近年、日本でブームが再燃し大注目されているタピオカ。女子高生が選ぶ新元号の予想ランキングに「タピオカ」がランクインしたこともあり、さまざまなメディア等でも大いに話題を集めています。
若者のあいだでは「タピる」という言葉も生まれ、日本人の日常になじみつつあるタピオカ(タピオカパール)は、キャッサバのでんぷんから作られ、球状でもちもちとした食感が特徴的な食べものです。特に台湾発祥のタピオカミルクティーは、都内はもちろん日本全国にお店が続々オープンしています。
そこで今回は、「LIVE JAPAN」の台湾人編集者・張さんに、おすすめの台湾発タピオカ店を3つ教えてもらいました。老舗から2019年5月にオープンしたばかりの新店まで、いろんな種類のタピオカドリンクが満載! 人気No.1メニューや、日本ならではのメニューをご紹介したいと思います。
■タピオカミルクティーの元祖「春水堂(チュンスイタン)」
最初にご紹介するのは、「春水堂(チュンスイタン)」。タピオカミルクティーを世界で初めて作った、台湾発祥の老舗ブランドです。
始まりは1983年。伝統的なあたたかい中国茶をふるまうお店として「茶藝館」を開店。ところが、台湾では当時、若い人たちのお茶離れが進んでいました。このままでは中国茶を飲む習慣がなくなってしまう!と危機感を抱いたオーナーが、若い人にお茶を飲んでもらうための施策として、中国茶に氷を入れて飲むアイスストレートティーを作ってみたところ、冷たいお茶なら飲んでもらえるということを発見したんだそうです。
変化し続けなければいけないということがわかって、新たにメニューを試作するなかで誕生したのが、タピオカミルクティー。最初は常連だけに提供していたものが評判を呼び、レギュラーメニュー化し、台湾やアジアの観光客に人気が広がっていったそうです。
「春水堂」が日本に登場したのは2013年。代官山に1号店としてオープンし、今では全国に13店舗をかまえています。上質なお茶を提供したいという「春水堂」の世界観とクオリティーを守るため、それまでは台湾国内でオーナーの目が届く範囲まででしか展開していなかったそう。
「春水堂」の世界観とタピオカミルクティーのおいしさを純粋に日本に伝えたいという思いが伝わり、2年半がかりの説得を経て、ようやく日本での展開が許されたのだとか! 今では上質なお茶とタピオカの味わいが、日本のタピオカファンにも一目置かれる存在となっています。
「春水堂」のお茶の作り方は非常に厳しく、「お茶マイスター」の認定を受けたスタッフだけが、ドリンクを作ることを許されます。茶葉には紅茶、ジャスミンティー、烏龍茶を使っており、それぞれのお茶ごとにグラム数や湯量、蒸らし時間が明確に定められています。季節ごとやメニューごとに、台湾本部から厳しく定められたレシピが送られてくるのだとか。
また、タピオカも茹でたてにこだわっており、ドリンクに使用するのは茹でてから3時間以内のものだけ、というルールも。添加物を一切使っていないため、時間が経つにつれ、モチモチした食感や形が損なわれてしまうんだそうです。
人気No.1は「タピオカミルクティー」500円(税別)。茶葉には紅茶が使われています。台湾人編集者の張さんも、「これは一番好き!」と大絶賛。
「茹でたタピオカを、くっつかないようにキビ糖のシロップにつけてあるので、その甘みがほのかに感じられます。全然イヤじゃない甘さでちょうどいい!タピオカミルクティー初心者の日本人の方には、第一歩としてこの本格的な味でタピオカの世界に入るのがオススメです!」と笑顔満開です。
こちらは日本ならではの抹茶をベースにした「タピオカ抹茶ミルク」550円(税別)。日本から台湾へ逆輸入されたメニューだそうです。
「台湾人としては、もともと抹茶はすごく苦いものというイメージがあるけど、苦さは全然なし!むしろ、抹茶の香りが飲んだ後も口いっぱいに広がって、すごくいい香りです」と張さん。
お茶の味わいをしっかり感じられるように、タピオカの粒が小さめに作られているそうで、ストローで吸ったときに、お茶とタピオカが同時に口に入ってくるので、抜群のバランスで味わうことができます。
「台湾人の印象だと、抹茶とかほうじ茶ってすごく日本っぽい。とくに年配の方が飲むのかな、というイメージだけど、このタピオカ抹茶ミルクは、若い人にもオススメです!最近台湾で抹茶味の飲み物やお菓子が流行っているので、この“日本発祥”のタピオカ抹茶ミルクは、台湾人が東京へ旅行するときに、ぜひ一度試してほしいですね」
こちらは日本限定メニューの「タピオカほうじ茶ミルク」600円(税別)。もともとは秋の季節限定商品でしたが、あまりに人気が高いためレギュラーメニューに昇格したという逸品です。冬にはホットでいただくのもオススメなんだそう。
「タピオカ抹茶ミルクと比べると、タピオカほうじ茶ミルクのほうが大人っぽい味わい。甘みも入っていないので、抹茶よりもさわやかで、大人向けが好きな人にオススメです」と張さん。
また、「台湾では、まだほうじ茶の認知度が高くないですが、最近の若い世代には甘い飲み物が好きじゃない人がたくさんいるので、タピオカほうじ茶ミルクは甘さ控えめで、しかも日本でしか飲めない限定メニューなので、絶対試す価値があります」とのこと!
「春水堂」では、季節ごとの限定メニューも作っています。2019年6月10日からは、夏向けメニューとして「タピオカマンゴーミルクティー」650円(税別)が登場しています。
また、日本の「春水堂」ならではのフードメニューも大好評。豆花や麺類など、日本人の舌に合うようにアレンジされた台湾グルメをいただくこともできるので、ぜひ試してみてくださいね。
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春水堂(チュンスイタン)代官山店
- 住所 東京都渋谷区代官山町20-9 アクシス209代官山
- 電話 03-6809-0234
営業時間:11:00~21:00
(フードL.O. 20:00、ドリンクL.O. 21:00)
※混雑時には時間が前後する可能性がございます。ご了承ください。
定休日:不定休
※Wi-Fi有り/英語・中国語対応メニュー有り
■日本産のフルーツや黒糖と台湾茶のマリアージュ「一芳(イーファン)」
続いてご紹介する「一芳(イーファン)」は、台湾発祥のフルーツティーやタピオカティーが楽しめる、テイクアウト専門店。昨年2月に浅草店、4月に新宿店がオープン。都内に続々とお店が増え、タピオカファンからも注目を集めている大人気のお店です。浅草店に訪れた取材当日は、開店と同時に40人ほどのお客さんの列ができていました。
その昔、台湾に生まれ育ちパイナップル農園に嫁いだ女性が、熟れすぎたパイナップルを利用して天然ジャムやパイナップル水をふるまっていたそう。そんな彼女の幼名と秘伝のレシピを受け継いだというのが「一芳」ブランド。
旬の果物を使い、濃縮果汁は一切加えず、自然でフレッシュな果物の甘さを味わえるフルーツティーが看板メニューなんだそうです。
「一芳」では、オリジナルティーやフレーバーティーなど、さまざまなお茶がラインナップされていますが、今回は看板メニューの「一芳フルーツティー」と、日本ならではの食材を使用した「沖縄黒糖タピオカ紅茶ラテ」を注文しました。
こちらは「一芳フルーツティー」600円(税別)。お店で提供されるドリンクに使われている茶葉は、すべて台湾産。台中の標高の高いところにある風光明媚な湖・日月潭周辺で生産される、高品質の日月潭ブランド紅茶が使用されているそうです。
フルーツには日本産が使用されているので、日本の果物を味わえるのも外国人観光客にオススメしたいポイント。日本のレモン、オレンジ、リンゴに、台湾産のパッションフルーツと、色んな種類のフルーツがたくさん入っています。
「時間が経つにつれてフルーツの味が染み出します。甘さとともにフルーツの酸味をしっかり感じられるので、日本の暑い夏に合います」と張さん。
観光途中に歩きながら飲むのも、水分補給に良さそうです。タピオカをトッピングしてみたら、パッションフルーツのプチプチ感にタピオカのモチモチ感が追加されて、より面白い食感が楽しめるのでは?
こちらは「沖縄黒糖タピオカ紅茶ラテ」580円(税別)。ミルク、紅茶、黒糖タピオカの三層のグラデーションが美しく、写真映えも間違いなしの逸品です。
「一芳フルーツティーよりも甘さが控えめ。台湾で食べる黒糖よりもさっぱりして、日本の黒糖の違いが楽しめます。甘いのが苦手な人にもオススメしたいタピオカティーです」と張さん。
沖縄産と台湾産の黒糖は、それぞれ使われているサトウキビの種類が違うため、味わいに違いが生まれるのだとか。沖縄黒糖を使ったタピオカティーも、日本ならではのオススメメニューです。
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一芳(イーファン)
- 住所 東京都台東区浅草1-29-5
- 電話 03-4296-8984
営業時間:10:00~21:00
定休日:不定休
■2019年5月ニューオープン!日本初ブランド「萬波(ワンポー)」
最後にご紹介するのは、2019年5月にニューオープンしたばかりの「萬波(ワンポー)」。渋谷駅から原宿へ向かって徒歩数分に位置しており、観光途中に立ち寄りやすいテイクアウト専門店です。
張さんは行ったことがなかったそうですが、SNSなどで台湾女子にも人気が高く気になっていて、日本に初出店した途端、日本のタピオカファンがこぞって訪れ、注目を集めています。
「萬波」は、台湾のとある眷村から始まりました。眷村とは、中国大陸の各地から台湾に移り住んでいる人々の居住区のことで、さまざまな文化や生活を分かち合う場所なんだそう。眷村で幼少期を過ごしたオーナーが、家族や近所のおばさんたちとお茶を飲みながら語らう、眷村で過ごした時間に思いを馳せて始めたというブランドストーリーがあります。
看板や店内装飾などの雰囲気がなんとなくレトロな風合いなのは、そうしたストーリーに根差したものなのかもしれません。
「萬波」には、紅茶、グリーンティー、ウーロンティー、冬瓜茶など、さまざまなお茶をベースにしたバラエティー豊かなメニューがラインナップされています。今回は、日本では珍しい「鳴光金柑グリーンティー」、日本限定メニューの「カリカリココア紅茶」、「黒糖タピオカラテ」を注文してみました。
こちらは「鳴光金柑グリーンティー」Mサイズ・580円(税別)。+80円(税別)でタピオカをトッピングしました。金柑、グリーンレモン、干し梅が入った、グリーンティーベースのドリンクです。
「干し梅のしょっぱさとレモンのさっぱり感が、夏にオススメ。渋谷から原宿にかけて歩く途中にも良さそう」と張さん。
「暑気を払うため、ドリンクに梅や干し梅を使うのは、台湾によくある方法です」とのことで、確かに日本では見かけないレシピ。“医食同源”が根強い台湾らしさを感じる逸品は、きっと独特の風味にハマっちゃいますよ。
こちらは「黒糖タピオカラテ」570円(税別)。とくに人気が高いメニューなんだそうです。ミルクとタピオカの絶妙なグラデーションの途中に模様ができるのは、特別な作り方をしているからなのだとか。
「日本のミルクを合わせているので、ミルクが濃いですね!台湾人も日本の牛乳が大好き。また、黒糖タピオカミルクティーなどの商品は、台湾で大人気のインスタ映えドリンクです。写真映え好きな若者に、日本旅行の思い出としてオススメですね」と張さん。台湾黒糖のしっかりした甘みとミルクの濃厚さ、タピオカのモチモチとした食感が、絶妙に絡み合う逸品です。
こちらは日本限定メニューの「カリカリココア紅茶」600円(税別)。+80円(税別)でタピオカをトッピングしました。茶葉には台湾のダージリン紅茶が使用されています。
紅茶の上に、チーズとクリームブリュレ、カリカリ食感のココアパウダーがのっています。飲んだときに、上から順にぜんぶが口に入ってくるのが理想の飲み方だそう。
「クリームがのっているタイプはグリーンティーが多いので、ちょっと珍しいところもオススメのポイント。懐かしい感じの紅茶の味。台湾の紅茶は甘みがある感じがするんですよ」と張さん。ぜひ試してみてほしい日本限定メニューです。
最後にひとつ、張さんから豆知識を教えてもらいました。「萬波」にはカウンターにメモラックのような金属が置かれていますが、これは台湾ではよく見かける文化なんだそう。
箸袋やストロー袋をはがした後、収納するために置かれているのだとか。日本の焼き鳥店などで、食べ終えた串を入れる筒と似たような役割のようです。タピオカお作法として、覚えておくと良さそうです。
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萬波(ワンポー)
- 住所 東京都渋谷区神南1-10-5
- 電話 03-6455-0838
営業時間:11:00~22:00
定休日:なし
編集・ライター歴トータル17年以上。マンガ、小説、雑誌等の編集を経てフリーライターに転向後、グルメ、観光、ドラマレビューを中心に取材・執筆の傍ら、飲食企業のWEB戦略コンサルティングも行う。そのため、日本グルメの新商品やトレンドのキャッチアップが早く、LIVE JAPANでは幅広い年齢層や国籍の方にわかりやすく伝えている。
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