東京・上野公園の一角に、ひときわ目を引く美しい建物があります。それが、1877年に創立された日本最大級の総合科学博物館『国立科学博物館』です。「科博」の愛称で親しまれるこの博物館は「日本館」と「地球館」で構成されており、「日本館」は地下1階~地上3階、「地球館」は地下3階~地上3階と広大な広さを誇っています。展示数は驚きの約2万5000点。1日では見きれないほどの展示物の数々に、老若男女・国籍問わず多くの人が魅了されており、2023年は約270万人が訪れる人気スポットになっています。
国立科学博物館のテーマは「人類と自然の共存を目指して」。
日本の自然や科学技術の歴史、そして地球の壮大な物語を、さまざまな角度から体験できます。室内なので雨の日の東京観光にも最適。知的好奇心旺盛な方や、科学や生き物が好きな子供たちも必ず満足するはずです。
1ヶ月に何度も取材に訪れた私が、その魅力や見どころを完全攻略ガイドとして紹介します。
見どころ1 歴史を刻む壮麗な建築美

国立科学博物館の魅力を語るうえで欠かせないのが、その美しい建築そのものです。1931年に建設された日本館はネオ・ルネッサンス様式の壮麗な建物で、国の重要文化財に指定されています。シンメトリーが非常に美しく、特にステンドグラスが輝く中央ロビーは、多くの人が思わず立ち止まって写真を撮影してしまう人気のスポットです。

そして、実はこの建物、上から見ると飛行機のような形をしているのが特徴です。
これは当時の最新技術であった航空機をモチーフに、「科学技術の発展によって未来へ飛び立つ」という願いが込められて設計されました。この建物自体が、過去から未来へと続く科学の歴史を物語っているのです。

見どころ2 日本の自然と科学の歴史をたどる「日本館」

日本館は「日本列島の自然と私たち」がテーマ。日本の豊かな自然と科学技術の歴史を紹介しています。火山活動によって形成された独特な地形、四季の移り変わりがもたらす豊かな生態系、そしてそこに暮らす人々の生活や文化。これらがどのようにして成り立ってきたのかを、また日本の自然の美しさと独自性を学ぶことができます。
国立科学博物館の広報課長である関根さんに日本館を回る順序を聞いたところ「3Fから2F、1Fと順に降りてくると理解しやすい」とのこと。

3Fに展示された巨大なフタバスズキリュウの復元骨格は、まさに圧巻の一言。恐竜時代の海を支配したとされるこの生き物の迫力は見る者を圧倒します。また、日本最大級のアンモナイトコレクションや鉱物コレクション、日本に落下した隕石も展示されています。




他にも日本人のルーツが分かる資料や日本のミイラ、日本固有の生き物のはく製など、貴重な資料が多数展示されています。





「日本の自然や歴史をこんなに網羅的に学べる場所は他にない。日本の生き物たちの多様性についても深く知ることができ、本当に来てよかったです。」実際に訪れた外国の方からこのような称賛の声が聞かれるように、まるでタイムトラベルをしているかの如く、日本の太古の姿から現代までの壮大な物語を体験できるのです。
見どころ3 地球の生命と科学の謎を解き明かす「地球館」
地球館は「地球生命史と人類」がテーマ。地球の誕生から生命の進化、そして人類の歴史と未来について紹介しています。地下3階から地上3階までフロアごとに異なるテーマで構成されており、見どころが満載です。時間がない人にも是非訪れてもらいたい箇所を紹介します。
まず、地球館の展示室全体を繋げるシンボルゾーンである1Fの「地球史ナビゲーター」から紹介しましょう。

ここでは138億年を一望する時間の旅を、巨大スクリーンに映るアニメーションと標本・資料で学ぶことができます。奥に進むと地球の多様な生き物たちが展示されているフロアが広がっています。多くの種に分かれて進化してきた生物たちが数多く展示されているので、生き物が好きな人にはたまらない場所です。ダイオウイカやマッコウクジラの全身骨格、
ボルネオ島から運んできた絞め殺しの木などが展示されています。多くの種に分かれて進化してきた数多くの生物たちの美しい姿は見ていて飽きません。





恐竜やマンモスなど太古のロマンを感じたい人は「地球環境の変動と生物の進化」がテーマの地下1階・地下2階がおすすめ。地下1階には恐竜の化石がたくさん展示されており、子どもも大人も興奮間違いなし。
地下2階はマンモスをはじめとする巨大な化石のほかにも、大昔の人々の姿や人類の進化の様なども確認することができます。


地下1階には世界でもあまり例を見ないほど良好な状態で発見されたトリケラトプスの全身骨格や、座った体勢をしているティラノサウルスが展示されています。


そして、「大地を駆ける生命」がテーマの3階も非常に評判が高い人気スポットです。ジャイアントパンダや非常に希少なニホンオオカミのはく製など115体の大型はく製がずらっと並ぶ姿が壮観です。




見どころ4 球体内部で映像を体験する「シアター36○」

国立科学博物館でユニークな体験ができるのが「シアター36○(シアター・サン・ロク・マル)」です。直径12.8mのドーム型スクリーンを持つこのシアターでは、中央のブリッジに立ち、360度全方位に映し出される迫力満点の映像を独特の浮遊感とともに楽しむことができます。

約6分間のオリジナル映像を上映。ナレーションは日本語ですが、英語・韓国語・中国語に対応したイヤホンの貸し出しもあります。必要な方はスタッフにお声がけを。
見どころ5 人間が生み出した科学技術の数々

展示されているのは生き物や化石、鉱物だけではありません。人間の英知により生み出された科学技術も非常に多く展示されています。興味のある人は日本館の1階、地球館の2階・地下3階を訪れてみてください。中には江戸時代のものや重要文化財、アポロ11号・17号が持ち帰った「月の石」も展示されています。



展示物を詳しく知るには…
展示物を眺め「感じる」ことでも十分楽しめますが、より詳しく知るには以下のサービスを活用するのもおすすめです。
●かはくHANDY GUIDE(無料)

自身のスマートフォンで館内専用Wi-Fiにアクセスすることで、展示物の解説を確認することができます。日本語・英語・中国語・韓国語に対応。館内に掲示されているQRコードを読み込むことで利用できます。アプリのダウンロードや会員登録は不要です。
●音声ガイド・かはくナビ(有料)
前述の「かはくHANDY GUIDE」はテキストで情報を確認できるサービスですが、音声で情報を確認できる有料サービス(320円)もあります。日本語・英語・中国語・韓国語・日本語子ども向けに対応。スタッフにお声掛けください。
●かはくたんけん隊(有料)

4~6歳のこどもとその保護者を対象としたプログラムです。常設展示を回りながらしりとりをしたり、絵をかいたり、いつもとは違う方法で博物館を楽しむことができます。日本館・地球館のワークシート各1冊と、紙製のたんけん帽・オリジナル鉛筆などの道具が入った「たんけんバッグ」のセットが410円で販売されています。ワークシートの難易度は「やさしい」「ちょうせん」から選択でき、違う難易度に挑戦したい方は、ワークシートのみの販売もあります(2冊で250円)。音声ガイドカウンターにある専用の発売機よりチケットを購入し、本品とお引替えください。現金のみ。日本語版のみ。※スタッフによる解説はありません。
●かはくボランティア

国立科学博物館は親しみやすく、ぬくもりがあり、顔の見える博物館となるよう、入館者との対話を重視した活動を推進しています。展示の理解を深めるポイントの紹介や案内をしてくれるボランティアが常設展示室で活動していますので、気になることがあれば、たずねることができます。なお、時間帯によっては、ボランティアが展示室にいないこともあります。
●ディスカバリートーク
博物館の研究者が交代で展示物や研究者自身の研究内容などについて、来館者に直接語りかける解説活動。土日祝日の11:30・14:30からスタートし、各回15分~45分程度。入館者は無料で参加できます。日本語のみ。
ほかにも様々なイベントやセミナーなどが開催されているので、公式サイト内のイベントカレンダーは必見です。
さらに、特別展・企画展も開催
常設展だけでも十分に見どころがあるのですが、本記事では紹介しなかった特別展・企画展が随時開催されています。企画展は日本館もしくは地球館で行われているため、常設展示入館料のみで見ることが可能。一方、特別展は入口が別になっており別途料金が必要です。
ミュージアムショップ、カフェ、レストランなども併設
入館した際に役立つ館内の施設を紹介します。
●ミュージアムショップ

国立科学博物館の展示品をモチーフにしたオリジナル商品や、化石・鉱物等実物標本など大人からこどもまで楽しめるグッズが数多く販売されています。秋田犬ハチやフタバスズキリュウなどの同館を代表する展示品のぬいぐるみを手に入れることができます。

●レストラン「ムーセイオン」

地球館中2Fにある席数170 席のレストラン。展示物をモチーフにしたメニューやデザート、特別展とコラボしたメニューも用意。窓からはマッコウクジラの標本を眺めることができます。ちなみに店名のムーセイオンは古代ギリシャの学堂の名称でミュージアム(博物館)の語源。
●カフェ 「くじらカフェ」

自由に休憩ができるラウンジが日本館B1Fにあり、席数は100席程度用意されています。そのラウンジに併設しているのが「くじらカフェ」。カフェメニューのほかおにぎりも販売しています。専用の座席数は38席。
※館内のレストラン・カフェは上野の名店「上野精養軒」が運営しています。
●親と子のたんけんひろば「コンパス」

0歳から小学6年生までのこどもと保護者(18歳以上)が一緒に楽しむ展示室。博物館での体験を家庭における「日常」に持ち帰ってもらうことを目指し、親子のコミュニケーションを促すしかけがたくさん用意されています。迷路のような建物の中を探検しながら、動物のはく製を観察したり、絵本や図鑑を読んだり、スタッフによるワークショップに参加することもできます。1日5回・45分間の完全入れ替え制で、ご利用にはインターネットによる事前予約が必要です。また、入館料のほかに一人300円の料金が必要です(0歳から1歳のこども・障害のある方と、その介護者1名は無料。ただし、この場合も予約が必要です)。
●かはくVR

記事を読み、「実際に訪れてみたい!けれど、様々な理由で訪れるのが難しい…。」そう考えた方に朗報です。会員登録・アプリダウンロード不要かつ完全無料で、高画質な3Dビュー+VR映像で展示室を覗くことができます。まるで国立科学博物館の中にいるように、自宅にいながら展示を鑑賞することができるため、お薦めです。
さあ、国立科学博物館で知の探求に出かけよう!

国立科学博物館で味わえる体験は地球の壮大な歴史をたどり、生命の神秘に触れ、科学の力がもたらす未来を想像する知的な冒険の旅です。一日では見きれないほどの膨大な展示は、訪れるたびに新しい発見を与えてくれるでしょう。
国立科学博物館の基本情報
●住所
東京都台東区上野公園 7-20
●アクセス
・JR上野駅 公園口から徒歩5分
・東京メトロ上野駅 7番出口から徒歩10分
・京成線京成上野駅 徒歩10分
●開館時間
午前9時~午後5時
※入館は閉館時間の30分前まで
●休館日
毎週月曜日
年末年始や夏季期間、月曜日が祝日の場合などは休館日が変更になるため詳細は公式サイトをご確認ください。
●入館料(常設展)
一般・大学生:630円
高校生以下および65歳以上の方:無料
※チケットは当日に受付で、もしくは事前にオンラインでも購入可能です
※当日中の再入館は総合案内にて対応します(常設展のみ)
※特別展は別途料金がかかります
※記事内の料金は2025年10月現在のもの
●その他
コインロッカー・授乳室・おむつ交換設備・車いす・ベビーカー・オストメイト対応設備などがあります。
また、有料で施設貸出も行っています。
詳細は下記をご確認ください。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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