庄や1号店が開店したのは1973年のこと。以来、「おふくろの愛で包むようなサービスと料理を提供する、都会の砂漠の中のオアシス」をコンセプトに、都会から住宅地まで日本全国に268店を展開しています。味や素材にこだわって、日本人が大好きな定番メニューをそろえてきたことが、根強い支持につながっています。

首都圏の空港からのアクセスが良い上野駅から徒歩1分というロケーションにある「庄や 上野本店」。年々増えている海外からの観光客の人たちや、屈指のターミナル駅であることから、地元で働くサラリーマンの利用が多いそう。

「海外は中国、アメリカ、オーストラリア、最近はベトナムやバングラデシュの人もいらっしゃいますね」

国内外問わず、一番人気は刺身盛り。人数分でオーダーができ、新鮮な切りたてのお刺身が桶に盛られて登場します。写真は「磯盛り（5種盛り）」の3人前（1人前530円）。マグロやサーモン、甘エビなど、実物は写真以上の豪華さです。

「尾頭付きもありますが、苦手でしたら付けないものも選べます。外国の方はわさびがお好きな方が多いですね。言っていただければ増やしますので、どうぞお知らせください」

「次いで『焼き鶏盛合せ』（820円）や『ほっけ焼き』（780円）が人気です。加えて『名古屋手羽唐揚げ』（550円）や『牛タン焼き』（890円）、『庄やサラダ』（380円）なども定番ですね。中国の方はこういったものをおかずに、みそ汁とお新香、ご飯がセットになった『ご飯セット』（350円）を合わせて注文して、食事をされる方が多いですね」

日本人の場合、居酒屋はお酒を飲みに行くところと考えがち。しかし、観光やショッピングで遅くなり、レストランのラストオーダーが終わってしまった後でも、こうして食事が楽しめる居酒屋は心強い味方になります。ちなみに、日本人はいろいろなメニューを試したがるそうですが、外国の人たちは、気に入ったメニューをリピートする傾向があるそうです。

「いま、日本のお客様に一番支持されているお酒は、なんといっても『ハイボール』（ウイスキーのソーダ割り。400円～）ですね。『ホッピー』（焼酎をノンアルコールビールで割ったもの。大ジョッキ480円）も人気です。外国にはないものなのか、日本人が飲んでいるのを見て、『あの席の人が飲んでいるものください』と言われることが多いですね」

一方、日本酒を頼む場合、和食店ならば高級ラインに限定されていたり、バーならば逆に種類が多すぎて知識がないと選びにくいことも。その点、手ごろで気軽に試してみることができるのが、居酒屋のいいところ。庄やでは、全国の銘酒を18種類そろえています。

「一番おいしいものを、と言われると『獺祭（だっさい）』（1,000円）をお勧めしますが、辛口が好きとか、女性向けなど希望をいただければご提案いたします」

店内は喫煙可ですが、もし煙が嫌ならば、できるだけ煙が向かない席や、空いていれば個室へも案内してもらえます。

「外国のお客様が増えていることから、ベジタリアンや宗教上の食事の制限などは、必ず気をつけるように徹底しています。ぜひ安心してお召し上がりください」

お酒も食事もよりどりみどりで、肩ひじ張らない雰囲気が楽しめる居酒屋は、日本旅行時に一度は訪れたい場所。「ハイ！よろこんで」が合言葉で、気持ちのいいサービスが受けられるお店なので、ぜひ足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

※金額表示はいずれも税抜
取材・文／浅香来、撮影／石川ヨシカズ