東京を散策する方法はいくつかある。レンタル自転車、観光バスのツアー、はたまた人力車も思い浮かぶ。さらに、船のクルーズも良いだろう。そこで、他の旅行者のような東京湾クルーズのみならず、昔の東京を感じられるような珍しいクルーズ体験はどうだろうか。その名も「御座船」だ。
御座船~将軍の遊船~
水上バスやクルーザーが浮かぶ東京湾で、一際目立つ船がある。真っ赤な船体が水面に映り、葵の帆が風に翻る姿、一目でただのクルーズ船ではないことが分かる。これが御座船だ。
この御座船とは、将軍や大名たちが使った船。ただ豪華で快適というだけではない。戦争の時は、日本の沿岸部を守る役割もあった。
今、東京湾を周遊している御座船は「安宅丸」という船のレプリカ。本物は1632年に徳川家光の命令で作られ、軍船としても使われた。御座船に乗れば江戸時代にタイムスリップしたような気分になるだろう。
かつての将軍のように東京湾をゆく
安宅丸は浜松町の日の出桟橋から乗れる。日の出桟橋は東京の桟橋の中で一番古い桟橋だ。御座船をただの屋形船だと思っている人はとても驚く。とにかく大きくて、約200席もあり、最大の乗船定員は500名だ。また、瓦屋根や徳川家の家紋である三つ葉葵が描かれた帆だけではなく、船内も江戸情緒たっぷり。日本画が船内のいたるところに描かれており、また壁に飾られた能面が訪れる人を見つめているというのも、特徴的だ。
現代の東京湾
甲板に出ると、船の後方に広がる東京湾の素晴らしいい景色が見られる。レインボーブリッジ、東京タワー、東京スカイツリー(R)、お台場の観覧車、豊洲市場、さらには羽田空港も一望できる。370年前の将軍はどんな景色を見ていたのか・・・と想いを馳せるのもよい。レインボーブリッジの下を通ることも、貴重な経験となるはず。
幕末の残り香
御座船に乗った徳川家光の眼前には、一面の海が広がっていたという。お台場は、幕末の時代まで作られていなかったのだ。小船や潮干狩りをしている江戸の庶民が描かれている当時の絵も残っている。当時の庶民たちは、現代人と同じく、印象的な御座船に目を奪われたようだ。晴天の日は遠方のどこからでも富士山を望めたそうだが、現代では摩天楼で隠れている。
安宅丸の楽しみ方
浜松町からお台場までショートクルーズできる船は安宅丸だけ。夕方からは、日本の踊りや花魁ショーが楽しめる舞台観劇付きクルーズを運航。夕方のショーは予約が必要だ。
料金)820円
所要時間)日の出-お台場 13:30~14:00
休)月曜
お台場まで、海風を感じて心地よい船旅で行けば、とても貴重な思い出になるはずだ。
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御座船 安宅丸
- 住所 2-7-104, Kaigan, Minato-ku, Tokyo, 105-0022, Japan "
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