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進化し続けるラーメン!専門家に聞いた「今年のトレンド麺」と注目の3店

進化し続けるラーメン!専門家に聞いた「今年のトレンド麺」と注目の3店

更新日: 2022/02/10

外国人から常に注目度が高い日本の人気グルメといえば「ラーメン」。
そんなラーメンの2021年のトレンド実績や2022年人気になりそうなおすすめのラーメンについて、専門家に教えていただきました。コロナの影響によってある意味で進化を遂げたラーメン界。ラーメン好きは必見です。

■教えてくれたのは、ラーメン評論家の大崎裕史さん

幼いころから大のラーメン好き。「日本人にとっての主食がお米というのと同じように、私にとっての主食はラーメンなんです」と語ってくれたのは、年間720杯のラーメンを食べ歩くラーメン評論家の大崎裕史さん。今回はそんなラーメンをこよなく愛する大崎さんに、お話を伺いました。

<プロフィール>
大崎裕史(おおさき ひろし)
ラーメン評論家、(株)ラーメンデータバンク取締役会長(http://www.ramendatabank.co.jp/)。
日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンショー実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務を経て、2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。
「自称日本一ラーメンを食べた男」(2021年12月末現在約13,500 軒、約27,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)などがある。

■2021年のラーメントレンド実績!ラーメン界にとってどんな年だった?

画像素材:PIXTA
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Q.2021年は、ラーメン界にとってどんな年でしたか?

―コロナ禍2年目の2021年は、ラーメン界のみならず、飲食業界全体にとって変革の年でした。デリバリーや通販をスタートさせ、新たな発想を持ったお店が増えましたね。特にラーメンで言えば、夜の営業ができない居酒屋などで、「昼ラーメン」をはじめるところが増え、ラーメンそのものを食べられるお店が増えた年でもあります。

また、2021年はラーメン専門店ではなく、和食やフレンチなどから発想を得た独自のラーメンが出てきたというのが顕著でした。コロナ前も、異業種のラーメン店というのは徐々に増えていましたが、通常営業ができない代わりにラーメンを提供するようになったという影響は大きいでしょう。

さらに、ラーメン専門店が出すしょうゆや豚骨など、いわゆる「定番の味」では勝負できないため、他にないタイプをやらなければと、各店で力を入れていたのだと思います。和食のお店で鴨ラーメン、イタリアンでトマトスープベースなど、工夫が見られました。

こうしたなかで2021年は「貝出汁」ラーメンが増えました。経営母体が居酒屋和食店だと魚介を扱っているので、その特性を活かしたラーメンとして多く出てきたのですが、個性があってとても面白かったですね。

画像素材:PIXTA
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Q.味、店舗、いろいろな意味で新しいタイプのラーメンが増えた年ということですね?

―はい、味やお店はもちろん、提供するスタイル含めですね。2020年は、家で食べる中食(なかしょく)が増えたことで、通販のラーメンが一気に増えました。2021年は、デリバリーをはじめ、スーパー、コンビニなどで、電子レンジで調理したり自分で茹でたりと、家で食べるラーメン商品のバリエーションが多くなりましたね。

コロナ前の2019年と比べると、パッケージや麺がかなり研究されていて、各段においしくなっていて、「家で食べるラーメン」のクオリティはかなり上がったと思いますね。発想を変えれば、家でもおいしいラーメンが食べられる時代になったといえるでしょう。

■日本のラーメンの魅力はどんなところ?

画像素材:PIXTA
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Q.日本のラーメンの魅力はどんなところにあるのでしょうか?

―日本のラーメンは、独自にアレンジしたおもしろさがあるところだと思います。ラーメン自体、もともとは中国生まれで、日本に入ってきたものです。

日本人は凝り性なので、アレンジして作り変えるのが得意な国民なんです。例えば、車も海外から入ってきた後、日本なりにいろいろと工夫して世界のトップを取った産業です。「もともと他国で作られたものを、日本で作り直して世界のトップレベルになる」というものが実はたくさんあって、ラーメンもその一つではないかと思うんです。

ですから、もともとのラーメンを、しょうゆやみそなど日本独自の調味料を使って日本流に作り変えた「日本式ラーメン」を作ってきて、それが人気になっていったというわけです。

また、ラーメンは麺類の中でも特にアレンジしやすい料理です。それもバリエーションが増えた理由だといえます。そばやうどんは、多少決まりがありますよね。ただ、ラーメンは絶対にこう!という決まりがなく、かなり自由に作ることができます。

麺類の歴史でみても、パスタは約700年、そばは約400年、日本のラーメンは約110年ですから浅いほうなんです。ですから、これからまだまだ成長していくジャンルの麺ではないかと思っています。

画像素材:PIXTA
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Q. ラーメンは外国人のみならず、日本人にとっても国民食的な人気を誇っています。どこに行っても食べられるグルメのひとつですよね?

―日本にはたくさんのラーメン店があります。都内だけでも毎月50~60軒の新店が出ているので、なかなか正確な統計が取れないくらいなんです。

全国で約2万5000軒のラーメン屋があるといわれていますが、専門店だけでなく定食屋や居酒屋ファミレスなども含めた「ラーメンが食べられるお店」とすれば、8万軒くらいはあるのではないかと思います。単純に食べられるところが多いということも、日本中で広まって、多くの人に愛されるようになった理由でしょう。

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Q.外国の方に日本のラーメンが人気である理由は、どこにあるのでしょうか?

―味のおいしさはもちろん、自国では食べられないオリジナリティやバリエーションの豊富さが支持されているのではないでしょうか。特に5~10年単位で見ると、日本のラーメンは世界に広まり始めましたね。

ただ、最近は海外のラーメン市場も急成長しています。お寿司でカリフォルニア巻きが誕生して逆輸入されたように、今後は、アメリカ式やドイツ式など、日本にはない新しいタイプのラーメンがでてくるのではないかと思います。

■2022年のトレンド予測!注目のラーメンは?

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Q.2022年は、どんなラーメンが人気になりそうですか?

―2022年は、貝出汁ラーメンがまだまだ来るでしょうね。これまでも貝を隠し味的に使うことはありましたが、ここまで全面に「貝出汁ラーメン」として出ていませんでした。長い歴史の中で、なぜこれまで出てこなかったのだろうと不思議なくらいです。何より味が素晴らしく良くなって、私自身も正直ここまでおいしいとは思わなかったほどです。

ラーメンのうまみのポイントは、昆布や野菜などから出るグルタミン酸と肉や魚から出るイノシン酸だといわれているのですが、貝はコハク酸といってうまみ成分異なります。そういう意味での斬新さや新しさもあって、ラーメン好きな人も「貝っておもしろいね」と新たな魅力に気づく人も増えています。これから貝と豚、貝と鶏など、他のものと組み合わせたラーメンなども、まだまだ出てくると思います。

また、2022年からはラーメンの価格が徐々に上がっていくのではないかと予想しています。ラーメン界では、これまで「1000円の壁」があって、ここを越えるハードルがなかなか高いとされていました。

ですが、海外では1000円でも安く2000円近いのは当たり前です。また肉や野菜など原材料の原価も上がっているので、そういう意味でも価格はぐっと上げてもいいのではないかと思います。今年は、1500円でも十分通用して人気がでる、そんなきっかけになる年ではないかなと思います。

■ラーメン歴50年のプロが注目!2022年注目のラーメン店3選

①貝出汁のおいしさに脱帽!「貝麺みかわ」(下北沢

▶中華そば(塩) 850円
▶中華そば(塩) 850円

2022年注目の貝出汁ラーメンのなかでも、イチオシが下北沢の「貝麺みかわ」。

貝出汁は苦みやえぐみが出やすいのですが、それがまったくなく、ここまでスッキリ作れるのがすごいと思います。貝の扱い方がとても上手で、旨味だけがしっかり抽出されているんです。
ラーメンを約50年食べ続けていますが、このラーメンであらためて貝出汁の魅力に気づいたといっても過言ではありません。

貝出汁はやさしい薄味のようなイメージがあるかもしれませんが、意外とパンチがあって、ひとくち飲めば貝の味がしっかりとわかります。あさりと帆立が中心の貝出汁と牛の出汁を組み合わせたスープは旨味だけがしっかり出ていて、そのおいしさに驚くと思います。

  • 貝麺みかわ
    • 住所 〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-25-4
    • 電話 03-6407-8038
    • 【営業時間】11:00~15:00/17:00~21:00(L.O.20:45)
      【定休日】無休

②新ジャンルのカルテットスープ「入鹿TOKYO 六本木」(六本木

▶ポルチーニ醤油らぁめん 1100円
▶ポルチーニ醤油らぁめん 1100円

カルテットという通り、4種類のスープをそれぞれ作って組み合わせた新しいジャンルのラーメンです。2種類のダブルスープでも売りになるポイントですが、3種類のトリプルスープを越えて4種類とは驚きましたね。これが話題になればなるほど、他の店舗も追随して新たな発想がでてくるのではないかと思います。

ラーメンのスープは、基本的に動物系と魚介系を組み合わせることが多いんです。また、ラーメン店の厨房は狭いこともあって、たいてい1つの大きなずんどうでいろいろな材料を入れて作ります。

ですが、「入鹿TOKYO」は、鶏、伊勢えび、豚、ムール貝の4種の具材でそれぞれにスープを作って、最終的に混ぜて仕上げているので、複雑な旨味があります。食材によって、一番いいだしがでる温度はそれぞれ違うので、最大限生かすために最適の温度でだしを取る手間をかけているんですよね。

そうしたこだわりがあるだけに、スープには他にはない複雑な旨味があります。

  • 入鹿TOKYO 六本木
    • 住所 〒106-0032 東京都港区六本木4-12−12
    • 電話 03-5786-0029
    • 【営業時間】
      [火~土]
      11:00~15:00(L.O 14:50)列最後尾の方の入店が15:00まで
      /18:00~21:00(L.O 20:50)列最後尾の方の入店が21:00まで
      [日]
      11:00~15:00(L.O 14:50)列最後尾の方の入店が15:00まで

      【定休日】月曜日

③3軒しかないミシュランの星獲得ラーメン店のひとつ!「銀座八五」(東銀座

▶味玉中華そば 1250円
▶味玉中華そば 1250円

ラーメン店でミシュランの星を獲得しているお店は3軒しかなく、そのうちの1つが2021年に加わった銀座八五です。

日本のラーメンは、塩や醤油などのタレを入れてスープで割るというのが一般的なスタイルです。ただ、この銀座八五は、タレをスープで割るのではなく、生ハムを用いて塩味を出しフランス産の塩で塩味を調整したスープをそのまま使っています。料理としてのスープの作り方としては当たり前かもしれませんが、ラーメン界ではこれまでの常識を覆す製法なんです。さすが、フレンチ出身のシェフのラーメンだと思います。

スープの材料は、鴨、鶏、生ハム、イタヤ貝、ローストきのこ、ドライトマト、こんぶ、しいたけ。生ハムの塩分がスープに出て、塩味と旨味がしっかり感じられてとてもおいしく、麺はこのスープのためだけに作られた特注のオリジナル麺を使用しています。これだけのこだわりと味は唯一無二ですね。

  • 銀座八五(ぎんざ はちごう)
    • 住所 〒104-0061東京都中央区銀座3-14-2 第一はなぶさビル 1F
    • 電話 03-6228-4141
    • 【営業時間】11:00~15:00/17:00~21:00 ※スープがなくなり次第、営業終了
      【定休日】毎週水曜・第2&第4木曜

■2022年は「貝出汁ラーメン」と新感覚のスープが見逃せない!

奇しくもコロナによって、ひとつ大きな進化を遂げたラーメン界。デリバリーやテイクアウトの増加だけでなく、ラーメンというグルメ市場もそのものも広がっているとのこと。
2022年は注目の貝出汁ラーメン、また新しい概念で作られたスープなど、日本のラーメンからますます目が離せません。

※ 2022年1月取材時の情報です
※ 各店舗は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の状況により提供内容や営業時間の変更、臨時休業をしている場合があります。詳細は公式サイトや公式SNSなどでご確認ください

Written by:

島田みゆ

島田みゆ

旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。X(旧Twitter):@myuu_works

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