日本の東北地方の多くのエリアでは冬になると雪が降り、美しい雪景色とスキーや温泉を求めて大勢の観光客が訪れます。宮城の蔵王や山形の銀山温泉は知名度が高いですが、よりディープな雪景色を巡るなら青森、秋田の北東北エリアがおすすめ。JR EAST PASS (Tohoku area)をフルで使って北東北の雪景色や雪の祭りを堪能する4泊5日プランをご提案します。
東北の旅が断然お得になる「JR EAST PASS」を購入しよう
JRの対象エリア内の列車・新幹線が5日間乗り放題となる外国人向けフリーパス。JR EAST PASS (Tohoku area)は東北6県と関東の一部を対象とし、大人20,000円、子ども10,000円。JR EAST PASS (Nagano, Niigata area)は新潟県、長野県、関東の一部が対象で、大人18,000円、子ども9,000円です。
※2023年10月1日(日)発売分より価格改定を実施。詳細はJR公式サイトをご確認ください。
1日目:新幹線はやぶさで新青森へ!
■8:00 東京駅から新青森行の新幹線に乗車
東京駅に行き、予約した情報を券売機で読み込んで、JR EAST PASS (Tohoku area)を入手します。その後、東北新幹線はやぶさの乗り場へ向かいましょう。
最初の目的地は、本州最北端の青森県の新青森駅。東京駅から新青森駅のはやぶさの乗車時間は、平均3時間10分~20分。新函館北斗行きと新青森行きの2種類があり、どちらも新青森駅に停車するので、はやぶさに乗れば乗り換えなしで新青森駅に到着できます。
■12:00 新青森駅から青森駅に移動して海鮮ランチ
新幹線の停車駅である新青森駅より、青森駅周辺の方が飲食店やお土産店が多くあります。改札を出ずにJR奥羽本線弘前行きで約5分乗車し、青森駅へ。駅に降りると白い雪景色が広がり感動!ロッカーに荷物を預けたら、市街地へ向かいます。
1日目のランチは徒歩約5分の場所にある青森魚菜センターの「元祖 青森のっけ丼」。元祖 青森のっけ丼とは、白米だけの丼を購入して、まぐろやサーモン、えび、たこなど市場内の好きな魚介類を乗せて自分流の海鮮丼を作るというもの。海に面した青森の食材は新鮮そのもの。言葉が通じなくても、市場の皆さんは身振り手振りで温かく出迎えてくれます。
■15:00 弘前城で和を感じる雪景色を堪能
青森駅からJR EAST PASSを利用してJR奥羽本線弘前行または大館行に乗り、弘前駅へ。乗車時間は約45~55分。弘前といえば、およそ200年前に築城した天守閣が現存する弘前城が有名です。桜の名所として知られていますが、雪が積もった弘前城も見事です。弘前駅からは弘前市内循環100円バスを利用して約15分の乗車で到着です。
晴れた日に訪れれば、雪が積もった岩木山がはっきりと見えます。
例年2月上旬の数日間、「弘前城雪燈籠まつり」が開催され、雪で作られた灯篭や雪像の設置や天守と老松のライトアップ等が行われます。
2日目:ローカル列車五能線を満喫して黄金崎不老ふ死温泉へ
■8:00 リゾートしらかみで五能線の旅
弘前駅からリゾートしらかみに乗り、目的地の「黄金崎不老ふ死温泉」を目指します。リゾートしらかみはJR奥羽本線・五能線を走る臨時快速列車で、弘前駅から黄金崎不老ふ死温泉の最寄駅であるウェスパ椿山駅までは約2時間半。2号車のボックス席は事前予約が必須なので、乗りたい人は旅行前に東京都内主要駅にあるJR EAST Travel Service Centerに相談しましょう。
リゾートしらかみの魅力は、壮大な日本海の絶景。五能線は海岸線ギリギリを走るため、目の前に広がる大海原を独り占めしているような気分で列車の旅に浸れます。
10:15頃、列車は千畳敷駅に停車します。ここは地震によって隆起した岩床の海岸で、今も特徴的な岩の海岸沿いを歩けます。付近を観光できるよう15分程停車するので、ホームに降りて、千畳敷をぜひ眺めてみましょう。
■11:15 ウェスパ椿山駅から黄金崎不老ふ死温泉へ
11:15頃、ウェスパ椿山駅に停車。この駅はホームだけの無人駅で、降りてすぐ目の前に黄金崎不老ふ死温泉の送迎バスが来ていることを発見できるはず。5分程バスに乗ったら到着です。
ランチは黄金崎不老ふ死温泉内のレストランで名物の「深浦マグロステーキ丼」を味わいましょう。黄金崎不老ふ死温泉のある青森県西津軽郡深浦町は、県内一の本マグロ水揚げ量を誇る本マグロの名産地。ほどよい脂のりと濃厚な舌触りがたまりません。
お腹が満足して部屋でのんびりしたら、お目当ての温泉へ。黄金崎不老ふ死温泉は日本海の波打ち際に造られた、開放感のある露天風呂が最大の魅力です。夕暮れ時は特に人気があり、燃えるような夕日が水平線に沈む様は、息を吞むほどの美しさ。
夕飯は海鮮料理が中心のビュッフェでお腹を満たし、早めに眠りにつきます。
3日目:雪深い秋田県の田沢湖&乳頭温泉郷へ
■9:30 ウェスパ椿山駅から田沢湖へ
3日目は秋田県へ!ウェスパ椿山駅からJR五能線快速東能代行に乗り、1時間程乗車して東能代駅まで向かいます。東能代駅では奥羽本線特急つがる2号特急秋田行に乗り換えます。乗り換え時間は15分ほどなので、落ち着いて移動しましょう。約60分の乗車で秋田駅に到着したら、秋田新幹線こまち東京行に約1時間乗り田沢湖駅で下車します。こまちは全席指定席のため、秋田駅で券売機かみどりの窓口で席の予約が必要です。
駅構内の田沢湖観光情報センター「フォレイク」では、手荷物預かり(1個500円)を利用するのが便利です。
■13:30 御座石神社でSNS映え写真を撮影
田沢湖駅から羽後交通バスで約15分乗車すると、田沢湖畔に辿り着きます。田沢湖は秋田県仙北市にある淡水湖で、日本で最も深い湖です。冬になると、田沢湖の伝説の人物を模した「たつこ」のブロンズ像も雪に包まれます。
この田沢湖で今注目なのが、湖畔にある御座石(ござのいし)神社。朱い鳥居に雪が積もり、その奥に田沢湖が望める様が美しいと話題になっています。真っ白い雪に包まれた鳥居と本殿の神々しさに圧倒されます。田沢湖駅から御座石神社へは田沢湖一周線が最も安い行き方ですが、本数が少ないため、田沢湖駅前に停車中のタクシーを利用するのがおすすめです。
■17:00 雪深い乳頭温泉郷で体の芯まで温まる
この日の宿泊先は乳頭温泉郷。田沢湖畔または田沢湖駅からは羽後交通バスを利用すれば、各温泉宿の近くまで辿り着けます。冬の乳頭温泉郷は雪に囲まれた露天風呂が最大の魅力。幻想的な空間で、体の芯から温まります。
温泉郷の中でも最も歴史がある「鶴の湯」は、昔の風情を残した温泉で、武士がいた400年近く前から残る茅葺屋根の長屋も見所です。
4日目:角館武家屋敷で伝統の祭りを鑑賞
■11:30 田沢湖駅周辺で名物料理を堪能
4日目は乳頭温泉郷を出発後、田沢湖駅まで戻ります。田沢湖駅周辺にはレストランが多数あり、秋田名物の稲庭うどんを始め、そば、ラーメンのお店が並んでいます。移動前に腹ごしらえするのがおすすめ。
■12:30 角館武家屋敷で歴史ある街を探訪
田沢湖駅からこまち秋田行で15分程乗車し、角館駅に到着です。仙北市観光情報センター「角館駅前蔵」でも田沢湖駅と同じく手荷物預かり(1個500円)サービスがあるので、ぜひご利用を。
角館は、秋田を統治した佐竹氏の一族である佐竹北家の城下町として発展した街。統治時代から400年経った今も、黒板塀の重厚な武家屋敷の町並みが残ります。角館といえば武家屋敷通り沿いに咲くシダレザクラが有名ですが、冬は黒壁に真っ白な雪がよく映え、春とはまるで違う景色が広がります。
■18:30 幻想的な火振りかまくらに感動
角館の冬の風物詩が、例年2月14日に行われる「火振りかまくら」。縄を付けた炭俵に火をつけて、体の周りを勢いよく振り回す行事です。火振りかまくらは角館町内の各地で夜間に実施。角館駅から3日目の宿泊先の横手駅へ行く終電は20時頃なので、早めに駅へ戻りましょう。角館駅から横手駅へ行くにはこまち秋田行に10分程乗って大曲駅で下車し、JR奥羽本線の新庄行、湯沢行、院内行、横手行のいずれかに乗車して、20分程で横手駅に到着です。
5日目:雪の東北のクライマックス!幻想的な横手のかまくら見物へ
■11:00 横手市内を歩きながら屋台や冬の市へ
雪の東北を満喫する旅、最終日の5日目は横手のかまくら見物へ!かまくらは秋田県横手市の伝統行事で、例年2月15・16日の2日間、雪で作られた小さな家が横手駅周辺や横手公園などに現れます。かまくらの雪まつりは夜が見所なので、日中は横手名物の屋台が並ぶ「ほっこり横丁」や秋田の食や体験を楽しめる「かまくら冬の市」を訪れてみましょう。
■13:00 ランチはご当地グルメの横手やきそば
横手のご当地グルメといえば横手やきそば。キャベツや豚ひき肉と炒めた太麺の焼きそばの上に目玉焼きを乗せた品で、甘めのソースと食べ応えのあるもちもち麺が病みつきになります。横手やきそばのレストランは、駅前を中心に多数あります。
■15:00 「かまくら館」でかまくらの歴史を知る
横手のかまくらの歴史をより知りたいなら、横手市ふれあいセンター「かまくら館」へ行くのもおすすめです。常設展示の雪のかまくらを室内でも体験できるほか、横手の特産品も販売しています。夜の時間帯に備えて、ここで暖を取って回復しておきましょう。
■17:30 かまくらに火が灯り始め、横手の雪まつり開幕
かまくらは夜こそが本番。内部にあかりが灯り、幻想的な雰囲気に包まれます。天守閣を背景に2基のかまくらが並ぶ横手公園、流星群のようなミニかまくらがロマンティックな蛇の先川原など、会場各所で見所満載です。夜間開催中(17:40~21時頃)は巡回バスがあるので随時利用しながら回りましょう。
横手から東京への終電は20時頃。横手駅から大曲駅まで奥羽本線秋田行で約15分乗車し、大曲駅から東京駅までこまちを利用して帰京します。乗車時間は約3時間半。新幹線に揺られながら、雪の東北の思い出を振り返るのも楽しい時間になるはずです。
雪と絶景を巡る北東北の4泊5日の旅。弘前城の雪灯篭や横手のかまくらなどの雪まつりは同時期にまとまって開催されるので、旅程を合わせて訪れてみましょう。日本文化に触れながら雪景色を堪能すれば、忘れられない思い出が作れるに違いありません。
※本記事の情報は2023年7月時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
旅行会社に勤める現役会社員の日本人ライター。大手ウェブサイトで編集者として従事した後、旅行会社に転職。そのため、旅行系・グルメ系のジャンルを得意とし、日本全国47都道府県で取材実績あり。旅行会社勤務だからこそ知れる秘境や絶景、旅の裏ワザを伝えながら日々取材に奔走している。
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