日本有数の観光地として知られる築地場外市場の中に店を構える老舗の刃物メーカー「築地有次」。築地有次が刃物づくりに捧げる情熱は、時代を超えて現在に受け継がれている。その始まりは、「刀」と呼ばれる日本刀を製造していた侍の時代にまでさかのぼる。いまでは、戦のために刃物を製造することはないが、その耐久性と卓越した刃先は、戦いにも使えるほどの品質を保っている。店舗にズラリと並ぶショーケースには、あらゆる形とサイズの包丁が光り、その巨大な包丁も輝いている。
築地有次の顧客は、築地市場の周辺にある老舗の魚問屋だけではない。完ぺきな料理を作る高級レストランのトップシェフから、使い勝手のよい万能包丁を求める一般的な料理人まで、幅広い客層だ。さらに、その名は海を渡っており、世界の国々からも問い合わせが入るそう。
卓越した技術の職人
日本で包丁に求めることといえば主に機能だが、和包丁において多くの外国人が重視する点は、まず、その美しさだ。大胆で角ばった形や、刃先から広がる鋼の波模様まで、一般的な和包丁、特に築地有次の包丁には、独特の雰囲気がある。
店内にある工房
とはいえ、築地有次は、100年以上も同じ場所に店を構え、機能の重要性を第一に考えている。包丁は、ショーケースに収められて料理の種類ごとに並べられているほか、箱に収められて天井まで積み上げられている。
店舗スペースの脇に工房があり、だいたい研磨機が回っている。客が包丁を選ぶと、店内で熟練の職人が包丁を完全に研いでくれる。手持ちの包丁を店内へ持ち込み、研ぎ直してもらうこともできるが、和包丁を所有する真の楽しみの一つに、自分で手入れをすることが挙げられるだろう。
築地有次には、和包丁の魅力をさらに引き出すサービスがある。特殊な模様のあるダマスカス鋼製の包丁や、珍しい木材や水牛の角を使った柄をカスタムできるのだ。包丁の通(ツウ)向けに、同素材の鞘をカスタムすることも可能なので、特別な逸品を美しく保つことができる。
店の奥には、和包丁の柄を交換したり、カスタムしたりするための工房がある。炎が光る中、鋼を鍛錬するなど、これらすべての作業は、店内のショーケースからたった数メートル先で行われている。
和包丁と洋包丁
包丁を選ぶときの最初の悩みどころは、洋包丁にするか、和包丁にするかということだろう。答えは二つに分かれる。デザインを重視するか、それとも実用性を重視するかだ。
上の写真で分かるとおり、和包丁は、木製の柄に熱したなかごを埋め込んだもの。柄は職人によってカスタムしたり交換したりできるものの、基本的には取り外しができない。見栄えのよい和包丁は、使うほどに味が出るうえ、よく言えば、日本らしさが表れている。日本の包丁だと分かる逸品を所有することが大事であったり、キッチンに伝統的な日本の雰囲気を演出したいなら、和包丁がおすすめだ。
一方、洋包丁は、柄と刃が鋲でしっかりと固定されている。洗練された印象なので手持ちの良質な包丁とも相性がよく、「築地有次」の名前が刃に漢字で刻印されているので日本製であることも明確だ。
一般的な包丁の形を選ぶ際、洋包丁と和包丁の両方が存在する場合は、個人的な好みによるところが実に大きい。ところが、万能包丁から専門的な包丁に移行する場合は、高い頻度で特定の形状を見つけられるはずだ。和包丁の形状は、もともと特定の料理を作るために専用の包丁として開発された。つまり、和包丁は和食を作るためにあるのだ。
ここまでくると、日本料理を作るために何種類くらいの包丁が生み出され、使われるのかを考えるだけでも興味深い。築地有次のショーケースは、海の魚をさばくものから肉を切るもののほか、熱心なシェフだけが興味を抱くような用途のものまで、上から下までさまざまな包丁で埋め尽くされている。欧米でよく使われているような包丁セットを探すことは、おそらく問題外。その代わり、あなたが夢中になっている料理を作るためにピッタリの包丁コレクションを作り上げるという真の魅力があるのだ。
収集をはじめよう
コレクションを作り上げるとなると、最初は大変に思うかもしれないが、本当に必要な一丁か二丁をそろえるところからスタートすればよい。典型的な牛刀は、牛肉用に作られているが、実際には万能包丁としてピッタリなのだ。それに加え、フルーツを切るなどの細かな作業をするのに適した小さめの包丁があれば、だいたい事足りる。
そこから、あなたの料理の必要性に応じて、コレクションを作り上げていくことになる。和包丁の世界を深く掘り下げることで、本当に必要な包丁が何かを見つけることができる。
築地有次の刃物は、すべて厳しい基準のもと職人の手によって日本で生産されている。手で鍛錬する過程は、侍が持つ日本刀を作っていた時代からほとんど変わっておらず、今でも重要な製造工程とされている。
長年の経験が全ての包丁につぎ込まれ、果てしない時間をかけて形をつくり、研磨され、完ぺきな仕上がりを実現させている。
築地から世界へ羽ばたく
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染の拡大により、新鮮でおいしい海産物を扱う築地市場に外国人観光客が戻るまでには、もうしばらく時間がかかるだろう。すばらしいことに、100年前とほぼ同じ売り方をしている築地有次だが、オンラインでも製品を販売している。もちろん、オンラインで購入しても、実店舗で買ったときと同様に、すべての包丁をしっかりと研いでから出荷するため品質は保証されている。
季節を問わず、使える包丁
和包丁を初めて手にするなら三徳包丁がおすすめ。和包丁の独特な形を持つだけでなく、どんなキッチンでも、多目的に使える汎用性の高い包丁だ。三徳包丁は、野菜や魚、肉まで、何でも幅広く使える基本の一丁だ。
あるいは、洋包丁からスタートするなら、牛刀がおすすめ。形は三徳包丁に似ているが、刃先に向けて少し重さがあり、全体的に薄くて使いやすい作りになっている。
築地有次の包丁には、どの種類にも複数のサイズがある。洋包丁は、基本両刃の包丁だが、築地有次ではより切れ味をだすために片刃気味に研いでいる。片刃気味になるので右用、左用と客の利き腕に合わせて研いでくれる。
包丁のサイズ選びに関しては、使いやすいサイズで、できるだけ刃先が長いものを注文したい。とはいえ、それは明らかに個人的な好みによる部分なので、普段使っている包丁よりも1サイズ大きいものを考え、そこから少しずつサイズを上げていく方法がおすすめだ。少し刃が長いだけで大違いだが、常に使いやすいものでなければならない。
完ぺきなパートナー
メインで使う包丁の頼れるパートナーとして、骨スキ包丁は魅力的な逸品。鳥をさばくために作られたものだが、薄くて軽く、丈夫なため、魚や肉をさばく際の、ほとんど全ての細かい作業で活躍してくれる。刃先が鋭く仕上げられているおかげで、穴をあけたり切り取ったりすることにも適している。
家宝級の豪華な包丁
もう少し特別な包丁をお探しなら、築地有次には多くの選択肢がある。こちらのクールなヴィジュアルの切付三徳包丁はまさに万能な存在で、様々な料理で活躍する。ダマスカス仕上げの注文が可能で、豪華な木製の柄と日本のローズウッド(シタン)で作られた鞘も注文できる。
違いを体験しよう
新品の築地有次の包丁を一目見れば、たとえ初心者でも、価値の高いものだと分かる。非の打ちどころのない仕上がりから、バランスのすばらしさまで品質が格段に高い。築地有次の包丁の刃渡りを見ると、曲線など全く見られないが、品質の低い包丁を見てみると、湾曲している部分がすぐに見て取れることが一般的だ。
最後に、包丁を試すのに最適な方法として、刺身かリンゴをスライスしてみるといいだろう。同じ魚やリンゴでも、切れ味のいい包丁でスライスしたものは、味が異なるのだ。そこから包丁コレクションが始まるのだ!
※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため営業時間の変更や臨時休業をしている場合があります
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築地有次
- 住所 東京都中央区築地4-13-6
- 電話 03-3541-6890
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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