
普段なにげなく口にしている食品には、一見同じような見た目でも、違う名前で表されるものが数多く存在しています。たとえば「ピーマン」と「パプリカ」。いったいその差って何なのでしょう?
前回は「唐揚げ」と「竜田揚げ」の違いについてなど、定番の日本料理についてご紹介しましたが、今回は食材をテーマに“○○と△△の違い”を調査! 都内の人気飲食店でシェフとして活躍し、幅広い食材の調理経験を持つH崎さんにお話を聞いてみました。
■「和牛」と「国産牛」の違い
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スーパーの精肉コーナーや精肉店で牛肉を買うとき、パッケージに「和牛」や「国産牛」と書かれているのを目にします。どちらも同じ日本産の牛肉……つまり「和牛」=「国産牛」なのでは?と思いきや、そうではないようです。
「和牛は、日本の在来種を改良してつくった、黒毛和種、褐色和種、日本短角種、無角和種の4種類と、この4種類の交雑種の牛のことだけを言います。いっぽうの国産牛は、外国産の牛でも、日本で肥育された期間が最も長く、日本国内で食肉用に加工されたものであれば名乗ることができます」
つまり「和牛」とは品種のことを指し、産地は関係ないのだとか。たまに「黒牛」や「黒毛牛」といった表記を見かけることもありますが、「黒毛和牛」や「黒毛和種」のように「和」の字が入っていないものは「和牛」ではないそうなので、要チェックですね。
■「ベーコン」と「パンチェッタ」の違い
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イタリア料理店やパスタのレシピで目にすることが多い「パンチェッタ」。見た目からは、「ベーコン」と同じなのでは?と思われがちですが、使われている部位や調理工程に違いがあるようです。
「パンチェッタは豚の“pancia(パンチャ/お腹)”の部分を、塩や香辛料で漬けこんだもののこと。ベーコンは、塩や香辛料で漬けこんだものを、さらに燻製にしたもののことを言います」
たしかに、ベーコンのほうが燻製されているぶん香ばしさを感じる印象があります。ただ、料理する際の用途としてはあまり差がない様子。
「ベーコンは、カリカリに焼いてサラダのトッピングとして使うことが多いですね。パスタではアマトリチャーナに。パンチェッタも同様ですが、カルボナーラパスタに使ってみたり、ポテトと一緒にアヒージョにしてみると美味しいですよ」
■「ウインナー」と「ソーセージ」の違い
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ベーコンやパンチェッタと並び、食卓で口にする機会が多い「ウインナー」。こちらも、同じ食べものに対して「ソーセージ」という呼び方がある食材です。その違いはというと……。
「ソーセージは、豚、鶏のひき肉、香辛料などを、牛、豚、羊などの腸に詰めた食べものの総称です。ウインナーは羊の腸に、豚や鶏などのひき肉を詰めたもの。“ウインナーソーセージ”とも呼ばれていますね。牛の腸に詰めたものが“ボロニアソーセージ”。豚の腸に詰めたものが“フランクフルトソーセージ”です」
つまり、「ウインナー」は「ソーセージ」のなかの一つということ。最近では人工の詰め袋を使うことも多く、呼び方の違いは、製品の太さによって変わるケースもあるようです。
■「ピーマン」と「パプリカ」の違い
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「パプリカ」と「ピーマン」は見た目もほとんど変わらないので、その違いが気になる食材の筆頭株です。緑色が「ピーマン」で黄色や赤が「パプリカ」かと思えば、カラーピーマンも存在するので、どうやら色の違いで区別されているわけではなさそう。
実は「ピーマン」も「パプリカ」もナス科トウガラシ属で同じ品種のため、植物としての分類上では、はっきりとした違いや定義はないのだとか。実の厚みや甘み、大きさなどによって、「ピーマン」なのか「パプリカ」なのかが分けられているようです。
「ピーマンもパプリカも、それぞれ緑、黄、オレンジ、赤と違う色がありますが、これは収穫時期の違いによるもの。栄養価の面でも、色によって異なります。緑色のものは苦みがあるので、そのまま食べるよりも、他のものと合わせて食べるのに向いています。肉詰めや炒め物にすると美味しく食べられます。
黄、オレンジ、赤のものは甘みがあるので、そのまま生で食べてもOK。とくに黄パプリカは一番甘いので、サラダなどでの生食がオススメですよ」
■「ホワイトアスパラガス」と「グリーンアスパラガス」の違い
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春先のこの時期に、最も美味しい旬の時期を迎える「アスパラガス」。スーパーなどでは、緑色の「グリーンアスパラガス」と、白い「ホワイトアスパラガス」が売られています。その違いは品種の差ではなく、栽培方法にあるのだとか。
「グリーンアスパラガスは、土から芽が出たものを、そのまま日光に当てて育てたもの。葉緑素がたくさん出るので、緑色になります。いっぽうホワイトアスパラガスは、芽が出たものに土を被せて日光を当てずに育てます。日を浴びないため白いまま育つんですね。そのぶん食感が柔らかく、甘みが出ます」
日光を浴びるか浴びないかで、色と味の違いが出てくるようです。「グリーンアスパラガス」は「ホワイトアスパラガス」と比べると、やや青臭さを感じますが、「ホワイトアスパラガス」よりも栄養価は高いそう。もともとは同じ品種のアスパラガス。味の好みで選ぶのが正解のようです。
■「かいわれ大根」と「大根」の違い
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野菜には、似て非なるものがまだまだあります。「かいわれ大根」と「大根」もそのうちのひとつ。見た目にはまったく違いますが、同じ「大根」の名前がついている以上、その差が気になる食材です。
「かいわれ大根は、大根の種から発芽した芽の部分のことです。いわゆる“スプラウト”の一種。かいわれ大根も大根も、種は同じ。ただその栽培方法に違いがあって、かいわれ大根は水栽培で新芽のうちに摘み取って食べます。いっぽうの大根は、土栽培で成熟したものが収穫されます」
大根の種が発芽した葉に日光が当てられて、緑化したものが「かいわれ大根」。開いた双葉が、二枚貝が割れたように見えることから、「貝割れ(かいわれ)大根」という呼び名がついたそうです。
「かいわれ大根は生食で、サラダやカルパッチョの飾りなどのつけ合わせにして食べることが多いですね。大根は生食なら、細く切ってサラダやバーニャカウダで。ブイヨンで煮てポトフにしたり、おでんにしたり、煮込むことで甘みと食感を楽しめますよ」
編集・ライター歴トータル17年以上。マンガ、小説、雑誌等の編集を経てフリーライターに転向後、グルメ、観光、ドラマレビューを中心に取材・執筆の傍ら、飲食企業のWEB戦略コンサルティングも行う。そのため、日本グルメの新商品やトレンドのキャッチアップが早く、LIVE JAPANでは幅広い年齢層や国籍の方にわかりやすく伝えている。
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