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岐阜県大野郡白川村にある人気の観光地「白川郷」。1976年に重要伝統的建造物群保存地区として選定され、さらに1995年には富山県の「五箇山」と共に「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として、ユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されました。
まさに日本の原風景であるその美しい景色を見るべく、国内外問わず多くの観光客が訪れます。今回はそんな白川郷を巡り、訪れるべきおすすめの観光スポットを紹介します。
白川郷の特徴「合掌造り」とは?
各スポットを紹介する前に、まずは白川郷の特徴である「合掌造り」について解説します。
合掌造りとはその名の通り、まるで掌を合わせた形のように木の梁を組んだ建築様式を指しています。冬季の積雪量が多い白川郷ですが、釘などを使用せずに巧みな技術を用いて木材を組み合わせることで、負荷に耐える柔軟性を生みます。
朝晩は大きく冷え込む山間部に位置しますが、幾重にも重ねた茅葺き屋根の保温効果は高く、その他にも風除けに傾斜をつけた壁面や雪下ろしをしやすい急勾配の屋根など、雪深い山村で生きてきた先人たちの知恵が息づいています。
また、約30年周期で行う合掌造りの茅葺屋根の吹き替えは、村人同士が協力して作業をします。厳しい冬も支え合いで乗り越える相互扶助の心は、「結(ゆい)」の精神として今日まで受け継がれ、そうした営みも含めて文化遺産として評価されました。
合掌造りには、まだまだ書ききれない工夫や技術が多く活かされています。ぜひ、観光の際には、そうした先人たちの知恵や工夫の技術を、建物や景観から感じ取っていただけたらと思います。
東京、名古屋から白川郷までのアクセスは?
さて、多くの観光客の皆さんが白川郷を訪れるには、おそらく自家用車での移動か、もしくは高速バスを利用することとなります。
名古屋からのアクセスは直通バスがあります。「名古屋名鉄バスセンター」から乗車し、約2時間40分ほどで白川郷に到着。運賃は時期により異なり、片道3000~4000円。
東京から白川郷までは直通バスがなく、近隣の有名観光地「飛騨高山」を経由します。東京・新宿から高速バス、もしくは新幹線を利用し、JR「高山」駅を目指してください。
JR高山駅に隣接する「高山濃飛バスセンター」から、「白川郷」までの特急バスは1日に往復22本運行しています。乗車時間は約40分。運賃は片道2,600円、往復券は4600円となります。
例年ですと、日本の長期休暇であるゴールデンウィーク(5月上旬)やお盆(8月中旬)、シルバーウィーク(9月下旬)、年末年始の時期は大混雑が予想されます。
バスの予約も難しいほか、高速道路も大渋滞となりますのでお気をつけください。土日祝日は観光客が多く訪れるので、平日だとより日本の原風景らしい白川郷を楽しめます。
「荻町合掌造り集落」をゆっくりと散策
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白川郷の魅力や景観といえば、数々の合掌造りが立ち並ぶ「荻町合掌造り集落」に集約されます。
ぐるっと歩いて回ると1時間ほどの小さな集落。合掌造り家屋は約60棟(主屋)、喫茶店やお食事処、お土産屋さんも多く軒を連ねています。
1971年に発足された「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」により、合掌造り家屋を「売らない」「貸さない」「壊さない」の三原則の住民憲章のもと、保存運動が推進されてきました。そのため、今でも多くの合掌造り家屋では住民が生活しており、その息遣いを感じられるのが大きな魅力です。
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白川郷 最大級の合掌造り「和田家」
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荻町合掌造り集落の北部に位置し、国の重要文化財に指定されている「和田家」。
白川郷の合掌造りの中でも最大規模を誇り、江戸時代初期の建築様式を今に残しています。主屋のほか、離れの便所や土蔵、石垣や防風林を構えており、村内でも栄えた名主だったことが伺えます。
有料ではありますが館内を見学でき、囲炉裏を設けた大広間や装飾の美しい仏間、屋根裏の様子などを一通り見ることができます。
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和田家
- 住所 岐阜県大野郡白川村荻町997番地
- 電話 05769-6-1058
営業時間:9:00〜17:00
料金:300円(大人)/ 150円(小人)
定休日:不定休
白川郷を一望できる絶景スポット「城山展望台(荻町城跡展望台)」
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先ほどご紹介した「和田家」の東側、緩い坂道の歩道を登ってたどり着くのは「城山展望台(荻町城跡展望台)」です。
荻町の合掌造り集落を一望でき、まさに絶景。その光景は、白川郷の広告等でもよく見かける構図だけに、ぜひとも足を伸ばしてでも訪れる価値のあるスポットです。
国道360号から登れる車道もありますが、こちらのルートは徒歩ではかなり険しく長い道のり。和田家裏側から徒歩で行くこともできます。展望台と和田家前を往復するシャトルバスをぜひご活用ください。20分に一度の間隔で、片道200円で運行しています。
奇祭どぶろく祭が開催される「白川八幡宮」※2021年9月現在、休業中
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荻町合掌造り集落を少し南に下った先にあるのが、「白川八幡宮」。
厳かな雰囲気に包まれた神社ですが、例年10月14~15日には奇祭「どぶろく祭」が開催されます。発酵して白く濁る神酒「どぶろく」が来場客に振舞われるお祭りで、獅子舞や民謡の奉納も行われます。多くの日本人観光客で大混雑する日でもありますが、日本の奇酒・奇祭を楽しみたい方はぜひ。
由緒正しき神社ですので、境内ではしゃぎ過ぎないように気をつけましょう。
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白川八幡宮
- 住所 岐阜県大野郡白川村荻町559
営業時間:9:00〜17:00
料金:無料
定休日:なし
白川村を流れる荘川に架けられた「であい橋」
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「村営せせらぎ駐車場」と荻町合掌造り集落を繋ぐ、全長107mの「であい橋」。白川村を流れる荘川に架けられたコンクリート製の丈夫な橋は、大人数で渡る際に橋中央部で足を止めると、少々の揺れを楽しむこともできます。
幅の広い橋なので高所恐怖症の方もご安心ください。バスターミナルからは少し離れた場所にありますが、爽やかな清流を眺めながら、自然豊かな絶景を楽しむことができるおすすめスポットです。
大家族45人が暮らした「旧遠山家住宅」
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荻町合掌造り集落から車で約15分、国道156号線沿いに佇む「旧遠山家住宅」は、国の重要文化財に指定されている合掌造りの資料館です。
荻町の集落とは違い、「大家族」制の家族構成を営んでいた地域のため、旧遠山家では最大45人が同居生活をしながら養蚕や焔硝(えんしょう)を生産していたそうです。その当時の大家族の生活の様子や白川村の産業構造などが展示されており、人類社会学の視点からも楽しめる資料館となっています。
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旧遠山家住宅
- 住所 岐阜県大野郡白川村大字御母衣125
- 電話 05769-5-2062
営業時間:10:00〜16:00
料金:300円(大人)/ 150円(小人)
定休日:水曜日(祝日の場合は前日休)
四季折々の白川郷の美しさ
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日本は四季の変化が顕著な国ですが、山間部に位置し気温差が激しく、また、森林は広葉樹の割合が高い白川郷では、四季折々でその様子が大きく変わります。
雪解けに桜が咲く春も、爽やかな新緑で染まる夏も、色とりどりの紅葉が映える秋も素晴らしいですが、ぜひともおすすめしたいのは冬の白川郷です。


交通網が整備される以前の白川郷では、屈指の豪雪地帯であるために冬季期間の観光客入りは乏しく、改善策として始まった取り組みが冬のライトアップでした。積雪で真っ白に染まった合掌造りが、闇夜に照らされるその姿は必見です。(※予約制です)
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しかし現在は、新型コロナウイルス 感染症の影響により、2021年の開催は未定となっています。通常とは異なる開催となる可能性もございますのでご了承ください。
白川郷を観光する際の注意点とは?
白川郷の特徴として、合掌造りのほとんどは住民が暮らしている「民家」であることを覚えておきましょう。観光地ではありますが、過度な私地への侵入や、あまりに大声での会話、ゴミのポイ捨てなどは住民の方に多大な迷惑がかかります。特に写真を撮影する際など、田んぼや畑に入らないようにご注意ください。
また、「白川郷観光ガイドサービス」が中心となり約2時間の観光ガイドサービス(有料:7000円)もあります。しかし、まだ英語を始めとする多言語に対応したガイドはいないそうなので、ガイドサービスをご希望の場合は通訳者などを別途ご手配ください。
白川郷と見比べて楽しむ、世界遺産「五箇山」
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また、白川郷と合わせて楽しみたいのが、富山県の南西端に位置する「五箇山」の合掌造りです。1995年には白川郷と共に、五箇山の相倉(あいのくら)集落と菅沼集落が世界遺産に登録されました。
入り口の設置面やより急勾配な屋根の角度など、白川郷の合掌造りとの風土の差を感じられるでしょう。国の伝統工芸品に指定されている「五箇山和紙」作りも、今でも盛んに行われています。
白川郷と五箇山を繋ぐ周遊バスも運行しており、1日フリー切符は2,600円で販売。白川郷から約40分で五箇山(相倉)に到着できるので、ぜひセットでご覧ください。
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まさに秘境と呼ぶにふさわしい「白川郷」。たどり着くのにも一苦労ですが、旅程以上の価値がある景色や体験があなたを待っています。一生に一度は訪れたい、日本の原風景をぜひその目でご堪能ください。
Text by: 丸山純平
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