年末年始の休暇を終えると、日本全国の若者たちが次なる新年の祝い「成人式」の準備を始める。日本では毎年一月の第二月曜日が「成人の日」となっており、この日は国民の祝日となり、皆で多くの若者が大人になることを祝うのである。
成人の条件とは?
それぞれ文化の成り立ちによって、どこから「成人」と位置づけるか、どのような成人の儀式を行うか、異なる文化を持つ。精神的、肉体的に発達したことを成人とする国もあれば、国が法律で定めた年齢に達すれば、その日から成人とみなす国もある。日本は法律で20歳が成人に達する年齢であると定められており、20歳の誕生日を迎えた人からお酒を飲む、タバコを吸うなどの行為が可能となる。なお、日本の法律では車の免許の取得及び選挙の投票権は18歳の誕生日を迎えた者から可能である。
そして若者たちは、この未成年と成人との境の消失の「成人の日」を心待ちにして、20歳の誕生日を迎えるとスーパーに赴いてビールを購入して身分証を店員に誇らしく提示したりするのだ。諸外国と同じように、国が若者を社会に新しい大人・新成人として受け入れる。
成人の日
成人の日は、旧年四月から新年四月の一年間の間に20歳を迎える人々を成人の世界へ迎え入れるため祝うための日。この慣習は、皇太子が真新しいお召し物を身につけられたり、髪を切られて真新しい髪型で成熟した姿を一般に披露し始めた8世紀から続くしきたりだ。これが今日の日本でも継承され、若者が成熟した姿を祝う成人式へと続いているのだ。
成人の儀式の変遷
時代の成り行きとともに成人の祝い方・在り方は変化してきた。江戸時代には、男性は10代の若者でも公衆で刀を持ち歩けるようになったら成人とみなされていた。一方で、女性は、結婚した証として歯を黒く染める「お歯黒」という習慣が江戸時代の間19世紀後半まで広く浸透していた。お歯黒は単に成人を表すだけでなく個々の自由を現す意味合いもあった。
1986年、法律で20歳を成人とするよう特定の年齢が定められた。次第に以後刀を持つことやお歯黒の文化は衰退した。
振り袖は成人の証
日本の若者の女性は振袖と呼ばれる特別な着物を身に着ける。振袖は艶美で長い袖が特徴で、着物の中でも最もフォーマルなスタイルとされる。この長い袖は、身につける人が結婚可能な年齢に達した未婚の成人女性であることを意味し、多くの女性が成人式に際して振袖を身に着けるのだ。しかし、興味深いことに、20世紀以前には、振袖は男女問わず未成年の若者に着られており、現在に浸透する振袖の成人文化との関係性は皆無であった。
スーツ、それとも袴?
一方で、若者の男性たちはスーツか着用するか袴を着るか選択肢を持つ。足元まで伸び幅広なパンツスタイルの袴は、西洋のファッションが日本に伝わるまで標準の衣服とされていた。今日の日本では、袴はお祭りなどの行事やフォーマルな場で多く身につけられる他、合気道や剣道、居合道などの武道でも着用される。
成人式は自治体主催
成人式は、日本全国の各自治体主催で行われ、旧年四月から新年四月の一年間の間に20歳を迎える若者全員に案内状が送られる。なお年齢の条件は満たしていても、案内状がないと成人式には出席できない。また基本的に案内状が送られるのは、日本国籍を保持している新成人のみ。古都・京都では、成人の日の前日の日曜日に「大的大会」とよばれる特別な催しが行われる。この催しは、多くの新成人の女性が日本古来の弓道を披露するもので、忍耐と自制心を養うことを目的としている。
「成人する」とは?
日本の若者たちの成人式の醍醐味は、市長や区長など地方自治体の代表者の祈願のスピーチなどの成人式のフォーマルな部分を終えたあとにある。世界中の若者たちと同様に、それぞれが彼らなりの手法で成人になった喜びを、新たに手にした自由を楽しむのだ。成人の式の日には、小学校や中学校などの旧友と近くの居酒屋などで杯を交わす着飾った新成人たちを見かけることが多いと言えよう。日本での成人式は、法律で成人とみなされる年齢に達したこと祝うだけではなく、一人ひとりが常に責任ある行動と積極的な参加を促すための式でもある。成人の日は、各新成人たちが成人した一人の大人になった自覚と責任を感じるフォーマルな側面と、家族や友人たちと楽しいひと時を過ごす二つの側面があるのだ。
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