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茶道は、日本の伝統文化を代表するものとして、日本人からも外国人からも広く認識されている。茶道に使用される飲み物としてお馴染みの抹茶は、現在では元来の飲み物という概念を越え、日本を代表する文化のひとつとして発展した。特に、茶道の作法や様式は、感性を磨く芸術として今日の日本でも守られるべき文化とされている。外国人にとっては、日本らしく魅力的なものでありながら「実態が見えない儀式」と言った印象を持つ人が多いとも言われ、実際に日本人もその多くが、外国人同様にその詳しい作法などを知らないのも事実。
近年、こういった状況を鑑みて、日本人・外国人向けに、茶道に関して見識を深めてもらおうと教室を開講している茶室が急増している。東京の駒場・和楽庵(以下・和楽庵)では、お茶の作法を始め、茶室への入室の仕方、床の間に飾られた掛軸、お花の鑑賞の仕方等をより正しく認識してもらおうと取り組んでいる。
茶道とどのようにして向き合うか
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茶道になんとなく興味を持っていても、結局何から学んでいいかわからず、「お茶の正しい作法がわからない」なんて人も多いのではないだろうか。そんな人にも最適な茶室が、和楽庵である。単に、茶道そのものを学ぶだけではなく、実際に体験することで、頭にも身体にも作法を身につけることができる上、英語・中国語の解説文があるので、日本語が分からずとも安心だ。1週間ほど前に予約すれば、通訳もお願いできる。また、希望のお客さんには、スタッフが茶室最寄りの駒場東大前駅まで無料で迎えに来てくれるサービスまで行っているので、海外から観光等で訪れる人でも気軽に利用できるだろう。
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茶道は通常、正座をして行うのが基本。小さい頃から正座に慣れている日本人にとっては、それほど大変なことではないが、外国人にとっては慣れない態勢で長時間座りながら、慣れない作法を学ぶことは少し苦難してしまうかもしれない。しかし、和楽庵ではそんなことも心配なし。正座が辛ければイスを用意してくれるので、イスに座ってお茶を嗜むことも可能。茶道をする人が一番気持ちの良い形で茶を愉しむのが理想であると考えるための配慮だという。
茶道を始める前に
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今回、私は日本人編集者とともに茶道に臨んだ。というのも、日本人が体験する茶道とアメリカ人が体験する茶道が、経験としてどういう印象をもたらすのか知りたかったからだ。私は、元々抹茶が大好きだが、茶道と言うものには触れたことがなかったので、今回の経験がどういったものになるか、少しソワソワしていた。同席した日本人は、もちろん私より日本の伝統的なマナーや慣習を心得ているはずなので、すんなり受け入れられているのではと思った。
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和楽庵では、茶道を愉しむ上で様々なプランを展開しており、金額は5,000円から10,000円程度。薄茶を選ぶか濃茶を選ぶかで値段に若干差異がある。私たちは、茶道をはじめて体験する人におすすめのプランということで、薄茶+干菓子の「Introductory Tea Ceremony」を体験してみることにした。はじめる前に、足袋に履き替え、帛紗、帛紗挟み (扇子ほか)、懐紙が支給された。そのほか、アメリカ人の私には、英語で書かれた茶道の所作や作法、手順などが英語で書かれた説明用紙が配られた。
露地を歩く
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草履を履き、植栽を傷つけぬよう、季節の木々、塀や灯籠などをじっくりと観察しながら飛び石を歩き席に向かった。
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茶事を行うための結界「つくばい」で柄杓を使って両手・口を清め、茶室まで歩を進めた。茶道は綺麗な状態で臨むのが礼儀であるため、この手順は非常に大切なステップだ。その後、茶室まで歩を進め、沓脱石の上にしゃがみ、障子を開けた。
すべての美しいものに感謝の気持ちを
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全く茶道の経験がないとは言え、何となく少し知った気でいた私。いざ参加してみると驚きの連続だった。何よりも衝撃だったのは、茶道に必要なマナーが直接お茶に関連づいている行動ばかりではないということ。茶室に入る前に、床前で両手をついてお辞儀をしてから、天井、床をはじめ部屋・席の様子などをよく見るよう案内された。茶道の中には、お茶を愉しむこと以外に大事な部分がたくさんあるのだと言い、美しい茶道の所作はお茶を嗜む前から始まっているのだという。その後、茶道具や茶室を彩る炉、釜、掛け軸、お花など、隅から隅まで隈なく敬意を示し感謝の想いとともにじっくり観察した。舌だけでなく目も茶道を愉しむ上で大切な役割を担っているのだ。
伝統的な和菓子の美味しさ
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抹茶を嗜む前に、干菓子が配布された。先に配られた懐紙を使うのは、干菓子を食べるときなんだという。懐紙は、干菓子を置くために、またはお箸を拭いたりするために使用される。茶席でのお菓子は、季節感あふれるものを用いることが多いという。干菓子は食べてみると、お茶を飲む前にはちょうど良い甘さで美味しく和やかな気持ちにさせてくれた。干菓子を食べている間は点前を見ながら、茶道家の先生によって立てられる抹茶が出来上がるのを待つのがマナー。抹茶の粉末とお湯を混ぜ合わせ美味しい抹茶を立てるのだ。干菓子を食べ終わったら、いよいよ抹茶を飲むときがやってきた。
薄茶を飲む
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私の中で驚きだったのは、茶道で飲む抹茶は湯呑みで飲むわけではなく、湯呑みより一回り大きなお茶碗で飲むこと。抹茶が目の前まで支給されたら、すぐには飲まない。部屋や席を観察したのと同様に、抹茶も香りや泡の立ち方、キメの細かさ、色合いなどをじっくり見て愉しんでから飲む。このあたりで私も徐々に気づき始めたのだが、茶道とは実際にお茶を飲んで愉しむことももちろん重要だが、それぞれが見て触れて味わって感じたことを、それぞれの脳内で考え反芻させていくことにも大きな意味を持っているようだ。
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いよいよ点てて頂いた抹茶を頂くことに。飲み始めてやはり感じたのは、その香ばしく芳醇な香り。ほろ苦さの中に仄かに広がる甘みに、飲み終わった後にも口に残る繊細で深みのある味わい。美味しいだけではない様々な感情が頭の中を駆け巡った。すると、先生に「お服加減はいかがですか」と問われ、「結構です」と答えた。服加減とはお茶のたて加減を意味する言葉だ。飲み終えた後は、飲み口を懐紙で拭き取り、お茶碗を隣の参加者に回した。
茶会を終える
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全ての参加者が無事お茶を愉しみ、お茶碗が空になったら、先生が「お仕舞いに致します」の合図とともに茶会を締めた。その後、私たちは空っぽのお茶碗やなつめ(茶器)、茶杓を手に取って見ながら暫し眺めた。先生が茶室の入り口で参加者たちに一礼し、こちらも礼を返し、先生は茶室を後にした。これで茶会は終了である。
薄茶と濃茶
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今回私たちは薄茶を選んだが、濃茶も頂くことができた。色が濃いのはもちろん、味にも濃さを感じたが、その香り豊かな味わいに相反して苦味はそれほど感じなかった。
和楽庵では、参加者の好みによって、薄茶または濃茶のいずれかを頂くか、薄茶と濃茶の二種類とも頂くか選ぶことができる。ただ、日本人でも外国人でも、実際に茶室に茶道にそこまで馴染みがないと、それぞれにどういう特徴があって、というところは不透明なはず。私が飲んでみた感想では、薄茶は比較的誰でも飲みやすく、抹茶をはじめて飲む人でも簡単に飲むことができるので、抹茶に初めてトライする人やさっぱりした味わいを好む人は薄茶がオススメ。ただ、抹茶がすごく好きで、飲み慣れていて、コーヒーでもブラックだったりエスプレッソだったり、素材のそのままの味を楽しめる人なら濃茶が好きなはず。私にとっては、濃茶の方が好みの味わいであった。私は元々抹茶が好きで頻繁に口にしているが、和楽庵で頂いた濃茶ほど香りが豊かなものに出会ったことがなく、非常に感銘を受けた。
茶会を終えて
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実際に参加してみて、アメリカ人である私も、同行した日本人編集者も、全く生まれも育ちも異なりながら、素晴らしいその「儀式」に興奮が冷めやらず、終わってからも一頻り一連の体験を噛み締めた。座り方から茶道具などの扱い方や、感謝の表現方法、お辞儀の仕方、食べ方、そしてもちろんお茶の飲み方など、ルールやマナーはたくさんあるが、それらを正しくマスターすることも当然大切。ただ、何よりも大事なのは、和楽庵がモットーにも掲げる、愉しむことだ。楽しいひとときを過ごせたら、もし茶道の所作が完璧にできていなくても大丈夫。和楽庵に限らず、茶会を開く人々や、こういった場を提供している人々は、所作を完璧にできない人への理解もしっかりある上、優しく教えてくれるので、それぞれの楽しみ方で臨んで問題なし。観光や伝統に触れる体験を目的とした人々はもちろんのこと、近頃は誕生日のお祝いや恋人や家族など大切な人と過ごす場所としても、茶会は重宝される傾向にあるのだとか。あなたもぜひ国境も世代も関係なく愛される日本の伝統文化・茶道の美しさに触れてみてはいかがだろうか。
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駒場・和楽庵
- 住所 東京都目黒区駒場1-26-11
アメリカのマサチューセッツで育ち、新たな冒険と、おいしい緑茶を探しに日本へやってきました。様々なことを追求し、そして書くことを通じて、大都市・東京で私だけの生き方をみつけることができました。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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