「和食」がユネスコ無形文化財に登録され、世界からも注目を集める日本の料理。旅行中の楽しみとしても、職場の仲間や友人との会合の場としても、食事をする機会はたくさんあることでしょう。
今回は日本の料理や飲食店でよく目にする、基本的な日本語をピックアップ。季節食や調理方法、寿司店の専門用語など、知っておくと便利な単語をご紹介します。
日本の季節行事で食べられる「イベント料理」
日本にはお正月をはじめ節分やひな祭りなど、一年を通して様々な季節の行事があり、各行事ごとの特別な料理を食べる風習があります。
とくに正月や節分の行事食は、日本人の日常生活にもなじみ深く、コンビニやスーパーでもよく見かけます。覚えておくことで、日本の文化をより肌で感じられますよ。
・「おせち」「お雑煮」「おとそ」「七草粥」
「お節料理(おせち)」とは、毎年1月1日の元日から正月と呼ばれる期間、とくに元日から1月3日までにあたる「三が日」に食される祝い膳(めでたいときに食べるお祝いの料理)です。めでたさを重ねるという意味で、重箱に入れて料理が提供されます。料理の内容や味付けは地方や家庭によって異なりますが、紅白の色をした「かまぼこ」や、黄金色をした「栗きんとん」など、縁起を担ぐ色味が好んで使われる傾向があります。
正月の祝い膳では、他にも「お雑煮」や「おとそ」といった単語に出会う機会も多いと思います。
「お雑煮」は、お餅を醤油やみそなどで味をつけた汁に浸して食べる料理。こちらも地方や家庭によってレシピが異なります。
「おとそ」は、一年間の邪気を払い、長寿を願って飲む縁起物のお酒やその風習のことをいいます。
また、「七草粥」は1月7日の“人日の節句”に、無病息災を願って食べられているイベント料理。正月の祝い膳や祝い酒で弱った胃腸を休めるためとも言われています。
春の七草(せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな/カブ、すずしろ/大根)や餅などを具材とした、塩味の粥です。
・「恵方巻き」
2月3日の「節分」の時期になると、コンビニやスーパーでよく見かけるのが「恵方巻き」。様々な具材を米と海苔で巻いた、巻き寿司です。
起源の定説には不明な点が多い風習ですが、現在では、節分の夜に恵方の方角(干支に基づいた、縁起のいい方角)に向かって太巻き寿司を食べるのが定番。願い事を思い浮かべながら、言葉を発せずに最後まで一気に食べきると、願いが叶うとされています。
また節分には、「鬼は外、福は内」と声を出しながら「福豆」と呼ばれる煎り大豆を撒いて、年齢の数だけ豆を食べる厄除けを行う風習もあります。節分といえば豆撒きが一般的ですが、昨今では恵方巻きのほうが目にする機会が多いかもしれません。
日本食の基本的な「調味料」を表す単語
日本の料理、とくに和食で多く使われる調味料について知っていると、自分好みの味つけにアレンジしやすいのでは?
ここでは、日本食のベーシックな調味料を表す単語についてご紹介します。
・「醤油」
醤油とえいば、日本食を代表する調味料。大豆・小麦・塩に麴を混ぜて発酵させて作ったものと、アミノ酸に塩を混ぜて作ったものがあります。塩辛い味で、刺身や豆腐などにそのままつけて食べることもあれば、煮ものや汁物などの味つけに使われることもあります。
・「みそ」
みそ汁に使われている調味料として有名な「みそ」は、大豆を蒸し、塩・こうじを加えて発酵させたもののこと。大豆のみで作られるものは「豆みそ」、大豆と米を混ぜて発酵させたものを「米みそ」、大豆と大麦やはだか麦を発酵させたものを「麦みそ」、それらのみそを合わせたものを「調合みそ」といいます。色の濃い「赤みそ」と、色の薄い「白みそ」がありますが、これは熟成期間の長さや原料の配合の違いによるもの。地方や料理によって、使われるみそにも違いがでてきます。
・「みりん」
みりんは、焼酎にもち米とこうじを加えて醸造された酒で、甘みが強いのが特徴。煮物や麺つゆ、照り焼きのつや出しなどに使われています。主に調味料として使われますが、先述の「おとそ」として飲まれることもあるようです。
・「だし」
「だし」は「煮出し汁」の略で、かつお節や昆布などを煮出して作られる汁のこと。料理の旨みを増す効果があり、和食やラーメンなど、日本食の味の決め手ともいえる大事な調味料。
作るのに手間がかかるため、家庭用に便利な液状のものや、顆粒タイプなどが販売されています。
・「つゆ」
日本語の「つゆ」にはいくつもの意味があります。水滴のことを指すこと(露)もあれば、5月~7月頃にかけて雨が多く降る季節を表すこと(梅雨)もあります。
日本食における「つゆ」とは、「すまし汁」など汁状の食べもののことや、だしに醤油などを加えて味をつけたもののこと。うどんやそば、ラーメンなどの液体全般を指す単語として「つゆ」という言葉が使われることがあります。
日本食の調理法を表す単語
日本料理には様々な調理法があります。同じ火を通す行為であっても、その方法によって出来上がる料理がまったく違ってきます。
ここでは、飲食店で出くわすことが多い、調理法を表す単語についてご紹介します。覚えておくと、どんな料理が出てくるのか想像しやすいため、注文する際に便利ですよ。
・「あぶる」
火にあてて暖める、または焼くことを日本語で「あぶる」といいます。飲食店でよく聞く「あぶり」の多くは、食材を火にかざして乾かす程度の調理方法のことを指します。
食材の表面をあぶることで、食材そのものの味わいとともに、食感や風味が増した状態で食べられます。
・「生(なま)」
「生(なま)」とは、天然のままで手を加えていないことを指す単語です。料理においても意味は同じ。食材に火を通さず、そのままの状態で提供されるので、「なま」で美味しく食べられるかどうかは、食材の新鮮さも大切になってきます。飲食店でよく目にする「生ビール」も、日本では、醸造したままで熱処理を加えていないビールのことを指します。
・「焼く」
焼き魚や焼き鳥、焼き肉など、日本の料理でよく目にする「焼き」。これは、火に当てて熱を通し、食べられる状態にする「焼く」という動詞から派生している単語です。焼くためには、一般的には鍋やフライパン、オーブンなどの器具を使います。「直火焼き」という単語も目にしますが、こちらは食材に直接火を当てる調理法のことをいいます。
・「煮る」
「焼き」が食材にそのまま火を通すのに対し、「煮る」とは食材に水や味が調えられた液体を加えて熱を通す調理法のことを指します。「煮魚」や肉じゃがをはじめとする「煮物」など、和食には「煮る」料理がたくさんあります。煮る際は、先述の調味料などを入れて味つけされることが多いので、定番の和食を食べたいときには「煮物」を選べば間違いないでしょう。
人気の和食「寿司」の専門用語
和食と聞いてまず思い浮かべる料理のひとつに、「寿司」があげられます。近年では世界の様々な場所でもお店が登場している「寿司」ですが、寿司店でしか通用しない専門用語が存在します。
ここでは、“知っていれば今日からあなたも寿司ツウ!”な単語をご紹介します。
・「シャリ」
「シャリ」は寿司の土台となる酢飯のこと。多くの寿司店では、米を醸造して作る米酢を使って調味された「白シャリ」が一般的です。一方で江戸前寿司の伝統を受け継いで、「赤シャリ」にこだわるお店も。「赤シャリ」は、酒粕を醸造して作られた赤酢を使って作られた「シャリ」のことをいいます。
・「ネタ、タネ」
「ネタ」や「タネ」は、寿司の材料のことを表す単語。ネタには様々な種類があります。さらに特定のネタは、独特の言い方をする場合も。例えば、マグロの脂身は「とろ」、マグロを醤油だれに漬け込んだネタは「づけ」といわれます。
・「ガリ」
「ガリ」とは、ショウガの甘酢漬けのことを指します。食べるときの「がりがり」とした食感と音から生まれた言葉です。「ガリ」には、魚の生臭さを抑えたり、口直しに食べるほか、殺菌をするという役目があります。
・「なみだ」
寿司店での「なみだ」は、ワサビのことを表す単語です。ワサビがききすぎると涙が出てくることから使われるようになったそうです。
・「むらさき」
寿司店で「むらさき」とえいば、醤油を意味します。醤油の色が濃い紫色をしていることから、そう呼ぶようになったのだとか。
・「あがり」
寿司店での「あがり」は、お茶のことを表します。もともとは芸者の世界で使われていた言葉で、「最後のもの」という意味もあるそう。多くの寿司店では、粉末のお茶や番茶が提供されます。
編集・ライター歴トータル17年以上。マンガ、小説、雑誌等の編集を経てフリーライターに転向後、グルメ、観光、ドラマレビューを中心に取材・執筆の傍ら、飲食企業のWEB戦略コンサルティングも行う。そのため、日本グルメの新商品やトレンドのキャッチアップが早く、LIVE JAPANでは幅広い年齢層や国籍の方にわかりやすく伝えている。
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