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森永「ハイチュウ」が海外セレブにSNSで拡散されまくっている理由

森永「ハイチュウ」が海外セレブにSNSで拡散されまくっている理由

更新日: 2019/09/27

日本人で「ハイチュウ」といったら、知らない人はいないのではないだろうか。1975年6月、ストロベリー味の誕生から42年、2016年までに167種類が送り出されたソフトキャンディの元祖である。

日本ではすでに揺るがない地位にあるハイチュウだが、2014年にMLBボストン・レッドソックスの田沢純一投手がベンチに持ち込んだことから、メジャーリーガーの間で人気が高まり、複数の球団やNBA(バスケットボールリーグ)のニューヨーク・ニックスとスポンサー契約を結んだ。最近では、米アカデミー賞にノミネートされている俳優といったセレブがファンであることを公言し、人気にさらなる追い風が吹いている。

「まだ大ヒットという認識ではない」という、米国森永製菓株式会社でマーケティングの責任者を務める松田和之さんに、ここまでに至る話とさらなるブレイクへの準備を聞いた。

アメリカで流行をけん引する「ミレニアル」

大学でのサンプリングの様子。カラフルなグッズが目を引く。
大学でのサンプリングの様子。カラフルなグッズが目を引く。

大人向けの味の展開もあるが、日本では子どもが大好きなお菓子というイメージがあるハイチュウ。アメリカでは、どんな層をターゲットとして展開しているのだろうか。

「アメリカの流行をけん引するといわれているのが、10代後半から30代前半の『ミレニアル』。このミレニアル世代に向けて主に宣伝を行っています。テレビやSNS含むオンライン広告や、商品のサンプリング(試食)などをミックスして訴求しています。日本だと誰でも知っているのでサンプリングをする必要はないのですが、アメリカではまだ知らない人が多いので、味を知ってもらうところから始めています。一度好きになっていただいたら、小学生から大人まで食べていただいています」

競合と目しているのは、アメリカでもシェア5%を誇る『Starburst』というキャンディ。ハイチュウと同じソフトキャンディで、比較されることも多いという。

「ソフトキャンディとグミの境があまりなく、ともにChewy Candy(チューイー・キャンディ、噛みごたえがあるキャンディの意)というカテゴリーで、グミも競合ととらえています」

アメリカではキャンディ市場で圧倒的なシェアを持つブランドがなく、大ヒットの指標とされるのがシェア2%。ハイチュウはまだそこまでには至っていないが、MLBの選手に加えて、ミレニアル世代のスターたちからも強い支持を受けている。

たとえば、2017年のアカデミー賞候補にもなったイケメン俳優ライアン・ゴズリング。大の甘党を自認する彼はインタビューで「食べ始めたらやめられない」と、好きなキャンディの筆頭としてハイチュウを挙げた。このほかにもSNSにハイチュウ好きを投稿したのは、ラッパーのニッキー・ミナージュやマックルモア 、ミュージシャンのジョン・メイヤーなどなど、枚挙にいとまがない。

どこまでアメリカの懐中に潜り込めるか

日本では珍しいTVCMも展開している。
日本では珍しいTVCMも展開している。

ではそのハイチュウの何がそんなに受けていると分析しているのだろうか?

「味ですね。さまざまな調査をしましたが、品質の評価が非常に高いことに驚かされます。競合に比べて味が繊細で、リアルにフルーツの味を再現しているところが非常に受け入れられています」

日本で人気のある味ベスト3は1位グレープ、2位ストロベリー、3位グリーンアップルとのこと、アメリカでは?

「ストロベリー、マンゴー、グリーンアップルの順ですね」

ちなみに、アメリカで発売している味は、すべてアメリカ向けに調整し、アメリカ人が本物のフルーツの味がすると感じられる風味にしているとのこと、値段は1つ1.39ドルで、アメリカ限定の味もあるそうだ。

今年発売のキウイ味(写真左)、コーラ&オレンジソーダ味(写真右)
今年発売のキウイ味(写真左)、コーラ&オレンジソーダ味(写真右)

「日本でも過去に販売していたり、期間限定であるかもしれませんが、マンゴー、チェリー、バナナなどがアメリカ限定の味ですね。また今年は、キウイ味、フィジーズ(コーラ&オレンジソーダ)を発売します。キウイ味には、アメリカで今人気のスーパーフード、チアシードが入っています」

50の国ほどに違う、アメリカの広さ

50の国ほどに違う、アメリカの広さ

日本であれば、新商品の発売時にはテレビコマーシャルや駅などのポスター、口コミなどで情報を拡散していき、期待感や話題、おいしいという感想から消費者が手に取ることが多い。アメリカでもそれは同じだろうか?

「アメリカで展開するうえで、日本との一番大きな違いはダイバーシティ(多様性)です。そう聞くと人種を思い浮かべられるかもしれませんが、人種以上に大きいのが地理的な違い。アメリカには50の州がありますが、州は国と言いかえても差し支えありません。50の国が集まっているととらえる必要があり、ハイチュウの売上も州ごとにまったく違います」

つまり、宣伝の仕方も、消費者へのアプローチも、州によって変える必要があるということ?

「そうですね。一律では行えません。それぞれの州の状況に応じて、実施する内容を変えています」

ハイチュウが比較的好意的に受け入れられている地域、そうではない地域は?

「シアトルからロサンジェルスの西海岸、ニューヨーク中心の東海岸は比較的ビジネスがうまくいきやすいんですが、中西部および南部には苦労します。これは多くの日本企業が直面している課題でもありますね。中西部や南部は保守的と言われていますが、それだけでなく、西海岸や東海岸の人は、比較的日本にいい印象をもっている人が多いようです。非常に人気が高いカリフォルニアでは認知率は80%を越えていて、そのあとにニューヨーク、ボストンが続き、シカゴはまだまだです。残念ながらハイチュウはまだまだアメリカのどこでも手に入るものではなく、地域によって認知率に大きなばらつきがあります」

2008年のアメリカ進出以来、商品力に加えて、一歩一歩販路を広げてユーザーを増やしてきた自負があり、ここまで注目を集めてきたのは「一つの理由では言い表せない」という。今後はさらに大きな展開を見込んでいる。

「大リーガーの選手の皆さんに好んで食べていただいたことは、ていねいで繊細な味づくりの技術がアメリカにも受けいれられたという確信につながりました。また、MLBでもレッドソックス、シカゴ・カブス、ミネソタ・ツインズなどといったチームとスポンサーシップ契約をしたことで、販路を広げる交渉を有利に進めることができ、Walgreens(ウォルグリーン アメリカ全国で展開する大手ドラッグストア)、Walmart(ウォルマート 西友を傘下に収める世界最大のスーパーマーケットチェーン)、Kroger(クローガーアメリカの最王手といわれるスーパー)への導入を獲得できたのは大きなトピックですね」

チェーン店で流通されることになれば、州の間の格差は少し縮まるということになる。もしかすると、こんな光景が全米の至るところで見られるかもしれないのだ。

「カリフォルニアでは、ハイチュウは誰もが知っていて、ハイチュウのTシャツを着て街を歩くと、知らない人から“Oh,HI-CHEW, I like it!”と声をかけられることもあります」

森永製菓でも、もっとも勢いのある菓子のひとつであり、数あるお菓子のなかから、さまざまな調査やテストをして選抜された末、全米デビューしたハイチュウ。現在の好調を受けて、それまで台湾拠点で製造された輸入品を販売していたが、2015年からはアメリカで現地製造を開始している。はたしてどんな形でアメリカに根付くことができるのか、その行方を見守りたい。

浅香来 
早速イヴァンカさんのインスタグラムを見てみたら、本当にかばんの中に常備しているらしくて驚き!化粧品や炭酸水のボトル、チアシードのバーなどと一緒にハイチュウのマンゴー味らしきパッケージがありました。

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