京都にはメジャーな桜名所の他、たくさんの穴場的なスポットも見逃せません。中でも、京都駅からアクセスが良く、日本らしい桜の景色が楽しめる場所としておすすめしたいのが伏見エリア。「伏見稲荷大社」の千本鳥居で良く知られていますが、豊臣秀吉によって築かれた伏見城、酒蔵が立ち並ぶ街並みなど歴史を感じる見どころ、そして桜が楽しめる場所もたくさんあります。
今回は、そんな伏見の桜スポットとともに、伏見のグルメやお土産店など、伏見をたっぷり楽しめるおすすめの1日プランをLIVE JAPAN編集部の外国人スタッフ・張&ティモシーが、紹介します。
今回、京都の桜体験を紹介するのはこの二人!
・張さん(写真右)
台湾台北出身、在日歴は7年。インドア派でゆっくり過ごす「癒され旅」が好き。旅先のカフェや風情のある古い建物などで、人間観察や本を読むのが楽しみ。花や建物の写真を撮るのが趣味。眠りの質が何より重要なので、宿泊先の寝具、部屋の温度や空気、騒音チェックは欠かせない。
・ティモシーさん(写真左)
ニューヨーク出身、在日早20年以上の日本通。サイクリングやトレッキングなどアウトドアが大好きで旅は超アクティブタイプ。料理は作るのも食べるのも好きで、日本酒、ビール、ワイン、ウイスキーを愛する。かなりのグルメ通で、高級料理より日常~プチ富裕系のグルメが特に好き。自称、笑顔ときままな性格がチャームポイント!
伏見エリアってどんなところ?
伏見はその昔、戦国大名・豊臣秀吉が建てた「伏見城」を中心に、多くの大名が屋敷を構え、城下町として発展してきた場所。幕末の頃には、かの有名な坂本龍馬が定宿としていた「寺田屋」があったなど、日本の歴史を語る上で重要な場所としても知られています。
伏見は水源が豊かで全国屈指の名水が湧き出ており、古くから酒造りが盛ん。酒処としても有名で、今でも月桂冠、黄桜、玉乃光酒造など、多くの酒蔵が立ち並んでいます。
伏見観光は、近鉄「桃山御陵前」駅、または京阪本線「伏見桃山」駅からスタート。京都駅から電車で約10分です。特に歴史好きな張さんは「歴史ある建物が多いこのエリアの旅にワクワクしちゃいます!楽しみです」と意気揚々です。
桜スポット①天守閣と桜の構図が見事な伏見桃山城
伏見桃山城は、かつて豊臣秀吉が建てた伏見城の跡地に再建されたお城。現在の天守閣は当時のものではなく、過去の資料を基に再建された模擬天守閣です。1964年、伏見桃山城キャッスルランドという遊園地が開園し、そこに天守閣が建てられました。その後、2004年に遊園地は閉園しましたが、天守閣は残されています。ただし、耐震性の問題で、2007年以降は内部の見学は不可に。現在は、伏見桃山城運動公園として、市民に愛される憩いの場となっています。
当時の伏見城と区別するため、伏見桃山城という名称になっています。ちなみに桃山というのはこの地区の地名で、伏見城廃城後、桃の木を植えたことからつけられたと言われています。
そんな伏見桃山城の天守閣の周辺には、ソメイヨシノや紅枝垂れといった桜が咲き誇っています。お城×桜は、まるで戦国武将たちが生きていた過去の時代にタイムスリップしたかのよう。日本の歴史や文化に想いを馳せながら、情緒的な桜を鑑賞できます。
「朝食やランチにお弁当を持って、歩いてハイキングに来るのがおすすめです。穏やかな桜の前で、そよ風と鳥のさえずりを聞きながら、食事を楽しめてとてもよかったです。ただし、食べ物のゴミは持ち帰れるように、ゴミ袋をお忘れなく」
最寄りは、JR奈良線「藤森」駅、または「桃山」駅で、徒歩15分ほど。近鉄「桃山御陵前」駅、または京阪本線「伏見桃山」駅からでも、徒歩25分ほどのアクセスです。
「この素晴らしい景色が見られたら、歩いた苦労も気になりませんよ!また、本物派のお城ファンにとって、『復元された天守閣』というとがっかりするかもしれませんが、そんなことはありません!外観はとっても立派でした。周辺の公園はとても静かで、桜がみられる場所も私が訪れた時には特に混んでいませんでした。京都の他の観光スポットと比べると空いているので 素敵な隠れた名所だと思いますね」とティモシーさん。
桜スポット②川沿いに続く桜並木が圧巻!十石舟&その川沿い
宇治川と、そこから引かれた水路である豪川(ほりがわ)を遊覧している十石船。江戸時代には物流や交通手段としても重要な役割を果たしていた輸送船で、ここ伏見は港町としても栄えていました。川沿いには多くの桜が植えられており、絶好のお花見スポット。「ここ、十石船は台湾人グループに今年人気上昇している桜スポットなんです。だから一度来てみたかったんですよ!」と張さん。
川からゆっくりと桜や町の景色が眺められる遊覧船は人気のアクティビティです。
出発する船に、思わず手を振る張さんです。「この景色を見るだけでも、すごくロマンティックだと感じました。写真好きにはたまらない風景ばかりなので、つい夢中になって写真を撮ってしまいます。写真好きな方は、次のスケジュールとの間隔を開けて、ここでじっくり時間を取る方がいいかもしれません」
遊歩道をゆっくり散歩するだけでも心地よく、とても気持ちが良い場所です。
「桜のトンネルを歩いているような感覚でした。川沿いの散策はとても良かったです」
伏見おすすめスポット!桜スポットとしても必見!? 月桂冠大倉記念館
酒処の町、伏見に来たら欠かせないのが酒蔵見学。世界的にも有名な酒造メーカー月桂冠が運営する「月桂冠大倉記念館」で、伏見の酒造りの歴史や文化に触れてみます。
資料館の中は、酒造りの歴史や実際に使われている道具などが、数多く並んでいます。見学の所要時間目安は、約40分~60分です。
「月桂冠は1637年創業とのこと。日本のブランドの歴史には本当に驚かされます。博物館には過去の歴史がきちんと保存されていて、現代の私たちでも触れることができる。これはとても貴重な体験です。」
「こんなに大きな樽を扱うのは大変ですよね。めったに見られない製造の裏側がわかって興味深いですね」とティモシーさん。
実は、酒蔵見学に加えて月桂冠大倉記念館をおすすめしたいもうひとつの理由が、こちらの桜。中庭に植えられた桜が、立派で素晴らしいんです。
「たった1本の木とは思えないくらいたくさんの花がついていて、豪華なんです!」
しかも、庭にはテーブルと椅子が置いてあるので、時間に余裕があったら、ここでひと休憩しながらお花見するのもおすすめです!(ただし、飲食は不可)
伏見の酒造りを支える貴重な湧き水、試飲もできます。
「ワインはブドウ自体から水分が出ますが、日本酒は特定の成分を持つおいしくきれいな水が不可欠。機会があれば、酒蔵で使用されているお水そのものの味も試してみてください。」
酒造見学の最後には、お好みの3種類のきき酒付き(試飲)ができます。
「多くの酒蔵で、無料または有料で試飲ができるので、買う前にどんな味わいか確認することができますよ。月桂冠では、いろいろなタイプの日本酒があったので、お気に入りを見つけられる絶好の機会でした」とティモシーさん。
売店には、目移りするほどたくさんのお酒、地元名産の選りすぐりのお土産品が並びます。こちらのショップは見学者でなくてもだれでも自由に利用できます。
「せっかくなら、他では手に入らない月桂冠オリジナルグッズもおすすめですよ」
- ●入館料
- 20歳以上=600円/13歳~19歳=100円/12歳以下=無料
※13歳以上の方はおみやげ付き
※20歳以上の方は3種のきき酒付き
- ●開館時間
- 9:30~16:30(受付は16:00まで)
- ●休館日
- 盆…8月13日~8月16日、年末年始‥・12月28日~1月4日、ほか臨時休館日
- ●アクセス
- 京阪本線中書島駅から徒歩5分、伏見桃山駅から徒歩10分
伏見グルメならここ!ご当地グルメ&お酒が一度に楽しめる「伏水酒蔵小路」
伏見で行っておきたいグルメスポットはこちら、伏水酒蔵小路(ふしみさかぐらこうじ)。伏見の17蔵元の日本酒(現在は18蔵元)を扱う酒蔵と、バラエティ豊かなグルメ専門店8店舗が集まったお酒&食事どころです。
伏見グルメ①らーめん「門扇(もんせん)」の「酒粕らーめん」
店内は、入口の日本酒を専門に扱うバーカウンターを中心に、各店舗が商店街のように軒を連ねています。
伏水酒蔵小路のユニークなところは、どこのお店に入っても他の店舗のお料理やお酒が出前方式注文できるところ!好きなものを好きなように注文して楽しむことができます。お会計は最後にまとめて支払うスタイルです。
今回、二人がとにかく気になってしまったのが、らーめん「門扇(もんせん)」の「酒粕らーめん」!
「酒粕らーめんは食べたことがありません!どんな味なのか気になってたまりません!」
ラーメンは外国人に人気の日本のグルメでもありますが、「酒粕らーめん」とは一体どんな味なのでしょうか。
京都発祥の鶏らーめん専門店として有名な「門扇(もんせん)」ですが、ここ伏水酒蔵小路の店舗でしか食べれないのが「酒粕らーめん」。しかも、蔵元=お酒の種類を好みのものから選ぶことができます。
張さんは、酒粕感がマイルドでバランスが良い「英勲(えいくん)」。ティモシーさんは、酒粕感がちょっと強めでスープの濃度がしっかりしている「玉乃光」を選びました。
濃厚そうなスープに、大きな鶏チャーシュー。
「香りがいい!これは食欲をそそりますね!」とティモシーさん。
「初めて食べる味ですが、とても美味しいです、酒粕感が強めとありましたが、とても食べやすいですよ。濃厚で香りが豊か、すこし豆乳スープに似ているような気がします。ただ、それよりもっと複雑で深い味です!」
「スープがおいしいです!麺にしっかりスープが絡むので、とても一体感があります。酒粕感が優しめなほうですが、風味はしっかり。私の好みにぴったりです!」
【伏見グルメ②】伏見の酒蔵の日本酒
ただ、ここに来たらやはり日本酒を飲まずには帰れません。ということで、伏水酒蔵小路でしか味わえないという限定の日本酒をいただきます。
お店一番のおすすめは、17の蔵元ぞれぞれのお酒が一度に楽しめる「十七蔵のきき酒セット(4月現在は『十八蔵のきき酒セット』)」。
本当に種類が豊富なので悩ましいところ…、真剣に悩みます。
時間帯がまだ日中ということもあり、この日は17種ではなく、ここでしか飲めない限定酒3種をチョイスすることにしました。
店員さんに相談して、人気の3種類にしてみました。京都では、全国に先駆けて「京都市清酒の普及の促進に関する条例」が施行されており。「日本酒で乾杯条例」が制定されています。つまり、‟最初の乾杯は日本酒で”ということなのです。
条例にならって、張さん&ティモシーさんも日本酒で乾杯!それぞれまったく違った味わいで、日本酒の奥深さを感じます。「私の好みはこっち」「僕はこっちですね」と二人で日本酒談義。自分の好きな日本酒が探せるのも、複数の酒蔵があるからこそです。ここなら必ずお気に入りの一杯が見つかります。
「普段あまりお酒を飲まない私でも、好きな日本酒に出会えました!日本酒初心者の方は、セットの飲み比べメニューを選ぶのがおすすめです。」
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伏水酒蔵小路
- 住所 〒612-8057京都市伏見区平野町82番地2
営業時間 11:00〜22:00
定休日:なし
伏見でおすすすめのお土産店①京菓子司「富英堂」
伏見に来たらお土産に買って帰りたいおすすめ店が、1895年創業の和菓子屋「富英堂(とみえいどう)」。
お店の看板商品の一つが、献上銘菓「えがお」。明治時代に、当時の皇太子殿下に献上されてお褒めの言葉いただいたお菓子なのだそうです。
看板商品の「えがお」、京都らしいお麩を使った「麩饅頭」、中に餅が入った人気の「餅どら」をさっそく食べてみました。
張さんは「えがお」を実食。「そとはさっくり、中ふわふわのスポンジ、中はやさしい餡子というのが新感覚!おいしいですね。外国人も好きな味だと思います」
ティモシーさんは麩饅頭「外がモチモチで、餡子はやさしい甘さです。お麩というのがヘルシーでいいですね」
「餅どらは、しっかりした餅が中に入っていて食べごたえがあります!」
伏見の水と酒を使った酒まんじゅうも、人気の一品で看板商品のひとつ。残念ながらこの日はすでに売り切れとなってしまっていましたが、見つけたらぜひ味わってみてください。
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京菓子司 富英堂
- 住所 〒612-8056 京都府京都市伏見区中油掛町93
営業時間:9:00~19:00
定休日:木曜日
伏見でおすすすめのお土産店②200年以上の歴史を持つ「伏見駿河屋」
創業はなんと1781年、200年以上に渡って技術と味を受け継いでいる老舗の和菓子店が「伏見駿河屋」です。
こちらの看板商品は、駿河屋伝統技術で練り上げた羊羹。百貨店やその他お土産店などで卸していないので、ここでしか買えないおすすめの逸品です。なめらかな舌触りの煉羊羹(ねりようかん)、あずきが入った「夜の梅」、抹茶が入った「茶羊羹」の3種類があります。
日本の明治時代中頃、日本で初めて電車が通ったのがここ伏見の町。その歴史にちなんで、電車のデザインからインスパアしたかわいらしい羊羹セットはお土産にぴったりです。
パッケージの絵柄は味ごとに異なるので、好きなものから選べます。
「レトロでかわいらしいパッケージの和菓子は、日本のお土産にぴったりです。明治時代が好きな私は、すぐこちらを選びました(笑)」と張さん。
定番和菓子の他、プリンやいちご大福などといった新しいオリジナル商品もたくさんあるので、お土産だけでなくその日のデザート用にも買って帰りたくなります。
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伏見駿河屋
- 住所 〒612-8364 京都府京都市伏見区下油掛町174
営業時間:10:00~18:00
定休日:火曜日
日本の歴史と文化が見ごたえたっぷりな伏見エリア!桜の絶景もマスト!
歴史的にも重要な地域であり、水源が豊かで全国屈指の酒処である伏見。伏見でしか見られない桜の風景、空気感、そしてお酒やグルメをたっぷり堪能してみてください。
※ 記事の情報は2023年4月時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。
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