1922年10月12日、日本政府が5本の桜の木を国の天然記念物として指定した。「日本五大桜」と呼ばれるこの5本の桜の木は、いずれも樹齢数百年から数千年におよび、日本の文化と歴史において重要な役割を果たしてきた。今回はこの5本の桜についてご紹介しよう。
三春滝桜
所在地:福島県三春町
花の見頃:4月中旬~下旬
樹齢1000年以上におよぶシダレザクラ。「日本五大桜」の中でも最高峰と考える人も多く、開花時期には毎年50万人以上の観光客が訪れる。近年では2005年の豪雪で枝が損傷するなど、長年の間に多くの試練をくぐり抜けてきたが、2011年の東日本大震災による被害はほとんどなかった。三春滝桜の生命力は、日本の希望のシンボルともなっている。
石戸蒲ザクラ
所在地:埼玉県北本市
花の見頃:4月中旬
800年以上の樹齢もさることながら、世界で唯一のエドヒガンとヤマザクラの自然交配種としても知られている。
山高神代桜
所在地:山梨県北杜市
花の見頃:4月上旬~中旬
樹齢1800年とも2000年ともされる、日本でも最も古い桜の木の一つ。品種はエドヒガンで、44.3フィート(13.5m)もの太さの根元を持つ巨木。高名な僧侶である日蓮が、衰えかけたこの木の前で祈ったところ、蘇ったという伝説が残っている。
狩宿の下馬ザクラ
所在地:静岡県富士宮市
花の見頃:4月中旬
樹齢800年におよぶ国の天然記念物、および、特別天然記念物に指定された古木。かつては樹高114フィート(35メートル)もの高さがあったが、たび重なる台風などの影響で衰弱している。15代将軍徳川吉宗は、この桜について以下のような歌を詠んでいる。
(あわれその駒のみならず見る人の 心をつなぐ山桜かな)
これを英語に訳すと以下の意味となる。
「ああ、この野桜は馬を繋ぐだけでなく、見る人の心まで繋ぎ止めてしまうのだな」
この歌は、この地を訪れた鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝が狩宿の下馬ザクラに馬を繋いだとされる伝承にちなんで読まれたもの。馬が桜に繋がれるように、狩宿の下馬ザクラの目にした人の心もそこに繋がれてしまうという表現で、その美しさを讃えている。
淡墨桜
所在地:岐阜県本巣市
花の見頃:4月上旬~中旬
「淡墨」とは書道でしばしば使われる薄い色の墨のこと。その名の通り、淡墨桜は満開を超えて散り際になると、淡い墨色へと変わる。
樹齢1500年以上とされるエドヒガンの古木で、伝承によると5世紀の中~後期頃に継体天皇が植えたとされている。20世紀に入って枯れ始めたが、1949年に岐阜県の歯科医師である前田利行氏が約1ヶ月かけて根元を接木したところ、見事に再生。現在もなお、台風などの被害にも耐えて生き続けている。また淡墨桜は多くの絵画や楽曲、切手のモチーフにもなっている。
生きた伝説
日本五大桜は濃密な歴史を重ねるごとに美しさを増すという桜の本質を証明する、まさに生きた伝説とも言える。チャンスがあったら、一箇所でも訪れることを強くオススメしたい。
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