第74回ゴールデン・グローブ賞授賞式が1月8日(現地時間)に開催され、輝かしいスターたちが祭典に集結した。ハリウッド外国人記者クラブ(HFPA)による投票で選定される同賞は、「アカデミー賞の前哨戦」とも呼ばれるなど、その年の注目作を一挙にチェックできる絶好の機会!
ゴールデン・グローブ賞は、例年、時代の世相を反映した作品がノミネート。海外で今起きている問題やトレンドを把握するには、同賞の受賞作を観るのが打ってつけといえる。授賞式のファッションも、次シーズンのトレンドを反映しているので要注目!
そこで、渡辺直美のCMでおなじみの『ラ・ラ・ランド』ほか、オススメ作品や日本での公開時期を、授賞式の様子を振り返りながらご紹介。
ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』が史上最多7部門を受賞!
本年度の映画レースを席巻中の超話題作が、映画『ラ・ラ・ランド』。ゴールデン・グローブ賞では、作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)、主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)、監督賞、脚本賞、作曲賞、主題歌賞と7部門でノミネート。結果、7部門すべて受賞という史上最多の快挙を達成した。
本作は、『セッション』で全世界に衝撃を与えたデイミアン・チャゼル監督の最新作。売れないジャズピアニストと女優志望の女性の恋の行方を描くミュージカル映画だ。主人公カップルを演じたライアン・ゴズリング&エマ・ストーンの歌とダンスに魅了され、導かれるのは胸が切なくなるほどロマンチックな恋物語。ライアンは、全編吹き替えなしでピアノ演奏にも挑んでおり、彼のピアニスト姿や甘い歌声に女性陣ならば誰もがとろけること必至。エマのクルクルと変わる表情もキュートで、恋せずにはいられない映画とオススメしたい。
ゴールデン・グローブ賞授賞式当日、エマはヴァレンチノのオートクチュールドレスで登場。淡いピンクのドレスには無数の星々が散りばめられ、まさに“スター”となった彼女を象徴するような美しいスタイルで絶賛された。
また受賞スピーチでは、女優の夢を叶えるために「13年前にロサンゼルスに引っ越した。家族には迷惑をかけっぱなしだった」と涙ながらに振り返ったエマ。本作は“夢を追う人”を描いた物語だが、彼女自身も厳しいハリウッドで夢を追いかけ続け、この日堂々とステージに立っていた。映画同様、“夢追い人”に勇気と希望を与える素晴らしいスピーチで、会場の大きな拍手を浴びていたのが印象的だ。
『ラ・ラ・ランド』の日本公開は、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、T・ジョイPRINCE品川などで2月24日(金)から。うっとりするような極上エンターテインメントの幕開けが、今から楽しみだ。
『ラ・ラ・ランド』上映予定の施設
ドラマ部門作品賞は、ブラッド・ピットが製作を手がけた『ムーンライト』!
アカデミー賞でも『ラ・ラ・ランド』の対抗馬となりそうなのが、ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門の作品賞を受賞した『ムーンライト』。世界中の賞レースで必ずと言っていいほど、名前が挙がり、厳しい評価で知られるアメリカのレビューサイト・ロッテントマトでも98パーセントという驚くべき高評価を得ている。
主人公となるのは、マイアミの貧困地区で暮らしている内気な性格の男の子シャロン。彼にとっての唯一の救いは、自分の親代わりになってくれる、近所に住む麻薬ディーラーの男とその妻、そしてたったひとりの男友達ケビン。そんな中、シャロンはケビンに惹かれている自分に気づく…。
シャロンの少年期、青年期、成人期と3つのパートに分かれて構成された本作。長編2作目となるバリー・ジェンキンス監督が、シャロンの愛と葛藤を鮮烈に描き出す。麻薬常習者の母に育児放棄をされ、学校ではいじめられ、自身がゲイであることに気づく。シャロンの状況は、とてつもなく苦しい。人種問題とセクシュアリティの問題が重くのしかかるが、シャロンを通して描かれるのは、「自分の居場所はどこなんだ?」という普遍的な居場所探しの物語。多感な青春期はもちろん、自分探しを続ける旅の途中にいる誰もが、強く胸を打たれるはずだ。
本作の製作総指揮を担ったのは、人気俳優のブラッド・ピット。現在はアンジェリーナ・ジョリーとの離婚問題でニュースに取り上げられることも多く、「落ち込んでいる」との噂もチラホラ。そんな中、ゴールデン・グローブ賞授賞式当日には、ブラッドがサプライズでステージに姿を現し、大いに世間を驚かせた。
これまでにも、黒人奴隷の問題に深く切り込みアカデミー賞を受賞した『それでも夜は明ける』など良質な作品を次々に世に送り出し、プロデューサーとしても力量を発揮しているブラッド。それだけに、『ムーンライト』にも期待が高まる!日本公開は春の予定。新たなスタートの時期に観る映画としても、ぴったりかもしれない。
『ムーンライト』4月、TOHOシネマズシャンテ他全国公開!
『ムーンライト』上映予定の施設
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日比谷シャンテ
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住所
100-0006 東京都千代田区有楽町1-2-2
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最寄駅
日比谷 駅 (東京メトロ日比谷線 / 東京メトロ千代田線 / 都営三田線)
- 電話 03-3591-9001
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住所
100-0006 東京都千代田区有楽町1-2-2
『氷の微笑』ポール・ヴァーホーヴェン監督のエロティックサスペンス、再び!
ゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)と外国語映画賞のW受賞を果たしたのが、『エル(原題)』。『氷の微笑』や『ショーガール』で知られるポール・ヴァーホーヴェン監督が、フランスの大女優イザベル・ユペールを迎えて描くエロティックサスペンス。今年のカンヌ国際映画祭での上映時も、その衝撃的な内容から物議をかもした問題作だ。
イザベルが演じるのは、ある日自宅で男性に襲われた50代の女性ミシェル。フラッシュバックに悩まされ、意を決して犯人の正体を突き止めようとするミシェルだが、やがて自身に潜んでいた欲望や衝動に突き動かされ、周囲を巻き込み波乱を巻き起こしていく。
『ピアニスト』でカンヌ国際映画祭女優賞を獲得、幅広い役柄を演じきり「フランスの至宝」とも言われるイザベルがまたしても難役にチャレンジ。ヴァーホーヴェン監督の紡ぐ“魅惑の世界”へと足を踏み入れた。
ゴールデン・グローブ賞授賞式当日は、ジョルジオアルマーニのペールブルーのドレス姿を披露したイザベル。セクシーと上品さを兼ね備えた技ありドレスはさすがの一言!本作でアカデミー賞初ノミネートも果たすなど、60代にしてますます輝く彼女から目が離せない。『エル(原題)』の日本公開は今夏を予定。衝撃の内容とともに、イザベルの果敢なチャレンジ精神も話題を呼びそうだ。
成田おり枝
シネコン、ミニシアターでの劇場経験を経て、映画サイトの編集者へと転身。現在はフリーライターとして、映画・アニメを中心に、インタビューやコラムなど日々の取材に奔走中。
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