日本には春・夏・秋・冬の四季があり、それぞれの季節で美しい自然の風景が楽しめます。なかでも10月から11月にかけての紅葉の時期は、モミジやイチョウなどの木々が赤や黄色に色づき、美しいグラデーションを堪能することができます。さらに寺社仏閣や庭園、電車など、日本ならではのスポットと紅葉のコラボレーションは、この時期だけ見られるもの。大阪、兵庫、和歌山など、関西で楽しめる「これぞ日本!」といえる紅葉の名所をカメラ片手に楽しんでみては?
画像提供:南海電気鉄道
1.天空の聖地で愛でる紅葉「高野山」(和歌山)
和歌山県の北部、標高約1,000m級の山に囲まれた山上盆地に広がるように存在する「高野山」は、約1200年前に弘法大師・空海が開山した真言密教の聖地。山全体に100を超える寺院が点在し、美しい景観を作っています。
山々に囲まれた一帯には自然が多く残り、和歌山県でも随一の紅葉の名所。紀伊山地の霊場と参詣道として、ユネスコの世界遺産にも認定されています。また、日本の観光地を紹介するガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でも三つ星を獲得するなど、外国人観光客にも人気のスポットです。
高野山のなかでも人気の紅葉スポットが、金剛峯寺(こんごうぶじ)から壇上伽藍(だんじょうがらん)へと向かう「蛇腹路(じゃばらみち)」です。道の両脇から色づいた木々が枝を伸ばす姿は、まるで紅葉のトンネルのよう。美しい紅葉を背景に写真が撮れると、人気のフォトスポットとなっています。
山中で気温が低い高野山の紅葉の見頃は、平地よりも少し早い、10月下旬から11月初旬。清らかな空気のなか、荘厳な寺院建造物を散策しながら、赤や黄色に色づくモミジやイチョウを眺めていると、小さな悩みなど忘れて厳かな気持ちになれます。
大阪市内から高野山へ行くには、南海電鉄「難波駅」から特急こうやで約90分。「極楽橋駅」でケーブルカーに乗り換えて、「高野山駅」で下車。そこからはバスやタクシーを利用して、点在する各寺院などを回ることができます。
さらに、南海電鉄では「橋本駅」から「極楽橋駅」の区間で観光列車「天空」も運行しています。大きめの窓や展望デッキから、美しい紅葉を眺めながらの列車の旅は、思い出に残ること間違いなしです。
2.国宝の建造物と紅葉の競演「観心寺」(大阪)
大阪・奈良・和歌山の県境に位置する「観心寺」は、日本古来の山岳信仰である修験道(しゅげんどう)の開祖、役行者(えんのぎょうじゃ)によって、701年に開創されたとされています。その後815年に、弘法大師空海が真言宗の道場として再建したこの寺院は、大阪南部屈指の紅葉の名所としても知られています。
山門をくぐり、ゆるやかな石段を登ると、「金堂(こんどう)」と真っ赤なモミジのコラボレーションが現れます。このお堂は、本堂としては大阪における最古の国宝建造物です。朱塗りの金堂と燃えるような紅葉の競演は、ぜひ写真に収めておきたい美しさ。しばし時間を忘れてしまいそうです。
境内には「建掛塔(たてかけとう)」などの貴重な文化財も数多く残り、弘法大師の弟子・実恵(じつえ)の墓や、第97代後村上天皇御陵、楠木正成の墓もあり、厳かな雰囲気に包まれています。
「観心寺」の紅葉の見頃は、11月初旬から下旬頃。境内にはモミジやイチョウなど色づく木々が多くあるため、晴れた日には青空とのコントラストも爽やか。由緒ある山岳寺院が、紅葉のグラデーションに彩られる風景はまるで絵画のようで、思う存分、日本の秋の風情を感じることができます。
大阪市内からのアクセスは、南海高野線で「河内長野駅」へ。そこから南海バス小深線「金剛山ロープウェイ前行」または「石見川行」、小吹台団地線「小吹台行」に乗車。バス停留所「観心寺」下車すぐの場所にあります。
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観心寺
- 住所 〒586-0053 大阪府河内長野市寺元475
- 電話 0721-62-2134
営業時間:9:00~17:00(最終受付16:30)
料金:大人300円、小中学生 100円
定休日:無休
3.異国情緒あふれる日本庭園「大仙公園」(大阪)
「大仙公園」は、ユネスコの世界遺産に登録された「百舌鳥・古市古墳群(もず・ふるいちこふんぐん)」の一角にあり、「仁徳天皇陵古墳(大山古墳)」に隣接する総合公園です。園内には博物館のほか、茶室や日本庭園などもあり、「日本の歴史公園100選」にも選ばれた由緒正しいスポットです。
公園内にある「日本庭園」は26,000平方メートルもの広大な庭園です。中心に大きな池を設けた「築山林泉(ちくざんりんせん)廻遊式」という形式で、中国の名勝「廬山(ろざん)」を模した山などもあり、異国情緒あふれる景観を作りだしています。抹茶(生菓子付き450円)をいただきながら、のんびりと庭園を眺めるのもおすすめです。紅葉の見頃は、11月中旬から下旬。紅葉が庭園の池に映える姿は、息をのむような美しさです。
紅葉の見頃に合わせて開催される庭園の夜間ライトアップでは、昼間とはまた違った幻想的な光景も楽しめます。さらに公園の「北入口」から「平和塔」まで続く、鮮やかな黄色のイチョウ並木も見事で、散策のひとときを彩ってくれます。
大仙公園日本庭園へのアクセスは、南海高野線「堺東駅」より、南海バス田園線「大仙公園西」下車、徒歩5分。
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大仙公園
- 住所 〒590-0801 大阪府堺市堺区大仙中町
- 電話 072-247-3670
営業時間:3月~11月9:00~17:00、12月~2月9:30~16:30(入園は閉園の30分前まで)
料金:大人200円、小人(小、中学生)100円
定休日:毎週月曜日(月曜が祝日の場合は翌平日休園)、年末年始
4.名城を彩るモミジ「和歌山城・紅葉渓庭園」(和歌山)
「和歌山城」は、天下統一を成し遂げた武将・豊臣秀吉が弟の秀長に築城させた城です。築城の名人である藤堂高虎(とうどうたかとら)の作で、白亜三層の天守閣に登れば、和歌山市街を見下ろす大パノラマな景色が堪能できます。
こちらの紅葉の名所が「西の丸庭園」。別名「紅葉渓庭園(もみじだにていえん)」とも呼ばれ、その名の通り、秋に最も美しい姿を見ることができる庭園です。
江戸時代に作られたこの庭園は、池の周りを回りながら鑑賞する「池泉(ちせん)回遊式」で、天守の建つ「虎伏山(とらふすやま)」の急斜面を生かして石を立てて据えるなど、通常の庭園にはない野趣あふれる景色も見どころです。
紅葉の見頃は、11月下旬から12月上旬。なかでも、池のほとりに建つ「鳶魚閣(えんぎょかく)」と赤く色づいたモミジの組み合わせは、息をのむ美しさで、日本ならではのわび・さびを感じる絶好の撮影スポットです。庭園の入場は無料で、庭園内にある茶室「紅松庵(こうしょうあん)」では、庭園を見渡しながら気軽に抹茶(菓子付き470円)を楽しむこともできます。
このほか城内には入園無料の動物園や、観光の手伝いをしてくれる「おもてなし忍者」もいます。城をバックに忍者と写真を撮れば、ステキな思い出になること間違いなし。忍者が出没するのは、主に繁忙期をのぞく水曜〜日曜。広い城内で出会えたらラッキーですね。
アクセスは南海電鉄「和歌山市駅」から徒歩約10分、または和歌山バス「市役所前」下車すぐです。
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和歌山城・紅葉渓庭園
- 住所 〒640-8146 和歌山県和歌山市一番丁3
電話番号:073-435-1044(和歌山城整備企画課)
営業時間:9:00〜17:00(紅葉渓庭園)
料金:無料
定休日:12月29日から12月31日
5.松と紅葉のコラボレーション「再度公園」(兵庫)
「再度公園(ふたたびこうえん)」は、兵庫県神戸市六甲山の中腹に位置し、「修法ヶ原池(しおがはらいけ)」と呼ばれる人造池を中心とした自然公園。市街地からも近いため、気軽に行けるのが魅力で、ピクニックやハイキングで訪れる人も多い場所です。公園内にはモミジやコナラなどがあり、美しい自然を感じられる紅葉の名所にもなっています。
紅葉の見頃は、11月中旬から12月初旬まで。修法ヶ原池の周辺には、樹齢100年を超えた松の木もあり、松と紅葉という珍しい和のコラボレーションも楽しめます。池の周りには遊歩道も整備されていて、辺り一面が色づく紅葉シーズンには、池に映り込む紅葉を眺めながら散策するのがおすすめです。赤や黄色の美しいリフレクションに、心洗われるようなひとときが過ごせます。
修法ヶ原池がある修法ヶ原は、弘法大使の修行の地として広く知られ、唐に渡る前にこの地で修行をし、帰国した際にも、この地にお礼参りをしたことから、この周辺が再度(ふたたび)と言う地名になったと言われています。
公園内にある外国人墓地には、モロゾフさんや、ウィルキンソンさんなど有名人のお墓もあります。通常は立入禁止ですが、毎年4月~11月の第4日曜日には予約制で無料開放され、ガイド同行で見学することができます。自由に立ち入れる、墓地を一望する展望台もありますので、訪れてみてはいかがでしょうか。
再度公園へのアクセスは、「三宮バスターミナル」から、市バス25系統「森林植物園前」行きに乗車。「再度公園」バス停下車すぐです。バスは3月下旬から11月の土曜・日曜・祝日のみ運行されているので、ご注意ください。
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再度公園
- 住所 〒651-1102 兵庫県神戸市北区山田町下谷上中一里山4-1
電話番号:078-333-3330(神戸市総合コールセンター)
営業時間:散策自由
料金:無料
定休日:無休
都市部から一歩出れば、まだまだ自然が豊かな関西エリア。城や寺など歴史的な建造物と一緒に、さまざまなシチュエーションで紅葉を楽しむことができるスポットがたくさんあります。和の建造物と紅葉は相性が良く、写真映えもしますので、いろいろな角度から自分だけの映える1枚を撮影し、旅の思い出にしてくださいね。
Text by:二木繁美
※この情報は2021年10月の記事執筆時のものです。最新の情報は公式サイト等をご確認ください。
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