HOME 青森の豪雪地帯にある「酸ヶ湯温泉」、混浴の大浴場・ヒバ千人風呂とは?
青森の豪雪地帯にある「酸ヶ湯温泉」、混浴の大浴場・ヒバ千人風呂とは?

青森の豪雪地帯にある「酸ヶ湯温泉」、混浴の大浴場・ヒバ千人風呂とは?

更新日: 2022/10/18

「世界一雪が積もる都市」ともいわれている、青森県青森市。その中でも八甲田の山奥にある酸ヶ湯(すかゆ)温泉は、毎年4mを超える積雪量がありながら、海外からも観光客が絶えず訪れていた人気の温泉スポットです。混浴の大浴場「ヒバ千人風呂」は効能抜群の温泉ですが、その魅力や入浴時のポイントとは?周辺観光地や宿泊施設も含め、冬に訪れる酸ヶ湯温泉の魅力をお伝えします。

目次
  1. 酸ヶ湯温泉とは?
  2. 酸ヶ湯温泉へのアクセスは?冬場は要注意
  3. いざ到着!ヒバ千人風呂/玉の湯に入ってみよう
  4. 旅館棟や湯治棟もある
  5. 八甲田山ロープウェーで絶景&ウィンタースポーツを堪能
  6. 無料送迎あり!酸ヶ湯温泉周辺の宿もおすすめ
  7. (1)八甲田ホテル
  8. (2)ホテル城ヶ倉

酸ヶ湯温泉とは?

酸ヶ湯温泉は火山群・八甲田の主峰「大岳」の西麓に位置し、標高約900メートルの高地にある温泉です。美しい風景に恵まれた土地にあり、春は高山植物の美しい花が咲き、秋は色鮮やかな紅葉が楽しめます。また、世界有数の豪雪地帯でもあるため、冬場は山岳スキーのメッカでもある酸ヶ湯。積雪量が5mを超える年もある、豊富で質の高い雪を求め、オーストラリアやヨーロッパなど世界中からスキーヤーが訪れます。

冬の八甲田
冬の八甲田

酸ヶ湯温泉のはじまりは、今から約300年前の1684年。地元の狩人が手負いの鹿を追って山へ入っていたところ、その鹿が岩山を駆け上がり、元気に逃げていく姿を見つけました。傷を負っていたはずの鹿を不思議に思い、あたりを探索したところ、温泉が湧いているのを発見。その後、その温泉に薬効があることを知ったことから「鹿湯(しかゆ)」と名付けられ、それが変化して「酸ヶ湯」となりました。

1917年に木造宿舎になった酸ヶ湯温泉宿(写真提供:酸ヶ湯温泉)
1917年に木造宿舎になった酸ヶ湯温泉宿(写真提供:酸ヶ湯温泉)

その後、地元の人が源泉の近くに小さな小屋を建て、山菜取りや狩人らに温泉を開放したことからはじまり、その優れた薬効と高地気候の作用が相まって、全国でも有数の湯治場に。時代とともに湯治棟や旅館棟を増改築し、1954年には優れた環境が整う温泉地として、国民保養温泉地第一号に指定されました。

酸ヶ湯の「酸」は英語で「acid」を意味し、その通り強酸性の源泉が特徴。酸性の硫黄泉はリュウマチ、神経痛、胃腸病などの効果改善が期待でき、現在でも湯治を目的にした利用者が訪れる名湯です。160畳もの浴室には混浴の大浴場「ヒバ千人風呂」をはじめ5つのお湯があり、訪れた人を癒し続けているのです。

千人風呂を楽しむ湯治客(写真提供:酸ヶ湯温泉)
千人風呂を楽しむ湯治客(写真提供:酸ヶ湯温泉)

酸ヶ湯温泉へのアクセスは?冬場は要注意

全国有数の名湯・酸ヶ湯温泉ですが、八甲田の山奥に位置することもあり、訪れる前にアクセス情報をしっかり調べておきましょう。

東京や大阪から向かう場合は飛行機もしくは新幹線で青森まで行き、そこからバスで向かうのがおすすめ。ただし飛行機の場合は青森空港から酸ヶ湯への直通バスはないため、青森駅または新青森駅まで行き、冬も年中無休で運行しているJRバスで酸ヶ湯温泉へ。ちなみに、酸ヶ湯温泉宿に宿泊の場合は青森駅前から予約制で送迎バスが出ますので、宿泊者はそちらを利用しましょう。

JRバスを利用の場合
青森駅東口~酸ヶ湯温泉前(所要時間:1時間10分)
・新青森駅東口~酸ヶ湯温泉前(所要時間:1時間20分)

青森駅のバスロータリー  Phuong D. Nguyen / Shutterstock.com
青森駅のバスロータリー Phuong D. Nguyen / Shutterstock.com

レンタカーもおすすめですが、冬の運転は要注意。カーブの多い山道は滑りやすく、四輪駆動かタイヤチェーン等滑り止めが必要です。また、冬季期間中の夜間は一部ゲートが閉まり、天候によっては昼間も一部通行止めが発生する場合も。特に冬場は事前の情報をしっかりおさえ、雪道の運転に慣れていない人はバスなどを利用しましょう。

酸ヶ湯へ向かう雪道
酸ヶ湯へ向かう雪道

いざ到着!ヒバ千人風呂/玉の湯に入ってみよう

険しい八甲田の雪道を乗り越え、酸ヶ湯温泉に到着するとレトロな木造建築が待っていました。大きく「酸ヶ湯」と書かれた看板は歴史を感じる佇まいであり、入る前から期待感にあふれます。

酸ヶ湯温泉入り口
酸ヶ湯温泉入り口
命綱をつけて屋根の雪下ろしをする姿も
命綱をつけて屋根の雪下ろしをする姿も

館内はとても広く、湯治宿らしい情緒ある空間。券売機を買ってフロントで受け付けを済ませ、いよいよ温泉に入ります。ちなみにバスタオルとフェイスタオルも付いているので、入浴は手ぶらでOK。また、ヒバ千人風呂は入浴のためだけの大浴場であり、洗い場がついていません。石鹸やシャンプーの使用も禁止なので注意が必要です。

酸ヶ湯オリジナルのフェイスタオルは持ち帰って旅の思い出に
酸ヶ湯オリジナルのフェイスタオルは持ち帰って旅の思い出に
刺青のある人は入場をお断りしているが、タトゥーのある人はフロントに申し出ればシールを無料でもらえる場合あり
刺青のある人は入場をお断りしているが、タトゥーのある人はフロントに申し出ればシールを無料でもらえる場合あり

着替えを済ませていざ、ヒバ千人風呂へ。浴場に入ると、開放的な空間と白濁したいくつもの浴槽が目の前に飛び込んできました。千人風呂という名前の通り、1,000人も入れそうな広さと、青森県産のヒバをふんだんに使った柱一本ない浴場は圧倒的な存在感があり、まるで自然と一体になったような心地よい感覚に陥ります。

ヒバ造りの千人風呂(写真提供:酸ヶ湯温泉)
ヒバ造りの千人風呂(写真提供:酸ヶ湯温泉)

それぞれのお湯を堪能する前に、2つ注意点が。「混浴」といわれるヒバ千人風呂ですが、基本的に左が男性で、右が女性の入浴スペースです。仕切りがある訳ではありませんが、男性が通行を遠慮してもらうエリアもあり、女性でも安心して温泉を楽しめる配慮がされています。男性はマナーを守って入浴しましょう。また、女性は館内の売店で売られている、着用したまま入力できる温泉着を利用するのもおすすめです。女性専用時間(8:00~9:00・20:00〜21:00)もあるため、混浴を避けたい人はその時間に利用しましょう。

もう一つは、酸ヶ湯温泉はpH1.7という強酸性のお湯であり、入浴すると少しピリピリを肌に感じます。肌が弱い人は炎症を起こす可能性もあるため、基本的に入浴は長くてもそれぞれ10分程度にすること、湯に浸かっている間は体を擦ったりしないことが大切です。

服を着ながら入浴できる温泉着「湯美人」(1,100円・税込)
服を着ながら入浴できる温泉着「湯美人」(1,100円・税込)

十分なかけ湯をした後、まずは一番手前にある熱湯(ねつゆ)に入ってみました。名前にもあるように熱いお湯かと思いきや、丁度良い温度で入りやすく、じんわり体を温めてくれます。白濁したお湯はさらさらとした肌触りで、歴史ある名湯に癒されます。

源泉が床底から湧いている「熱湯」(写真提供:酸ヶ湯温泉)
源泉が床底から湧いている「熱湯」(写真提供:酸ヶ湯温泉)

次は奥の「四分六分(しぶろくぶ)の湯」に。四分六分とは体の温まり具合を表現したもので、「熱湯」を10とした場合、このお湯は4〜6割程度ということです。広々とした浴槽は開放感があり、熱湯よりやや熱いお湯のおかげでいい汗をかいてきました。

熱湯とは異なる源泉から引湯している「四分六分の湯」(写真提供:酸ヶ湯温泉)
熱湯とは異なる源泉から引湯している「四分六分の湯」(写真提供:酸ヶ湯温泉)

冷えの湯を数回かぶって汗を流し、次は「湯瀧(ゆたき)」へ。勢いのあるお湯を肩などの患部にあてて集中的にマッサージ。患部をはじめからあまり強く打たせず、徐々に慣らしていくのがポイントです。

四分六分の湯と同じ源泉の「湯瀧」(写真提供:酸ヶ湯温泉)
四分六分の湯と同じ源泉の「湯瀧」(写真提供:酸ヶ湯温泉)

最後にもう一度熱湯に入り、ポカポカした状態で上がりました。体からはほんのり硫黄の匂いがしてきて、温泉成分をたくさん浴びて体が軽くなった気がします。最後に館内にある八甲田の湧き水を飲んで水分補給しておきましょう。

冷たくて飲みやすい八甲田の湧水
冷たくて飲みやすい八甲田の湧水

館内にはヒバ千人風呂の他に、小浴場「玉の湯」もあります。こちらは男女別の小浴場なので女性も安心して入浴できるほか、千人風呂とはまた異なる源泉を楽しめます。洗い場があり、シャンプーやコンディショナー、ボディーソープも備え付けられているので、体をしっかり洗いたい人はこちらもおすすめ。

ヒバ造りの「玉の湯」(写真提供:酸ヶ湯温泉)
ヒバ造りの「玉の湯」(写真提供:酸ヶ湯温泉)

旅館棟や湯治棟もある

酸ヶ湯温泉宿には、情緒ある和室から洋室まである「旅館棟」と、主に湯治客が利用する「湯治棟」があります。湯治棟の近くには炊事場があり、自炊をして長期間滞在することも可能。特に冬は湯治客が多く、スキーと併せて湯治を楽しむ外国人の姿もあるそうです。

落ち着いた和室は外国人観光客に人気(写真提供:酸ヶ湯温泉)
落ち着いた和室は外国人観光客に人気(写真提供:酸ヶ湯温泉)
2019年にリニューアルしたベッド付き洋室(写真提供:酸ヶ湯温泉)
2019年にリニューアルしたベッド付き洋室(写真提供:酸ヶ湯温泉)
  • 酸ヶ湯温泉
    • 住所 〒030-0197 青森県青森市荒川南荒川山国有林酸湯沢50
    • 電話 017-738-6400
    • 営業時間:ヒバ千人風呂7:00~18:00(8:00~9:00は女性専用)、玉の湯9:00~17:00
      料金:大人1,000円、小人500円 ※全て税込
      休館日:不定期(公式HPをご確認ください)

八甲田山ロープウェーで絶景&ウィンタースポーツを堪能

酸ヶ湯温泉を楽しむためだけに八甲田まで来るのもいいですが、せっかくなので周囲の観光地にも立ち寄ってみるのもおすすめです。例えば八甲田山ロープウェーは八甲田連峰を一望できるスポットで、一度に約100人が乗れる大型ゴンドラでの空中散歩は絶景の一言。「スノーモンスター」とも呼ばれる樹氷も見られ、青森の冬ならではの風景を楽しめます。

冬の八甲田を一望できる八甲田ロープウェー
冬の八甲田を一望できる八甲田ロープウェー

また、スキーシーズンは12月上旬から5月中旬までと約半年楽しむことができ、良質なパウダースノーの5kmにも及ぶロングコースが大好評。本格的な山岳スキーを堪能した後、酸ヶ湯温泉で体を温めるという楽しみ方もできそうです。

スキーを楽しむ観光客(写真提供:酸ヶ湯温泉)
スキーを楽しむ観光客(写真提供:酸ヶ湯温泉)
  • 八甲田ロープウェー
    • 住所 〒030-0188 青森県青森市荒川字寒水沢1-12
    • 電話 017-738-0343
    • ロープウェー営業時間:9:00~16:20(3月~11月上旬)、9:00~15:40(11月中旬~2月)
      ロープウェー乗車料金:大人(中学生以上) 片道1,250円(往復2,000円)、小人(小学生)片道450円(往復700円)、未就学児無料 ※全て税込
      定休日:無休(強風や異常気象時は運休する場合あり) ※11月上旬に点検整備のための作業運休あり
      アクセス:JR青森駅からJRバスで「八甲田ロープウェー駅前」下車。車は青森自動道「青森中央IC」を降りて約19km。

無料送迎あり!酸ヶ湯温泉周辺の宿もおすすめ

宿泊は酸ヶ湯温泉旅館棟や湯治棟もいいですが、周辺にも個性豊かなホテルの利用もおすすめです。

(1)八甲田ホテル

酸ヶ湯温泉から車で約5分、静寂な森の中にある「八甲田ホテル」は、洋風ログ木造建築が特徴的なリゾートホテル。窓いっぱいに広がるブナの原生林や八甲田連峰を望む客室や、青森ヒバを使った源泉掛け流しの温泉が人気です。青森駅前や酸ヶ湯温泉からの無料送迎バスがあるのでアクセスも◎。

ログ建築で木のぬくもりがある「八甲田ホテル」(写真提供:八甲田ホテル)
ログ建築で木のぬくもりがある「八甲田ホテル」(写真提供:八甲田ホテル)
雄大な景色を楽しめる客室(写真提供:八甲田ホテル)
雄大な景色を楽しめる客室(写真提供:八甲田ホテル)
  • 八甲田ホテル
    • 住所 〒030-0198 青森市大字荒川字南荒川山1-1
    • 電話 017-728-2000

(2)ホテル城ヶ倉

ホテル城ヶ倉」は雄大な自然景観に恵まれた北欧風マウンテンリゾートホテルで、通年入浴できる露天風呂や、ぐっすり眠れる良質の快眠ベッド、厳選した旬の食材を用いた会席料理などが好評。こちらも青森駅や八甲田ロープウェー、酸ヶ湯温泉などから無料送迎があります。

ブナ林に囲まれた「ホテル城ヶ倉」(写真提供:ホテル城ヶ倉)
ブナ林に囲まれた「ホテル城ヶ倉」(写真提供:ホテル城ヶ倉)
一部客室には露天風呂付き客室も(写真提供:ホテル城ヶ倉)
一部客室には露天風呂付き客室も(写真提供:ホテル城ヶ倉)
  • ホテル城ヶ倉
    • 住所 〒030-0111 青森県青森市荒川八甲田山中
    • 電話 0120-38-0658

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雪深い豪雪地帯にある温泉は、日常を忘れるほどの異空間と体験の数々。名湯に癒され、雪国の絶景に感動し、ウインタースポーツを心ゆくまで堪能。今度の冬は、酸ヶ湯温泉と八甲田を満喫する旅に出かけませんか?

Text by:下田 翼

※本記事は2021年2月取材時のものを一部更新しています。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。

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