外国人が日本に長く住んでいると、日本の文化、習慣や生活様式に慣れて「畳化」することがあるというのは、こちらの記事で述べました。そんな「畳化」した外国人が自国に帰ると、逆に自国の文化や習慣にカルチャーショックを受けることがあるようです。自分の生まれ育った国にもかかわらず、です。このようなカルチャーショックは、「カウンターカルチャーショック」と言います。
今回は在日台湾人の筆者が周りの在日台湾人にインタビューをして、台湾に一時帰国した時に感じた「カウンターカルチャーショック」の事例を8つ集めてみました。日本と台湾の習慣の違いを改めて実感させられるような事例ばかりなので、ぜひご一読ください!(以下はインタビューに答えてくださった方の個人的な意見です)
1. 地下鉄で食べたり飲んだりしてはいけない!けど通話は大丈夫!
「台北の地下鉄(捷運)では改札に入ると、飲食が一切できないの。これはマナーとかじゃなくて、法律で定められていて、飲食をすると罰金を取られる。日本でも電車の中で飲食をする人はあまり見かけないけど、あれはどちらかというとマナーであって、罰則があるわけでもなく、水を飲むくらいなら大丈夫でしょう? 台北の地下鉄では水も飲んじゃいけなくて少しきついなと感じる時がある。にもかかわらず電話での通話はOKで、車両の中ではいつも騒がしいというのもなかなか慣れない」(30代女性、会社員、日本在住12年)
日本の電車は一部ラッシュ時を除いて、いつもシーンとしていますね。それと比べて台北の地下鉄は活気があるといいますか。飲食してはいけないのは清潔を保つためみたいですが、長距離だと水も飲めないのは少々きついですね。
2. 電車は平気で20分遅れて来る!
「数年前に台湾に帰った時、台湾鉄道の電車(地下鉄や新幹線ではないローカル線の電車)が平気で20分、30分遅れて来るのが印象に残った。日本の電車はラッシュ時や人身事故、天災でもない限り基本的に定刻に来るし、遅れた時も原因を教えてくれる。台湾のローカル線は遅れるのが日常茶飯事で、原因も教えてくれなかった気がする。今は改善されているかな」(20代女性、自由業、日本在住7年)
新幹線や台北の地下鉄だとそんなことはあまりないのですが、ローカル線は確かによく遅れるイメージがありますね。今はどうなんでしょうか。
3. バスの運転手が待ってはくれない!
「日本のバスは安全のためバス停に到着してバスが止まってから席を立ち上がるよう乗客に呼びかけているよね? 運転手さんも乗客が降りるのを待ってくれる。台湾だとそんなことはなく、バス停に近づくと降りる準備をしなければならない。ぐずぐずしているとそのままバス停を通り過ぎてしまう」(30代女性、会社員、日本在住10年)
台湾のバスは運転も荒いし、いつも忙しい印象があります。乗る時もバスは定点で止まってくれるわけではなく、走って追いかけなければならない時があります。降りる時も早々に支度をしなければ降りそびれる可能性があります。でも運賃は日本よりずっと安いから文句は言えないかもしれませんね。
4. 賃貸物件には必ずしもキッチンがついていない!
「日本の賃貸物件は、ルームシェアにしろワンルームにしろ、キッチンがついている部屋がほとんどだけど、台湾ではそんなに当たり前のことではない。キッチンが欲しいならそれをちゃんと条件に入れて部屋探しをしなければならない」(30代女性、会社員、日本在住10年)
日本、特に東京では一人暮らしに特化したワンルームや1K物件がたくさんあって、キッチンもついているのが基本ですが、台湾だと賃貸の場合は一人暮らしよりも友達とルームシェアをするのが主流みたいです。加えて外食文化が盛んで値段も安いので、キッチンはそれほど必需品ではないかもしれません。とはいえ衛生面のことを考えると自炊したくなる人もいますよね……。
5. 書店ではみんな床に座って本を読んでいる……
「誠品書店のような大きい書店さんでも、中に入ると床に座って本を読んでいる人がちらほら。もちろんまだ購入していないやつ。大学周辺の書店だともっと多い。久しぶりの帰国だったのでとてもびっくりしたんだけど、よく考えれば私も学生の時に本を買うお金がなくて、書店の床に座って読んでたな……」(20代女性、自由業、日本在住7年)
日本ではまず見られない光景ですね、「立ち読み」ではなく、堂々と床に座って読んでいるのです。それは台湾の書店ではよく見られる光景で、店員もあまり注意しません。本は商品なんだから書店内で読むのは無銭飲食みたいなもので、本当はNGだとは思いますが、かといって収入のない学生が知識と教養を得るためにやっているのであれば、何だか微笑ましい気持ちにもなります。ただし、収入がある社会人はきちんと本を買いましょう!
6. 台北駅のホールはピクニック場!?
「書店以外にもう1つびっくりしたのが、台北駅のホールだね。台湾最大の駅だけど、1階のホールにはたくさんの人が床に座っていて、マクドナルドなり弁当なりを食べている。ここはピクニック場か!? って感じ。想像してみてください、東京駅の床に座ってご飯を食べる人、いないでしょ? しかも、台北駅の床は白黒の市松模様になっているんだけど、何故かみんな白ではなく黒のマスの中に座っている。謎過ぎ……」(20代女性、自由業、日本在住7年)
これもまた日本では考えられない光景ですね。近年、東南アジアからの移民がかなり増えているので、床に座って食べるというのはひょっとしたら彼らが持ち込んだ文化かもしれませんが、本当のところはよく分かりません。しかし人に迷惑をかけなければ楽しそうでいいんじゃないですか。筆者もやってみたくなりました♪
7. トイレにトイレットペーパーがあるとは限らない!
「日本のトイレはトイレットペーパーがついているのがデフォルトで、稀にないところではちゃんと注意書きが貼り出されているんだけど、台湾はあるとありがたいなって感覚で、久しぶりに帰ってみるとちょっとショックだった」(20代男性、会社員、日本在住2.5年)
確かに、台湾ではトイレに行く時にポケットティッシュを持参するのが常識ですね。持っていない時は、トイレの入口付近ではポケットティッシュ(場合によっては生理用品も)の自動販売機が設置されていることもあるのでそこで購入します。なんでトイレ内でトイレットペーパーを設置しないんだろう? と考えたことがありますが、一説によれば盗難防止とのことですが、真偽のほどはいかに……。
8. ボーイッシュな女の子がたくさん!
「台湾の街を歩いていると、びっくりするほどボーイッシュな女の子がたくさんいることに気付いたの。こんなんだっけ? と日本に来る前の記憶を手繰ってみたけど、確かにこんな感じだったかもしれない。日本だと街ではメイクもしているフェミニンな女の子が多くて、ボーイッシュな子はあまり見かけないよね。そして台湾の街では手を繋いでいる同性カップルもよく見かけて、さすが同性婚がOKな台湾! この点は誇りだ! と思った」(20代女性、自由業、日本在住7年)
確かに台湾の女性は日本ほど「女らしくしなきゃ」ということを求められていないような気がします。男女平等も日本より進んでいるし、2019年5月にはアジアで初めて同性婚が合法化されました。他人と違うことを恐れず、さまざまな人が生きやすい社会環境になりつつありますね。
いかがでしたか? 日本に慣れ過ぎていざ久しぶりに帰国すると、さまざまな場面でカウンターカルチャーショックを受けるものですね。自分の生まれ育った国の文化や習慣を違う視点で見ることができる、これもまた外国生活の醍醐味といえるでしょう。読者の皆さんも、今度台湾に行く時にぜひ台北駅のホールや書店に行ってみてください!
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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