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[MOVIE] スタジオサンライズ-多様性と創造性に満ちた体系で今日のアニメを形作る制作会社

[MOVIE] スタジオサンライズ-多様性と創造性に満ちた体系で今日のアニメを形作る制作会社

更新日: 2018/07/10

宇宙のカウボーイを主人公としたもの、高校が舞台でアイドルグループが活躍するもの、巨大なロボットがバーに現れるものなど、アニメといって多くの人が思い浮かべるイメージはこうした非現実さだろう。現実にはなかなか起こり得ないストーリーでも共通のルーツを感じたりできるのがアニメ。カウボーイビーバップ、ラブライブ!、機動戦士ガンダムシリーズなど、数々の著名作品を創造し続けるアニメ制作会社がある。サンライズだ。

機動戦士ガンダムは世界的にもよく知られた名前であるが、欧米では同作品がどういった背景で創られているか、認識している人はほとんどいないのではないだろうか。世界的に著名なアニメは多数あるが、そのうちの多くをサンライズが生み出していると言っても過言ではない。きっと本記事をお読みのあなたの好きな作品もサンライズ製作のものがあることでしょう。今回、私たちはサンライズが今日の日本のアニメ文化にどのように貢献してきたのか、どういった哲学を元に成功を収めてきたのか知るため、サンライズ本社を訪れ、ガンダムのエグゼクティブプロデューサーであり、サンライズの取締役を務める佐々木新氏にお話を伺った。

アニメの登場とともに歩んできたサンライズ

「サンライズはあらゆる種類の異なるアニメを作っています。 それがサンライズの特徴です。」と佐々木氏は言う。「サンライズを知ってくださっているファンの方のほとんどは、ガンダムの存在を知っているだろうと思います。ただ、ガンダムを最近知った人は、その画期さに驚かれるかもしれません。サンライズが追求するものは、アニメの多様性です。私どもは独創性あふれるアニメをたくさん創り続けることで、その名を広めてきました。この成功は私どもがアニメを創り始めた、アニメの創始期に由来していると考えています」と氏は続けた。

サンライズの歴史は、日本にアニメが登場した歴史と密接に関連していると言っても過言ではないだろう。 サンライズは、元々「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「ブラックジャック」などで知られる手塚治虫氏のスタジオ「虫プロダクション」というスタジオ出身のメンバーが設立した。手塚氏とはご存知の通り、漫画の祖とも崇められる人物である。

虫プロダクションでは、特定のひとりのクリエイターに頼って作品を創るのではなく、アニメ製作に伴って様々なプロデューサーを起用することを哲学としている。サンライズも、このスタイルで長年に渡り、製作し続けてきた。
「サンライズとバンダイナムコピクチャーズあわせて現在全16のスタジオがございます。多様なプロデューサーを起用することで、さまざまなスキルを結集させ、一筋縄ではいかない多彩なテイストが共存した作品を創り出し、作品ごとにこの方法を用いることで、あらゆるタイプのアニメを製作することに成功していると考えています。」と佐々木氏。

サンライズの名を世界に知らしめたガンダムという作品

ガンダム©創通・サンライズ
ガンダム©創通・サンライズ

創業当初、サンライズとはメカものを扱うアニメ会社で、多様性はあらゆる種類のロボットアニメを創ることに対して用いられていたという。サンライズの創成期を彩った作品について伺うと、佐々木氏は「無敵超人ザンボット3、無敵鋼人ダイターン3、そしてやはりガンダムですね。当時、宇宙戦艦ヤマトが大きく流行をしていて、高校生や大学生を中心に非常に強い支持を集めていたんです。ガンダムはそのムーブメントに感化された作品です。」と躊躇なく答えてくれた。

安野秀明氏らに代表される、アニメ界を彩る重要人物の影響を受け、サンライズはロボットアニメの先駆者となった。70年代にシリーズ一作目「機動戦士ガンダム」で大成功を収めたサンライズ。この成功を元に、80年代には「機動戦士ガンダム II 哀・戦士編」を創り上げ、多様性と創造性溢れるサンライズたるイメージ像を創り上げた。

ガンダムはやはりサンライズを今も昔も支える代表的な作品で、今日のサンライズはガンダムなしにはあり得なかったという。ただ、今日のガンダムと70年代と80年代のガンダムとの違いは具体的にどういったところにあるのだろうか。

ガンダムの今と昔について佐々木氏の見解を伺うと、「私の世代は、ロボットアニメで育った世代です。個人的な話をさせて頂けば、ガンダムだけでなく、あらゆるロボットアニメから多大な影響を受けて育ちました。今日ロボットアニメを見てくれている方々の中に、私たちのようにロボットアニメを見て育った子どもたちはなかなかいないと思います。時代の移ろいとともに、ガンダムも変化を遂げてきました。デザインやアニメーションもその質は創成期から今日までに飛躍的に向上してきておりますが、変わらないのは小さな子どもたちが幼心に抱くヒーローになりたいと思う気持ちです。彼らの抱く夢がガンダムには詰まっているのです。その見た目は大きく変化しているかもしれませんが、視聴者の皆さまに「いつかなってみたい!」と思わせるような憧れの気持ち、夢見る存在であろうと製作している点など、製作サイドの気持ちはガンダムが始まった当時から全く変わっていません。この点がガンダムには最も大事なポイントの1つであると考えています。」と語ってくれた。

サンライズ社のアニメの数々:創造性と多様性

サンライズ社のアニメの数々:創造性と多様性

しかしながら、サンライズはオリジナル作品や改作品も制作しており、それらも大成功をおさめました。スタジオにはガンダム以上の作品が沢山あったのが良くわかります。80年代で最も注目すべき作品には以下のものがあります。

伝説巨神イデオン:一台の巨大なメカに変身できる機甲トラックアニメ
太陽の牙ダグラム:反乱と自由の戦士にまつわるもう一つのメカシリーズ
装甲騎兵ボトムズ機甲軍団、科学そして陰謀渦巻く銀河系の陰謀の物語
ダーティペアー:銀河系にいる貪欲な女性2人組の痛快でスリリングなサイエンスフィクション
シティハンター:現代の犯罪の街東京を舞台に、私立探偵でプレイボーイにあこがれる主人公を描いています
ミスター あじっこ:若手料理人「あじよし よういち」の巻き起こす痛快グルメアニメ

公開されたアニメ作品リストはもっと沢山ありますが、この6作品を見るだけでも、スタジオ特有の多様性が溢れています。
もう一つ言えることは、サンライズが今のように有名になったのはその質の高さです。佐々木 新氏はスタジオが、創造的バラエティと品質にどのように力を注いできたかについて以下のように説明しております。
「ガンダム」は思いもかけなかった影響力があり、ガンダムの質そのものが本当のスタンダードとなりました。 どうしたらガンダムのようにヒットするのか、あるいはガンダムの一番重要な要素はなになのか・・といった問いです。
一方で、ガンダムとは違った何かを造り出したいと思っていました。ガンダムは本当にスタンダードであり、そこから全てが出発していました。サンライズにとって、ガンダムはまさに巨大な創造物でした。「サンライズの持つ数々のスタジオ」は、お互いに友好的であり、また競争相手です。「相手がこうしたから、次はそうしよう・・こんな具合です」

カウボーイ、反逆、アイドル:どんな好みにもあう傑作

カウボーイビバップ©サンライズ, ダイターン3©創通・サンライズ
カウボーイビバップ©サンライズ, ダイターン3©創通・サンライズ

90年代以降、サンライズは大成功の道を歩み続けています。この時代は、西欧で初めて放映された1995年作成の「ガンダム ウイング」が、西欧のファンに一番良いと認められた時代でもありました。 でも、必見の古典的作品として評価されているアニメも同じようにサンライズのスタジオで作成されたのです。以下はそういった作品のごく一部ですが、そのうちのいくつの作品をあなたが見たり聞いたりしたものなのか、数えてみてください。

・アイカツ!!
・バトルスピリッツ
・コードギアス
・カウボーイ ビバップ
・銀魂
・犬夜叉
・ラブライブ!
・舞-HiME
・ケロロ軍曹
・ビッグオー
・The Girl Who Leapt Through Space
・エスカフローネ 
・Tiger & Bunny
・かいけつゾロリ

サンライズの作品は、メカでも他の作品でも世界中の人々にとってはアニメ入門用の作品でもあり、アニメとは認めがたいようなテレビの子供向けショーに続く「次のステップ」になる作品としても記憶に残っています。
「犬夜叉」が一番のお気に入りで、カウボーイビバップがとびぬけてクールだと思っていようが、20ものガンダムシリーズを最初からすらすら言えようが、サンライズのスタジオは、見るだけだった人達をアニメ大好きにさせるスタジオなのです。

つつましくスタートした初期に誠実に向き合いながら未来に挑戦する

ラブライブ!サンシャイン!! ©プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
ラブライブ!サンシャイン!! ©プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

サンライズの特徴である創造性と多様性とは、日本人と世界中のアニメファンが同じスタジオで結ばれているということです。
「 「アニメ」ファンは一つのグループあり、ガンダムファンも一つのグループです。
こういった人たちに どうやって素晴らしい作品を造るかがサンライズ活動の中心でしょう。」 サンライズの将来の活動の目指すところはなんですかとたずれられた時に、佐々木 新氏はこのように述べておりました。

将来について言えば、サンライズはどんな人達にもピッタリの、あらゆる種類のアニメを造るという考え方をきっちりと守って前進してゆきます。
だから、日本のアニメのカラフルで素晴らしい世界に引きずり込まれた昔の世代の経験は
後に続く世代もきっと同じようにうまく造ることができる経験となります。
そしてサンライズは、アニメでも、ロボットでも、アイドルでも、創造的でびっくりするような作品でも、そこで大きな役割を果たすのは間違いありません。たった一つの創造的ビジョンに縛られるのでなく、世界中の人達にアニメを造るという哲学をたずさえて、サンライズは、アニメを日本文化固有のものにして、グローバル現象にまでなったことに大きく貢献したのです。
そこで、「次はなにが起こるの?」と尋ねたくなります。
“ガンダムは2019年に40周年を迎えますので、この機会に次のシリーズをご期待ください。まずは、若い視聴者に沢山のオリジナルアニメを計画しており、さらに「伝統的な日本のパブ」といえる居酒屋アニメも計画しております。
タイトルは「異世界 居酒屋 のぶ」ですが、「ミスター味っこと焼きたてジャパン」とは違って私たちが造る唯一のグルメアニメでアルコールを取り上げた最初のアニメです。
小説に基づいており、そのアニメは今まさに制作中です。主役はとびきり美味しい料理の数々となるでしょう。というのも、ぜひご自分で試してもらいたいので。
このアニメで、世界中の人達に日本の居酒屋文化を紹介してゆきますが、ユニークで興味の沸く作品になると思います。サンライズは特にロボットとアイドルとして知られていますが、面白くてちょっと変わった居酒屋に期待してください。
居酒屋」についてすこしばかり知っている人にも楽しいものとなるでしょう。
時代背景は中性のヨーロッパのある街に日本のパブが突然とびだしてきて、
日本のパブなぞ考えもしなかった人達が すてきな時を過ごすことになります。“

異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~

ⓒ異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~製作委員会 ⓒ蝉川夏哉・転/宝島社
ⓒ異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~製作委員会 ⓒ蝉川夏哉・転/宝島社

佐々木新氏の手掛ける新アニメ、異世界居酒屋「のぶ」は、2018年4月から日本および世界に向け放送開始予定。常に居心地よく楽しい空間が広がり、日本の酒場カルチャーを彩る「居酒屋」を舞台にした同作品は、これまでのアニメ界に全くなかった世界観を演出する。日本人の庶民的な食文化やお酒の嗜み方、温かみ溢れる日本文化を、毎晩多くの日本人が杯を交わす「居酒屋」を切り取ることで、描き出す。居酒屋今回私たちは特別に異世界居酒屋「のぶ」が作られる背景やサンライズでアニメが製作される一部始終を伺うことが出来た。詳しい情報については追ってお伝えしますので乞うご期待。

異世界居酒屋「のぶ」オフィシャルウェブサイト。詳細な情報解禁までこちらのページをご覧になってください。
https://r.gnavi.co.jp/nobu/



聞き手=鈴木康道
協力=月刊ガンダムエース(KADOKAWA)

※記事掲載時の情報です。
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※特記以外すべて税込み価格です。

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