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パッと咲いてパッと散る桜は、日本の美や文化、哲学を最も象徴する花だ。堂々たる枝ぶりが桜色のつぼみをたわわにつけて空に伸び、やがて小さな花びらが春の風に舞う。そんな息を呑むような美しい光景がほんの数日で終わってしまうこともまた、心地よい胸の痛みを誘う。
わずか数日間を咲き誇る短い命を愛で、慈しむために、この季節になるとあらゆる世代や職業の人々が桜の樹の下に集う。
花見の由来と起源
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食べ物や飲み物を持ち寄って、桜の樹の下に友だちや家族と集う日本独特の習慣のことを「花見」という。一見、ピクニックのようなこの行事は、世紀をまたいだ日本の歴史と深い関連がある。
花見の習慣が始まったのは奈良時代頃(710-794年)で、当時は桜ではなく梅の花を鑑賞するのが一般的だった。なお梅の花は桜とは異なり、1月から2月の終わりまで、2ヶ月近くも咲き続ける。
多くの日本文化と同様に、花を愛でる習慣も中国の唐朝に由来がある。現代の日本人にとっての桜のように、中国人にとって梅は特別な花で、多くの文学や哲学、詩などに影響を与えている。やがて花を愛でる文化が日本に定着し、桜の特性が着目されるようになっていった
桜の哲学
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梅や藤といった花にはない、桜ならではの特性。それは咲いた途端に花びらが散ってしまう、命の短さにある。桜の樹の下に座ってみよう。その短命がゆえの美しさは、一度見たら忘れられないはずだ。桜の花は、いっときも止まることなく移ろい続ける時間の哲学を象徴している。日本人が愛でるのは、小さく美しい花びらそのものではなく、その短命さとも言えるだろう。
梅ではなく桜こそが、自然の摂理を体現する花として日本人の心を捉え、数々の詩や詩や絵画、歌、舞、物語などの思想と表現にも影響を与えていった。特にその儚さが、人間の寿命に例えられることは多い。
桜の品種
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日本は200種を超える桜の原生種、栽培種の発祥の地だ。色や花びらの数、花の大きさ、枝の形など、その姿は品種によってさまざま。最も代表的なのは、ピンク色の5枚の花びらの花をつけるソメイヨシノだ。
5枚以上の花びらを持つ花をつける桜は、八重桜と総称される。幾重にも重なった花びらがその特徴だ。また柳のように下へ下へと枝を伸ばす枝垂れ桜には、八重咲きの花をつけるものが多い。
陽光桜も一見の価値がある。この改良種の生みの親となった学校教員・高岡正明は、地球上のどんな土地でも花を咲かせる桜を作りたいという夢を抱き、挑戦を続けた。また陽光桜は第二次世界大戦で戦死した高岡氏の生徒に捧げられたものでもあった。現在、陽光桜は元気の源、そして平和と友情のシンボルにもなっている。
花見の楽しみ方
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桜と春の到来を祝う年に一度の行事、花見。満開の桜の樹の下で、桜の花びらが散る中で、お酒やお弁当を楽しむ人々の光景を目にしたこともあるかもしれない。花見は一人でもできるが、大勢ならもっと楽しいものとなる。また花見用品は100円ショップで揃えることができるので、以下に紹介することを参考にしてほしい。
花見に持参すべき5つのグッズ
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・防水のピクニックシート:集まる人数に合わせて、さまざまなサイズのシートが選べる。
・使い捨ての食器、フォーク、スプーンなど:ピクニックと同様、食べ物や飲み物を取り分けるのに便利。
・ゴミ袋:花見の際はその公園などのルールに従うこと。特にゴミは散らかさずに、持ち帰ることが奨励される。
・ペーパータオル、ふきん:食べ物や飲み物をこぼしたときのために。
・カイロ:花見の季節である3月は、まだ肌寒い日も多い。カイロがあれば快適だ。
・食べ物、飲み物:多くの公園や道端には、食べ物や飲み物が帰る自動販売機がある。ただしやや割高の場合が多いので、事前に買って持参していったほうが安上がりだ。
花見を最高に楽しむヒント
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上野公園や代々木公園といった有名な花見スポットでの場所取りは、激しい争奪戦となる。中には早朝からシートを敷いて、場所を確保するグループもある。特に企業の花見では、若手社員が場所取りに駆り出されることが多い。花見初心者でも最適な花見スポットを確保できるコツは以下の通り。
・歩道の近くは避けること。特に代々木公園や上野公園では、大集団に圧倒される可能性が高い。
・ゴミ箱の近くは避けること。特に晴れている日は、ゴミが溜まるごとにひどい臭いに耐えられなくなる。またゴミ箱がない場所もあるが、その場合は必ずゴミを持ち帰って、家で捨てること。
・トイレの場所は事前に確認しておき、もよおしたら早めに並ぶこと。混雑時は待ち時間が30分以上に及ぶこともある。
・暖かい服を持っていくこと。この時期は昼間も肌寒いが、夜はさらに凍えそうになることもある。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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