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1300年超の時を刻む奈良平城宮跡をはじめ、日本は全国各地いたるところに「国史跡」が点在している。そのなかでも「社寺跡・旧境内」と呼ばれる史跡群は、祈りと信仰の歴史を物語るいにしえの聖地。今も訪れるだけで、身も心も改まるような神聖さとパワーに包まれる。
日本の歴史を物語る祈りと信仰の史跡
貝塚をはじめ古墳、都城跡、城址など、悠久の歴史を物語る国指定の史跡は、その数1700以上。そのなかで特に歴史上にも学術的にも重要なものが、特別史跡に定められている。かつて社寺や境内があった跡地「社寺跡・旧境内」は、日本の祭祀や信仰にまつわる史跡。「社寺」とは神社と寺院のことであり、「境内」とは神社や寺院の敷地のこと。いにしえのままに復元されている場所もあるが、ほとんどが建物の礎石や記念碑のみが残る場所であり、いずれもが永き歴史を感じられる時空を超えた聖地となっている。
全国に多数点在する「国分寺跡」。総国分寺である「東大寺旧境内」
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華やかな天平文化が花開いた奈良時代。724年に即位した聖武天皇は仏教の加護により、世の不安を鎮めようと全国60余国に「国分寺」と「国分尼寺」を建立する勅令を出した。天平の伽藍がそびえたであろう国分寺・尼寺の史跡が全国各地に残っているが、中世期には大半はすたれてしまい全容が解る所は少ない。そのなかで千葉「上総国分尼寺跡」は発掘調査が進み、白壁に朱が映える建物の一部が再現され、いにしえの時へと訪れる者を誘う。
そんな国分寺の総本山が奈良の大仏で有名な「東大寺」。度重なる地震や火災、戦火などで建物や仏像が消亡し、そのたび幾度も再建されてきた境内には、礎石のみを残した講堂跡や東西の七重塔跡などが点在。栄華を誇った時が壮大な史跡から甦ってくる。
消失した理由はさまざま。昔の隆盛を感じさせる史跡
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たとえば、織田信長によって焼き払われたという滋賀県東近江市「百済寺跡」。僧坊の数6000を誇ったものの一向一揆により全山が消失したという、福井県勝山市「白山平泉寺旧境内」。火災によって焼け落ちた後醍醐天皇建立の名刹、愛媛県北宇和郡「等妙寺旧境内」。ほか万葉のふるさと飛鳥に残る、平城遷都とともに打ち捨てられた古代の寺跡など…全国各地で出会える威容を誇った祈りの史跡は数え切れないほど。発掘された遺物や石垣や石畳、礎石などから、往時の面影を感じることができる。
都心のビルの屋上にも見つかる祠や、伊勢神宮の古殿地
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東京都心のビルの屋上に鳥居や小さな祠を見かけたりすることも多い。これも一種の寺社跡にビルを建てた一例なのかとも思えるが、現代では屋上に居を移し信仰もしっかり集め、参拝者も多いようだ。
また、20年ごとに式年遷宮を行い、常に神殿から供物まで新調する伊勢神宮には、内宮の御正宮をはじめあらゆる御宮の隣に古殿地とも呼ばれる新御敷地が広っている。この御敷地は、次の遷宮時に社殿を建て替える御宮処で、現在社殿が建っている土地が、遷宮後に古殿地と順繰りに呼ばれる。社殿が建てられる時を待っている新御敷地だが、そこにも独特の気が漂い、見つめていると、自然にありがたいような気持ちが沸き上がってくる。
社寺跡、旧境内を訪れることで時空を超え時の彼方へ…
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建物を復元していたり、発掘した遺物を展示する博物館を置いている箇所もあるが、「社寺跡、旧境内」の多くは、標識や石碑が建っているだけだったり、木や草が生い茂っていたりと、なかなか回るのが難しいかもしれない。けれども、事前にその場所の歴史を少しでも知ることで、想像力が喚起され、イマジネーションがわいてくる。石柱跡の大きさからは建物の威容が、器や供物などの発掘品からは、人々の信仰の様子がかいま見えるだろう。太古の昔も今も、国籍や宗派が違っても、人の想いや願いは変わらないもの。今は失われた「社寺跡、旧境内」にただ佇むだけで、時の移ろいと歴史の変遷を感じ、時空を遥か超えた心地になるかもしれない。
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