自然教育園の歴史は紀元前2500年頃まで遡ります。土器や貝塚が発見されており、人々はその頃からこの一帯で暮らしていたことがわかっています。1400年頃には、大きな富と勢力を持つ一族がこの地を治めていました。その後、大名の下屋敷、白金御料地になるなど、この場所は一般の人々が足を踏み入れることができない特別な場所でした。 一般に公開されたのは国の天然記念物および史跡に指定された1949年のことです。

この貴重な歴史こそ、自然教育園が東京の他の場所とは一線を画す最大の理由です。都心にありながら、かつての里山の自然の面影が残る貴重な園内 に一歩足を踏み入れると、そこはまさに森そのもの。夏場は園の外と比べて気温も低く、ちょっとした森林浴を楽しむことができます。

自然教育園は約20万平方メートルの広さを誇り、約1,500種類の植物、約2,800種類の昆虫、鳥類、爬虫類などが観察されているまさに生命の宝庫。都心にもかかわらず、森の奥にはゲンジボタルが生息していることも確認されています。

園内ではカメラ愛好家たちが一眼レフを構え、四季折々の自然の美しさを切り取っています。春には可憐な花々が咲き、夏には深い緑が木々を覆い、秋には紅葉が森を彩り、冬には静寂な景色が広がります。自然教育園の見どころは豊かな森であり、そこに息づく四季折々の 動植物です 。

自然教育園の正式名称は「国立科学博物館附属自然教育園」。動植物そのものが展示となる野外博物館です。自然を楽しむための施設でありながら、自然教育および学術研究を行い、都内に残された希少な種の保存 も行っています。そのため、自然を守る管理だけでは不十分で、「植生」という植物の広がりを管理する必要があるとのこと。

自然教育園の広報　下田さんはこう語っています。
「植生管理は、単に草を刈るだけの作業で終わるわけではありません。草刈りが動植物にどう影響したのかを常に観察し続けながら、目標とする状態に近づけていく作業です。」

植生管理は知識と経験に裏付けされた匠の技が必要で、維持管理作業をする熟練のスタッフが園内で日々業務にあたっています。スタッフの皆さんの不断の努力がこの大自然の未来を守っているのです。

広大な敷地のうち公開されているのは全体の15%程度。残り85%は自然保護地域で、自然本来の姿を残すため、足を踏み入れることができません。入園者は公開されている散策路を自由に歩くことができます。所要時間は30分～1時間半ほどが目安です。高低差はあまりないので、スニーカーで問題ありません。なお、動植物・昆虫採集（虫とり）は禁止されています。

東京の真ん中に、こんなにも身近に、心身を癒してくれる場所があることに驚くことでしょう。外国人旅行者からも「ゆったりとした時間を過ごすことができた」「落ち着いた美しいオアシス。たくさんの昆虫、蝶、鳥を見ることが出来て、素晴らしかったです。」など好評を得ています。

自然教育園は都会の観光で少し疲れた時に、心を落ち着かせリフレッシュするのに最適な場所です。喧騒から一歩離れ、太古の自然が残るこの奇跡の森で心と体を満たしてみてはいかがでしょうか。

●住所
東京都港区白金台5-21-5

●アクセス
・JR目黒駅　東口から徒歩9分
・東急目黒線目黒駅　徒歩9分
・東京メトロ・都営三田線白金台駅　1番出口から徒歩7分
※園内に駐車場はありません

●開館時間
9月～4月：9:00～16:30
5月～8月：9:00～17:00
※入園は16:00まで

●休園日
毎週月曜日
年末年始や夏季期間、月曜日が祝日の場合などは休園日が変更になるため詳細は公式サイトをご確認ください。

●入園料
一般・大学生：320円
高校生以下・65歳以上・障害者の方とその介護者1名まで：無料 （要証明書）
※記事内の料金は2025年11月現在のもの

●その他
コインロッカー・おむつ交換設備・車いす・オストメイト対応設備など