた料理で、関西風のすき焼きが関東に広まり、牛から今のすき焼きの作り方へと形を変えていったといいます。

ちなみに、すき焼きには関東風と関西風があります。関東風は、お肉を焼きながら、割り下というつゆを加えて野菜とともに煮込んでいくスタイル。一方の関西風は、お肉をしょうゆや砂糖、ザラメなどの調味料とあわせてサッと焼き、野菜を加えて煮焼きしていくスタイルです。つまりひと言でいえば、割り下(つゆ)を使うのが関東風、使わないのが関西風ということ。

ちなみに、人気漫画「るろうに剣心」の中でも、牛を食べるシーンが何度も描かれています。まさに日本の文明開化を象徴するグルメが「すき焼き」なのです。

■創業142年、浅草の老舗すき焼き店「ちんや」

■創業142年、浅草の老舗すき焼き店「ちんや」

「ちんや」は、創業142年、関東風の伝統的なすき焼きが食べられる老舗すき焼き店です。もとは、1880年に東京・浅草で料理屋として始まり、その後1903年にすき焼き専門店へと形を変え、長きにわたって多くの人に愛されてきました。しかしながら、店舗の老朽化やコロナ禍の影響が重なり、2021年8月をもって惜しまれつつ閉店していました。

▶株式会社WDI代表取締役 清水謙氏
▶株式会社WDI代表取締役 清水謙氏

しかし、浅草で最も古く歴史あるすき焼き店の伝統を絶やしてはいけない、どうにか継承していかなくてはという想いから、国内外でレストランを展開する株式会社WDIと手を組み、これまでと同じ浅草の新たな場所に移転。すき焼きしゃぶしゃぶが味わえる新生「ちんや」として、2021年3月18日に再オープンすることになりました。

▶すき焼きちんや6代目店主・住吉史彦氏
▶すき焼きちんや6代目店主・住吉史彦氏

すき焼きは、もっとも思い出に近い料理だと思うんです」と語るのは、6代目店主の住吉さん。

日本人にとって、すき焼きは毎日食べる常備食やよく家庭で食べる料理というより、記念日などの特別な日に食べるご馳走です。

「非日常であるハレの日に、みんなでをつつきながら特別な想いを持ちながら食べる。『あの時食べたあの味を求めて、またあの店に食べに行こう』、そんな思い出と共にある料理がすき焼きであり、そんな存在のお店でありたいと思っています」(住吉さん)

今回の再オープンに当たって、料理長をはじめ半数以上のスタッフを旧店から引き継ぎ、メニューもそのまま。味もこだわりも伝統も受け継いでいます。

■ちんや厳選の適サシ肉で作る、絶品「すき焼き」

■ちんや厳選の適サシ肉で作る、絶品「すき焼き」

こちらが、ちんやの絶品すき焼き。おいしさの秘訣は、なんといってもこの「適サシ肉」です。「適サシ肉」とは、サシ(赤身に入っている脂分)が入りすぎていない適度な霜降り肉のことで、ちんやによる造語、商標登録もしています。

A5ランクよりも脂が少なく、赤身と脂身のバランスがいい4等級の黒毛和牛肉を熟成させ、香りと旨味をよりアップさせています。たくさん食べてももたれないので、霜降り肉をあまり食べ慣れていない外国の方もおいしく食べられるすき焼きです。

産地にはあえてこだわらず、適サシ肉の条件に合った質のいい黒毛和牛を一頭買いしているのだそう。

いい肉は脂の融点が低く、室温でも溶けてくるほど。その通り、お皿にのせられたお肉はすでに脂がじんわり溶け出して光っています。

長ネギは、こだわりの千住ネギ(せんじゅねぎ)を使用。千住葱とは、東京・足立区のネギ専門の市場「千住市場」で扱われる目利きに選ばれた長ネギのこと。肉厚で層が厚く香りも強い味で、ちんやのすき焼きには欠かせません。

■調理はすべてスタッフが担当。最高の状態で提供してくれるので安心

■調理はすべてスタッフが担当。最高の状態で提供してくれるので安心

ちんやでは、すべてのすき焼きをスタッフが目の前で調理してくれるので、いつでも最高の出来立てを味わえます。まず、専用の鉄に牛脂を広げ、千住ネギを焼きます。

千住ネギを先に焼くのは、香りを肉にまとわせるため。千住ネギの上に肉をのせて香りを移していきます。

特製の割り下を加えて肉を焼きます。

牛肉をさっと煮焼きします。

ほんのりと赤身が残るか残らない程度で引きあげ、生卵に移せば完成です。

■生卵×牛肉のおいしさは、すき焼きだからこそ!

■生卵×牛肉のおいしさは、すき焼きだからこそ!

これが、ちんやのすき焼き
お肉の脂の甘み、割り下の甘みがジワっと広がり、とてもジューシー。とろけるような柔らかさがありつつ、しっかりとお肉を食べているという満足感がたまりません。千住ネギは甘く、焼いた香ばしさもあり、食感も抜群です。

生卵を食べる習慣がないという国も多いですが、日本の卵は鮮度や管理がしっかりしているので、安心して食べられます。生卵をまとった牛肉や甘いタレ(割り下)のおいしさが味わえるのは、すき焼きならでは。日本だからこそ食べられる、おすすめしたいグルメです。

この後、豆腐や春菊、しらたきなどの具材を加えて食べ進めていきます。

こちらは、すき焼きコースの一例(駅馬車コース・10,800円~/1名)。

すき焼きに加えて、刺身天ぷら、小鉢、ご飯、デザートなどが加わります。もちろん、すき焼きだけをたっぷり食べたいという方は、単品の用意もあります。

■昔ながらの日本が感じられる!大正ロマンの雰囲気漂う店内

■昔ながらの日本が感じられる!大正ロマンの雰囲気漂う店内

再オープンにあたって、ぐっとバージョンアップしたお店の雰囲気も必見です。和洋折衷の文化が花開き、激動の時代といわれた大正時代(1912~1926年)。この時代独特の雰囲気や芸術、思想のことを大正ロマンと呼びます。

店内はそんな大正ロマンを感じる内装や装飾品があちこちに施されています。

有名な日本の浮世絵画家・歌川広重の本物の作品も飾られています。

▶純和室の個室
▶純和室の個室

それぞれにデザインや雰囲気が異なり、浅草の昔の地名が名付けられた「象潟(きさかた)」「待乳山(まつちやま)」「猿若(さるわか)」の3つの個室を用意。家族や友人と気兼ねなく、ゆっくりくつろぎながら食事を楽しめます。(最大10名まで、使用料:4000円)

▶洋風調の個室
▶洋風調の個室

和と洋どちらの文化も感じられるので、外国の方でも落ち着いて、またどこか懐かしさを覚えながら居心地よく過ごせるのではないでしょうか。

■精肉店「精肉 ちんや」が併設!家庭でもちんやの味が楽しめる

■精肉店「精肉 ちんや」が併設!家庭でもちんやの味が楽しめる

ちんやでは、精肉店が併設。適サシ肉をはじめ、それ以外の部位の肉やオリジナルの料理が購入できます。これも、牛を一頭買いしているからこそ!新鮮で貴重なお肉を家庭でも味わえます。

■2022年3月18日オープン!老舗すき焼き店ちんやで、本物の日本グルメを

■2022年3月18日オープン!老舗すき焼き店ちんやで、本物の日本グルメを

浅草で日本のグルメ「すき焼き」を伝え続けてきたちんや。一度は途切れかけたその長い歴史が、再び息を吹き返し、さらに新しい歴史をスタートさせたことには特別な価値があります。再オープンは2022年3月18日11時~、公式サイトで予約受付中です(多言語対応)。

厳選された食材で作られた本物のすき焼きを、ぜひ堪能しにいってみてください。

  • すき焼き ちんや
    • 住所 〒111-0033 東京都台東区花川戸2-16-1
    • 電話 03-3841-0010
    • <営業時間>
      ●店舗…月~金曜11:00 ~15:00/16:30~22:00 土曜・日曜・祝日11:00~22:00
      ●精肉店…10:30~19:30
      <定休日>不定休

Written by:
島田みゆ
島田みゆ

旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。

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