日本でも人気の高い「うな丼」は、甘辛い照り焼きタレのようなソースに絡ませて焼いたうなぎを、ご飯の上にのせて提供されるお料理。大阪・梅田にあるファッションビル・ルクアの地下にあるうなぎ・串料理専門店「いづも」では、なんとご飯の量4倍のデカ盛り「ドーンと!!そびえる鰻玉丼(うなたまどん)」が大人気です! お碗からはみ出るどころか、持って歩くだけでもひと苦労の大きさが話題となっています。
今回はそんな鰻玉丼を実際にオーダーし、その味わいを体験してきました。総重量が約1kgの特大ボリュームの鰻玉丼、果たして完食できるのでしょうか!
気軽に鰻が食べられるお店「いづも」
ルクアの地下2Fは、大阪・梅田を代表する飲食店街。JR「大阪駅」直結で、中央改札口を出て左側の地下に位置します。お酒と一緒に料理が楽しめる飲食店が並ぶ「バルチカ」と、マルシェとレストランが融合した食のエリア「フードホール」に分かれ、それぞれ“大阪のおいしいもの”がずらり。「いづも」は、バルチカとフードホールのちょうど間に位置するうなぎと串料理が自慢のお店です。
うなぎは日本人の食文化と密接に関わる魚のひとつ。うなぎを食べる日として定着した「土用の丑の日」(蒸し暑い夏にうなぎを食べてスタミナをつけようという風習)など、日本人にとって少し特別な魚として知られています。また価格が高いこともあって、毎日食べる魚というよりは大切な日にいただく高級魚として認識されています。
同店はそんな特別感のあるイメージのうなぎを、お酒とともにもっとカジュアルに、そして幅広い世代に楽しんでもらいたい、との思いで誕生しました。
そのため、店内もあくまで大衆的な雰囲気。賑やかさが楽しめるセンターのカウンター席を中心に、周りに4名がけのテーブル席もいくつか用意され、数名で訪れてもくつろいで過ごせそうです。入店すると同時に「いらっしゃいませ〜!」と店員さんが大きな声で出迎えてくれるのも楽しいところ。
ふっくら香ばしく焼き上げるうなぎが名物!
使用するうなぎは、品質の維持にとことん努めているので、天然物に引けを取らないおいしさだと評判です。
「いづも」は大阪に2店舗あるほか、東京・池袋、愛知・名古屋などにも店を構えており、それぞれの店で焼きたてのうなぎを提供します(2022年時点)。秘伝のタレを絡ませ、3回上下を返して香ばしく焼き上げ、仕上げていきます。
こだわりは、醤油と砂糖などで作る甘辛ダレをハケでしっかりと塗り重ねながら、身から焼いて余分な油を落とすこと。皮目はしっかり焼くことで水分が蒸発しパリッと焼き上がるため、ふっくらふんわりの身と、パリッカリッとした皮の絶妙な食感を生み出します。
とにかくすごいのひと言です!(笑)
というわけで、注文した「鰻玉丼」(2,590円)が届いたのですが……予想をはるかに上回る大きさに思わず笑ってしまいました。まるで童話のようにこんもり盛られたタレご飯の上に、でっぷりとした厚焼き玉子を重ね、まるまる太ったうなぎの蒲焼がどかんと乗っています。
「タレご飯が750gでお茶碗4杯分、うなぎは半尾をカットせずにお出ししていてだいたい170g、厚焼き玉子は150gほどで卵3個分ほどの量です」と店長の栗山さん。とにかくインパクト絶大です。
ちなみにこちらの丼が生まれた経緯は、ずばりコロナ禍だったから。飲食店が営業自粛などで元気がなかった時に大阪の福島店がオープンすることになり、「少しでも飲食店を盛り上げ、またお客さんにも外食でしか体験できない盛り付けとともにお腹いっぱい食べてもらいたい!」との思いがつのり、大盛りグルメとしてメニューにお目見えしたのだそうです。
栗山さんいわく「行き過ぎたサービス精神がゆえに(笑)」このスタイルへと行き着いたわけですが、結果SNSを中心に話題を集め、福島店以外の全国の「いづも」でも食べられる看板ランチメニューとなっていきました。
ちなみに、厚焼き玉子が乗っている理由は、うなぎと玉子を一緒に食べることで、よりスタミナが付くといういわれがあるためです。「力をつけて頑張りたい!」という踏ん張りどきにぴったりですね。
「鰻玉丼」、いざ実食!
量が多すぎるので、そのまま食べれば崩壊待ったなし。まずは一緒に出される小皿に、うなぎと厚焼き玉子を分ける作業からスタートします。とはいえ、とってもやわらかな身なので、お箸で持ち上げると同時にほろりと崩れてしまいます。レンゲとお箸で移動させるのがベスト。
続いて厚焼き玉子。うなぎに隠れていたのでそれほど大きさを感じませんでしたが、全貌が見えると改めてその存在感に驚きます。箸を通じてずっしりとした重みを感じつつ、うまーくスライド。
分解完了。なんだか大変なことになってきました。これが1食分……果たして食べ切れるのでしょうか。
気を取り直してまずは厚焼き玉子から。ぷるんとした口当たりとダシの旨味がたまりません。これぞ厚焼き玉子、とてもおいしい。
うなぎもいただきましょう。箸で持ったときから感じていましたが、身がとってもやわらかくするすると切れていきます。筆者も時々スーパー等でうなぎを購入したりはしますが、一般的に売られている食感のうなぎの身とは雲泥の差。口に含めば歯を使わずとも身がなめらかにほどけていきタレの香ばしい風味にもうっとりします。幸せのハーモニーを存分に堪能しました。
別々に食べてもいいのですが、丼ならではの醍醐味も味わいたいところ。こんもり盛られたご飯のてっぺんに、厚焼き玉子とうなぎをなかば強引に乗せました。
これぞ鰻玉丼! タレご飯とうなぎ、厚焼き卵を一緒に頬張ればさらにおいしさ無限大。言うことなしです。
なお、ご飯は白ご飯にタレをまぶして仕上げるのではなく、お米とタレを合わせて炊き上げているのだとか。こうすることでご飯にまんべんなくタレの味が行き渡り、どこを食べてもおいしいです。また、タレご飯自体はあっさりとしているので、こってり味の鰻や、意外にパンチのある厚焼き卵との相性も抜群。おいしく楽しく食べ進められました。
とはいえ、ついに限界が……!
いくらおいしいものを目の前にしても、胃袋の限界というものがありました。舌はすごく喜んでいるのに、体の内側からギブアップの声が聞こえてきます。無念としか言いようがありません……。残ったのは、ご飯半量、厚焼き玉子が約卵1個分、うなぎ1/3量といったところでしょうか。
このまま残して帰る……わけではありません。残った分は、おにぎりにしてもらえるシステムなのです。
スタッフさんにお願いして、出来上がったのがこちら。ご飯半量は、なんと2つのおにぎりになりました。残ったうなぎと厚焼き玉子もラップに包んでもらえるので、自宅で簡単に鰻玉丼が再現できそうです。
「普通にパックに入れてお渡しすることももちろんできるのですが、おにぎりにしてもらえるって、なんだかちょっとうれしいじゃないですか。家に帰ってから『あのお店に行って良かったな』って思ってもらえたら、私たちもうれしいです!」(スタッフさん)
温かみを感じるこのひと手間。日本らしいおもてなしの心が、おにぎりにしっかりと宿っていたのでした。
自宅やホテルでさらにひと手間プラス!
さて、持ち帰ったおにぎりはそのまま食べてもおいしいのですが、もしオーブントースターが身近にあれば少し手を加えるのがおすすめと店長の栗山さんが教えてくれました。
「おにぎりの表面にお醤油を塗って、オーブントースターで焼いてください。さらにチーズを乗せてレンジで温めれば、お店の味とはまた違ったおいしさが楽しめます」。
ひと口食べてびっくり。全然違った食べ物になっていて、これはこれで魅力的。とろけたチーズがタレご飯に絡んで、コク深くねっとり濃厚な風味も楽しめました。クセになるおいしさとはこのことではないでしょうか。
お店ではもちろん、自宅に帰ってからも楽しめる「鰻玉丼」。やわらかで風味豊かなうなぎをお腹いっぱい食べる至福のひと時を堪能した後は、おうちでまた違った味わいをじっくりと味わってみてください。
なお、同店は「鰻玉丼」のほか、うなぎと牛肉を盛り合わせた豪華「鰻牛丼/3,190円」や、鰻半尾でカジュアルに食べられる「うな重/1,790円」など、とことんうなぎが味わえるメニューがずらり。ぜひチェックしてみてくださいね!
◎外国人対応
英語メニューあり
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うなぎ いづも ルクア
- 住所 〒530-8217 大阪府大阪市北区梅田3-1-3 ルクアB2F バルチカ
- 電話 06-6151-2531
営業時間:11:00〜23:00(フードL.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)※新型コロナウイルス感染拡大の状況に応じて随時変更あり。
料金:ドーンと!!そびえる鰻玉丼2,390円
定休日:ルクアに準ずる
※本記事の情報は2022年3月取材時点のものを一部更新しています。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
松田きこ、木村桂子、都志リサほか、関西に精通した女性ライターチーム。食べること、飲むこと、旅することが大好き! 自ら体験した楽しい情報を発信しています
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