かつて日本には49もの忍者の流派が存在したと言われています。その中の二大勢力と言われているのが、甲賀(こうか)流と伊賀(いが)流です。
滋賀県甲賀市(こうかし)にある「甲賀流忍術屋敷」は、唯一現存している本物の忍者が暮らしていた屋敷です。ここでは、実際に使われていた忍者屋敷の仕掛けを体験できます。手裏剣や道具も展示されており、忍者の歴史も学べます。謎に包まれた忍者の秘密を探るべくタイムスリップしてみましょう。
甲賀は忍者の里
二大忍者の里といえば、伊賀と甲賀です。その本拠地は、滋賀県と三重県が隣接する山間部にありました。甲賀忍者の存在が、全国に名を広めたのは、1487年の「鈎(まがり)の戦いでした。山中でさまざまな奇襲をかけ、敵の本陣に火や煙を放ち、室町幕府の命に背く、佐々木六角氏を助けた戦いです。その後、全国で活躍し、戦乱の世を生き抜いてきました。
武将たちの勢力争いが続いた混乱の時代に、忍者はその特殊な能力と知恵で、スパイ活動を行い、活躍します。今も昔も情報を制するものが勝つ、という状況は同じのようです。陰の立役者として活躍した忍者ですが、その立場上、記録は門外不出で謎の存在だったのです。現在もかつて忍者がいた場所として有名で、滋賀県甲賀市には、忍者が暮らしていた屋敷が残っています。
本物の忍者の気配が残っている「甲賀流忍術屋敷」
滋賀県甲賀市にある甲賀流忍術屋敷は、甲賀五十三家(こうかごじゅうさんけ)の筆頭格、甲賀望月氏本家の住まいとして今から約300年前に建てられたものです。実はここに向かう途中、屋敷の屋根が見えてもなかなか門が見つかりませんでした。これは敵から身を守るために計算された手段なのです。
屋敷の周りを見渡すと、甲賀流忍者が修行をしていた飯道山(ばんどうざん)がそびえています。のどかな田園風景ですが、農民に身を変えた忍者が農作業をしていたのかもしれないと想像がふくらみます。
甲賀流忍術屋敷は、戦国時代には、伊賀の「服部」、甲賀の「望月」と称された甲賀流忍者の家系が、実際に暮らしていました。甲賀忍者である望月氏は、不測の事態に備え、屋敷にさまざまなからくりを施し、一族の身を守ってきました。
建物は3階構造になっていて、自由に見学ができ、様々なからくり操作を体験できるようになっています。
いたるところにあるからくりを体験しよう!
屋敷は自由に見学ができますが、各所の入り口に設置されたタッチパネルで、からくりの説明を見てから見学するとより楽しめます(英語、中国語の字幕あり)。
屋敷内が少し薄暗いのは、敵を混乱させ、追手から逃れるため。さらに、身を隠し、敵を陥れるために屋敷にありとあらゆるからくりを仕掛けています。さあ、忍者のからくりの世界を体験してみましょう。
一見すると、ごく普通の木の壁ですが…
少し力を加えると壁が回転して、またたく間に忍者は別の場所に移動できます。敵には、人があっと言う間に消えたように見え、追っ手をまくことができます。映画などで見かけるどんでん返しがこれです。
ただの押し入れかと思いきや…
扉を開けると、隠し梯子が出現。中に入って閉めてしまえばここはただの押し入れ。敵が姿を探してあたふたしている間に忍者は梯子で2階へ登り、梯子を引き上げてしまいます。すると追っ手が扉を開けてももぬけの殻。忍者は、その間にすばやく外に逃げることができます。
階段で登るのとは逆に、3階から1階まで一気に降りて敵から逃れることができる縄梯子の仕掛けも。縄梯子を使えば、直接地上に降りることもできるのです。
畳をめくると深さ3mの落とし穴があります。この部屋ではわざと薄暗くして敵を追いつめ、つき落として閉じ込めたのです。自力ではなかなか抜け出せないため、忍者はそのすきに逃げました。この落とし穴は、屋敷全体の地下通路としても使われ、秘密の抜け道としても使われていました。
2階の天井はかなり低いので、頭を打たないように気を付けてください。低いところで約1メートル、高いところでも1.5メートルくらいしかありません。なぜ、こんなに低い天井にしていたのかは、敵が刀を振り回せないためです。逆に忍者は短い刀を使用して、戦いに有利な条件を作り上げていました。
閉じられたように見える窓ですが、金網戸と壁の間に紙を一枚、差し込んで、軽くスライドさせると…
あら不思議、簡単に窓が開きます。窓から忍者が逃げれば一瞬にして消えたかのように敵には見えました。
忍者直伝のお茶ってどんな味?
屋敷の主だった望月氏は、薬や火薬の製造にもすぐれていました。甲賀流に代々伝わる書物には、忍者はさまざまな薬草を配合したお茶を飲んでいたと書かれています。
ここでいただける健保茶(無料)もその書物をもとに飲みやすく配合された体にいい薬草茶です。こちらでは、健保茶をいただきながら忍者の歴史や甲賀望月氏の歴史の動画を見ることができ、本物の忍者の世界を垣間見ることができます(英語、中国語の字幕あり)。
忍者の歴史がわかる資料室
屋敷内の資料室では、手裏剣、仕込み杖(杖に見せかけて刀を隠しもった武器)、逃げる途中に追手にケガを負わせるために撒いた武器・まきびし、土を掘る道具・苦無(くない)などの道具や忍者の奥義を書き記した巻物などが展示されています。影の仕業といわれている忍者の実態を垣間見ることができます。
忍者に扮して手裏剣体験も
ここでは忍者装束(800円)に着替えて本物の忍者の屋敷をバックに写真を撮ったり、屋敷を散策できたりします。黒色と赤色の2種類から選べ、サイズは小さな子ども用から2メートルの身長の人のものまで豊富に揃っています。
忍者の武器として真っ先に浮かぶのは手裏剣です。ここでは、実際に手裏剣を投げることができます。投げた手裏剣が的に当たるのはなかなかの快感ですよ。投げるコツを教えてもらえるので、ぜひ、チャレンジしてみてください。手裏剣体験は8枚で300円です。お子さんでも可能です。
お得なコースとしては、忍者コース(手裏剣投げ、忍者衣装変身、ゴム手裏剣プレゼント)で1,000円、大忍コース(手裏剣投げ、忍者衣装変身、鉄製手裏剣プレゼント)で1,300円があります。(2020年1月1日現在価格)
甲賀流忍術屋敷でおすすめおみやげ5選
忍者体験をした後のお楽しみは、おみやげ選びですよね。屋敷内には忍者グッズが豊富に揃ったショップがあり、ここでしか買えないおみやげもあります。特におすすめのおみやげを紹介しましょう。
『甲賀流忍術屋敷マグネット』450円。甲賀流忍術屋敷を再現しています。
忍者の道具『まきびし』(2個)100円。どのようにばらまいても尖った先が上を向くようになっています。
『忍術屋敷オリジナルTシャツ』1,700円。中央に大きな忍の字がプリントされています。
『忍者Tシャツ』 大人用2,000円、子ども用1,600円。全体に忍者装束がプリントされています。
ほかにもある甲賀の忍者スポット
忍者の町、滋賀県甲賀市には、ほかにも忍者スポットがいろいろあります。ちょっと足を延ばしてさらに忍者の奥深さを知る旅にでかけてみてはいかがでしょうか。
甲賀市甲賀町隠岐にある「甲賀の里 忍者村」は、からくり忍者屋敷や忍術博物館などがあり、自然の山の地形を生かした忍者修行も体験できます。
「甲賀歴史民俗資料館」(甲賀市甲賀町)では、刀、梯子、まきびし、手裏剣など忍者の道具が数多く展示されています。
忍者は知識と技術を駆使し、歴史に関わる重要な役割を果たしてきました。魔法のように見える忍術も実は綿密に計算され、修行をしたからこそできるもの。甲賀流忍術屋敷は、本物の忍者が暮らしていた屋敷だからこそ体感できる魅力がいっぱいです。影の主役として歴史を動かした忍者を深く知ることができるスポットとしておすすめです。
※表示している価格はすべて税込です。
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甲賀流忍術屋敷
- 住所 〒520-3311 滋賀県甲賀郡甲南町竜法師2331
- 電話 0748-86-2179
営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
入館料:大人(中学生以上)600円、小人(3歳以上)400円
定休日:12月27日~翌年1月2日
冬季休館日:令和2年1月27日(月)~令和2年2月7日(金)
※臨時休館あり
アクセス:JR草津駅よりJR草津線 甲南駅下車 徒歩約20分
Text by:株式会社ウエストプラン
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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