青森県の西部に位置する弘前(ひろさき)市は、約400年にわたる歴史を刻んだ城下町であり、今も街並みや建造物にその名残が見られる津軽の中心都市です。市の中心部に位置する弘前公園では、「日本一の桜」とも称される美しい桜や紅葉など四季折々の自然を楽しめるだけでなく、東北地方に唯一現存する「弘前城」天守も見られるなど見どころ満載。自然と歴史が共存する青森県の代表的な観光スポット、弘前公園・弘前城跡の楽しみ方をご紹介します。
弘前公園・弘前城跡とは?
弘前城のはじまりは、今から約400年以上前の1603年。弘前の初代藩主・津軽為信(ためのぶ)が津軽地方を治めるために新たな城を築くことを決意し、現在の弘前の地を選定しました。そして1611年に二代藩主・津軽信枚(のぶひら)が五層の天守を構え、周囲には多数の櫓(やぐら)や門、石垣や土塁など万全の防御態勢を備えた高岡城(後の弘前城)が完成。同時に城下町の建設も進められ、現在も街中に点在する武家屋敷や商家、寺院などは国の重要文化財にいくつも指定されています。
破格の規模を誇り、東北の名城として名を馳せた弘前城でしたが、1627年に五層天守が落雷により焼失してしまいます。しばらく天守を持たない状態が続きましたが、1810年に幕府より蝦夷地(現在の北海道)の警備を命じられた功績により、九代目藩主・津軽寧親(やすちか)が本丸にあった辰巳櫓(たつみやぐら)を改築。これこそが東北地方に唯一現存する、弘前城の天守です。
その後明治維新により日本は近代化の道を歩み、1895年に城跡は弘前公園としてスタート。天守や櫓、城門など藩政時代の面影を残しながら、豊かな自然に囲まれた公園は市民にとって憩いの場になったとともに、桜や紅葉などのシーズンにはその美しい景観を一目見ようと、世界中から観光客が訪れる青森県を代表する人気スポットになりました。
弘前公園までのアクセスは?駅から出ている100円バスが便利
東京から、弘前公園のある青森県弘前市へは電車や飛行機の利用がおすすめ。電車の場合はJR東京駅から東北新幹線で新青森駅まで行き、在来線に乗り換えて弘前駅へ。飛行機の場合は羽田空港から青森行きの直行便に乗り、青森空港からはバスやタクシーを利用して弘前まで向かいます。
電車を利用の場合
・東京駅~新青森駅(所要時間:約3時間)
・新青森駅~弘前駅(所要時間:約40分)
飛行機を利用の場合
・羽田空港~青森空港(所要時間:約1時間15分)
・青森空港~弘前駅(所要時間:バスで約55分)
弘前駅から弘前公園までは約2kmあり、徒歩やタクシーで行く人も多いですが、おすすめはバス。市内を循環する「100円バス」はその名の通りどこで降りても100円で、弘前公園のすぐ近くまでワンコインで到着します。10分間隔で運行しているので、混雑するシーズンでもストレスなく移動できるのも◎。
徒歩の場合
・弘前駅中央口~弘前公園(所要時間:約30分)
タクシーを利用する場合
・弘前駅中央口~弘前公園(所要時間:約10分)
バスを利用する場合
・弘前駅中央口~弘南バス「市役所前」下車(所要時間:約15分)
弘前公園の見どころは?広大な公園を自然散策
弘前公園の敷地は約492,000平方メートルと広大で、2時間ほどでほとんどの場所を巡ることができます。各ポイントには案内板が設置されているので迷うこともなく安心。入り口は複数ありますが、初めて訪れる場合は正面玄関ともいえる追手門(おうてもん)口から散策してみましょう。
桜の木を中心に豊かな自然に囲まれ、よく整備された園内は開放的で歩きやすく、のんびり散策しているだけでも飽きません。ベンチに座りながら雄大な景色を眺めたり、色とりどりの植物を近くで鑑賞したり、広場でピクニックをしたりなど、楽しみ方は人それぞれです。
追手門をはじめ、城跡をそのまま利用した園内には天守をはじめ櫓が3棟、城門が5棟現存していて、重要文化財を間近に鑑賞するのも楽しみ方の一つ。特に城門は戦国時代の形式を残す素木造りであり、敵を狙い撃ちするために設置された銃眼や出格子窓など、当時の様子をよく残しています。
その他にも朱色が美しい橋や春はボート乗りが楽しめる濠など、園内には見どころが満載。訪れる季節によって見える景色は全く違うので、その時々の散策を毎回楽しめます。また、公園の外濠周辺には城下町の名残ある住宅も点在しているので、少し抜け出して見学してみるのもおすすめです。
弘前城跡の見どころは?天守の内部も見学できる
公園散策も済ませたところで、いよいよ弘前城天守へ。天守がある本丸エリアは有料区域になっていて、受付で入園券を購入して中に入ります。また、多彩な植物や紅葉が美しい植物園にも入園できるお得な共通券も販売しているので、お目当てのスポットに合わせて選ぶといいでしょう。
有料区域入園料金(弘前城本丸・北の郭)
1日入園券:大人320円、子供100円
共通券:大人520円、子供160円
期間・時間:4月1日~11月23日 9:00~17:00(4月23日〜5月5日 7:00~21:00)
※11月24日~3月31日は入園無料(天守は閉館)
本来は石垣の上に建っている弘前城天守ですが、前述の通り、現在は仮天守台に設置されています。仮設で作られた展望台は天気が良ければ岩木山が後方に見え、天守とのコラボが見られる人気のフォトスポット。石垣修理は2025年まで行われる予定ですので、今しか見られない貴重な天守の姿をカメラに収めましょう。
また、天守の中には入園券があれば入ることができ、天守からの眺めを楽しむこともできます。階段を上がって各階を巡り、大名になった気分で外の景色を覗いてみましょう。ただし、冬期(11月24日~3月31日)は入場ができませんので注意が必要です。
春の見どころ 満開の桜と花筏に酔いしれる
弘前公園で最も人気のあるシーズンといえば、やはり春。園内で開催される「弘前さくらまつり」には毎年200万人を超える観光客が訪れ、桜が生み出す絶景に酔いしれています。園内に植えられた52種類、約2,600本の桜が見頃を迎えるのは4月下旬から5月上旬頃で、城跡を彩るその美しい姿は言葉を失うほど。独自の剪定技術と丁寧な管理によって育った桜は花びらのボリュームが多く、満開になった姿には十分な見応えがあります。
桜のトンネルや弘前城天守とのコラボ、濠に落ちた花びらがピンク色の絨毯になる「花筏(はないかだ)」など、フォトスポットは多彩。夜にはライトアップも行われ、息をのむような美しさはまさに「日本一の桜」です。
夏の見どころ 緑と青空のコラボが美しい
桜が散ると新緑が眩しい季節が訪れ、可憐な蓮の花が咲く夏。園内は鮮やかな緑に覆われ、青空とのコントラストが爽やかで美しいです。8月の「弘前ねぷたまつり」と一緒に訪れる観光客が多く、アイスクリーム片手に散策を楽しむ姿は弘前の夏の風物詩。静かな園内でベンチに座り、身も心も癒されてみてはいかがでしょうか。
秋の見どころ 色鮮やかな紅葉が城跡を染め上げる
10月ごろになると園内の桜と楓は色鮮やかな紅葉に包まれ、天守や城門に厳粛な雰囲気が漂います。ひらひらと舞い落ちる枯れ葉は秋色の絨毯になり、秋晴れの日は風情たっぷりの空間に。鮮やかなイエローが美しいイチョウの木やライトアップされた妖美な紅葉など、フォトスポットも多くて飽きません。紅葉だけではなく、豪華絢爛な菊人形や菊花の展示が楽しめる「弘前城菊と紅葉まつり」の開催時期に訪れるのがおすすめ。
冬の見どころ 雪国ならではの楽しみ方
早ければ11月にも雪が降り始め、園内が真っ白な景色に変わる冬。毎年2月に開催される「弘前城雪燈籠まつり」では、約150基にも及ぶ雪の燈籠が園内に設置され、辺りは幻想的な雰囲気に包まれます。照明に浮かぶ弘前城天守や灯りがともされたミニカマクラ群、地元民によって作られる雪像など見どころは満載で、雪のアートで冬を楽しむイベントの数々は雪深い津軽ならでは。最近では雪が積もった桜の木に照明を当て、桜のような美しさを演出する「冬に咲くさくらライトアップ」も人気です。
実施中の新型コロナ感染症対策
弘前公園内の案内所では、スタッフがマスクもしくはフェイスシールドを着用しており、園内施設では入り口で手指消毒、マスク着用の徹底をお願いしています。また、屋外でもソーシャルディスタンスを保つことやマスク着用をお願いする案内板などが設置され、イベント開催時は来園者受付用紙に氏名、連絡先などを記入してもらうなど、新型コロナウイルス感染症の対策もしっかり行われています。
●実施中の新型コロナ感染症対策
園内施設や設備等の消毒・除菌・洗浄/消毒液の設置/仕切り板の設置/スタッフのマスク着用・手洗い・消毒・うがい・検温の実施/来園者へのマスク着用のお願い
四季折々の美しい景色を見せてくれる弘前公園。江戸時代を駆け抜けた名城の名残はそのままに、桜によって自然と調和した姿はまさに「死ぬまでに一度は見たい絶景」です。この感動を味わうためにも、次の旅行では青森県弘前市にぜひ訪れてみてくださいね。
Text by:下田 翼
※本記事の情報は2021年3月時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
弘前公園に近いおすすめホテル
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住所
036-8004 青森県 弘前市大町1-1-2
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最寄駅
弘前 駅 (弘南鉄道弘南線)
徒歩6分
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住所
036-8004 青森県 弘前市大町1-1-2
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