大阪や京都からのアクセスも良く、見どころがたっぷりの奈良。東大寺などの有名寺院や仏像など、古都の風情が感じられるスポットのほか、秋の紅葉も見どころの一つです。野生のシカが生息する奈良公園付近では、色づき落葉した紅葉のじゅうたんとシカという、奈良ならではの光景も楽しめます。そんな秋の奈良をじっくり観光するのにおすすめのホテルや旅館を3つご紹介します。いずれも混雑を避けてプライベートで部屋から紅葉が楽しめる特別な空間です。
1.関西の迎賓館で紅葉を愛でる「奈良ホテル」(奈良)
1909年、関西の迎賓館として誕生した「奈良ホテル」は、近鉄「奈良」駅から徒歩約15分の奈良公園の中にあります。興福寺、東大寺、春日大社、ならまちなどの観光地へのアクセスも便利。スタッフは英語と中国語に対応していて、快適なステイが叶います。
本館は東京駅などを手がけた建築家・辰野金吾(たつのきんご)氏の設計によるもので、館内は重厚な赤いじゅうたんの大階段や鳥居とマントルピース(暖炉)の組み合わせなど、日本とドイツの和洋折衷様式が美しく、“美術館のようなホテル”とも呼ばれています。
敷地内には中庭があり、紅葉の見頃である11月中旬から12月初旬にかけて、館内やロビー「桜の間」から、赤や黄色のグラデーションを眺めることができます。
宿泊棟には本館と新館があり、クラシックな雰囲気が楽しめる本館には、奈良公園側に面したパークサイドと中庭サイドの部屋があります。本館で室内から紅葉が楽しめるのは「スタンダードツインパークサイド」の部屋。奈良公園は、桜やイチョウ、モミジなど、彩りも美しい紅葉が楽しめ、国の天然記念物に指定されている野生のシカも生息しています。
ホテルを利用した外国人宿泊客からは「自然豊かな環境にあって、くつろいだ滞在ができた。ホテルからシカが見えたのには驚いた」という感想も。部屋はWEBで、タイプごとに予約が可能です。
新館は「吉野建て」といわれる建築様式を採用し、広々としたモダンな内装で全室が中庭に面していて、中庭の紅葉を楽しむことができます。新館には畳敷きの和室もあるので、和の空間と紅葉のコラボレーションを楽しんでみてはいかがでしょうか。
本館1階にある「ティーラウンジ」では、窓の外に広がる紅葉を愛でながら、歴代の賓客が食したとされる数量限定の「クラシックスイーツ アップルパイ・アラモード」(ドリンク付2,400円 ※税・サービス料込)や、季節のスペシャルケーキを味わうという至福のひとときが過ごせます。
館内はFree WI-FI完備で、併設のギフトショップは免税にも対応(2021年10月中旬より)。館内のレストランでは、事前に相談すれば、アレルギーやビーガン、ベジタリアンにも対応してくれます。
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奈良ホテル
- 住所 630-8301 奈良県奈良市高畑町1096
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最寄駅
近鉄奈良 駅 (近鉄奈良線)
徒歩19分
2.静かなロケーションで日本の風情と紅葉を楽しむ「奈良・春日奥山 月日亭」(奈良)
「奈良・春日奥山 月日亭(つきひてい)」は、「近鉄奈良」駅から車で約10分。ユネスコの世界遺産にも登録されている「春日山原始林」の中にあります。もともと奈良県知事が要人をもてなすために建てられた施設で、緑が多い静かなロケーション。春日大社まで400m、東大寺まで徒歩約15分と、観光にも便利な宿です。
宿泊は1日3組限定。客室は日本らしい障子戸がある和室で、離れの「柳」と「萩」の2つの部屋から、紅葉を眺めることができます。プライベートな時間を過ごせる貸切風呂が館内に2か所あり、宿泊者は無料で利用可能です。風呂場は特注のステンドグラスが美しく、高野槙(こうやまき)という木の浴槽の香りに癒やされるひとときを過ごせます。
部屋は緑に囲まれとても静か。鳥のさえずりをBGMに、日常を忘れてリラックスできます。花や掛け軸を飾る床の間がある本格的な和室に、眠るときは畳に布団敷きと、本物の日本の風情を味わえるのも魅力です。
こちらの紅葉の見頃は11月中旬以降。玄関や渡り廊下からも、色づく紅葉を楽しむことができます。紅葉の時期には、エサを探しに山を下りてきた野生のシカと、バッタリ出会うというサプライズも。庭園には、落ち葉が一面真っ赤に敷き詰められたモミジのじゅうたんなど、ひと味違った紅葉が楽しめます。
食事は日本人のシェフが作る和朝食と会席料理。季節の食材をふんだんに使用した目にも美しい料理は、舌だけでなく心も満たしてくれます。ビーガン、ベジタリアンやアレルギーなどに関しては、事前に相談すればできる限り対応してくれるのもうれしいところ。
宿泊者からは「自然に囲まれていて、1日3組限定なのでほかの方と会うこともなく、静かな環境でゆっくりと心と体を休めることができました。お料理も五感を十分すぎる程満たしてもらい大満足。接客も丁寧で心が温まりました」との感想も。
スタッフは英語対応が可能で、Free WI-FIもあり、支払いは銀聯を含むクレジットカード決済にも対応しています。静かな空間で、紅葉と日本のおもてなしを心ゆくまで体験できる特別な宿です。
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住所
630-8212 奈良県 奈良市春日野町158
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最寄駅
近鉄奈良 駅 (近鉄奈良線)
徒歩39分
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住所
630-8212 奈良県 奈良市春日野町158
3.ミシュランガイド掲載の名宿で紅葉に囲まれる「竹林院群芳園」(吉野山)
「竹林院群芳園(ちくりんいんぐんぽうえん)」へは、近鉄「吉野」駅から車で約10分。ユネスコ世界遺産に登録されている吉野山の中腹、中千本(なかせんぼん)と呼ばれる場所にあります。本館は、なんと約270年前に建てられたもので、『ミシュランガイド京都・大阪・神戸・奈良2013』にも掲載された名宿。「吉野」駅からは無料のシャトルバスも運行しています(2名以上・要予約)。
約1万坪という敷地内には、1000年以上の歴史を持つ寺院「竹林院」と、日本庭園「群芳園」があります。ツバキや桜など約50種類の木がある日本庭園では、吉野山を背景に赤や黄色に染まる木々のグラデーションを楽しむことができます。庭園は有料で一般にも公開していますが、宿泊客は無料で鑑賞できるので、宿に着いたらぜひ散策してみましょう。
桜の名所としても有名な吉野山ですが、紅葉の美しさも必見。見頃は11月下旬ごろ。約200種3万本もの桜とモミジが一斉に色づき、山全体が燃えるような紅葉で埋め尽くされます。
玄関とロビーは、香りの良い吉野杉をふんだんに使用した重厚な造りです。客室は伝統美が漂う本館と、近代施設が便利な新館の2タイプ。本館1階の廊下ほか、すべての部屋から庭園の紅葉を眺めることができます。
客室はすべて和室で、新館に露天風呂付きの客室が2室。本館には、元は寺の僧侶が泊まる宿坊として利用されていた、歴史を感じさせる部屋もあります。
お風呂は、ヒノキの香りがただよう有料の貸切風呂のほか、大浴場「かもしかの湯」と、紅葉を見ながら入れる露天風呂がある「むささびの湯」があります。
館内には、部屋の仕切りや装飾に用いる調度品の一種である屏風(びょうぶ)や、武将・豊臣秀吉ゆかりの品などの芸術作品も展示してあり、歴史を感じることができます。
食事は、旬の素材にこだわった会席料理や、茶人・千利休が考案したとされる宿オリジナルの「利休鍋」などが味わえます。アレルギーや宗教対応は、当日のリクエスト不可。ただし、事前に相談があれば、可能な限り対応してくれるそうです。
外国人宿泊客からは「喧騒から離れ、空気もきれいで素敵な場所。景色が眺められる露店風呂と、瞑想にも適した美しい庭もよかった。何より料理がおいしく、スタッフ全員がとてもフレンドリーで素晴らしい。本物の伝統的な経験ができた」とのコメントが。
館内には、地元の名産品などを販売する売店もあり、銀聯カードなど、一部中国系カードをのぞくクレジットカードが使用可能です。Free WI-FIも完備で、館内とホームページは、英語に対応可能。そのほかの言語は、翻訳アプリなどを通じてコミュニケーションが取れますが、電話は英語のみとなります。ホームページの問い合わせには、1文字でも日本語が入っていないと受付されない仕組みなので、注意してください。
ユネスコ世界遺産にも認定されている紅葉の名所、吉水神社や金峯山寺(きんぷせんじ)からも徒歩15分以内。金峯山寺蔵王堂では、有料で近隣の宿泊者限定の夜間拝観が行われる日もあり、普段は入れない夜の寺院で、特別な思い出を作ることもできます。
どの宿も、その場所ならではの美しい紅葉が楽しめる、素晴らしいロケーションが魅力的です。春の桜と並んで人気の、秋の紅葉シーズン。この季節だけの風景と共に、日本らしい風情を体験してみませんか。
Text by:二木繁美
※この情報は2021年10月の記事執筆時のものです。最新の情報は公式サイト等をご確認ください。
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