福島県は日本有数の酒蔵数を誇る、日本酒王国。権威ある「全国新酒鑑評会」において、2019年に7年連続金賞銘柄数日本一という偉業を成し遂げた県でもあります。なかでも会津エリアは、水のよさ、米のよさもあり、福島県内でも古くから酒どころとして知られています。今回は、そんな会津若松市で、酒蔵見学や酒をおいしく味わえる人気店、会津塗のみやげを購入できる老舗漆器店などを巡ります。
1850年創業、老舗蔵で日本酒の歴史を知る
1850年に創業した、会津若松にある老舗酒蔵「末廣酒造」は、古い時代の建物が今も多く残る数少ない酒蔵店です。海外からも多くの観光客が酒蔵見学に訪れることもあり、見学コースの案内板には、日本語のほか英語表記がされているところもあります。
木戸をくぐりぬけエントランスへ入ると木造建築とは思えない高い吹き抜けの大きなホールへ。ここが酒蔵見学のスタート地点です。サンダルに履き替えて、早速蔵巡りへと出発します。
最初に行くのは、漆喰でできた大きな観音扉の向こうにある仕込み蔵。タンクの周りを地下水が循環しているため、蔵内は夏でも涼しいのです。そして、酒米の説明を受けたあとは、釜場や古酒蔵などを巡り、また最初の地点へと戻ってきます。
酒蔵見学は約30分で終了。ひと通り蔵を見学したら、最後は売店で試飲となります。常時5、6種類の末廣酒造のお酒が置かれていて、自分好みの味を探せます。気に入ったお酒を見つけたら、購入も可能。蔵元ならではの希少酒もあり、お土産選びに最適です。
-
末廣酒造
- 住所 福島県会津若松市日新町12-38
- 電話 0242-27-0002
営業時間:9:30~17:00
料金:無料
定休日:第2水曜、12月31日、1月1日
女性杜氏がいる人気酒蔵「鶴乃江酒造」
1794年に創業した「鶴乃江酒造」は、多くの酒蔵がコンピュータで管理する機械化を進めるなか、昔ながらの手作業で丁寧に酒造りをするこぢんまりとした酒蔵です。「蔵も狭いし、昔のまま造るしかないんですよ」と笑顔で話すのは女性杜氏の林ゆりさん。酒造りのプロといえる「杜氏」の世界で、女性杜氏というのはまだまだ珍しいのです。
林さんは自らの名を冠した「ゆり」を中心に、蔵で醸造に取り組んでいます。「私だけで酒造りをするわけでない。ベテランの杜氏を中心に酒を造り、そのチームの一員として私がいるだけです」と林ゆりさん。それでも「ゆり」は、くせのないきれいな味と評判を呼び、今や鶴乃江酒造に欠かせない銘柄となっています。
「全国新酒鑑評会」の金賞には、鶴乃江酒造の「会津中将」も選ばれています。会津杜氏のこだわりが詰まった入魂の酒で、純米、純米吟醸ともとても人気が高い銘柄。小さな蔵ながら、おいしい酒を律儀に造り続ける鶴乃江酒造には、昔からの根強いファンも多く、今後とも注目の酒蔵の1つでしょう。
-
鶴乃江酒造
- 住所 福島県会津若松市七日町2-46
- 電話 0242-27-0139
営業時間:9:30~18:00
料金:無料
定休日:不定休(酒蔵見学は要予約・時期により見学不可の場合あり)
会津漆器の美しい酒器をおみやげに
400年以上の歴史を誇る会津塗。かつて会津の領主となった戦国武将・蒲生氏郷が奨励したのが始まりとされます。木目の美しい「木地呂塗」、塗肌が艶やかな「花塗」などいくつかの特徴的な技法があります。会津若松市内には今も多くの漆器店があり、1919年創業の「福西漆器店」もそのひとつ。伝統的な会津漆器だけでなく、モダンシリーズと銘打たれた、新たなデザインの漆器も手掛けています。
酒器も多く、ぐい呑み、酒盃、徳利、お猪口など、色や絵柄もカラフルで、こうした器で会津の酒を飲むというのも、また格別です。最近では、ガラス製品に会津塗を施したモダンな製品などもあり、そのデザインなどにも広がりを見せる会津塗。さまざまなデザインの漆器にふれながら、楽しい買い物ができそう。
また2階に会津塗の名品を集めたギャラリーもあり、匠の技で作られたさまざまな会津漆器を見ることができます。
-
福西漆器店
- 住所 福島県会津若松市大町1-1-45
- 電話 0242-27-0845
営業時間:9:30~17:30
定休日:無休
地元食材を使った料理を会津の酒とともに
会津の名物居酒屋として一番にその名が挙がる「籠太」。もともと、この地で料亭を営んでいた主人が思うところあり、誰にでも気軽に楽しめる今のような居酒屋スタイルへと変えたのが約30年前。主人はその当時から、地のものを生かした料理を丹精込めて作っていました。
地元の契約農家から仕入れた米や野菜、会津高田の地鶏や新鮮な馬肉を使った料理など、いずれもが高いレベルで調和した逸品ぞろい。お酒の目利きの主人が選んだ会津エリアの各種地酒と一緒に味わいましょう。会津に来たら籠太に寄り、会津の味を楽しまなくては、そういうリピーターも多いんですよ。
会津の郷土料理として知られる「こづゆ」や「にしんの山椒漬け」なども、籠太では、従来の伝統的な味を大切にしつつも、よりおいしくするひと手間が加えられ、今まで味わったことのない一品へと生まれ変わります。オリジナリティあふれる料理とおいしいお酒を味わいに籠太へ出かけてみましょう。
-
籠太
- 住所 福島県会津若松市栄町8-49
- 電話 0242-32-5380
営業時間:17:00~22:00(LO21:30)
定休日:日曜不定休
会津の銘酒を買うならココ!
JR会津若松駅から徒歩5分、アクセスのよい地に大きな店舗を構える會津酒楽館があります。地元会津の酒を中心に多くの酒を取り扱うお酒の専門店です。「造り手の顔が見える、おいしい酒をそろえたい」と、他ではなかなか手に入らない貴重なお酒も扱っています。
お酒の品質管理もしっかりしていて、半地下の酒庫では商品ごとに適した温度帯でのストックがなされています。旬のお酒をおいしいうちに味わってもらいたい、そうした思いも強いこだわりの酒店なのです。定番の商品だけでなく、季節限定のお酒や希少酒なども扱っていて、お酒好きにはたまらないお店なのです。気軽に足を運び、スタッフにどんな商品がおすすめかたずね、自分好みの酒を探してみるのもいいかもしれませんね。
-
會津酒楽館
- 住所 福島県会津若松市白虎町1
- 電話 0242-22-1076
営業時間:9:00~19:00
定休日:火曜
Text by:株式会社シュープレス
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。