山形県尾花沢市の山峡に佇む東北屈指の人気温泉地・銀山(ぎんざん)温泉。清らかな川沿いに、築100年ほどの木造旅館が建ち並ぶ趣のある雰囲気が魅力の温泉地です。温泉街は端から端まで歩いても片道徒歩約5分と、とてもコンパクト。重厚な旅館の放つ雰囲気を楽しんだり、名物グルメを味わったりとゆっくり過ごせます。
そんな銀山温泉は、雪化粧をまとった冬こそ見どころにあふれています。今回は冬の銀山温泉の楽しみ方をご紹介。非日常的な感覚さえ覚える温泉へ、足を運んでみませんか?
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銀山温泉ってどんなところ?
日本の北部、東北地方の日本海側に位置する山形県。県内の全市町村に温泉が湧く湯どころであり、なかでも有名なのが山形県尾花沢市の「銀山温泉」です。大正(1912~1926年)末期から昭和(1926~1989年)初期に建てられた木造建築の旅館が今なお軒を連ねる温泉地で、県内外から大勢の観光客が訪れています。
銀山温泉の最大の魅力は、ここだけ時代が違うのではないかと思わせるような街並みにあります。銀山川の両岸に建ち並ぶ木造旅館、夕暮れどきの温泉街を照らすガス灯、石畳の通路のところどころに埋め込まれた雪の結晶柄のタイル、目に留まるすべての光景が、現代の建築物や街並みとは異なる独特の美しさを放っています。
銀山温泉までのアクセスは?
旅の起点となる東京駅と仙台駅からのアクセスを交通手段別にご紹介。以下を参考にして、プランを組んでみてくださいね。
【東京駅→銀山温泉】
■新幹線
JR山形新幹線「つばさ」で約3時間30分。JR大石田駅で下車後、路線バスを利用し40分ほどで銀山温泉に到着します。路線バスの運行は一日5本と本数が限られているので、あらかじめ時間を確認してから出かけるとスムーズです。
■飛行機
羽田空港から山形空港まで約1時間。そこからは空港と銀山温泉との間を運行するバスを利用しましょう。バスでの移動時間は1時間15分ほどかかりますが、トータルの移動時間を短くしたいなら飛行機を利用するのがおすすめ。
■高速バス
東京駅八重洲口から各バス会社が運行している高速バスに乗り、仙台駅前で下車。およそ5時間~6時間程度を要します。仙台駅からは山交バス「特急48ライナー」新庄行きに乗り、約1時間45分。尾花沢待合所で降車します。そこから尾花沢市営バス銀山温泉行きに乗り替え、35~45分程で銀山温泉に到着します。時間はかかりますが交通費を抑えたい方におすすめです。
【仙台駅→銀山温泉】
■電車
仙台駅からJR仙山線を利用し羽前千歳(うぜんちとせ)駅へ。羽前千歳駅で降車後、JR山形線に乗り換えて大石田駅へ向かいます。ここまでで2時間程。大石田駅で尾花沢市営バス銀山温泉行きに乗り換え35~45分程で到着です。
■高速バス
仙台駅から山交バス「特急48ライナー」新庄行きに乗り、約1時間45分。尾花沢待合所で降車します。そこから尾花沢市営バス銀山温泉行きに乗り替え、35~45分程で銀山温泉に到着します。
また、銀山温泉の一部宿では、宿泊者限定でJR大石田駅から無料の送迎バス(要予約)を運行しています。事前に確認しておくと便利ですよ。以下は送迎を行っている宿の一例になります。
・仙峡の宿 銀山荘
・古勢起屋別館
・滝と蕎麦の宿瀧見舘
・旅館 永澤平八
・伝統の宿 古山閣
最も見応えがあるのは冬
銀山温泉が特に美しくなるのは冬。なかでも冬の夜は、真っ白な雪で彩られた温泉街に、ガス灯のやわらかな灯りが輝く、ドラマチックな光景を見ることができます。雪景色を見るために、旅行のシーズンを合わせて訪れる人も多いんですよ。
いちばんの楽しみは風情ある温泉街の散策。雪が降り積もる温泉街を背景に写真撮影するのもいいですね。山間部に位置することもあり、18時頃になるとあたりが真っ暗になるので、撮影をする場合は夕方頃がおすすめです。
また、雪見風呂に浸かるのも冬の日本ならではのお楽しみ。せっかくなら露天風呂のある宿に宿泊し、雪を眺めながらの温泉に浸かる、風情溢れるひと時を満喫しましょう。
冬の銀山温泉観光は注意点もあります。それは雪。銀山温泉は豪雪地帯として知られ、12月上旬から雪が降り始めます。積雪量のピークは1~2月で、3月中旬頃まで雪が積もっています。1メートル以上の積雪となるので、防寒対策や滑りにくい靴が必須です。
絶景が楽しめるおすすめ温泉宿5選
銀山温泉には、周囲の山々を望む露天風呂が人気の宿や、レトロな佇まいが魅力の宿がいっぱい。特におすすめの宿を厳選しご紹介します。
1)能登屋旅館
銀山温泉を代表する宿といえば「能登屋旅館(のとやりょかん)」。風格漂う建物は、国の有形文化財に指定されています。建物には、漆喰を用いて作られるレリーフ・鏝絵(こてえ)があしらわれているほか、館内へと足を踏み入れれば、約100年前の建築当時の姿を残す最上階の望楼(ぼうろう)や、繊細な装飾が施された桟など、目を引くポイントがあちらこちらに。展望露天風呂からは、銀山温泉のビュースポット「白銀の滝(しろがねのたき)を見渡せます。
2)古勢起屋別館
「古勢起屋別館(こせきやべっかん」は、温泉街の中心部に佇むレトロな宿。客室は川側と山側から選べ、川側は心地よい川のせせらぎが、山側は窓から望む自然の美しさが癒しのひと時を演出してくれます。
館内には内湯が2つあり、どちらも源泉掛け流し。また、宿泊者限定で姉妹宿「銀山荘」の風呂を無料で利用できるといううれしいサービスも。銀山荘には周囲の山々を一望する露天風呂があるので、絶景を楽しみたいときには、ぜひ訪れてみてください。
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古勢起屋別館
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑417
電話番号:0237-28-2322(仙峡の宿 銀山荘)
営業時間:IN15:00 OUT10:00
料金:1泊2食付き16,100円~
3)伝統の宿 古山閣
気兼ねなく温泉を満喫したいという方にオススメなのが、「伝統の宿 古山閣(でんとうのやどこざんかく)」。源泉掛け流しの貸切風呂が2つあり、家族や友人とのんびり温泉を楽しめます。
建物は本館と新館に分かれ、新館は全室洋室、ベッドとウォシュレット付トイレが設備されています。窓からは温泉街を一望でき、ガス灯が灯る夜は特にロマンチックです。
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古山閣
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑423
- 電話 0237-28-2039
営業時間:IN14:30 OUT10:00
料金:1泊2食付き18,700円~
4)藤屋
白木の縦格子を使ったスタイリッシュな外観が目を引く「藤屋」。建物は2006年に建築家・隈研吾氏がリノベーション。館内には各所に間接照明が配され、幻想的な雰囲気に満ちています。非日常を体感したいときにぴったりですよ。
浴室は5つあり、なんとすべて貸し切り! 半露天風呂のみ予約が必要ですが、そのほかは利用している人がいなければ、好きなタイミングで入浴できます。贅沢な気分を味わいたいときにはぜひ訪れてみてください。
5)仙峡の宿 銀山荘
湖や山並みを望む露天風呂が魅力の「仙峡の宿 銀山荘(せんきょうのやどぎんざんそう)」。春は新緑、秋は紅葉と、四季の美しさを温泉とともに堪能できます。あたたかな色合いの照明が灯る、夜の露天風呂も素敵ですよ。
客室はすべて和室。半露天風呂付きの客室に泊まれば、とっておきの時間を過ごせそうですね。尾花沢牛や旬のふるーつなど、地元食材をふんだんに使った料理も評判です。
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仙峡の宿 銀山荘
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑85
- 電話 0237-28-2322
営業時間:IN15:00 OUT10:00
料金:1泊2食付き22,700円~
◆実施中の新型コロナ感染症対策
ご紹介した5つの温泉宿では、新型コロナウイルス感染症対策を実施しています。
施設内や設備等の消毒・除菌・洗浄/除菌・消毒液の設置/お客様の入れ替わり都度の消毒/施設内換気の実施/スタッフのマスク着用・手洗い・消毒・うがい・検温の実施/体調不良のお客様の入店お断り/お客様へのマスク着用のお願い・検温の実施/従業員の客室サービス(入室)の制限/チェックイン自動化、非対面対応
銀山温泉で立ち寄りたいグルメ&観光スポット
日本らしい景観が注目される銀山温泉ですが、実はグルメや観光スポットも充実。ここからは、観光客から人気の高いグルメ&観光スポットをご紹介します。
1)はいからさん通り
温泉街には旅館だけでなく飲食店も点在。なかでも名物として有名なのが、「はいからさん通り」の「カリーパン」(210円)です。
山形県産の小麦「ねばりごし」を使ったパン生地にカレーを入れて揚げたカリーパンは、外はカリッと、中はもっちりとした食感。たっぷり入ったカレーのスパイシーさが後をひくおいしさです。夕方には売り切れてしまうことも多く、早めの来店がおすすめですよ。
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はいからさん通り
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑
- 電話 0237-28-3888
営業時間:8:00~18:00(冬季は変更の場合あり)
料金:カリーパン210円
定休日:無休
2)野川とうふや
創業約100年の老舗豆腐店「野川とうふや」の「野川とうふや」の「立ち食い豆腐」(170円)も人気のグルメ。毎朝手作りする豆腐は、大豆の濃厚な味わいとほぐれるような食感に定評があります。こちらのお店はテイクアウトのみ。お店のすぐそばにある休憩所や「和楽足湯」で味わいましょう。
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野川とうふや
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑
- 電話 0237-28-2494
営業時間:7:00~売り切れ次第終了
料金:立ち食い豆腐170円
定休日:不定休
3)伊豆の華
ランチタイムには食事処「伊豆の華」で蕎麦をどうぞ。香り豊かな蕎麦に揚げたナスをのせた、看板メニューの「揚げ茄子おろしそば」(1,200円・税抜)や、ボリューム満点の山形名物「板そば」(1.5人前1,500・税抜円~)、エビと野菜の天ぷらが付く「天ざるそば」(1,950円・税抜)などが味わえます。ご当地限定の「蕎麦ソフト」(380円・税抜)といったスイーツも充実しているので、カフェタイムの利用にも最適です。
メニューは、ラーメンや丼もの、天ぷらなど、蕎麦以外も用意。山形の地酒も揃います。
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伊豆の華
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑440
- 電話 0237-28-2036
営業時間:11:00~22:00(ランチは~14:30、カフェは14:30~18:00、ディナーは18:00~)
料金:揚げ茄子おろしそば1200円
定休日:水曜(臨時休あり)
4)和楽足湯
続きまして、気軽に温泉を楽しめる日帰り湯や足湯、温泉街の景勝地や観光客に人気の着付け体験の情報をご紹介。温泉街最寄りの立ち寄りスポットの情報もピックアップしています。
「野川とうふや」のすぐそばにある「和楽足湯(わらしゆ)」は、銀山温泉の源泉掛け流しの湯を楽しめる足湯。無料で利用できるのもうれしいポイントです。風情ある街並みを眺めながらのんびり温まりましょう。利用する際は、湯上り後に足を拭くタオルや大きめのハンカチなどお忘れなく。
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和楽足湯
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑
電話番号:0237-28-3933(銀山温泉観光案内所)
営業時間:入浴自由
料金:無料
定休日:無休
5)共同浴場しろがね湯
しっかり湯に浸かりたい人には、「共同浴場しろがね湯」がおすすめ。建築家・隈研吾氏がデザインした三角形の特徴的な建物が目印です。浴槽は、大人が4、5人は入れるほどの大きさ。湯は源泉掛け流しです。
シャンプーとボディソープは常備されていますが、タオルの販売はないので、タオルを持参するか温泉街のみやげ店などで購入してから訪れましょう。
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共同浴場しろがね湯
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑
電話番号:0237-28-3933(銀山温泉観光案内所)
営業時間:8:30~16:30(閉館は17:00)
料金:500円、小学生200円
定休日:不定休
6)白銀の滝
温泉街の最奥に位置する「白銀公園」にある、落差22メートルの直瀑「白銀の滝(しろがねのたき)」も定番の観光スポットです。途中2本に分かれ、水しぶきを飛び散らせながら流れる豪快な滝と、しなやかな流れの滝とを眺めることができます。
対岸に展望台があるほか、公園内に整備された散策路を進めば、滝の迫力を間近で感じられますよ。滝の周辺を覆う木々が鮮やかな緑色に色づく春と夏、紅葉に染まる秋、水墨画のような景色が広がる冬と、四季の光景もお楽しみに。
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白銀の滝
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑
電話番号:0237-28-3933(銀山温泉観光案内所)
営業時間:見学自由
料金:無料
定休日:無休
7)あいらすげーな
海外からの観光客にも人気なのが、「あいらすげーな」で行う着物や袴のレンタルサービスです。外国語対応は行っていないものの、以前はツアー客などを中心に利用する外国人観光客が多かったのだとか。
袴や着物は色・柄ともにバラエティ豊かにそろい、どれを着ようか迷ってしまうほど。組み合わせを考えるのも楽しいひと時です。バッグや日傘といった小物もレンタル可能。男性向けの着物もあるので、カップルで体験するのもいいですね。
着物というと着替えが難しいイメージですが、着付けのサービスがあるのでご安心を。日本ならではの装いに身を包み、温泉街で写真を撮れば、素敵な旅の思い出になりますね。
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あいらすげーな
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑438
- 電話 0237-28-2811
営業時間:9:00~16:00
料金:変身コース(60分)2000円、30分延長ごとに500円追加
定休日:不定休(冬季は休業)
8)滝の不動尊
「白銀の滝」が流れる白銀公園よりさらに奥に進んだ場所に建つ「滝の不動尊」。地元では白銀の滝の守り神と言われています。滝の不動尊までは散策路が整備されていますが、傾斜の急な階段も通るため、歩きやすい靴で訪れるのがおすすめです。
9)上の畑焼陶芸センター
尾花沢市を代表する工芸品「上の畑焼(かみはたやき)」。銀山鉱石を用いた染付磁器で、白地に藍色の模様が特徴です。
大石田駅から市営バス銀山温泉行きに乗り約30分、銀山温泉陶芸センター前で下車し、徒歩すぐの場所にある「上の畑焼陶芸センター」では、上の畑焼の器を展示販売するほか、絵付けを体験することができます(要予約)。旅の記念にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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上の畑焼陶芸センター
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑162-1
- 電話 0237-28-2159
営業時間:8:30~17:00
料金:1人1,000円~
定休日:水曜
10)大正ろまん館
おみやげを購入する際におすすめなのが「大正ろまん館」。バス停「銀山温泉陶芸センター前」から徒歩5分ほどの場所にあります。菓子や雑貨、地酒など、地元名物を幅広くラインナップ。また、もっちりとした食感のパンにあんこやジャムを挟んだオリジナル商品の「揚げパン」(230円)は、小腹が空いたときにぴったりです。館内にはレストランもあるので、ランチに立ち寄るのもいいですよ。
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大正ろまん館
- 住所 〒999-4332 山形県尾花沢市大字上柳渡戸字十分一364-3
- 電話 0237-53-6727
営業時間:9:00~17:00、レストランは10:00~17:00(LO16:00)
定休日:無休
銀山温泉は1年中見どころがたくさん
夏は暑い日本でも、銀山温泉のある場所は深い山峡なので、比較的涼しく、快適に散策できます。また、5月から10月の土曜の夜には、「ヤッショ、マカショ」の掛け声とともに、笠を勢いよくまわして踊る山形の伝統的な踊り「花笠踊り」を開催。時間は20時30分頃から20分程。山形ならではのイベントを楽しみたい方は、時期を合わせて訪れましょう。
フリーWi-Fi完備や音声翻訳機まで。銀山温泉には便利なサービスもたくさん!
温泉街の3か所にフリーWi-Fiを整備(1回60分、1日3回まで)。旅館も一部の宿ではWi-Fiを完備しています。多言語での対応を行なう店舗や宿はほとんどないものの、温泉街の入口にある「銀山温泉観光所」では外国語パンフレットを用意するほか、小型の音声翻訳機「イリー」の貸し出しも行っているので、ぜひ利用してみてください。
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銀山温泉
- 住所 〒999-4333 山形県尾花沢市大字銀山新畑
Text by:株式会社シュープレス
※本記事の情報は2020年12月時点のものです。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。