北海道の中央には、日本最大級の国立公園「大雪山国立公園」があります。山々が連なるこのエリアで、最も標高が高い山が「旭岳」。山の中腹ではロープウェイが運行しており、雄大な北海道の山々や、高山植物が織りなす美しい景観を上空から眺めることができます。今回は、観光スポットとして人気の「旭岳ロープウェイ」をさらに楽しむ方法をレポート。乗って、見て、歩いて、味わって……さまざまな形で魅力を体感しましょう!
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旭岳ロープウェイとは?
北海道最高峰・旭岳の中腹で運行しているロープウェイです。旭岳は、北海道のほぼ中央に位置する、2,000m級の山々の総称「大雪山(だいせつざん)」の主峰で、標高は2,291m。旭岳を含めた大雪山の一帯は、国立公園に指定されています。このエリアでは、日本の高山植物の約4割が確認されており、さまざまな種類の高山植物を観察できることでも有名です。
旭岳ロープウェイは、旭岳の標高1,100mのところにある温泉郷「旭岳温泉」から、標高1,600mまでを結んでいます。ゴンドラ内からは、旭岳とその周辺の雄大な自然を一望できます。
旭岳ロープウェイへのアクセス方法
温泉郷にあるロープウェイ出発駅「山麓駅」へは、車または旭川電気軌道シャトルバス「いで湯号」を使って行くことができます。シャトルバスの終着点「旭岳」の目の前に、山麓駅があります。1日3往復の運行なので、事前に時刻表をよく確認しておきましょう。
シャトルバスはJR旭川駅と旭川空港を経由するため、旭川・東川エリアから移動するのがおすすめ。東京からは、直行便を利用して旭川空港へ向かうのが最もスピーディです!
- いで湯号:「旭川空港」〜終着「旭岳」下車/約1時間
- 車:約45分
- いで湯号:「旭川駅(のりば9)」〜終着「旭岳」下車/約1時間45分
- 車:約1時間
大阪などから旭岳へ行く場合には、まず新千歳空港へ向かいましょう。新千歳空港から旭川駅まで向かうことができます。
- 直行バス:都市間バス「たいせつライナー」乗車/約2時間半 ※完全予約制。2カ月前から空港窓口やインターネットで予約可能
外国人専用の予約サイト「JAPAN BUS LINES」
https://japanbuslines.com/en/ - 車:有料道路を利用して約2時間15分
- バス・電車:札幌を経由してJR旭川駅へ向かいましょう。旭川駅からは「いで湯号」または車で温泉郷へ。
①新千歳空港から札幌駅まで
▶︎バス:北都交通または北海道中央バス「空港連絡バス」を利用し、「札幌駅前」下車/約1時間15分
▶︎電車:JR北海道「エアポート」を利用し、「新千歳空港駅」〜「札幌駅」/約40分
②札幌駅から旭川駅まで
▶︎バス:高速バス「高速あさひかわ号」を利用し、「札幌駅前」〜終着「旭川駅前」/約2時間
▶︎電車:JR函館本線「ライラック・カムイ」を利用し、「札幌駅」〜「旭川駅」/約1時間半
いざ、ロープウェイに乗って姿見駅へ!
ロープウェイ出発駅の山麓駅に着いたら、まずはカウンターでチケットを購入して、標高1,600m地点の駅「姿見駅」へ向かいましょう。チケット売り場とロープウェイ乗り場は、どちらも山麓駅の2階にあります。
チケットは現金、またはクレジットカードで購入できます。
チケットは、「往復券」と「片道券」の2種類あります。気軽に山を楽しみたい方は往復券を購入しましょう。往復券は、2024年11月1日~2025年5月31日の間は大人2,400円・小人1,600円です。
チケット売り場には、旭岳ロープウェイのパンフレットが7言語(日本語・英語・繁体字・簡体字・韓国語・タイ語・インドネシア語)設置されています。なお、施設内の表示の多くは英語が併記されています。
ロープウェイは6月1日〜10月20日の間は15分間隔、それ以外の期間は20分間隔で運行しており、どの便でも乗車可能です。営業時間は時期によって異なるため、Webサイトで確認しましょう。Webサイトも7言語(日本語・英語・繁体字・簡体字・韓国語・タイ語・タガログ語)に対応しています。
乗り場のモニターには、姿見駅付近の天候や気温、風速などの新しい情報が都度表示されています。散策をする方は、乗る前に確認しておくとよいでしょう。
ゴンドラがやってきました!乗車して、約10分間の空中散歩スタートです!
ロープウェイは、山麓駅を出発すると、山麓駅裏の湿原の上を通り、針葉樹林とダケカンバの混交林、高山帯へと移動していきます。
高山帯は標高1,400m付近から始まり、ここからは背の低い樹木「ハイマツ」という木が見え始めます。一気に樹木の高さが低くなるため、混交林からの植生の変化が分かりやすいポイントです。
ゴンドラ内のモニターで、国立公園や季節の植物についての解説動画が見られます。日本語と英語の音声ガイド付きです。旭岳周辺の自然について学ぶことができます。ちなみに動画は、ロープウェイの行き帰りで内容が異なります。行きと帰り、どちらも注目してみてください。
7月上旬は、木々は青々と葉を茂らせる夏らしい光景が広がっていました。9月頃になると、赤や黄に紅葉する広葉樹と緑の針葉樹が混ざり合う、美しい秋の景色を見ることができるそうです。
景色を楽しんでいるうちに、あっという間に姿見駅に到着!姿見駅では、旭岳自然保全員が3分間のレクチャーを行っています。散策する際のルールや、植物が見頃のエリアを解説しているので、必ず聞きましょう。
姿見駅には売店や休憩スペース、トイレなどがあります。周辺を散策する場合は、トイレを済ませておきましょう。
旭岳ロープウェイでやるべきこと3選
姿見駅と山麓駅、その周辺では、ロープウェイに乗る以外にもお楽しみがたくさんがあります。ここからはおすすめの楽しみ方を3つ紹介します!
①散策路を歩く
姿見駅からは、「姿見の池」という大きな池まで続く散策コースが整備されています。登山初心者でも比較的歩きやすいコースですが、途中でさまざまな高山植物を観察することができます。
姿見駅から第1展望台、2つの池を抜け、姿見の池を経由して大きく1周するコースは、1周約1.7km。所要時間は約1時間〜1時間半程度です。コース途中に分岐があるため、予定や体力に合わせてコースを調整できます。
散策コースを歩く場合は、Tシャツや長袖の上にウインドブレーカーを羽織るなど、脱ぎ着しやすい格好で訪れましょう。姿見駅周辺は夏でも15度前後と涼しく、風が強かったり、散策中に汗をかいたりすることもあります。温度調節がしやすい服装がおすすめです。
石が転がっていたり、雪が解けて地面がぬかるんでいたりするので、靴は登山靴または長靴を履いていきましょう。長靴は姿見駅や、山麓駅の隣にある施設「旭岳ビジターセンター」で300円(税込)で借りることもできます。
7月上旬は、夏の高山植物の開花ピーク。白い花びらと、黄色いおしべとめしべが特徴の高山植物「チングルマ」の花畑がコースの各所で見られます。
コースの一番奥にある、姿見の池。旭岳の姿が水面に映ることから名付けられました。雨や風がやんでいるタイミングがシャッターチャンスです!
②姿見駅で限定グルメをいただく
姿見駅には、お土産と軽食を販売している売店があります。山麓駅に戻る前に姿見駅限定グルメ「お山のコロッケ(税込300円)」をいただきましょう。
お山のコロッケは、旭川のブランド豚「笹豚」と、旭岳の麓・東川町産のじゃがいもと玉ねぎを使用した、山の形をしたコロッケです。コロッケを買ったらぜひ駅の外に出て、旭岳と記念写真!
コロッケは、ホクホクのじゃがいもの中にサイコロ状の豚肉が入っており、食べ応え抜群!小腹を満たすのにぴったりです。
売店では、旭岳の地下水で淹れたオーガニックコーヒーも販売しています。地下水でコーヒーを淹れると、口当たりが滑らかで飲みやすいコーヒーになるそう。コロッケとセットでいただきましょう。
③山麓駅でロープウェイ限定のお土産をゲットする
ロープウェイで山麓駅へ戻ったら、帰る前に1階の売店で、旭岳限定のお土産を購入しましょう!
旭岳ロープウェイ限定のお土産がたくさんあるので要チェック!旭岳のマークが描かれたトートバッグやTシャツが人気商品とのことです。
オリジナルのステッカーや手拭いも販売しています。Tシャツやステッカーは、年によってデザインが変わったり、新しいデザインが増えたりするそうです。お気に入りの商品に出合ったら、ぜひゲットしてください。
明るい緑色の缶で、爽快な喉越しが特徴の「旭岳麦酒(税込580円)」や、旭岳が描かれたゴーフレット(税込870円)などもあります。下山後のお楽しみに買ってもよいですね。
四季折々でさまざまな表情を見せる旭岳
旭岳は、夏以外の季節も魅力たっぷり。ここからは、ロープウェイだからこそ楽しめる、四季折々のおすすめポイントを紹介します。なお、2024年は、植物の開花が例年より7〜10日ほど早くなっています。
旭岳の四季の魅力:春
旭岳の雪が解け始めるのは例年5月下旬ごろからで、山開きは毎年、6月の第3週末です。2024年は雪解けが早く、山麓駅裏の湿原では5月下旬から、春の訪れを告げる黄色い花「エゾノリュウキンカ」が咲き始めました。湿原は木道が整備されており、山麓駅左の入り口から散策することができます。散策路はロープウェイの下にも続いているため、美しい花畑とロープウェイを一緒に撮影できる、隠れたおすすめスポットでもあります。
山麓駅の駐車場脇では、「日本一開花が遅い桜」を見ることができます。2024年は、山開き時期である6月中旬に開花しました。
旭岳の四季の魅力:夏
春の花が咲き終わると、夏の高山植物たちが姿を見せ始めます。地面低く花を咲かせる、白いツツジ科の「キバナシャクナゲ」や、小さい風船のような形がかわいい、ピンク色の「エゾツガザクラ」、チングルマなどが花畑つくり、散策コースの周辺を華やかに彩ります。また、散策コースでは夏でも、7月上旬ごろまで雪が残っています。夏の花と雪を一緒に見ることができるのも、このエリアの環境ならではです。
旭岳の四季の魅力:秋
標高が高いため秋の訪れが早く、例年、8月末から徐々に紅葉が始まります。高山帯より下の地域では、針葉樹林の緑と、赤く色づく「ナナカマド」、黄色く色づく「ダケカンバ」が混ざり合い、パッチワーク状の美しい紅葉を目にすることができます。紅葉の見頃は例年、9月上旬〜10月上旬で、この時期には多くの観光客が旭岳を訪れます。
旭岳の四季の魅力:冬
旭岳ロープウェイは冬の時期も運行しています。旭岳は、「雪を9カ月楽しむことができる」といわれており、初雪は例年9月下旬。山や木が雪に包まれた、一面の銀世界を上空から楽しむことができます。上質なパウタースノーを体感できるほか、気象条件が揃えば、ダイヤモンドダストやサンピラーなどの自然現象を見ることもできます。
旭岳ロープウェイを気持ちよく楽しむためのポイント
ロープウェイの施設周辺は全て、国立公園内にあります。以下のルールを守って、自然環境を大切にしながら観光しましょう。
- ゴミを道端に捨てない
- 植物や花を持って帰らない
- 野生動物に餌を与えない
なお、旭岳ロープウェイ姿見駅の周辺には散策コースがあり、山頂へ続く登山道の入り口もありますが、これより先はトイレがありません。長時間このエリアに滞在したり、登山を予定している場合は、必ず携帯トイレを持っておきましょう。携帯トイレは、レクチャーが行われるスペースの自販機で、500円で購入できます。
ロープウェイで、旭岳をめいっぱい楽しもう!
2,000m級の北海道の山を、登山をせずに気軽に楽しめる「旭岳ロープウェイ」。車内から雄大な自然を眺めるだけではなく、散策や、限定のグルメやお土産を見つけて、思い出いっぱいの旅にしてみてください。
撮影=大谷康介 原稿・編集=みんなのことば舎
- 電話番号:0166-68-9111
- 営業時間:6:30〜17:30(時期・季節によって変動あり)
- 料金:
【2024年11月1日〜2025年5月31日】<往復券>大人(中学生以上)2,400円 小人1,600円 <片道券>大人(中学生以上)1,400円 小人1,000円
【2025年6月1日〜2025年10月31日】<往復券>大人(中学生以上)3,500円 小人1,750円 <片道券>大人(中学生以上)2,200円 小人1,100円
【2025年11月1日〜2026年5月31日】<往復券>大人(中学生以上)2,600円 小人1,700円 <片道券>大人(中学生以上)1,500円 小人1,100円
【駐車場料金】500円/日(普通自動車・バイク) 2,000円/日(中型自動車以上) ※11月〜5月は無料 - 定休日:無休(整備のための運休期間あり)
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住所
071-1472 北海道上川郡東川町勇駒別1418
地図をみる -
最寄駅
旭川 駅 (宗谷本線 / 函館本線 / 富良野線)
バス85分
- 電話 0166-68-9111
-
住所
071-1472 北海道上川郡東川町勇駒別1418
札幌の地元タウン誌の編集に長年携わった編集者が設立。設立以降、20年以上にわたり、札幌を中心に北海道全域での取材・記事執筆を行い、観光ガイドや情報誌、北海道の景色を収めた写真集など多様な本も制作。スタッフは全員女性で、旅好き、スイーツ好き、お酒好きと趣向は様々。飲食店紹介からイベントレポート、レジャー体験記まで、発信の守備範囲は広い。
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