日本の寺社で見られる花手水は、ご存じですか?美しいお花アートとして注目されています。花手水。そもそもどんなものなのか、東京近郊で見られるスポット紹介、家で簡単にできるミニ花手水のやり方について紹介していきます。
■そもそも「花手水」とは
花手水とは、もともと水の代わりに花や草木の露をつかって身を清める作法のこと。
日本の多くの寺社では、参拝する際に手や口を水で清める手水(てみず、ちょうず)という風習があります(※)。寺社の入り口の近くで、竹の筒や龍の銅像の口から水が流れている場所を見かけたことはないでしょうか。この入り口近くにある水場が、手水をおこなう場所で「手水舎(てみずしゃ・ちょうずしゃ)」と呼ばれます。同様に手水をおこなう鉢は、手水鉢といいます。
※一部の寺社、宗派によって、花手水の考え方や参拝作法は異なります。
ただ、最近の「花手水」の解釈は少し変わっていて、この手水舎にある水盤や鉢に花を浮かべることそのものを意味するようになっています。
この現代的な花手水の発祥といわれているのが、京都にある柳谷観音・楊谷寺。楊谷寺は、古くから眼の病に悩む人々に信仰されてきたお寺ですが、初夏は紫陽花、秋は紅葉のスポットとしても知られています。2015年から手水舎をはじめお寺のさまざまな所に生花を飾るようになり、それがSNSなどで広まっていったのだそうです。
■コロナ禍で再注目!新たなアートとしての花手水
そんな現代版の花手水は、コロナ禍でさらに注目されるようになりました。
新型コロナウィルス感染拡大防止策の一環として、多くの寺社では不特定多数の人たちが使う手水を中止するように。そこでこれをきっかけに、使わなくなった手水舎や手水鉢に花を飾るという動きが、全国の寺社に広まっていったといいます。
各寺社で取り組み始めた理由はさまざまで、参拝客が減ってしまった寺社に少しでも訪れてもらうため、参拝に来た人たちが少しでも癒されて欲しいという思いを込めて、早くコロナが収束しますようにという願いを込めて、廃棄されてしまった花を活用するため、といったことです。
この新しい花手水もまた、SNSを中心に多く拡散され、新しいフラワーアートひとつとして私たちの心を和ませてくれています。
■季節ごとに楽しめる、東京近郊の花手水
都内近郊でも有名な寺社で花手水を見ることができます。ここでは都心でアクセスも良く、花手水が見られる寺社を紹介します。
①法輪寺(ほうりんじ)
お寺自ら「花手水推進委員会」と題し、公式のInstagramの投稿では色とりどりの花手水を投稿しており、一年を通してさまざまな作品が見られる。
カラフルなイラスト入りの御朱印がSNSでも話題で、写経、ヨガ教室、とても気軽に訪れることができる。住職によるYouTubeチャンネルがあるなど現代的で開かれたお寺。
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法輪寺
- 住所 〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-1-15
- 電話 03-3203-5410
②乃木神社(のぎじんじゃ)
明治時代の軍人、日露戦争で日本を勝利に導いた乃木希典(のぎまれすけ)とその妻・静子夫人を祀った神社。
都心にありながら緑が豊かなオアシスのような場所で、洗練された佇まいが特徴的。2020年から花手水がみられるようになり、夏に時期をメインに不定期で開催している。
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乃木神社
- 住所 〒107-0052 東京都港区赤坂8-11-27
- 電話 03-3478-3001
③築地本願寺(つきじほんがんじ)
インド等アジアの古代仏教建築を取り入れた豪華で独特な美しい外観が特徴。カフェや書店、宿泊施設も併設しているなど、とてもオープンなお寺でお出かけスポットとしても楽しめる。
築地市場の近くという立地も観光に便利。花手水は不定期で実施している。
④下谷神社(したやじんじゃ)
東京・上野にある都内でもっとも古いお稲荷様。お稲荷様とは、漢字に「稲」という文字が入っている通り、稲を始めとした農作物が豊作になることを願って祀られている所。
毎月1日のほか、定期的に花手水を実施。限定の御朱印の色に合わせて月ごとにいろいろな花で飾られている。
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下谷神社
- 住所 〒110-0015 東京都台東区東上野3-29-8
- 電話 03-3831-1488
⑤福徳神社/芽吹稲荷 (ふくとくじんじゃ/めぶきじんじゃ)
日本橋のオフィス街にあることから多くのビジネスパーソンも訪れる。別名「芽吹稲荷」。その歴史は古く、西暦860年頃から鎮座していたといわれており、特に武将の信仰が厚く、江戸時代徳川家康公も足を運んでいたという。
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福徳神社/芽吹稲荷
- 住所 〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-4-14
- 電話 03-3276-3550
■自分で簡単手作りできる!「ミニ花手水」の作り方
花手水は自分でも簡単に手作りできます。せっかくなので、ぜひ手軽に自宅を癒し空間にしてみてください。ここでは、ミニ花手水の作り方のポイントを紹介します。
作り方は、いたって簡単。用意するのは、好きな切り花、茎を切るハサミ、入れる器、水だけです。
<ミニ花手水の作り方>
①入れる器を用意する
②水を入れる
③花の頭部分のみを使うので、ちょうどいいところで茎はカットする
④好きなように浮かべる
・おすすめの花
色が鮮やかで、花びらが大きく開いている、上から見た時に丸くなっているものがおすすめです。
例)ガーベラ、ひまわり、菊、バラ、紫陽花など
・おすすめの器
丸い花器や鉢があればベストですが、普段使っていない深皿など、水を入れて飾れるものならなんでも構いません。
特にルールはないので、自分の好きなようにアレンジできるのも花手水の魅力です。もう枯れてしまいそうなお花も、水に浮かべると息を吹き返してくれるようです。
■美しい花手水アートで、身も心も癒されよう
日本らしい和のお花のアート「花手水」。「神様へお参りする際には心身をきれいにしてから」という日本ならではの敬意を表す作法から始まり、現代では人々の心を癒してくれる存在になっています。
寺社ごとに個性があり、季節ごとにも楽しめるので、ぜひ花手水をお目当てに日本の寺社に足を運んでみてください。ただし、お花は生き物。実施時期や時間は限られていたり不定期であったり、寺社によって異なるので、実施の可否については事前に確認してから訪れてくださいね。
旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。
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