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[MOVIE] スーパー浮世絵:デジタルアートで江戸の秘密を明かそう

[MOVIE] スーパー浮世絵:デジタルアートで江戸の秘密を明かそう

Update: 2017/07/05

浮世絵に詳しくない人でも、聞いたことあるだろうキーワード。北斎、神奈川沖浪裏、木版印刷。鮮やかな色や多彩なテーマが特徴で、「浮き世の絵」という意味がある浮世絵は江戸時代の最も有名で代表的な文化ではないだろうか。
「スーパー浮世絵」という言葉だけを聞いた際、実はそんなに興奮しなかった。私は日本の本来の美術に強い興味を持っているし、いくつか浮世絵の名作を見たこともあったからだ。スーパー浮世絵の展覧会で、異世界と思えるくらい素晴らしい体験が待っているとは、全く知る由もなかった。

スーパー浮世絵とは?江戸の秘密の基盤を知る

スーパー浮世絵とは?江戸の秘密の基盤を知る
スーパー浮世絵のチーム

まず、基盤を知ろう。「スーパー浮世絵 江戸の秘密」とは何だろうか。具体的に言えば、日本の最も有名な浮世絵の名作をデジタル化することで、江戸の秘密を明かした美術展である。浮世絵は単にデジタル化されただけでなく、最新鋭の方法で動画に変身している。
スーパー浮世絵展にはメインカテゴリーが4つある。日本橋、女性ファッション、イケメン(江戸の浮世絵は昔のアイドルポスターだった!)、バケモノ。私はバケモノが特に面白かったが、それは後に述べよう。

スーパー浮世絵展のコンセプトは分かっただろう。でも、伝統的な木版印刷と現代のデジタルアートがどうやって一緒になるのか…まだうまく理解できなかった。実物を見ても、文字で表現するのは難しい。何世紀も隔てて出合った浮世絵とデジタルアートが、お互いを補い合って生み出す世界。その相性はいかに?ちょっとだけ見て、判断してほしい。

浮世絵風に江戸時代の日本橋を渡ってみよう

浮世絵風に江戸時代の日本橋を渡ってみよう

「スーパー浮世絵 江戸の秘密展」の記者会見で、その制作チームと出会うことができた。その中の一人は歌舞伎役者の6代目片岡愛之助。彼は展示品の音声説明の声優を務めた。その面白い出会いの後、他の浮世絵ファンとエレベーターに乗り、かつての日本橋に足を踏み入れた。壁一面の浮世絵、そしてスーパー浮世絵のチームが分解して作り出した紙の小さい江戸の人たちが等身大となって、私の左右に生き生きと現れた。こういった3Dの大道具だけではなく、部屋の真ん中には大きい橋も架けられ、浮世絵から取った江戸時代の日本橋のシーンが視界に広がっていた。原作の浮世絵が二つのキャンバスに写されると、昔の日本橋を渡る体験ができるという趣向だ。さあ江戸時代に浸ろう!

元気な鯉が橋の下で遊んでいたり、江戸の人々がぺちゃくちゃ話していたり…デジタルアートと録音された音声が、本物の江戸の雰囲気を感じさせる。私以外にも、浮世絵に描かれた人たちが日本橋を歩いた。絵を見ると、その人はもちろん永遠に凝立しているけど、スーパー浮世絵の素晴らしい世界ではみんなが動いている。伝統的なアニメにように。

昔のアイドルと挨拶

昔のアイドルと挨拶

日本橋を渡ると、歌舞伎劇場の真ん中に。びっくりした顔つきでキャンバスに写られた歌舞伎舞台を見ていると、幕が上がった。浮世絵で見たことのある歌舞伎役者が生き生きと演じ、3Dの江戸の観客が拍手喝さい。そのシーンの中に立っていた私も、本当に浮世絵の一部分になったんじゃないかと思われた。イケメンというカテゴリーにも、江戸時代の歌舞伎役者の浮世絵がいくつか展示されていた。浮世絵は印刷しやすく、複製も簡単にできたため、料金としては高くない作品だった。そのため江戸の人々にとっては歌舞伎アイドルたちの浮世絵が大人気だったとか。現代の雑誌に付いているアイドルポスターなどと、同じ感覚かもしれない。

スーパー浮世絵で最も有名な歌舞伎スターは、ただ絵として飾られているだけでなく、表情が動いていた。それを知らなかった私は、浮世絵のイケメンが目をぎょろっとさせた時、死ぬほどびっくりした…。江戸の人なら、買ったばかりの浮世絵に描いた歌舞伎役者が突然に動いたら、どんなリアクションがあったかな。私より怖かったはず。面白い。

浮世絵の芸者と江戸の秘密を明かそう

浮世絵の芸者と江戸の秘密を明かそう

イケメンから美女へ。浮世絵の女性たちが、江戸社会の様々なファッションを紹介しているコーナーがあった。毎日の着物だけではなく、高くて、おしゃれな服も。広いキャンバスで冬の河畔が写され、小さな雪片が空から舞い降りた。キャンバスの両側から、着物を着ている女性が入ってきて、その美しい冬のシーンがランウェイになった。もちろん、紹介していたファッションも面白かったが、私にとっては、とても優美で、流暢なアニメーションがハイライト。着物、女性の動き方は私を魅了した。

同じような演出は次のキャンバスでも。冬から春になり、雪の代わりに桜が空から舞ってきた。また、川から江戸の娯楽街にシーンは移り、芸者や侍たちがメインに。冬のシーンに見たファッションと比べると、芸者のほうがやっぱり派手な服装をしていた。様々な人たち、様々な色を見ると、少しだけ「江戸の秘密」というものを理解ができたなと感じた。
浮世絵は、特に一般の人たちの生活を見せることで有名。浮世絵を見ていれば見ているほど、色々小さな発見がある。スーパー浮世絵は、その浮世絵を作った人のシーン、背景となる世界をも見せてくれる。現代のデジタルアートで美しく、真の江戸を体感させてくれるのだ。

北斎の神奈川沖浪裏へ頭から飛び込もう!

北斎の神奈川沖浪裏へ頭から飛び込もう!

次の部屋で、このような「江戸を体感する」印象をもっと強く感じた。目の前には海が広がり、富士山も見える…迷うことなく、これは北斎の神奈川沖浪裏!浮世絵だけではなく、カモメの鳴き声、波の音もよく聞こえた。ゴロゴロと音がすると、一つの大波が狂ったように荒れてきて、二つ、三つの巨大な波になった!荒波を受けて漁船が激しく揺れて、その景観を見ている私を含むすべての人が酔っていた。「北斎はこのような海を見たのだろうか。これは浮世絵かな」と皆が考えただろう。

海は静かになり、いくつかの魚が波から飛んできた。少しだけ滑空すると、青い海に消えてしまった。大波のようにぱっとクジラが浮かび上がって、目をぎょろぎょろさせて見物人を注視した。何時間もこの北斎の海を体験したかった…。

歌舞伎怪談と提灯お化けのお岩さん

歌舞伎怪談と提灯お化けのお岩さん

北斎の海は素晴らしかったが、次のエリアに進んだ。そのエリアはバケモノの異世界!昔の怪談がとても大好きな私は、バケモノや幽霊などの浮世絵は特に興味深い。恐ろしく唸る声、不気味な笑いがバケモノっぽい雰囲気を醸し出し、突然に幽霊舟や骸骨の世界に拉致された。片岡愛之助はそのデジタルなバケモノの浮世絵を物語り、まさに怪談のアニメ体験だった。私にとっては、特に四谷怪談にいる提灯お化けのお岩さんが面白い。

嫉妬深い女性に騙され、自分の夫に酷く裏切られたお岩さん。ただの死ぬだけでなく、お岩さんは夫に復讐を望み、彼が死ぬまで、ずっと彼の前に出没したのだ。江戸時代の人に、その四谷怪談は大人気だった。ひどい扱いを受けるお岩さんは、江戸の下層階級の人々の心に通じやすく、彼女の復讐はとても快いものだったかもしれない。スーパー浮世絵の動いているお岩さんの浮世絵も、江戸の人たちにも大人気になりそうだと感じた。

スーパー浮世絵の江戸の秘密、明かした!

スーパー浮世絵の江戸の秘密、明かした!

お岩さんの泣き声を聞きながら、明るい世界に戻るためにエレベーターに乗った。「スーパー浮世絵 江戸の秘密展」はこれで終わるが、様々な印象は、絶対に長い間、忘れられない。昔の日本橋、賑やかな歌舞伎劇場から美しい芸者や不気味なバケモノまで、「浮世絵」ということを再発見した体験が色々できた。ユニークなアニメーションで浮世絵の特徴が強調され、浮世絵に見える江戸を生かしていたことがハイライト。たしかに、それは「江戸の秘密を明かす」という意味だろう。

どんな秘密を明かすか、浮世絵をどんな風に再発見できるか。浮世絵を全然知らない人、浮世絵に詳しい人、いずれも「スーパー浮世絵 江戸の秘密」を自分に体験してみてほしい。私からは、超おススメ!だ。

  • Super Ukiyo-e
    • 住所 Kayabacho-Itchome Heiwa Bldg., 1-8-1 Nihonbashi-Kayabacho, Chuo-ku, Tokyo-to 103-0025

Written by:

Pamela Drobig

Pamela Drobig

ドイツ・ベルリンの大学で日本学科を卒業し、2014年から再び日本で暮らしはじめました。日英翻訳をはじめ、日本の歴史、民俗、現代文化、社会問題などに関心があります。

※記事掲載時の情報です。

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