今や、海外でも大人気の盆栽。小さな樹木を繊細な形に仕立てて植木鉢の中で表現する。日本独自のアートとして、園芸マニアの間だけでなく幅広い人々に愛されている。盆栽は、盆栽園で購入することも、培養している人から分けてもらうことも、自分で種から、あるいは苗木から育てることもできる。
樹木が盆栽に変わる瞬間

技術的には、生育2年以上の樹木であれば、どんな植物でも盆栽に仕立てることができる。小さな鉢でも育つか、また針金などで形を作りやすいかといった条件から、特に盆栽に適している植物がある。針金で形を作るのは、より自然に近い樹の姿を小さな鉢の中で表現するためだ。
盆栽の素材である樹は種から育てる場合もあるが、基本的には挿し木や接ぎ木、苗木から育てる場合が多い。小さな樹は盆器の中で長い時間をかけて育ち、日々の細かな管理培養(針金かけや剪定などの手入れ)のもと丁寧に樹作りをされていく。数年に一度の植え替えなどを経て展示会へ出展されるときには、鉢合わせを行い展示用にいちばん合う鉢へ替えられる。なお、盆栽の「盆」とは「トレイ=pot」を指す言葉だ。
盆栽の歴史

盆栽は、8世紀頃から中国で技術が培われてきた「盆景」が起源といわれている。また樹木をミニチュア化するという発想は、3世紀頃に存在した道教の司祭が風景を縮小して見せたという伝説から始まったという。「盆景」が日本に渡ってきたのは6世紀頃のこと。中国に派遣された当時の外交官や学者が持ち帰った「盆景」は、やがて「盆栽」という日本独自の芸術として洗練されていった。
深遠なる盆栽の世界

盆栽は単なる園芸ではない。自然を模倣しながらも小さく仕立てられた盆栽は、自然への敬意と人間の生のはかなさの両面を、洗練した形で表現した、日本の美意識の集大成ともいえる。長年の歳月をかけ、丹精込めて盆栽を仕立てるのは、まさに瞑想のようなものだ。
こうした盆栽の背景にある哲学は、物事すべてが便利になった現代でも重視されている。盆栽が国際的なものになったのもまた、哲学的側面が評価されたからに違いない。完成された盆栽を眺めれば、そこに禅の教えと日本の哲学が見えてくるはずだ。
本物の盆栽が見たい!

著名な盆栽師である小林國雄が館長を務める「春花園BONSAI美術館」には、1000鉢を超えるさまざまな盆栽が展示されている。樹の品種や形もさまざまで、なかには数々の賞に輝いた盆栽もある。運が良ければ、盆栽師が盆栽を手入れしている様子も見学できるかもしれない。お茶と和菓子をいただきながら、盆栽を眺めれば、自ずと禅の心も感じ取れるだろう。
「春花園BONSAI美術館」では屋外だけでなく、美術館の周辺に建てられた日本家屋でも盆栽を鑑賞できる。和室に備えられた「床の間」には季節折々の盆栽や掛け軸が飾られている。
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