訪日外国人にも人気のスポット、京都御所。緑豊かな御苑に囲まれるこの場所は、光厳天皇が即位した1331年から、明治天皇が東京へ移った1869年までのおよそ540年間、歴代天皇が住んだ皇居でした。
皇居としての役割を終えた現在は、一年を通じて一般公開されており、申し込み不要、拝観料無料で参観することができます。部屋を飾る襖絵や、季節ごとに異なる表情を見せる庭園など……魅力あふれる京都御所の見どころ5スポットを、分かりやすくガイドします。
見どころ1:襖絵が印象的な「諸大夫の間」
京都御所の参観の出入り口は、御所の西に位置する清所門(せいしょもん)です。清所門を入ると、右手に正式な参内者の玄関である御車寄(おくるまよせ)が。その先にあるのが、かつて参内者の控え所であった「諸大夫の間(しょだいぶのま)」です。3つの部屋からなるこの建物。それぞれの部屋は、襖の絵にちなんで「虎の間」「鶴の間」「桜の間」と名付けられています。麻地に墨で描かれた襖絵は、参観用の通路から鑑賞することが可能。中でも、水を飲もうとする虎や、じゃれあう姿がかわいらしい虎など、いきいきとした迫力満点の襖絵が鑑賞できる虎の間はとくに必見です。
見どころ2:伝統技法で作られた屋根の「紫宸殿」
白壁に丹塗りの柱が鮮やかな回廊に囲まれた紫宸殿(ししんでん)は、即位式などの重要な儀式が行われていた、最も格式の高い殿舎です。紫宸殿の屋根には、ヒノキの皮を少しずつずらしながら竹釘で固定し、何層にも重ねた檜皮葺(ひわたぶき)という伝統的な技法が使われています。
高床式宮殿建築と呼ばれるこの建物の中には、天皇が座る「高御座(たかみくら)」と、皇后が座る「御帳台(みちょうだい)」が置かれています。紫宸殿の前には白砂が敷き詰められた南庭(だんてい)が広がり、紫宸殿に向かって左側に「右近の橘」、右側に「左近の桜」が植えられています。
見どころ3:2匹の“守り神”がいる「清涼殿」
入母屋檜皮葺で寝殿造りの清涼殿は、平安時代の様式を復元した建物。紫宸殿が重要な儀式を行う場であるのに対し、清涼殿は天皇の日常生活の場でした。建物の中・中央に置かれているのは、天皇が休息に使った「御帳台」。その手前の厚い畳は「昼御座(ひのおまし)」といい、天皇が日中に使う御座所でした。御帳台の前には、平安時代からの習わしで、神社でよく見かける獅子と狛犬が置かれています。
清涼殿の東庭には、「漢竹(かわたけ)」と「呉竹」と呼ばれる竹が植えられています。紫宸殿前の左近の桜と右近の橘のように、清涼殿になくてはならない植物で、庭に整列するときなどに、これらの竹を目印にすることもあったそうです。
見どころ4:四季折々の表情が楽しめる「御池庭」
小御所や御学問所の前に広がるのは、御池庭と呼ばれる庭園です。池の周りを巡りながら鑑賞できる回遊式庭園という様式が採用された庭は、戦国武将の前田玄以(まえだげんい)が作り、その後に小堀遠州(こぼりえんしゅう)が手を加えて整備したとされています。池の手前には自然石を敷き詰め、洲浜を表現。右手には欅橋と呼ばれる橋が架かり、対岸には樹木が茂っています。池で休む野鳥や紅葉など、季節でさまざまな表情を見せる庭園は、いつ訪れても息を飲む美しさです。(参観では、庭の中に入ることはできません)
見どころ5:明治天皇が過ごした「御常御殿」
御常御殿(おつねごてん)は、京都御所の中で最も大きな建物。清涼殿が儀式の場として使われるようになったため、新たに天皇の生活の場として、16世紀以降に建てられました。現在の御常御殿は1855年に再建されたもので、明治天皇は東京へ移るまで、この御常御殿で生活していたそうです。御常御殿の東側にある御内庭と呼ばれる庭には、遣水(やりみず)が流れ、土橋や石橋、木橋が架かっています。ちなみに、庭を形作る橋や灯籠、庭石などの多くは、天皇への献上品が使われているそうです。
参観の際に気を付けたいことは?
京都御所は、皇室関連施設です。セキュリティーの関係で、清所門では手荷物チェックを実施しています。危険物やスーツケースなどの大型の荷物の持ち込みや、ペットを連れての参観は禁止されているので、注意しましょう。また、御所内では、喫煙や飲食、スケッチが禁止されています。写真撮影は可能ですが、ドローンや、三脚や脚立を使っての撮影はできません。さらに、外周を囲む塀に近づくと警報が鳴るので気をつけましょう。
御所は砂利が敷かれているので、訪れる際は、歩きやすい靴を履いてくるとベターです。
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京都御所
- 住所 京都府京都市上京区京都御苑3
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最寄駅
地下鉄烏丸線「今出川」駅から徒歩5分、バス停「烏丸今出川」下車徒歩5分
料金)入場無料
時間)宮内庁HPを要確認(http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/kyoto.html)
休)月曜(祝日の場合は翌日)、12月28日~1月4日休
Text by:株式会社ワード
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