奈良の大仏さまとして知られているお寺、東大寺。関西最大の観光スポットの一つであり、「東大寺に行かなければ奈良に来た甲斐なし」ともいえる見どころ満載のお寺です。正門の南大門や大仏殿など、大きな建造物はもちろん、広大な敷地内にあるたくさんのお堂やミュージアムを巡り、ゆっくり東大寺を満喫しましょう。
東大寺ってどんなお寺?
別名は「金光明四天王護国之寺」。奈良時代、聖武天皇が仏教の教えによりすべてのものが幸福になることを願い、大仏様(盧舎那仏・るしゃなぶつ)は造られ、752年には「大仏開眼供養会」が盛大に行われました。これを機に巨大な伽藍が整備され、平城京の東の大寺というところから東大寺と呼ばれるようになりました。日本でも有数の大寺院で華厳宗の大本山。奈良に春を告げるお水取りが行われる二月堂も広く知られています。
金剛力士像が守る東大寺の正門・南大門
東大寺の参道を進むと、正面にあるのが国宝・南大門。東大寺の正門で高さ約25メートルあります。南大門では、カリスマ仏師・運慶、快慶らによる「金剛力士像」が必見です。筋骨隆々で迫力満点。通常、仁王は正面を向き、向かって右に口を開けた阿形(あぎょう)、左に口を閉じた吽形(うんぎょう)が配置されますが、東大寺の南大門の像は向かい合い、左右も逆という珍しいスタイルです。
この壮大な門は、南都の焼き討ちで被災した東大寺を復興した重源上人自らが指揮を執り、鎌倉時代に再建したもの。太い柱が一直線に伸び、水平に組まれた横木(貫)が柱を貫通する工法が用いられています。外からは二層構造、なかは吹き抜けの特殊な造りになっています。門を通るときは、是非とも上を見上げてください。
世界最大級の木造建築・大仏殿
東大寺の金堂である大仏殿は間口約57メートル、奥行約50メートル、高さ約48メートルというスケールを誇り、世界最大級の木造建築として名高い建物です。現在の建物は江戸時代に建て直された三度目のものです。現在でも世界最大級の木造建築ですが、創建時は現在の大仏殿よりも間口が広かったのです。
正面からよりやや左斜め、料金を払って入場した回廊からのものが大仏殿のベストショット。大仏殿の前に立つ金銅八角燈籠(国宝)は創建当時の貴重な遺構です。
日本一のご本尊、大仏様とご対面
いよいよ大仏殿の中へ。入るとすぐ、すごい迫力でドーンと座ってらっしゃる大仏様に会うことができます。
大仏様の正式名「盧舎那仏」は華厳経の教主とされ、世界を照らす仏・光り輝く仏の意味があります。大仏様は、なんと像高約15メートル、顔の長さ約5メートル。建立当時の国民の2人に1人にあたる約260万人が造立に関わったそうです。何度も修復を繰り返しましたが、蓮弁や腹部など、奈良時代のまま残っている部分もあります。堂内は正面、左斜め下、右斜め下、あらゆる角度から大仏様を拝むことができます。
柱の穴くぐりをしよう
大仏殿内の、大仏様に向かって右後方の柱には、大仏様の鼻の穴と同じ大きさと言われる穴があります。くぐり抜けることができれば、無病息災などの厄除けにもなるとか。修学旅行生や外国人観光客からアクティビティとして人気で、柱の周りには、穴を通り抜けるシーンを撮りたい人たちであふれています。穴の大きさは、縦約37センチメートル、横約30センチメートル、奥行き約110センチメートルで、円形や楕円形ではなく長方形に近い形。
そのほか、大仏殿には、伽藍の模型などもあり、お守りやご朱印をいただくこともできます。
戒壇院の四天王像は必見
大仏殿の入堂口脇を抜けて西側の参道を通って「戒壇堂」へ。鑑真和上によって建立されたこのお堂には、その四隅に最高傑作といわれる奈良時代の四天王像を安置しています。東を守る持国天、南を守る増長天、西を守る広目天、北を守る多聞天。いずれも邪鬼の上に立って遠くを見つめています。豊かな表情や筋肉、服のひだなど、微に入り細にわたる造りは、木造では表現しがたいものです。一番人気は端正な顔立ちの広目天だそうです。
「お水取り」で有名な二月堂
戒壇堂から大仏殿の裏の裏参道へ。こちらは石畳の道が続き、雰囲気も抜群です。国宝のニ月堂に上ってみましょう。
境内東奥の高台に建つ舞台造りのお堂からは奈良盆地が一望でき眺望抜群で、夕方が特にオススメです。旧暦2月(現在は3月1~14日)に修二会(しゅにえ/お水取り)が行われることから二月堂と呼ばれています。夜ごと松明が僧侶の道明かりとしてお堂に上がり、参拝者の頭上に火の粉が舞います。松明が上がる前に英語はもちろん、中国語でも修二会についてアナウンスがされています。
二月堂拝観後は龍美堂でひとやすみ
「龍美堂」は、二月堂の南向かいにあるお茶屋さん。ここでしか買えない東大寺秘伝の行法味噌や、自家製の甘味で有名なお店です。看板商品のわらび餅が絶品。店内で製造するこのわらび餅、夏は冷製、冬は温かいものがいただけます。弾力があるのにソフトな舌触りで、甘み控えめのきな粉や特製黒蜜も絶妙です。外国人に人気なのは、おはぎと抹茶です。もちろんこちらも手作り。北海道産小豆を使った餡も美味で、ボリューム感満点です。
秘伝のおかず味噌をお土産に
お土産にオススメなのは、東大寺に古くから伝わる秘伝のおかず味噌「お水取り 行法味噌」です。籠りの僧たちの行力が増すとして愛用するゴボウや大豆、ゴマの入った秘伝製法で作られます。この店だけが秘伝の製法を伝授され販売しているので、正真正銘ここでしか手に入らない逸品です。
味わい深い味噌は、温かいご飯やキュウリ、豆腐へのトッピングや田楽、酒の肴などにもぴったりの万能の味噌で、お土産にも喜ばれます。(90g/650円、180g/1,300円いずれも税込)
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龍美堂
- 住所 奈良県奈良市雑司町406-1 東大寺二月堂南茶所
- 電話 0742-23-6285
営業時間:9:00~17:00
定休日:不定休
法華堂の群像に圧倒される
二月堂から下りてきたら、法華堂(別名・三月堂)へ。このあたりは大仏造立以前には寺の中心地区とされ、法華堂は奈良時代に建てられた東大寺現存最古の建物で、東大寺の前身であった金鐘寺の遺構とも伝わります。本尊の不空羂索観音像(ふくうけんさくかんのんぞう)は8本の腕を持ち、数万個の宝石をちりばめた銀の冠をかぶり、手にした羂索(縄)で、すべての人を救ってくれます。
そのほか金剛力士、四天王など10体の国宝・重文の仏像が祀られています。像高約3~4メートルの10体の仏像が並ぶ姿はまさに圧巻。これは絶対見逃せません。
東大寺ミュージアムへも立ち寄りたい
東大寺ミュージアムは、境内にある東大寺総合文化センター内にあります。メイン展示室は、第1室から第5室まで、部屋ごとにテーマが設けられており、わかりやすく見学できるよう工夫されています。第1室のテーマは創建期の東大寺、第2室には国宝の誕生釈迦仏像や重要文化財の千手観音菩薩像、菩薩半跏像(ぼさつはんかぞう)などの仏像彫刻、工芸品など、見どころ満載です。東大寺の歴史や意義を深く知ることができるので、まずここで東大寺を学んでから各お堂に行くのもよいですね。
ミュージアムの案内所には、東大寺はもちろん、奈良市内や奈良県内の観光地のパンフレット類があり、3カ国語に対応しています。
オリジナルグッズに人気が集まる
ミュージアムショップ限定の人気のお土産を紹介します。1つ目はガイドブックや本類。公式ガイドブックは日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語と6カ国語を用意しています。また、絵本なども人気ですよ。
2つ目はオリジナルクリアファイル。大仏様はもちろん金剛力士像や日光月光菩薩像など仏像もの、正倉院柄のものなど14種類がそろっています。
3つ目はリピーターも多い、東大寺オリジナル薬湯。最後に仁王の顔の土鈴やお面。特に外国人には、持国天と月光菩薩が人気です。
ご朱印やご朱印帳も忘れずにゲット
東大寺は、大仏殿ではもちろん、さまざまなお堂でご朱印をいただくことができます。大仏殿では華厳宗のお寺であることから、中央に「華厳」、釈迦如来の梵字の宝印が押されています。そのほか、戒壇堂の四天王、二月堂の十一面観音など、東大寺だけでご朱印はで18種類あります。また、菊の御紋入りのオリジナルのご朱印帳やおそろいの柄のご朱印帳袋も素敵です。
写真は、歌手でありアーティストの篠原ともえさんデザインの東大寺オリジナルご朱印帳。高貴な紫色をベースに、大仏様と奈良の鹿、椿のイラスト入りで、大仏殿などで販売しています。
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東大寺
- 住所 奈良県奈良市雑司町406-1
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最寄駅
JR大和路線「奈良」駅・近鉄奈良線「近鉄奈良」駅から市内循環外回りバスで4~10分、バス停「東大寺大仏殿・春日大社前」下車徒歩5分、または近鉄奈良駅から徒歩約20分
- 電話 0742-22-5511
拝観時間:境内自由(大仏殿・法華堂・戒壇堂は8:00~17:00、東大寺ミュージアムは9:30~大仏殿閉門時間 ※季節により異なる)
定休日:無休(ミュージアムは臨時休館あり)
拝観料金:大仏殿・法華堂・戒壇堂・東大寺ミュージアム各600円、東大寺ミュージアムは大仏殿と共通で1,000円
Text by:株式会社ウエストプラン
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