和歌山県白浜町に、その名前の由来にもなっている白砂の浜「白良浜（しららはま）」で知られる観光名所があります。紀伊半島の南に位置することから「南紀白浜」とも呼ばれる地域です。

白良浜は、延長約620ｍにもおよぶ白い浜辺で、エメラルドグリーンの海と椰子の木が並ぶ風景と合わさって、ワイキキビーチ（ハワイ）のようなリゾート気分が味わえると人気です。（ワイキキビーチとは、友好姉妹浜として提携）

南紀白浜の魅力はビーチだけではありません。東には標高1,000ｍを越える山がそびえる紀伊山脈、西には長い海岸線に三段壁や円月島（えんげつとう）などの名勝があり、山と海と川の自然に恵まれた地域です。そして、紹介する温泉の街でもあります。

白浜温泉の歴史は古く、今から約1350年以上も前から知られ、日本に伝存する最も古い史書のひとつ「日本書紀」（720年頃に完成したとされる書物で、神々が支配していた時代から西暦300年頃までについて書かれている）に記されています。道後温泉（愛媛県）や有馬温泉（兵庫県）と並び「日本三古湯」として、長く愛され守られてきた温泉です。

温泉としては、リラックス効果や美肌効果など、肌や体に良いといわれる成分を含んだ名湯が多いのが特徴。源泉かけ流し温泉から足湯、共同浴場など、温泉そのものを楽しめる施設が海岸線を中心に点在しています。そして、白浜温泉では、さまざまな湯を体験する「湯めぐり」が人気です。足湯や共同浴場、多くのホテル、旅館で日帰り入浴ができるので、湯めぐりに出掛ける観光客が多くいます。

温泉地エリアは広いため、白浜町内を巡回する路線バスの利用がおすすめです。１時間に２～３本程度（時間帯にも寄ります）運行しています。駅やバス停には英語の他、多言語での表記があり、白浜町が作成した観光パンフレット（英語、簡体字、繁体字、韓国語）と合わせて外国人も観光しやすくなっています。また、レンタルサイクルで観光する人の姿も多く見られます。

なお、白良浜付近の飲食店街「銀座通り商店街」などでは、英語のメニュー表を用意している店もあり、施設によっては、多言語化されたメニュー表も用意されています。

美しい風景と温泉を求め、多くの人が訪れてきた白浜温泉は、今や国内外から年間3,000万人が訪れる関西屈指のリゾート地になりました。

白浜温泉へは、電車やバスでの移動が便利です。車の場合も白良浜まで高速道路や県道フラワーライン線の整備が進み、温泉街までのルートがわかりやすくなっています。ただし、夏の観光シーズンは一般道での渋滞が予想されるので注意が必要。白浜温泉近くには、南紀白浜空港があるため、東京からのアクセスも良好です。

●京都・大阪方面からのアクセス
電車：JR新大阪駅・JR大阪駅から「JRきのくに線特急くろしお号」に乗車（全席指定席）し、乗り換え無しでJR白浜駅まで。所要時間は京都駅からは新大阪駅経由で約3時間、新大阪駅から約2時間30分、天王寺駅から約2時間15分、白浜駅から温泉街までは、タクシーまたはバスで10〜15分

関西国際空港からは、JRでJR日根野駅（約11分）へ行き、「JRきのくに線特急くろしお号」に乗り換えて、約2時間15分

バス　：「なんばOCAT」から「とれとれ市場前・白浜バスセンター」まで3時間20分、JR大阪駅から「とれとれ市場前・白浜バスセンター」まで3時間30分

車　：「吹田JCT」から高速道路で約170km、阪和自動車道「南紀田辺IC」まで有料、以降の紀勢自動車道「南紀白浜IC」（無料）を経由、県道フラワーライン線（無料）で温泉街へ。大阪市内から約2時間15分

●東京（羽田空港）からのアクセス
飛行機：羽田空港から南紀白浜空港まで約75分（1日3往復）。南紀白浜空港から 温泉街までタクシーまたはバスで約10～15分

白浜温泉には、旅館・ホテルの浴場以外にも日帰り湯や足湯がたくさんあります。魅力的な場所が多い中から、おすすめの湯を5つ紹介しましょう。紹介する足湯と日帰り湯は、タトゥーがある人の利用制限はありませんが、マナーを守り周囲へ配慮したうえでご利用ください。

①崎の湯

日本最古の歌集「万葉集」（700年中頃〜800年代後半の和歌を収めた歌集）の中に、白浜の海岸沿いには自然に湯が沸いているところを石で囲った湯が7つあったと記されています。「湯崎七湯（ゆざきしちとう）」といい、今も現存している唯一の湯が「崎の湯」です。

硫黄の香りと波の音、雄大な太平洋に面した開放感あふれる日帰り湯で、白浜温泉に来たならば、ここは外せません。
崎の湯は、シャンプー・リンス・石鹸などの利用は禁止。タオルは200円で販売しています。

◎実施中の新型コロナ感染症対策
定員制限／施設内換気の実施／消毒液の設置／スタッフのフェイスシールド・マスク着用・手洗い・消毒・うがい・検温・健康管理チェックの実施／体調不良のお客様の利用お断り／お客様へのマスク着用（脱衣所）のお願い・ソーシャルディスタンスの確保

②長生の湯

「長生の湯」は、「長生源泉」と「東谷源泉」の2つの自家源泉をもつ、源泉かけ流しの天然温泉として知られる日帰り温泉です。

建物は一見の価値があり、昭和の初期から使われていた木造倉庫の骨組みをそのまま利用。自然との一体感を大切に営業されています。お風呂は、内風呂と露天風呂の他に、紀州の備長炭を浴槽全体に敷き詰めた「備長炭風呂」があります。マイナスイオン効果で温泉がとてもまろやかになっていると人気です。

「白浜に来たなら、長生の湯には必ず立ち寄る」という人も多いとか。その理由は、素晴らしい温泉はもちろんですが、施設内にあるラーメン店「めん吉」の和歌山ラーメンも目当てのようです。

支払いは現金のみ。特別な外国語対応はありませんので、心配な人は翻訳アプリなどを持参するのがよいでしょう。場所は、白浜駅より三段壁行きバス「古賀浦」下車、徒歩１分。宿泊ができる「長生庵」もあります。

◎実施中の新型コロナ感染症対策
定員制限／施設内換気の実施／消毒液の設置／スタッフのフェイスシールド・マスク着用・手洗い・消毒・うがい・検温・健康管理チェックの実施／体調不良のお客様の利用お断り／お客様へのマスク着用（脱衣所）のお願い・検温の実施・ソーシャルディスタンスの確保

③三段壁足湯

南紀白浜を代表する観光名所に「三段壁」という景勝地があります。高さ60mの断崖絶壁と地下36mにある「三段壁洞窟」（有料）を観光することができます。洞窟内での波しぶきなど迫力満点。「三段壁足湯」は、この断崖絶壁の三段壁を眺めながら楽しめます。

12月、1月頃は美しい夕日が見られます。ただ、温かい足湯とはいえ真冬なので、防寒対策をしっかりして楽しむことをおすすめします。

◎実施中の新型コロナ感染症対策
お客様への脱衣所等でのマスク着用、ソーシャルディスタンスの確保

④露天温泉しらすな / しらすな足湯

「露天温泉しらすな」は、白良浜海水浴場に隣接した100名ほどが入れる広い露天風呂。営業期間は、5月1日〜9月30日までは、水着着用の混浴露天風呂として営業しています。海水浴を楽しんだ後に、家族や友達と一緒に露天風呂に入れるとあって人気です。一部ですが、外国語表記の案内板が設置してあります。

海水浴の期間外は、無料の足湯のみが利用可能。海岸を眺めながらの足湯も気持ちがいいです。

◎実施中の新型コロナ感染症対策
定員制限／施設内換気の実施／消毒液の設置／スタッフのフェイスシールド・マスク着用・手洗い・消毒・うがい・検温・健康管理チェックの実施／体調不良のお客様の利用お断り／お客様へのマスク着用（脱衣所）のお願い・ソーシャルディスタンスの確保

⑤御船足湯

白浜町の人気観光スポットの一つである「円月島」。島の中央に、波に侵食されてできた円月形の洞穴が開いている白浜のシンボル的な島です。春と秋には、場所によって穴に夕日がおさまる瞬間が見られます。

「御船足湯（みふねあしゆ）」は、この円月島を眺めながら足湯に浸かれる場所。沈みゆく夕日と円月島を眺められるとあって、観光客だけではなく地元の人にも人気のスポットです。

温泉街には「御船足湯」のような町営の「つくもと足湯」や「柳橋足湯」などがあり、無料で利用できるため足湯めぐりも人気です。いずれも、タトゥーがある人でも利用可能。ただし、施設内は飲食の禁止と禁煙、ペット禁止です。

◎実施中の新型コロナ感染症対策
お客様へのマスク着用のお願い、ソーシャルディスタンスの確保

白浜温泉での宿泊は、旅館・ホテルが多くあるため選ぶのが難しいと感じることでしょう。ここでは、外国人観光客に人気の宿を５宿ピックアップしました。宿選びの参考にしてください。

①南紀白浜マリオットホテル

世界中にネットワークをもつマリオットホテル。ここ白浜にも「南紀白浜マリオットホテル」があります。外国人観光客にとって、安心して泊まれるブランドではないでしょうか。白良浜を見下ろす高台にあり、海岸までは徒歩約3分。

24時間体制ではありませんが、英語対応できるスタッフがいます。館内案内板などは、英語表記で対応しています。

部屋は、過ごす時間を楽しんでほしいと、全室40㎡以上のゆとりある広さに加え、オーシャンビュー、温泉付き客室などバリエーションも豊富です。写真は「ジュニアスイート ツイン」の客室。84㎡の広々とした空間に、L字型ソファや温泉ビューバスなどを備えています。

温泉は、大浴場や露天風呂、貸切風呂があり、どれも広大な海を眺めながら入浴できます。タトゥーは、大浴場と露天風呂ではカバーシール（8cm×10cm）2枚で隠せる場合のみ入浴可能です。

◎ホテルで実施中の新型コロナ感染症対策
フロントや設備等の消毒・除菌・洗浄／ロビーやレストラン、エレベーター前、客室等に除菌・消毒液の設置／エレベーターや喫煙室等の定員制限／フロントでの手続きの時間短縮／お客様の入れ替わり都度の消毒／施設内換気の実施／スタッフのフェイスシールド・マスク着用・手洗い・消毒・うがい・検温・健康管理チェックの実施／体調不良のお客様の宿泊お断り／お客様へのマスク着用のお願い・検温の実施／従業員の客室サービス（入室）の制限

②INFINITO HOTEL & SPA　南紀白浜

「インフィニートホテル & スパ 南紀白浜」は、白浜の温泉街から少し離れた小高い丘の上にある洋風温泉リゾートホテルです。建物は 1969年まで運行されていたロープウェイの山頂駅舎近くにあり、関西の上流階層の人たちが宿泊した由緒あるホテルを受け継いだ上質な雰囲気を漂わせています。

人気の客室は、海岸側にある温泉付きの部屋。写真の宿泊棟1Fにある「オーシャンビュー・ラナイスイート」は、56.3㎡の広い室内に、プライベート温泉露天風呂があり太平洋を望めます。

温泉は、万葉集にも記された「行幸の湯（みゆきのゆ）」という源泉から引いています。「海」「空」と名付けられた開放的な内湯と露天風呂がある大浴場（写真は「海」の露天風呂）と、神秘的な展望風呂「昴」があります。タトゥーは、ファンデーションシールなどで隠せれば利用できます。

支払いは、各種カードが利用でき、UnionPay（銀聯国際）やAlipayも利用可能。スタッフとの会話は翻訳機（POCKETALK）が導入されています。

◎ホテルで実施中の新型コロナ感染症対策
フロントや設備等の消毒・除菌・洗浄／ロビーやレストラン、エレベーター前、客室等に除菌・消毒液の設置／フロントの飛沫防止パネル設置、手続きの時間短縮、事前精算のお願い／お客様の入れ替わり都度の消毒／施設内換気の実施・空気清浄機の設置／スタッフのマスクやフェイスガード着用・手洗い・消毒・うがい・検温・健康管理チェックの実施／体調不良のお客様の宿泊お断り／お客様へのマスク着用のお願い、検温の実施、手洗い・うがいの協力依頼／チェックイン時の本人確認・宿泊調査票記入のお願い

③紀州・白浜温泉むさし

「紀州・白浜温泉むさし」は、日本旅館ならではの古き良き伝統を引き継ぎながら、2018年には大規模リニューアルを行ない、耐震強化や顧客のニーズにこたえようと進化を続ける旅館です。

148室もあるので団体旅行にも対応でき、大宴会場を備えています。白良浜まで徒歩約1分という好立地で、観光名所の円月島や御船足湯までは徒歩約3分と観光の拠点としても最適です。

部屋は、全室和室。リーズナブルなプランからハイクラスな部屋まで多彩です。外国人観光客におすすめしたいのは「和邸（なぎてい）」。高層階に位置し、白浜の素晴らしい夕景が望めます。和室でありながらベッドが用意された部屋もあります。また、「和邸」専用の屋上展望露天風呂「天空」（写真）や専用ラウンジが利用できます。

温泉は、2種類の源泉を使用しており、屋上展望露天風呂「天空」のほか、宿泊客の誰もが利用できる大浴場や、一晩中利用できる露天風呂や中浴場、貸切風呂があります。

英語が話せるスタッフが常駐し、翻訳機も導入済み。館内表記も多言語化されています。支払い方法は、UnionPayやAlipayなど各種クレジットーカード等対応しています。

◎ホテルで実施中の新型コロナ感染症対策
フロントや設備等の消毒・除菌・洗浄／ロビーやレストラン、客室等に除菌・消毒液の設置／フロントの飛沫防止パネル設置、手続きの時間短縮、事前精算のお願い／お客様の入れ替わり都度の消毒／施設内換気の実施・空気清浄機の設置／スタッフのマスク着用・手洗い・消毒・うがい・検温・健康管理チェックの実施／体調不良のお客様の宿泊お断り／お客様へのマスク着用のお願い、検温の実施、手洗い・うがいの協力依頼／チェックイン時の本人確認・ヒアリングシート記入のお願い

④シラハマキーテラス ホテルシーモア

「シラハマキーテラス ホテルシーモア」は、白浜の海に面した大型リゾート施設。白良浜まで徒歩約15分、千畳敷海岸まで徒歩約10分のところにあります。

沖合100ｍの地点には「白浜海中展望塔（コーラルプリンセス）」があり、展望塔内の丸窓から海中を泳ぐ魚などが観察できます（有料大人800円、宿泊者割引あり）。宿泊をしなくても無料で楽しめる足湯「インフィニティ足湯」は、全長30メートルもあり名所になっています。他にも、プレイルームやギフトショップ、屋外プール（夏季のみ）、レストラン、バーなど、施設が豊富です。

人気の客室は、白浜の海を一望でき、ゆったりと過ごせるスイートルーム（写真）やデラックスルーム。波の音まで聞こえてきます。

温泉は、露天風呂や大浴場「海の湯」、浴場「波の湯」、インフィニティ足湯も含め、全て自社源泉による放流型掛け流し式。写真は露天風呂「三段の湯」。体に負担のかかりにくい立ち湯で、三段階の深さで楽しめます。タトゥーがある方は、足湯以外入浴できません。

外国語ができるスタッフは24時間ではないが常駐し、支払いはUnionPayを含む各種カードに対応しています。

◎ホテルで実施中の新型コロナ感染症対策
フロントや設備等の消毒・除菌・洗浄／ロビーやレストラン、エレベーター前、客室等に除菌・消毒液の設置／フロントの飛沫防止パネル設置、手続きの時間短縮、事前精算のお願い／お客様の入れ替わり都度の消毒／施設内換気の実施・空気清浄機の設置／スタッフのマスクやフェイスガード着用・手洗い・消毒・うがい・検温・健康管理チェックの実施／体調不良のお客様の宿泊お断り／お客様へのマスク着用のお願い、検温の実施、手洗い・うがいの協力依頼

⑤浜千鳥の湯　海舟

「浜千鳥の湯　海舟」は、岬ひとつがそのままホテルになっています。この地形を利用し、客室や温泉に加え、見晴台やレストラン、お土産屋があり、１つの大きな豪華客船のようなイメージで「海舟」と名付けられました。

場所は観光名所の千畳敷海岸まで徒歩約10分、車で約4分のところにあり、白良浜へも車で約4分。

おすすめの部屋は「浜屋 離れ」。海舟の中で最も海の近くにあり、まるで別荘のような雰囲気です。２階建てのメゾネットタイプと、約60㎡の広々とした平屋の和洋室（写真）の２タイプがあり、かけ流しの露天風呂が付いています。

温泉も趣があります。珍しいのは混浴露天風呂（写真）です。混浴といっても男女別の更衣室で「湯あみ着」に着替えての入浴です。他にも大浴場や露天風呂、貸切露天風呂があります。タトゥーがある人は入浴できません。

常時ではありませんが、英語を話せるスタッフが数人います。館内表記は、コロナ禍中のため今は日本語が中心ですが、インバウンド再開に向け順次外国語対応予定です。支払い方法は、UnionPayをはじめ各種クレジットカードが利用できます。

◎ホテルで実施中の新型コロナ感染症対策
フロントや設備等の消毒・除菌・洗浄／ロビーやレストラン、エレベーター前、客室等に除菌・消毒液の設置／エレベーターや喫煙室等の定員制限／フロントでの手続きの時間短縮、事前精算のお願い／お客様の入れ替わり都度の消毒／施設内換気の実施／スタッフのマスク着用・手洗い・消毒・うがい・検温・健康管理チェックの実施／体調不良のお客様の宿泊お断り／お客様へのマスク着用のお願い・検温の実施／従業員の客室サービス（入室）の制限

温泉だけでも紹介しきれないほど魅力あふれる「白浜温泉」。温泉はもちろん、観光スポットも多くあり1泊だけでは物足りないリゾート観光地です。外国人観光客が安心して楽しめるよう整備が進んでいます。アクセスも関西からだけではなく、東京（羽田空港）からも行きやすいので、外国人観光客におすすめの温泉観光スポットといえるでしょう。

Text by:一二三 五十一（ひふみ いそかず）
※本記事の情報は2022年9月時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。