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人間をキャンバスにして描く芸術―刺青―は、今日の印象とは異なる、激動の歴史を持っている。日本の刺青の歴史は、3世紀の中国の文書「魏志」にさかのぼる。当時は社会の階級を表すものとして、また宗教的な意味を持つものとして、また漁師が海で身を守るものとして存在していた。
処罰の表現のひとつ
しかしながら、古墳時代(300〜600 年)半ば頃になると、刺青を持つ人々への認識は否定的なものとなった。犯罪者に対する処罰の形として使用されるようになったからだ。社会から明確に切り離されるよう刺青を彫られた。日本では、地方により刺青が彫られる位置が額または腕などと異なっていた。
伝統的でありながらも、眉をひそめられる現代の刺青
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昨今でも、犯罪に関わる人々が刺青を入れていることが多いことから、公衆浴場や温泉、ジムといった公共の場で、刺青が入っている人々は入店できないことがある。しかしながら、刺青は若い日本人の間で、ファッションの観点から人気になり始めている。よって世間の目も次第に変化し始めている。ブライアン・アシュクロフト氏と彫紅氏の共著作「日本の刺青」では、日本の刺青文化について、より深く説明されている。
デザインの歴史
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2016年7月に出版された同著では、日本社会に隠された刺青の伝統に光を当て、古代の由来から現代日本での捉え方までを、専門用語および歴史の詳細な説明をもって紹介している。
神道の神々から現代のポップカルチャーまで、さまざまな時代のインスピレーションを得たデザインが、紹介されている。世界でも稀な日本の刺青文化について、刺青の彫師の言葉を通して知ることができる。
漢字や日本の源を描く
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日本の刺青というと、すぐに漢字のデザインが思いつく。現代の日本社会での印象とは異なり、かつては社会的地位を示すために、あるいはお守り一種として機能していた。ここでは、日本のマントラやスローガンを表した漢字などを紹介しており、刺青のデザインを探すヒントになるリストが掲載されている。また、四季によって着物の柄が変化するように、刺青も季節によって柄が異なり、生け花や仏教といった日本の伝統文化の要素を含んでいる。
神話や想像上の生き物
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現実の世界のものを描くのも良いが、ちょっとミステリアスなものを描きたいという方には、龍や不死鳥といった想像上の生き物が人気だ。同著では、中国の龍と日本の龍の見栄えの違いについて、また、なぜ鯉の絵柄がもっとも男性らしいものと考えられているかといった、なかなか他では知ることではできない問いに、答えてくれている。
神と女神、英雄と悪魔
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仏教や神道の神々、悪魔などを描写したものは、ディテールまで描かれており非常に美しい。なかでも驚くべきは、2年以上を費やして描かれた、出産を守る女神の刺青。これを入れた女性は、助産婦さんとして働く方だとか。生まれてくる子供たちの健康を心から祈る彼女の想いがカタチとなった、美しい作品だ。
全身を覆う作品
典型的な日本の刺青として、目を見張るような写真の数々が掲載されている。江戸時代の労働者階級、特に消防士らの身体、それも全身に描かれた刺青を見ることができる。まさに、みなさんが見てみたかった作品のひとつだろう。
現代的なデザインとオタク文化
ポップカルチャーを内包した刺青の書籍を探すのは難しい。漫画、アニメをはじめとするオタク文化を描いた刺青についても、同著で紹介している。
みんなの知らなかった刺青文化
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自らの身体に刺青を彫るつもりがない方でも、同著は興味深く読める。10年以上、日本に住むブライアン・アシュクロフト氏と、ミネソタ州で育ち2002年から日本に住む、世界的にも有名な彫師、彫紅氏。歴史や文化の側面から、刺青の新しい世界をのぞいてみては?
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