宮城県沿岸部の三陸は、世界三大漁場にも数えられる豊かな海です。その滋養たっぷりの海で育ったのが、松島の牡蠣。寒流と暖流が混ざり合った海で種牡蠣の時から少しずつ成長する宮城県の牡蠣は、ほとんどが生食用という、抜群の新鮮さが売り。10月から3月の最盛期の旬を迎える牡蠣は、松島の多くの飲食店で味わうことができます。なかでも近年人気を集めているのが「かき小屋」です。食べ放題で豪快に宮城の海の幸を楽しみましょう。
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栄養たっぷりの海で育ったからこそうまい、宮城の牡蠣
宮城県は、広島県に次いで牡蠣出荷量が全国2位(2015年漁業・養殖業生産統計年報より)。ただ、広島県ではその多くが加熱用であるのに対し、宮城県の牡蠣はほとんどが生食用になっています。牡蠣の加熱・生食というのは、出荷海域がどこかというところで決定されています。宮城県では松島をはじめ、気仙沼、石巻など11の海域が生食用の指定を受けていて、県内の牡蠣出荷海域のほぼすべてが生食用になっているのです。
また、出荷までの期間も海域によって異なります。栄養の多い海は、1年で大きく成長しますし、栄養が少ない海では成長に時間がかかることも。また漁師によっても育て方が微妙に異なり、養殖そのものへの工夫もさまざまになされています。だからこそ、宮城の牡蠣は常に全国トップクラスの品質を保っていられるのです。
1600年代から始まった松島の牡蠣養殖
宮城県の牡蠣養殖の歴史は、1600年代、松島湾にある野々島で内海庄左衛門が、島周辺に大量のカキが付着しているのを発見したことから始まります。すぐにこれを採取するとともに天然稚貝を拾い集め,海へ撒いて育成を開始。その後、1800年代まで天然牡蠣の採取は行われていたようです。
しかし時を経るにしたがい天然牡蠣は激減。養殖への方向転換をせざる得ない状況となり、広島から牡蠣の教師を招いて養殖技術向上をはかりますが、なかなかうまくいきませんでした。
ところが1923年、神奈川県で生産性に優れた「垂下式」の養殖法が開発され、これが宮城の海にマッチ。1930年代には、水深の深い場所でも養殖可能な「イカダ式」も開発され、宮城県の養殖生産が飛躍的に伸びていきました。
今、一番人気の牡蠣の食べ方「かき小屋」
生をはじめ、焼き、蒸し、フライ、鍋などさまざまな食べ方ができる牡蠣。日本三景の地として知られ、宮城県の人気観光スポットである松島では、例年10月から3月あたりまで、各飲食店でこうした牡蠣料理を堪能できます。
その中でも、ここ数年、食べ方の主流になっているのが「かき小屋」。大きな鉄板の上にスコップで豪快に牡蠣をのせ、フタを載せたらそのまましばし焼き(蒸し)、15分ほどしてフタをあければできあがり。あとはひたすら牡蠣を食べまくるというシステムで、食べ放題の時間制限は店によってさまざま。とはいえ、ほとんどのお客さんは、牡蠣のおいしさ、ボリュームに大満足して帰ります。
松島さかな市場が営む、通年楽しめる「焼きがきハウス」
JR松島海岸駅から徒歩10分ほどの場所にある「松島さかな市場」は、気仙沼で6隻の大型まぐろ船を持つ船主が運営する大型店。季節ごとの三陸の旬魚や水産加工品の販売、2階には食堂もあり格安で海鮮丼や寿司が味わえます。
その敷地内に別館として建てられたのが「焼きがきハウス」です。松島の牡蠣は、秋から冬が最盛期の旬。しかしこの店では、松島だけでなく県内各地から牡蠣を仕入れることで、年間を通して焼き牡蠣を提供。いつでも牡蠣を食べられる安心感から、日本人のみならず外国人観光客も多く訪れています。特に外国語対応はしていませんが、メニュー構成などがシンプルなので、外国人旅行客でも注文に困ることはありません。
45分間、焼き牡蠣が食べ放題!どんなシステムなの?
店内に入ったら、まずは受付でコースを選びます。Aコース(2,800円・税込)では、45分間、焼きがき食べ放題にかきご飯とかき汁が付きます。Bコース(2,300円・税込)は45分間、焼きがき食べ放題のみとなります。
焼きがきハウスの店内は、焼き牡蠣を食べることに特化したかのようにいたってシンプル。大きな鉄板がテーブル上にどんと置かれ、その上には大量の煙が吸い込めるよう大きな吸気口が構えています。イスに座ったら、牡蠣を焼く前にスタッフから調理の注意点や牡蠣のむき方などのレクチャーを受けます。ひと通り説明が終わったら、いよいよ食べ放題のスタート。大きなスコップにたっぷり盛られた牡蠣が、テーブルに運ばれて来ます。
殻から牡蠣の身をとり素早く口へ運ぶ…焼き牡蠣のおいしい食べ方とは
スコップ山盛りの牡蠣を鉄板にザザーッとのせたら大きなフタをし、15分待ちます。最初の牡蠣を食べるまで、しばしの我慢。時間が来たらスタッフがフタを豪快にあけてくれます。すると牡蠣の香りをたっぷり含んだ蒸気が、あたり一面にブワーッと立ちこめます。
食欲を刺激する匂いに包まれつつ、早速1個目の牡蠣をむき、あつあつの内に口へ。早朝まで海にいた牡蠣は、塩味が十分付いているので、まずはそのままで何個か食べるのがおすすめ。ジューシーな牡蠣の旨みと磯の香りを存分に楽しみましょう。
牡蠣グラタンやかき汁も絶品
焼き牡蠣は、1人30~40個を食べるという人が多いそう。けっこうな数ですが、それ以上たいらげる人もいるのだとか。牡蠣をそのまま食べるのに飽きてきたら、テーブルに用意してある醤油をたらしていただくのもおすすめ。
食べ終わった牡蠣の殻は、イスの近くに置かれた缶の中へ次々と落としていきます。缶にどんどん殻がたまっていく光景に「食べてるなあ」という実感がわきます。また牡蠣グラタン、かき汁、かきご飯などの牡蠣の単品メニュー、アワビやイカ、エビ、ホタテなど、鮮度のいいさまざまな魚介もここでは味わえます。海の幸をとことん楽しめるのも焼きがきハウスの魅力。
牡蠣を食べた後は、松島さかな市場で買い物
焼きがきハウスでは、食べ放題だけでなくお得なセットメニューも用意されています。焼きがき、かき飯、かき汁がセットになった「五大堂Aセット」(1,400円・税込)、カキとアワビが味わえる「デラックスセット」(1,800円・税込)など、食事だけを気軽に楽しみたい時にもおすすめです。
たっぷり牡蠣のおいしさを楽しんだあとは、松島さかな市場でショッピングをするのもいいでしょう。松島さかな市場では、日本各地の活魚、鮮魚など1,500種類以上を取り扱っています。また珍味や缶詰、笹かまぼこなどの水産加工品も充実、おみやげ選びに最適のスポットなのです。三陸沖で獲れる金華さばや三陸わかめ、かきのやわらか煮など人気商品もたくさん揃っています。
「海のミルク」ともいわれる松島の牡蠣
歴史ある松島の牡蠣は、10月から3月の最盛期になると、国内のみならず海外からも多くの人が訪れ、牡蠣を味わっていきます。町の飲食店全体で取り組む「かき丼」も、秋冬限定で登場し、各食事処で味わえるように。
また、生食用として出荷される宮城の牡蠣は、身が締まっていて濃厚な味わいを楽しめることから、時に「海のミルク」などと言われることも。生で味わう時は、レモン汁をしぼってかけ、そのままパクリと頬張るのがおすすめです。
牡蠣の濃厚な味わいを、レモンの酸味がほどよく中和し、たまらないおいしさに。この冬、獲れたての牡蠣を味わいに、日本三景の地・松島へ足を運んでみてはいかがでしょう。
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松島さかな市場 焼がきハウス
- 住所 〒981-0213 宮城県宮城郡松島町松島普賢堂4-10
- 電話 022-353-2318
営業時間:8:30~16:00(LO15:00)
定休日:不定休
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Text by:株式会社シュープレス
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