長くて寒い冬のあとに来る春、温かい日差しをあびると気持ちがはずみます。そんな時季に咲く桜は、古くから日本人に愛され、堤や公園、街路、学校など、多くの場所に植えられています。桜の名所では、桜を鑑賞することを主な目的とするイベント「桜まつり」が開催されて、多くの人が訪れます。
でも、外国人の方は「花見」は聞いたことがあっても、「桜まつり」の詳細や歴史などはあまり知らない方も多いのでは?今回は、各地で開催される有名な日本の桜まつりを歴史や背景とともに紹介しましょう。
1.桜まつりとはどんなもの?
ひと言でいうと、桜がたくさん植えてある公園や桜並木のあるエリアで、桜の季節に開催されるイベントが「桜まつり」です。場所によって内容は違いますが、提灯を吊ったり、夜間に桜の木がライトアップされたり、様々な趣向で桜を美しく見せ、訪れる人を楽しませます。
普段は一般人が入れない場所を開放するところもあり、大阪市にある造幣局の「桜の通り抜け」は有名です(2024年度はインターネットによる申込(先着順)、2025年度については未定)。また例年、音楽ライブや露店が出る会場もあり、近郊の人は毎年桜まつりを楽しみにしています。
「桜まつり」は桜の名所で開催されるイベントのこと、そこで桜を見ることを「花見」と言います。花見では桜を見ながら食事をとることもあります。
2.桜まつりの歴史と背景
日本には古くから「花見」の風習がありました。始まりは1300年前の奈良時代、都があった奈良で貴族たちが「梅」を見る行事でした。花見の対象が桜になったのは約1200年前の平安時代だといわれています。
その頃都があった京都で天皇や貴族が楽しんでいたのが、江戸時代には東京の庶民に広まり、人が集まるところに店が出て、桜まつりが始まったと考えられます。時代が進むと街灯や提灯に明かりをともして夜桜もゆっくり楽しめるようになりました。
2000年代になってからは、音楽ライブを開催するところや、ライトアップを行って夜間特別拝観を催す寺社も増えてきました。
3.全国の有名な桜まつり10選
日本さくら名所100選の中から、桜まつりが開催される人気のスポットをご紹介します。
①五稜郭桜まつり(北海道函館市)
「五稜郭(ごりょうかく)公園」で開催される桜まつりは、ソメイヨシノなど約1,500本が咲く公園内をライトアップ。 五稜郭は徳川幕府(1603~1867年)が造った日本最大の西洋式城塞で星形の城跡というめずらしい史跡です。隣接する高さ107メートルの五稜郭タワーから、ピンクに染まる星形の五稜郭の眺望が楽しめます。
【例年の開催時期】4月下旬~5月中旬 ※2025年の開催情報は公式ホームページをご確認ください。
【例年のイベント内容】夜間ライトアップ、期間中のみ指定区域内でバーベキュー可
②弘前さくらまつり(青森県弘前市)
「弘前公園」の桜まつりの歴史は100年以上前にさかのぼり、1916年には街灯やイルミネーションをつけて夜桜見物を可能にし、1918年からは観桜会という桜まつりが行われ、翌年からは喫茶店や花見団子屋、食堂、見世物興行などで賑わったそうです。
現在は日没~20:30まで公園内のライトアップが行われます。城の白壁や老松の緑と桜のとりあわせは圧巻の美しさです。
【開催時期】2025年4月18日~5月5日、日没~22:00ライトアップ予定
③鶴岡桜まつり(山形県鶴岡市)
「鶴岡公園(鶴ヶ岡城址)」の園内にたくさんの出店が並びます。ソメイヨシノ、しだれ桜など約720本の桜を、ぼんぼりがやわらかく照らします。
【例年の開催時期】4月上旬~
※2025年の開催情報は公式ホームページをご確認ください。
【例年のイベント内容】出店、ぼんぼり点灯(例年17:30~21:00)
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鶴ヶ岡城址
- 住所 〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町4
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最寄駅
JR羽越本線「鶴岡駅」から庄内交通湯野浜温泉方面行きバスで約10分、バス停「鶴岡市役所前」下車徒歩2分
電話:0235-25-2111(鶴岡市観光協会 平日8:30~17:15)
④北上展勝地さくらまつり(岩手県北上市)
「北上展勝地(きたかみてんしょうち)さくらまつり」は北上川沿いの桜並木、約2キロメートルの間に、桜の開花期間は夜間ライトアップが行われ、北上市の民族芸能の公演も開催。300匹のこいのぼりが北上川に掲揚される様子も圧巻です。
【例年の開催時期】4月中旬~下旬 ※2025年の開催情報は公式ホームページをご確認ください。
【例年のイベント内容】桜の開花期間のみライトアップ(例年18:00~20:00)、民俗族芸能公演、北上展勝地さくらまつり開会式、岩手うまいもん市、鬼剣舞 復興祈願の舞
【イベント内容】大黒舞と寿獅子の演舞、草花市、青空骨董市、ぼんぼり点灯 ※観光遊覧船は未定
⑤うえの桜まつり(東京都)
「上野恩賜公園」は、寛永年間(1624~1644年)から桜の名所として知られ、今のような桜まつりは70年以上前から開催されています。桜まつりの期間中は、上野のお囃子保存会による祭囃子と寿獅子、草花市、青空骨董市の他にも様々なイベントが催されます。
【例年の開催時期】3月下旬~4月上旬 ※2025年の開催情報は公式ホームページをご確認ください。
【例年のイベント内容】祭囃子と寿獅子の演舞、草花市、青空骨董市、ぼんぼり点灯
⑥小田原桜のライトアップ(神奈川県小田原市)
300本のソメイヨシノが植えられた「小田原城址公園」では、日が暮れるとぼんぼりに灯りがともります。城跡周辺の桜は60年以上前に植えられたもので、ライトアップされてとても美しい景色が楽しめます。
【例年の開催時期】3月下旬~4月上旬 ※2025年の開催情報は公式ホームページをご確認ください。
【例年のイベント内容】夜桜・ライトアップ(18:00~21:00)
⑦彦根城桜まつり(滋賀県彦根市)
桜まつりの期間は、国の特別史跡に指定されている「彦根城」とその周辺の桜が美しくライトアップされます。地域の名産品や特産品の販売があるなど、観光客で賑わいます。
【例年の開催時期】3月下旬~4月中旬 ※2025年の開催情報は公式ホームページをご確認ください。
【イベント内容】ライトアップ、出店、屋形船、自転車タクシー、人力車など
⑧吉野山の桜まつり(奈良県吉野郡)
上千本・下千本・中千本公園で、開花状況によりライトアップが実施されます。シロヤマザクラを中心に約3万本の桜が山一面に咲き誇る絶景。エリア内の旅館や飲食店で食事をしてゆっくり夜桜を楽しめます。
【例年の開催時期】3月下旬~4月中旬 ※2025年の開催情報は公式ホームページをご確認ください。
【例年のイベント内容】ライトアップ(18:00~22:00の予定)
⑨大阪城公園桜ライトアップ(大阪市中央区)
大阪の桜の名所として知られる「大阪城公園」。ソメイヨシノを中心に約300本が植えられている西の丸庭園でライトアップが行われます。美しい桜の向こうに見える天守閣がとても幻想的です。
【例年の開催時期】3月下旬~4月中旬(18:00~21:00、最終入園は20:30)※2025年の開催情報は公式ホームページをご確認ください。
【イベント内容】観桜ナイター ライトアップ 歴史イベントまた、シートを敷いての飲食も禁止(予定)
⑩松山春まつり(愛媛県)
桜が咲く春まつりの期間中は、「松山城」や「城山公園堀之内地区」を中心に、市民参加によるイベントが盛りだくさん。本丸広場の桜の木や登城道にライトアップが行われ、パレードや東雲能(しののめのう/東雲神社で奉納される能)が開催されます。
【開催時期】例年4月上旬の土・日曜を中心に開催 ※2025年の開催情報は公式ホームページをご確認ください。
【イベント内容】市民パレード、大名武者行列、ステージイベント、東雲能など
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城山公園
- 住所 〒790-0004 愛媛県松山市大街道3-2-46
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最寄駅
松山市駅から徒歩約10分、JR松山駅から徒歩約15分
電話:089-941-0194(公益社団法人松山青年会議所/無休、24時間営業)
ここに紹介した桜まつりは、ほんの一例です。有名な場所以外にも、地域の小さな公園や寺社などでも開催されています。美しい桜を楽しみましょう。
監修:観光ジャーナリスト 矢下幸司氏
※桜の開花時期等はその年によって変動します。
※本記事の情報は2025年1月時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください
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