世界中から注目を集めている日本の温泉施設。温泉天国の日本には、外国人があっと驚くような面白いサービスや仕掛けを展開している温泉施設がたくさんあります。今回はその中から、編集部が厳選したおすすめのオモシロ温泉を6つ紹介します。
日本は世界屈指の“温泉大国”
環境省自然環境局が2018年3月末現在に発表したデータによると、日本は源泉数約2万7000本、ゆう出量毎分約255万リットル、温泉地数約3000カ所、温泉施設数約2万軒で、まさに世界屈指の“温泉大国”です。
「古事記」や「日本書紀」といった歴史的文献にも温泉の記述がみられるように、豊かな温泉資源に恵まれた日本では、古くから独特の温泉文化を育んできたようです。
欧米のようにシャワーで体の汚れを洗い流すスタイルではなく、湯船に浸かり、心身ともにリラックスする入浴方法です。日本での入浴スタイルは裸が基本であり、衛生面からタオルを湯船の中に入れてはいけません。これも日本独特のスタイルであり、欧米人にとっては不思議な光景のようです。
オモシロ温泉(1)美杉リゾートの「火の谷ビール風呂」
日本の温泉巡りは、外国人にも大人気。全国各地には名だたる名湯から、工夫を凝らした個性的な温泉まで、まさに百花繚乱です。そんな中からまず紹介するのは、歴史遺産が多く残る三重県津市の美杉リゾートの「火の谷ビール風呂」です。
美杉リゾートは2019年3月に美杉のヒノキを贅沢に活用したヒノキ風呂、大洞山の火山岩をふんだんに使った露天風呂、火の谷の湧き水を意識した伊賀焼の壺、湧き水のカラーをイメージした大型の内風呂など、大浴場の一部をリニューアルしました。その目玉であり話題制抜群なのが温泉に本物の地ビールを配合した「火の谷ビール風呂」です。美杉リゾートは敷地内に地ビール工場を有しており、常時3種類のビールを製造しています。
配合するビールは「NINJA BEER」をはじめ、国際ビール品評会入賞、みえセレクション選定など、実力も認められているビールです。ビールには生きた酵母や酵素を含む麦芽、抗菌作用があるホップ、炭酸が含まれているため、洗浄効果とともにしっとりなめらかな湯上がり感が期待できるそうです。
ビール好きにとっては、たまらない入浴体験となりますね。なお、アルコール度数が0.03%未満とはいえ、未成年者や妊婦、各種アレルギーがある場合は、利用を控えた方がよいそうです。
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美杉リゾート
- 住所 三重県津市美杉町八知5990
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最寄駅
JR名松線「伊勢八知」駅から徒歩約15分、近鉄大阪線「榊原温泉口」駅からシャトルバス(無料)の送迎あり(要予約)
- 電話 059-272-1155
料金:宿泊/1万4650円(税込)~、日帰り昼食(入浴付)/大人6050円(税込)~、日帰り入浴/1100円(税込)
定休日:不定休
オモシロ温泉(2)箱根小涌園ユネッサン「ワイン風呂」
ビール風呂に続いて紹介するのは、「箱根小涌園ユネッサン」の「ワイン風呂」です。こちらも、本物のワインを惜しげもなく湯船に注ぎ入れ、ワインの鮮やかな葡萄色と芳醇な香りを楽しみながら入浴できるユニークな温泉です。
ワイン風呂は若返りの効果があるとされ、古くはクレオパトラやメアリー女王も愛したといわれていますから、ちょっとした贅沢気分を味わうこともできそうです。ワインの投入は土日祝と繁忙期が10:00、13:30、16:00の3回、それ以外の平日が13:30と16:00の2回。ワイン風呂に入りたい場合は、時間を確かめておきましょう。
箱根小涌園ユネッサンにはワイン風呂の他にも、温泉で低温抽出する粗挽きネルドリップ式の「本格コーヒー風呂」やお茶の香りが漂う「緑茶風呂」、大きな酒樽からポタポタと酒が湯船に滴る「酒風呂」、「ドクターフィッシュの足湯」など、個性あふれる珍しい温泉があります。
また、箱根小涌園ユネッサンは水着で入れる温泉施設でもあるため、大勢が裸で入る日本の入浴方法に抵抗がある外国人にとっては、アミューズメント感覚で温泉が楽しめるのもおすすめポイントです。
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箱根小涌園ユネッサン
- 住所 神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1297
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最寄駅
箱根登山鉄道「箱根湯本」駅から箱根登山バスまたは伊豆箱根バスで20分、バス停「小涌園」下車すぐ
JR「小田原」駅から箱根登山バスまたは伊豆箱根バスで40分、バス停「小涌園」下車すぐ箱根登山鉄道「強羅」駅から無料送迎車で10分
- 電話 0460-82-4126
料金:ユネッサン(水着エリア)/大人2500円、小人1400円(税込)
定休日:休館日(2020年6月2日~5日、12月1日~4日)
オモシロ温泉(3)しかりべつ湖コタンの「氷上露天風呂」
北海道十勝地方の然別湖では、湖面が全面結氷となる真冬に、湖上に設置した露天風呂で入浴ができます。しかも、然別湖の湖畔にある源泉から湯を汲み上げ、特設パイプで湯船に注ぐ源泉かけ流しの温泉入浴です。
この氷上露天風呂は、結氷した然別湖で毎年開催される冬のイベント「しかりべつ湖コタン」(2020年1月25日~2020年3月22日)の期間だけですが、最低気温は-30℃以下まで下がる厳寒地ならではの貴重な入浴体験は、日本での旅のかけがえのない思い出となるでしょう。
しかりべつ湖コタンは、然別湖の湖畔と湖上に氷上露天風呂をはじめ、雪のブロックを積み上げるイグルーでカフェや宿泊ロッジを作り、村に見立てて楽しむイベント。1981年に地元の有志が“寒さと雪や氷を活かして楽しもう”と始めたものです。今では然別湖の冬の風物詩として多くの人に親しまれています。
氷上露天風呂に入浴できるのは、真冬の約2カ月間だけですが、気温が氷点下30度を下回ることもあるという、北海道で一番標高が高い場所にある天然湖での入浴は、他では味わうことのできない貴重な体験。顔や頭は寒風にさらされていても体はポカポカ。湯船からあがると、たちまち髪の毛が凍りつくそうです。しかも入浴は無料、2018年からは、「氷上足湯」も登場しました。
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しかりべつ湖コタン(然別湖コタン実行委員会)
- 住所 北海道河東郡鹿追町北瓜幕無番地
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最寄駅
JR「帯広」駅から北海道拓殖バスで100分 バス停「然別湖」下車徒歩4分
- 電話 0156-69-8181
料金:無料
定休日:無休
オモシロ温泉(4)北温泉旅館の「天狗の湯」
栃木県那須温泉郷の山奥にひっそりと佇む一軒宿「北温泉旅館」は、まさに “秘湯”と呼ぶにふさわしい温泉です。平安時代にはこの一帯の山は修経者の道場で、天狗も修行していたといいます。ある日、天狗が大石に腰かけて休んでいると、お湯が湧出していることを発見、湯治場として使うようになったという伝説があり、その大石は天狗の投げ石として現存しています。
その天狗伝説を象徴するかのように、大きな天狗の面がかけられた「天狗の湯」が有名です。威圧感たっぷりの天狗に見つめられながらの入浴も、これまた乙なもの。しかも、この天狗の湯は、姿を消しつつある混浴(日帰り入浴の日中は男女別)を、宿泊客には今でも維持しています。
天狗の湯のほかにも、男女別露天風呂の「河原の湯」女性専用内湯の「女の湯」、水着着用の温泉プールや打たせ湯などがあり、いずれも源泉かけ流しという贅沢さ。温泉愛好家からは古くから秘湯や湯治場として有名ですが、北温泉旅館の名をさらに広く知らしめることになったのは映画『テルマエ・ロマエ』(2012年公開)の舞台となったことです。
歩くとミシミシと鳴る廊下や黒塗りの柱、ランプの灯りなど、歴史と伝説に包まれたレトロ感いっぱいの宿で、天狗に見つめられながら、裏の山からこんこんと湧き出るやや温めの単純泉に浸かってみてはいかがでしょうか。
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北温泉旅館 天狗の湯
- 住所 栃木県那須郡那須町湯本151
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最寄駅
JR「黒磯」駅から関東自動車(バス)で55分、バス停「大丸温泉」で乗換、「北湯入口」下車徒歩30分
- 電話 0287-76-2008
宿泊料金:1泊2食 大人7900円~、中人(6~12歳)5900円~、小人(4~5歳)4900円~、1~3歳1000円(食事なし)
入浴料金:700円(1歳から小学生までは400円)
定休日:不定休
オモシロ温泉(5)菱野温泉・常盤館の登山電車で行く露天風呂「雲の助」
温泉天国の日本には、いろいろなオモシロ温泉がありますが、長野県小諸市の菱野温泉「常盤館」では、裏山の山頂にある絶景の露天風呂「雲の助」まで、登山電車で行くというユニークさが人気となっています。
登山電車は全長130mの小規模なケーブルカーで、中央で2機が交差する単線二両交走式鋼索鉄道の本格的な構造。エレベーターと同じように、自分でボタンを押すと自動運行し、停車します。ロビー横の山麓駅から露天風呂のある山頂駅までは1分30秒ほど。
所要時間はわずかとはいえ、乗車中のドキドキ感、ワクワク感は、他では味わえない感覚です。そして、標高1050mにある露天風呂・雲の助の浴槽からは、八ヶ岳、富士、佐久平の大パノラマを楽しむこともできるため、格別のリラックス感を味わうことができます。
テラスや売店もあるので、暖かい季節なら、テラス席でのんびりと和みながら過ごすこともできるなど、楽しみ方もいろいろです。露天風呂は、宿泊の場合は11:00~21:00と翌朝6:30~ 8:30で、日帰り入浴は11:00~16:00までとなっています。あまりの開放感に、つい時間を忘れてしまいそうですが、くれぐれも最終電車に乗り遅れないように、登山電車で行く展望露天風呂を楽しみましょう。
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菱野温泉 常盤館
- 住所 長野県小諸市菱平 762-2
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最寄駅
しなの鉄道小海線・JR小海線「小諸」駅からタクシーで約15分
ご宿泊者のみJR「小諸」駅、JR北陸新幹線「佐久平」駅から無料送迎バスあり(3日前までに要予約)
- 電話 0267-22-0516
宿泊料金:(1泊朝食付)/1万6650円(税込)~※2名1室の料金です
日帰りプラン料金:5500円(税込)※5名様以上でお申込みください
入浴料金:展望露天風呂『雲の助』:中学生以上1500円、3歳~小学生750円、館内大浴場:中学生以上500円、3歳~小学生250円 ※すべて税込み
定休日:不定休
オモシロ温泉(6)温泉テーマパーク「東京お台場 大江戸温泉物語」
オモシロ温泉の最後に紹介するのは、施設全体がテーマパークのような「東京お台場 大江戸温泉物語」です。
まず、驚かされるのが男女合わせて13種類もの豊富なお風呂の種類。大江戸温泉、百人風呂、寝湯、ぬる湯、ロウリュサウナの蒸し湯、ミストサウナの霧の湯、水風呂などの大浴場、そして大露天風呂・小露天風呂・桶風呂の露天風呂、足湯、岩盤浴とありますから、とても1日では入りつくせそうもありません。
江戸の町並みを再現した非日常空間で、1日中お風呂に入り、食べて遊べる、まさに温泉テーマパークとなっており、館内では浴衣で過ごします。これが外国人観光客にも大人気で、男女合わせて9種類の柄から浴衣(サイズS~3L)と、4種類の色から好きな色の帯を選ぶことができます。
館内での食事代などはバーコード付きリストバンド(通行手形)で帰りに精算するシステムですから、手ぶらの浴衣姿で江戸の町並みを、思う存分堪能できます。
江戸の町並み巡りも楽しみですが、温泉があってこそ。地下1400mから湧く天然温泉は、弱アルカリ性のナトリウム塩化物強塩泉で、湯冷めしにくいとのこと。お風呂に入り、あがって寛ぎ、またお風呂……というように、11:00から翌朝9:00まで利用できますから、まさに1日中遊んでも遊びきれない、温泉テーマパークです。
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東京お台場 大江戸温泉物語
- 住所 東京都江東区青海2-6-3
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最寄駅
ゆりかもめ「テレコムセンター」駅から徒歩2分
無料シャトルバス運行(予約不要)
・東京臨海高速鉄道(TWR)りんかい線「東京テレポート」駅から約6分
・JR、京急「品川」駅から約20分
・JR、東京メトロ「東京」駅から「勝どき」駅経由約40分
・JR、京王、小田急、東京メトロ、都営地下鉄「新宿」駅から約70分
・錦糸町・江東巡回(「森下」駅、「錦糸町」駅、「住吉」駅、「東陽町」駅、「門前仲町」駅、「豊洲」駅経由)
- 電話 03-5500-1126
料金:
大人(中学生以上)昼間料金/平日:2768円、土日・祝日2988円
大人(中学生以上)ナイター料金 (18:00以降に入館の場合) / 平日:2218円、土日・祝日2438円
小人(4歳~小学生)/一律1,078円
4歳未満/一律無料
深夜追加料金 (深夜2:00以降)/一律2200円
朝風呂料金 (朝5:00~7:00受付)/大人(中学生以上)1580円、小人(4歳~小学生)1078円
※すべて税込
定休日:なし
※月1回メンテナンス日あり
今回紹介した温泉は、周囲の自然をうまく取り込むほか、趣向を凝らした個性豊かな温泉ばかりです。温泉入浴という本来の楽しみ方に、プラスαの魅力がたっぷりと詰まったオモシロ温泉を堪能してはいかがでしょうか。
※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、営業時間の変更や臨時休業、サービス内容の変更をしている場合があります。
ライター
株式会社ダリコーポレーション
雑誌社勤務を経て、フリーとして政治、経済、社会問題、事件・事故の取材から、自治体広報誌、社史、PR誌などのなど、幅広いジャンルの取材・原稿作成を経験。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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