年の始めに、はじめて神社やお寺に参拝する「初詣(はつもうで)」。新しい年の無事を祈るもので、もともとは元旦(がんたん/1月1日の早朝)や大晦日(おおみそか/12月31日)の夜に参拝するならわしでしたが、現在では元旦からの3日間に参拝するのが一般的となっています。
新型コロナウイルス感染症は気になるところですが、自国に帰れなかった方は、日本の1年の始まりの厳かな雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。今回、歴史ある神社やお寺が数多く存在する古都・京都で初詣におすすめの神社・お寺を、「歴史」と「ご利益(ごりやく/神仏が人に与える幸運)」も交えて9カ所ご紹介します。
初詣も、マスクの着用、手指の消毒、ソーシャルディスタンスの確保は必須。また、神社・お寺の混雑が予想される大晦日~元日は避け、万全な体調で参拝しましょう。
※2020年12月24日時点の情報です。状況により、参拝時間や行事の変更・延期・中止になる場合があります。公式ホームページで最新情報をご確認のうえ、お出かけください。
1:清水寺【京都市東山区】
「京都を代表するお寺は?」と聞かれて、はじめに名前を思い浮かべる人も多い「清水寺」。1994年にはユネスコ世界文化遺産「古都京都の文化財」のひとつとして登録されていることでも有名です。
開創778年と1200年の歴史をもち、観音さまの霊場として、多くの人々が参拝し続けています。御本尊(ご本尊/寺院において最も重要な信仰対象物となる仏像や絵など)の「十一面千手観世音菩薩」は、十一の表情と四十二の手で大きな慈悲をあらわし、人々を苦難から救うといわれています。お参りすることにより、「無病息災」「立身出世」「良縁」といった現世利益があるとされています。
2008年から9つの堂塔を対象にした「平成の大修理」も完了し、2020年12月3日からは「清水の舞台」にも立ち入りが可能となりました。新しい清水の舞台に立って新たな気持ちで今年を過ごしたいですね。
年末年始の参拝時間
6:00~18:00(通常通り)
新型コロナ感染症対策
随求堂での胎内巡りは中止など
2:北野天満宮【京都市上京区】
「北野の天神さん」と呼ばれ親しまれている「北野天満宮」は、天満宮・天神社の総本社で、947年に菅原道真(すがわらみちざね)公をおまつりしたのが始まりとされています。日本全国には、菅原道真公をおまつりした神社が約12,000社あるといわれており、その多くは北野天満宮から御霊(みたま/本社に祭られている神さまの徳)分けをされた神社です。
江戸時代(1600~1867年)に普及した寺子屋(読み書き、算術を教える場所)に道真公の肖像画を掲げ、学業成就や武芸上達が祈られていたことから、「学問の神さま」「芸能の神さま」として広く知られています。受験シーズン前のお正月には特に多くの参拝者が訪れます。
また、武神としての信仰もあつい同宮では、刀剣ファンや歴史好きな若者たちが多く訪れており、宝物殿では期間限定で刀剣展などの展覧会を開催しています。
年末年始の参拝時間
未定。決定次第公式ホームページで発表
新型コロナ感染症対策
閉門時間の変更/除菌・消毒液の設置/手水舎の柄杓の撤去/授与所のビニールカーテン設置/職員のマスク着用/参拝者へのマスク着用のお願い/御朱印は朱印紙の授与/御祈祷並びに授与品の郵送による申し込み対応の実施など
3:八坂神社【京都市東山区】
「祇園さん」と呼ばれて親しまれている「八坂神社」。その歴史は古く、現在の八坂神社と改称されたのは1868年のことで、それまでは「感心院」または「祇園社」と称していました。毎年7月に行われる八坂神社の祭礼「祇園祭」は豪壮かつ華麗で、見るものを魅了させます。
本殿東側に位置する「美御前社」には、美人の誉れ高き宗像三女神がおまつりされ、「財福」「芸能」「美貌」の神として信仰されています。
大晦日は、境内や道路上での「年越し待ち」はできません(境内の露店は営業なし)。また、「南楼門(みなみろうもん)」「北門」は閉鎖され、境内は一方通行となります。入口は「西楼門(にしろうもん)」のみで、出口は本殿東側(丸山公園側)の2カ所です。
年末年始の参拝時間
参拝自由
新型コロナ感染症対策
職員のマスク着用・手洗い・消毒・うがい・検温の実施/除菌・消毒液の設置/初詣期間中はさい銭箱を拡張して設置/分散参拝のお願いなど
4:平安神宮【京都市左京区】
「平安神宮」は、1895年(明治28年)に平安遷都1100年を記念して創建されました。幕末の戦乱で荒廃した市街地、明治維新で首都が京都から東京へ移ったことによる心の打撃を救う復興の象徴です。
御祭神は平安京を開いた桓武(かんむ)天皇と平安京最後の天皇・孝明(こうめい)天皇で、桓武天皇と孝明天皇のご神霊が京都市内を巡行する祭礼「時代祭」は京都三大祭りの一つです。
「縁結び」「開運招福」「厄除け」のご利益を願って多くの人が訪れます。
毎年、大晦日から終夜開門し、境内すべての灯篭に火がともされる「終夜万燈(しゅうやまんとう)」の中、神符守札(しんぷまもりふだ/神棚の中心におまつりするおふだ)授与所を増設して初詣の人々を迎え入れます。
年末年始の参拝時間
2020年12月31日~2021年1月1日 終夜~19:00
1月2・3日6:00~18:30 (お守・お札・朱印は7:00~)
1月4・5日6:00~17:30 (お守・お札・朱印は7:30~)
1月6日~2月14日6:00~17:00 (お守・お札・朱印は7:30~)
神苑拝観 1月1日~2月28日8:30~16:30
新型コロナ感染症対策
手水舎での柄杓使用禁止(流水使用)/朱印帳への押印・墨書停止(書置きお渡し)/参拝者のソーシャルディスタンス確保/おみくじ筒の撤去(みくじ紙を直接引く)/1月1~3日は境内をライブ中継/甘酒の授与無/神矢(しんや/神さまがいる矢)を授けられた方への神矢神楽実施無/マスクの着用・手指の消毒・「京都府コロナウイルス緊急連絡サービス」「京都市新型コロナあんしん追跡サービス」「新型コロナウイルス接触確認アプリ」などの利用のお願いなど
5:下鴨神社【京都市左京区】
「下鴨神社」は、正式には「賀茂御祖(かもみおや)神社」とよびます。京都は鴨川を中心とした町づくりで、鴨川の下流にまつられているお社ということで、親しみを込めて下鴨神社と呼ばれており、京都で最も古い神社の一つです。紀元前90年に神社の瑞垣(みずがき/神社の周りのかきね)を修理したという記録が残っているほど。1994年には、「糺(ただす)の森」を含む境内全域が、世界文化遺産に登録されました。
境内・糺の森にある「相生社(あいおいのやしろ)」は、「縁結び」の霊感あらたかな社として、古くから信仰を集めています。ご神木「連理の賢木(れんりのさかき)」は、2本の木が途中から1本に結ばれ、さらに根元には子どもの木が芽生えているというもので、京の七不思議の一つに数えられています。このご神木は、枯れてしまうと糺の森のどこかで新たに芽吹き現在は4代目。
年末年始の参拝時間
2020年12月31日6:30~17:00、2021年1月1日0:00~17:00、1月2日以降6:30~17:00
新型コロナ感染症対策
マスク着用/三密緩和のお願いなど
6:貴船神社【京都市左京区】
京都の奥座敷・貴船にある「貴船神社」は、全国約2,000社ある水神の総本宮で、677年には社殿造替の記録があるほど古い神社です。貴船神社の参拝は三社詣(さんしゃもうで)といわれ、本宮・奥宮・結社をお参りします。
本宮は、奥宮が洪水で流損し1055年に現在の地へ移されました。奥宮は貴船神社創建の地で神聖な場所です。奥宮と本宮の間にある結社は縁結びで有名な社で、平安時代の女流歌人・和泉式部が夫の心変わりに悩み参拝し願いがかなったことから「恋の宮」と称されています。「運気隆昌」「縁結び」「所願成就」のご利益があると参拝者は後を絶ちません。
年末年始の参拝時間
2020年12月31日6:00~18:00、12月31日22:00~2021年1月1日20:00、1月2~3日6:00~20:00、1月4日~4月30日6:00~18:00
新型コロナ感染症対策
参拝時間・授与所開設時間の変更など
7:上賀茂神社【京都市北区】
「上賀茂神社」と呼ばれ親しまれている「賀茂別雷(かもわけいかづち)神社」も歴史は古く、678年には現在までほとんど変わることのないご社殿の基が築かれました。1994年には世界文化遺産に登録されています。
雷(いかづち)の御神威(ごしんい/神の威力)により、あらゆる災難を除き「厄除」「落雷除」「電気産業の守護神」などとして信仰されています。
1月1~3日の三が日は、二の鳥居傍らで「厄除け大根(無病息災を願い大釜で炊かれた大根を参拝者に振る舞う)」の接待が行われます。三が日の10:00~17:00の間は、京都市営地下鉄烏丸線北山駅4番出口から上賀茂神社までシャトルバスが10分間隔で運行されます(片道(運行協力金)100円/人)。
年末年始の参拝時間(楼門)
2020年12月31日8:00~17:00、2021年1月1日0:00~18:00、1月2~5日7:00~17:30、1月6日以降8:00~16:45
新型コロナ感染症対策
除菌・消毒液の設置/職員のマスク着用/参拝者へのマスク着用のお願い/ご祈祷の際は検温を実施し、37.5℃以上の方はご祈祷お断り/郵送によるご祈祷の受付など
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住所
603-8047 京都府京都市北区上賀茂本山339
地図をみる -
最寄駅
北大路 駅 (京都市営地下鉄 烏丸線)
バス10分
- 電話 075-781-0011
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住所
603-8047 京都府京都市北区上賀茂本山339
8:知恩院【京都市東山区】
「知恩院」は、浄土宗の総本山です。正式には「華頂山知恩教院大谷寺(かちょうざんちおんきょういんおおたにでら)」といい、1212年に入寂(にゅうじゃく/僧が亡くなること)された法然上人(ほうねんしょうにん)が開創しました。建造物をはじめ、七不思議や多くの宝物が所蔵されている魅力ある寺院です。
1636年に制作された高さ3.3メートル、直径2.8メートル、重さ70トンもある大梵鐘(ぼんしょう/寺院のつりがね)を全身で打ち鳴らす除夜の鐘はとくに有名で、親綱・子綱を17人の僧侶が一つになり、一打一打…煩悩の数・108回を鳴らす迫力ある様子は大晦日(おおみそか/12月31日)の風物詩となっています。
法然上人の教えから、参拝に訪れる人たちの「悩みや不安を取り除く」ご利益があるとされています。この除夜の鐘の「知恩院試し撞(つ)き」は毎年12月27日の日中に行われるので、例年であれば明るい場所での迫力ある鐘撞を見ることができます(2020年は知恩院試し撞き・除夜の鐘、共に参拝はできません)。
また、知恩院の一番奥にある「濡髪大明神(ぬれがみだいみょうじん)」は、「縁結び」でも有名です。
年末年始の参拝時間
2020年12月31日6:00~16:00、2021年1月1日5:30~16:00、1月2日~2月28日6:00~16:00、各所受付9:00~16:00
新型コロナ感染症対策
マスク着用の推奨/靴袋持参の推奨/アルコール消毒液の設置/堂内の椅子席の間隔確保/受付でのビニールカーテン設置/御影堂の常時換気、その他室内の定期的な換気/職員の検温・受付対応時のマスク着用・手指消毒の徹底など
9:松尾大社【京都市西京区】
「松尾大社」は、701年に秦忌寸都理(はたのいみきとり)により建立されましたが、御祭神・大山咋神(おおやまくいのかみ)は、太古の昔よりこの地方の住民が松尾山(本殿の背後)に祀ったのが始まりとされています。京都の中でも最古の神社といわれており、古事記(こじき/現存する日本最古の歴史書)にも記述されているほど歴史ある神社です。
酒造の神でも有名な松尾大社。境内に湧き出る「亀の井」とよばれる霊泉(れいせん/霊験あらたかな泉)を元水に加え酒を醸造すれば腐らないという言い伝えがあり、「酒造や醸造」のご利益があるとして、これらの業種に携わる人たちから厚い信仰を集めています。亀の井は、「延命長寿」や「蘇り」の水としても信仰されています。
年末年始の参拝時間(開門時間)
2020年12月31日5:00~2021年1月1日19:00、1月2日以降5:00~18:00
新型コロナ感染症対策
授与所・祈祷受付等のアクリル板やビニールシート設置/祈祷人数制限/手水舎の柄杓撤去(流水にてお清め)/各授与所に消毒液を設置/おみくじは各自で消毒/御朱印は書置きのみ/職員の手洗い・アルコール消毒・マスク着用の徹底など
通常の初詣は松の内(1月7日/正月飾りを飾っておく期間)までとされていますが、新型コロナウイルス感染症を考慮して、2021年は神社やお寺も立春(りっしゅん/暦の上での春の始まり)の前日の節分(2月2日)までを初詣とされているところが多く見受けられます。京都には、今回ご紹介したスポット以外にも魅力あるお寺や神社が数えきれないほどあります。感染症対策をしっかりとり、歴史やご利益をご参考に、時間や日数にゆとりをもって、じっくりと参拝してはいかがでしょうか。
※状況により、参拝時間や行事の変更・延期・中止になる場合があります。公式ホームページで最新情報をご確認のうえ、お出かけください。
松田きこ、木村桂子、都志リサほか、関西に精通した女性ライターチーム。食べること、飲むこと、旅することが大好き! 自ら体験した楽しい情報を発信しています
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by: 木村かおり