新潟県にある佐渡島は日本海に浮かぶ島。海・山・平野の揃った豊かな自然だけでなく、日本の伝統文化が保存された稀有な場所として知られています。ここで長きにわたり育まれてきた島民たちの生活文化を感じながら巡る、離島旅はいかがでしょうか。佐渡に来たら一度は足を運びたい観光スポットやチャレンジしたい体験、そしてアクセス方法をご紹介します。
日本の縮図!? 佐渡島とはどんな場所か
佐渡島は東京23区の1.5倍、日本海側最大の島です。360°を囲む海は、寒流と暖流が交差し、カニ、エビ、イカ、ブリ、マグロなど様々な種類の魚介類が水揚げされるほか、牡蠣や、アワビ、サザエ、海藻類など海の幸が豊富! また、山や平野もあることで、米やおけさ柿、ル レクチエ、りんごなどの果物と、おいしいものの宝庫なのです!
佐渡のユニークさはそれだけではありません。佐渡は、上皇や貴族、知識人などが多く流されてきた流刑の地だったことから、当時の最先端の日本文化が常に入ってきました。その後、金銀山開発が進み武士や商人、さまざまな技術者などが集まったことで、独自の文化を育んできました。このように、離島でありながら貴族文化・武家文化・町人文化がミックスされた佐渡は「日本の縮図」と評されています。
海外からのアクセスは、成田空港から東京駅へ移動後、新幹線を利用しても4時間ほど。新潟空港に発着している国際線を利用した観光客も多く、日本の離島文化に触れようとたくさんの人が佐渡を訪れています。
新潟からのアクセス紹介
新潟港から佐渡の両津港までの行き方をご紹介します。本州からの距離も近く、ジェットフォイルで1時間、カーフェリーでおよそ2時間半。意外と気軽に足を運ぶことができます。どちらの船でアクセスするかは、好みや予算、スケジュールに合わせて選びましょう。
■ジェットフォイル 所要時間1時間5分
定員250人の2階建ての船です。座席は全てイスの指定席で、船体を海面に浮上させて時速80kmの速度で走行することができ “海の飛行機”とも呼ばれています。できるだけ早く行きたい方、船酔いしやすい方におすすめです。走行中甲板など外に出ることや、自家用車を積むことはできません。
片道6,900円
■カーフェリー 所要時間2時間半
定員1,500人の大型フェリーです。席はスイートルーム、特等、1等じゅうたん席、1等イス席、2等自由席があります。船内に食堂あり。甲板に自由に出ることができるので潮風を感じながらの船旅が楽しめます。できるだけ安く行きたい方、船旅を楽しみたい方、自家用車を載せていきたい方におすすめです。
・2等 片道2,810円
・1等 片道4,870 円
・乗用車5m未満 往復36,740円(ドライバー2等運賃含む)
船の詳しい情報や予約は佐渡汽船のWEBサイトから確認できます
https://www.sadokisen.co.jp/
佐渡島内の移動は車を使うとスムーズに観光できます。カーフェリーに自家用車を載せていくか、両津港の周辺にあるレンタカーを借りましょう。
ここがオススメ!観光スポット8選
見どころが多い佐渡島のなかでも、一度は足を運びたいおすすめ観光スポットを8つご紹介します。移動時間は美しい田園と海の景色が心を和ませてくれることでしょう。ぜひ、時間をたっぷりとって、じっくり佐渡島を巡ってみてください。
1:珍しい漁船「たらい舟」に乗船体験!
佐渡島の小木海岸は、岩礁が多い地形。ここでワカメやサザエ、アワビ採りのために使われるユニークな舟が「たらい舟」です。「たらい」とは、木樽を半分に切ったような形をした日本の伝統的な道具。湯水を入れて洗濯をしたり、行水をしたりして使用します。
佐渡では、丸い形のたらいが小回りと操作の自由度が高いということから、なんと漁船として使われるようになりました。小木港にある力屋観光汽船では、このたらい舟の乗船体験ができます。
着物を着た女船頭さんが、1本の櫂(かい)を操り、自由自在に船を動かします。乗船してみると思ったより安定感があり、小回りがきくことに驚きます。船頭さんに、たらい舟の歴史や、ここで採れる魚について教えてもらいながら10分ほど海上を散策することができます。
この力屋観光汽船では、たらい舟の乗船体験の他にも、高速モーターボートへの乗船も可能。洞窟や入り江、灯台などの天然名勝地や、コバルトブルーの小木海岸の絶景を、潮風を感じながら楽しめますよ!
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力屋観光汽船株式会社
- 住所 〒952-0604 新潟県佐渡市小木町184
- 電話 0259-86-3153
営業時間:
3月1日~10月25日:8:20~17:00
10月26日~11月25日:8:20~16:40
11月26日~2月28日:9:00~16:00
たらい船体験料:大人/500円、小人300円
定休日:無休
2:歴史的な街並みが残る「宿根木」散策
佐渡島の南側に位置する小木港からほど近い「宿根木(しゅくねぎ)」集落は、海に面した狭い土地に100軒の木造住宅が密集する港町。入り組んだ細い路地が特徴で、1850年頃の船大工や廻船主の家が現存し、新潟県内では唯一の国の重要伝統的建造物群保存地区です。北前船交易で繁栄した当時の栄華を感じる豪華な住宅を見学することもできます。
特に人気なのが、三角形の敷地に合わせて建てられた民家「三角家」。狭い土地で快適に住もうと工夫された巧みな土地利用に注目です。2006年まで実際に営まれていた住民の生活も感じることができます。古い石畳が残る、ノスタルジックな雰囲気に包まれた宿根木を散策してみてはいかがでしょうか。
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宿根木
- 住所 〒952-0612 新潟県佐渡市宿根木
電話番号:0259‐86‐3200(佐渡観光協会南佐渡支部)
自由散策。見学の際は住民に配慮した行動をお願いします。
3:トキの森公園で佐渡の自然が育む「トキ」に会おう!
トキは学名を「Nipponia nippon(ニッポニア ニッポン)」といい、東アジア一帯で普通に見ることのできる鳥でした。狩猟や田畑での農薬使用、森林開発などの環境破壊により19世紀半ば以降、急激に数が減り始め、日本でも1960年には20羽前後にまで減少し、2003年に日本産のトキは絶滅してしまいました。
日本産トキはいなくなったものの、1999年中国から贈られたトキの人工繁殖に成功。現在では450羽以上のトキが佐渡の空を舞い、毎年数十羽の元気なヒナが育っています。トキは、生き物と島民が共存する佐渡の象徴。そしてそんなトキの歴史や佐渡の取り組みに触れ、実際のトキを見ることができる観光スポットが「トキの森公園」です。
トキの森公園には、「トキ資料展示館」と、「トキふれあいプラザ」があり、保護増殖、野生復帰などの資料展示や、佐渡の自然に近い環境でトキが飼育されていて、生態を間近で観察することができます。2020年6月に足を運んだ時には、生後1か月のヒナと会うことができました。体の大きさはすでに親とほぼ同じ大きさに成長。そして顔の色はまだ黄色く、これからトキの特徴である真っ赤な顔になっていくのだそう。
季節によって羽の色が変わるトキ。どんなトキに会えるか楽しみですね。
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トキの森公園
- 住所 〒952-0101 新潟県佐渡市新穂長畝383番地2
- 電話 0259-22-4123
営業時間:8:30~17:00(最終入場は16:30)
料金:大人(高校生以上)400円、小人(小・中学生)100円
定休日:3月~11月/無休、12月~2月/月曜日休(祝日の場合開園し翌日休)、年末年始
4:リアルロボが語る!流刑地佐渡の歴史を「佐渡歴史伝説館」で
佐渡の歴史や伝説を知るにおすすめなのが「佐渡歴史伝説館」です。佐渡は、古くから流刑地に定められ、天皇家や貴族など文化人が流されてきました。この施設では、その中の「順徳上皇」や日蓮宗の宗祖「日蓮聖人」、そして能の祖である「世阿弥」をロボットで再現し、当時の様子を語りや舞で鑑賞することができます。
館内には他にも、おじいちゃんとおばあちゃんロボが囲炉裏を囲んで語る民話コーナーや、人間国宝蝋型鋳金(ろうがたちゅうきん)作家である「佐々木象堂(ささきしょうどう)」の作品展示、館内で製造される人気土産「太鼓判せんべい」や佐渡の工芸品などが並ぶ売店、海鮮丼が評判の飲食店「夕鶴」などがあります。
動きや表情豊かに動くロボットから、佐渡で育まれた豊かな文化を感じるつかの間のタイムトラベルはいかがでしょうか。
物語好きな人も楽しめるスポットです。
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佐渡歴史伝説館
- 住所 〒952-0313 新潟県佐渡市真野655番地
- 電話 0259-55-2525
営業時間:4月~11月/8:30~最終受付16:30、12月~3月/9:00~最終受付16:00
料金:900円
定休日:無休
5:日本最大の金山400年の時を感じよう!
「史跡佐渡金山」では、相川金銀山のシンボル「道遊の割戸(どうゆうのわりと)」や、江戸時代に手で掘られた坑道、近代の技術を駆使した機械や坑道を実際に歩き間近で見ることができます。1600年代初めから1989年まで400年近く稼働し続け、そして掘り続けられた坑道は、まるでアリの巣のように拡がり、総延長は約400km。なんと佐渡~東京と同じくらいの距離になるそうです。
江戸初期の坑道跡を歩くことができる「宗太夫坑(そうだゆうこう)コース」。坑道内には、「佐渡金山絵巻」に描かれた採掘作業が忠実に再現されています。作業の解説案内看板や人形からはセリフが流れ、人力による当時の作業の苦労を窺うことができます。
ここには他にも、約100年間使われ、先進技術を駆使してできた坑道跡を散策し、割戸のふもとまで行ける「道遊坑(どうゆうこう)コース」や、本格的な坑道を長靴とキャップライトを装備して巡るガイド付きのツアー「山師ツアー」などもあります。また、展示資料館とお土産売り場も充実しているので、たっぷり時間をとって、金山400年の時に思いをはせながら散策するのがおすすめです。
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史跡佐渡金山
- 住所 〒952-1501 新潟県佐渡市下相川1305番地
- 電話 0259-74-2389
営業時間:4~10月/8:00~17:30、11~3月/8:30~17:00
料金:宗太夫坑/900円、道遊坑/900円、山師ツアー/2,400円
定休日:無休
6:まるでジブリ映画の世界!? 近代化を物語る鉱山施設
佐渡金山とあわせて立ち寄りたいのが「北沢浮遊選鉱場跡(きたざわふゆうせんこうばあと)」! コンクリートがむき出しになり、つる草をまとったこの施設は、日本で最初に金銀鉱石の浮遊選鉱という鉱物を取り出す工法を採用した施設です。鉱石処理量は1か月5万トン以上で、「東洋一」とうたわれるほどの設備規模だったそう。
現在では、建物の基礎構造のみが残され、自然と一体になりつつあるダイナミックな空間が公開されています。見学は自由で、敷地内にある鉱山施設群も見ることができます。期間限定で行われている、ライトアップされた夜の姿も迫力満点です。
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北沢浮遊選鉱場跡
- 住所 〒952-1539 新潟県佐渡市相川北沢町3-2
随時見学自由
7:黄金の島の始まりの地で砂金取り体験!
佐渡で実際に砂金採り体験ができるのが「佐渡西三川ゴールドパーク」です。パンと呼ばれる側面に筋が入った緑色のお皿を使って水中で砂利を揺すり、取り除いていくと、比重の重たい砂金がパンの底に現れるという仕組み。佐渡に来たならぜひ体験したいことの一つです。
すくった砂金は容器に入れて持ち帰ることができます。ここで採れる砂金は、少しずつ色々な鉱物を含んだ自然金というもので、「市場価値は純金よりもあるんですよ」とスタッフさん。想像以上の収穫がもしかしたらあるかもしれません。
佐渡西三川ゴールドパークには、金色の商品がたくさん並ぶショップと、金のことがなんでもわかる展示資料館を併設しています。金は柔らかく1グラムの金の粒を伸ばすと2.8キロメートルの細糸になるそうです。砂金と金の豆知識を得て、うれしい気持ちになれるスポットです。
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佐渡西三川ゴールドパーク
- 住所 〒952-0434 新潟県佐渡市西三川835-1
- 電話 0259-58-2021
営業時間:3~4月・9~11月/8:30~17:00、5~8月/8:30~17:30、12~2月/9:00~16:30
料金:1000円
定休日:無休
8:雄大な岸壁の大パノラマに圧巻!
佐渡の多様で雄大な海岸地形を楽しみたい人にイチオシなのが、国定公園に指定される「尖閣湾揚島遊園(せんかくわんあげしまゆうえん)」です。尖閣湾は、相川地区の3キロに及ぶ海岸にある5つの湾からなっています。5つ目の揚島峡湾へは橋で渡ることができ、尖閣湾全体を望むことができます。
海食を受けた断崖が連なる景色はみごとです。また、ここは景色だけでなく、近海の海水魚を集めた水族館や展示室、そして売店や食堂もある複合施設になっています。さらに、グラスボートに乗って海上からそれぞれの湾を間近で見ることもできます。
迫力ある岸壁には、季節によって移ろう野花が咲き、佐渡の豊かさを感じるひと時。船内では船頭さんによる各湾の紹介や船底の窓から見える魚たちの解説付きです。さらにウミネコやカモメの餌やりも人気オプションの一つ。たくさんの鳥たちが集まってきますよ。
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尖閣湾揚島遊園
- 住所 〒952-1539 新潟県佐渡市相川北沢町3-2
- 電話 0259-75-2311
営業時間:
3月~4月:8:30~17:00
5月~9月:8:00~17:30
10月:8:30~17:00
11月~2月:8:30~16:30
料金:入園料/550円 乗船料/1,100円
定休日:無休(海中透視船の運行期間は3月中旬~11月中旬)
1泊2日の佐渡巡り!おすすめコース
2つの島が平野でくっついたような形をしている佐渡島は、大きくは4つのエリアに分けられ、それぞれに見どころが多くあります。そこで、1泊2日の佐渡巡りにおすすめのコースをご紹介します。初めての佐渡旅にピッタリ。ぜひ参考にしてみてくださいね。
<1日目>
08:30両津港-船旅を経て佐渡島へ到着。港周辺で予約しておいたレンタカーを借りて1日目スタート!
09:40佐渡歴史伝説館-まずは佐渡の歴史と民話で佐渡を知ろう。美しい日本庭園もあります。
11:00佐渡西三川ゴールドパーク-砂金採り体験
12:00昼食タイム
13:30佐渡太鼓体験交流館-小木地区に拠点を置き国際的に活動する「太鼓芸能集団 鼓動」による太鼓プログラムを体験しよう。体験時間60分、料金2,000円、2日前までの予約制。http://www.sadotaiken.jp/
15:00たらい舟力屋観光汽船-たらい船乗船体験
15:45宿根木-木造の民家が密集する集落散策。公開古民家が数件あり、内部見学ができます。1日目のゴール!
<2日目>
08:30史跡 佐渡金山-2日目は、まず金山をじっくり堪能しましょう!
11:00京町通り-金山と北沢浮遊選鉱場跡の間にある鉱山町。佐渡奉行所が置かれ、金山で働く多くの人が暮らし賑わいました。ここでまち歩きと昼食タイムにしましょう。
12:30北沢浮遊選鉱場跡-ダイナミックな景色が待っています。散策は自由に可能です。
13:00相川技能伝承展示館-佐渡の焼き物「無名異焼(むみょういやき)」にチャレンジ!体験時間60分、料金1,830円(別途作品の配送料金が必要)、要予約、連絡先0259-74-4313
14:15尖閣湾揚島遊園-佐渡が誇る海岸地形を楽しもう。
16:00トキの森公園-園内には数種類のトキを見ることができます。
17:00両津港-レンタカーを返して佐渡旅のゴール。
佐渡島の魅力を思いきり楽しもう!
見どころ盛りだくさんの佐渡島。島内は車があれば観光名所を訪ねながら、海、山、平野、そしてまた海、山…と行ったり来たり巡って楽しいスケール感があります。これも佐渡の魅力の一つ。気になったところにはぜひ立ち寄って寄り道しながらの旅もおすすめです。
そして、言葉が通じるか不安のある方でも大丈夫。佐渡島は海外からの観光客も多く、英語が話せるスタッフがいるところや、多国語での案内表示、パンフレットなどの用意があるところもあります。小規模で営む個人店は身振り手振りで会話するところが多いかもしれません。でも対応に慣れた地元の人は多いと思いますので、わからないことはぜひ聞いてみてください。地元の人たちとのコミュニケーションの中に、昔から異文化を受け入れてきた島国の人柄を感じられるかもしれません。
佐渡を旅するにあたり注意したいのは、新型コロナウイルス感染症(COVID 19)の感染について。佐渡では独自の制度を設け、感染予防に努めています。みなさんも、マスクの着用や人と人との距離の確保、さらには手洗いの徹底などを行い、発熱時や体調不良の時には療養を優先するようにしましょう。
感染症防止のために佐渡で実施している「新しい生活様式」については、ぜひこちらの動画をチェックしてみてくださいね。
どこかゆったりとした時間が流れる佐渡島。非日常の時間と美しい景色に、きっとまたすぐに足を運びたくなる旅になりますよ。スケジュールの詰め込みには気を付けてくださいね。たっぷり時間をとって、佐渡旅を楽しんでください。
新型コロナウイルス感染症(COVID 19)の影響で、営業時間の短縮や、体験や展示を縮小している施設がある可能性があります。訪問の際にはご注意ください。
Text by:岩渕 直子
※本記事の情報は2020年7月時点のものです。
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